1998年初版発刊より,京都府立医科大学附属病院周産期診療部NICUにて培われてきたノウハウのすべてが盛り込まれた,待望の改訂第7版発刊!「小児科医がNICUで診療するための実践的な1冊」を基本コンセプトに,実践的な内容から新生児を専門とする医療従事者にも役立つより深い内容まで含み,情報も最新にアップデート.新生児医療にかかわるすべてのスタッフに必携の1冊.
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目次
改訂第7版 発刊によせて
改訂第7版 序文
執筆者一覧
序 章
NICUにおける大原則
第1章 新生児の管理
A 新生児蘇生法
B 新生児の診察
C 入院時の診療について
D 新生児マススクリーニング検査
E 経腸栄養の管理
F 輸液の管理
G 超早産児の急性期管理
H 鎮静薬・鎮痛薬
I 未熟児網膜症(ROP)
J 未熟児代謝性骨疾患(MBD)
K 退院前検査
L 退院基準とNICUから始まる退院支援(医療的ケア児)
第2章 各疾患の総論・各論
A 呼吸器疾患
1.人工呼吸器管理法
2.新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)
3.呼吸窮迫症候群(RDS)
4.慢性肺疾患(CLD)
5.無呼吸発作
6.胎便吸引症候群(MAS)
7.新生児一過性多呼吸(TTN)
8.肺出血
9.空気漏出症候群(air leak syndrome)
10.人工呼吸器関連肺炎(VAP)
11.乳び胸
12.dry lung syndrome
13.肺低形成
B 循環器疾患
1.先天性心疾患
2.心不全
3.不整脈
4.ショック
C 中枢神経系疾患
1.脳室内出血(IVH)
2.くも膜下出血(SAH)
3.硬膜下出血(SDH)
4.小脳出血
5.脳室周囲白質軟化症(PVL)
6.新生児仮死
7.低酸素性虚血性脳症(HIE)
8.新生児けいれん
9.新生児脳梗塞
10.新生児薬物離脱症候群
D 腎疾患
1.急性腎障害
2.先天性水腎症
E 代謝・電解質異常
1.低血糖
2.高血糖
3.低カルシウム血症
4.高カルシウム血症
5.低マグネシウム血症
6.高マグネシウム血症
7.低ナトリウム血症
8.高ナトリウム血症
9.高カリウム血症
10.低リン血症
F 消化器疾患
1.嘔吐と吐血・下血(血便)
2.壊死性腸炎(NEC)
3.限局性小腸穿孔(FIP)
4.胎便関連性腸閉塞(MRI)
5.腸回転異常症
6.胃軸捻転症
7.胃食道逆流症(GERD)
8.胎便性腹膜炎
9.ミルクアレルギー
G 血液疾患
1.多血症
2.貧血
3.新生児メレナ
4.血小板減少症
5.播種性血管内凝固(DIC)
H 高ビリルビン血症
I 感染症
1.感染症の基本知識
2.敗血症・髄膜炎
3.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
4.真菌感染症
5.ヘルペスウイルス感染症
6.先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症
7.クラミジア感染症
8.B型肝炎ウイルス(HBV)母子感染予防
9.C型肝炎ウイルス(HCV)母子感染予防
10.ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)母子感染予防
11.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)母子感染予防175
12.RSウイルス感染予防
J 母体疾患と新生児
1.糖代謝異常
2.新生児ループス(NLE)
3.甲状腺疾患
4.抗てんかん薬・向精神薬服用妊婦
5.免疫性血小板減少症(ITP)
K 染色体異常
第3章 基本手技
A 採血法
B ルート確保
C 輸血
D 腹膜透析
E 胸腔穿刺
F 頭部エコー
G 心エコー
H 腹部コー
I 頭部MRI
J 聴力検査
付 録
A 新生児の分類に関する用語
B NICU入院中のルーチン検査スケジュール
C NICUで使用する薬剤
D NICUでよく使う略語
E Dubowitz 新生児成熟度判定法
F minor anomalyチェックリスト
G 重篤な疾患を持つ新生児の家族と医療スタッフの話し合いのガイドライン
索引
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序文
改訂第7版 発刊によせて
京都府立医科大学附属病院周産期診療部は1982年6月に新生児集中治療室(NICU)としてオープンし,以来40年にわたって京都府の新生児医療の中核として発展して参りました.そして,多数の小児科医,看護師,助産師が京都府立医科大学附属病院周産期診療部で,新生児医療を学び育って行きました.その間,わが国では少子化で出生数の低下が顕著ですが,極低出生体重児や超低出生体重児の割合が,増加しているといわれています.一方で,開設当時の1980年代のわが国の周産期死亡率は10.1(出産1,000人対)でありましたが,2020年には3.2と低下しその値は諸外国と比較して極めて低く,わが国の高度かつ安全な新生児集中治療の進歩の成果と考えられています.現在は,救命第一から後遺症なき生存を目指す新生児医療が行われています.
『最新NICUマニュアル 改訂第7版』では,後遺症なき生存を目指して,歴代の京都府立医科大学附属病院周産期診療部スタッフが培ってきたノウハウを全て盛り込んだ,より実践的なバイブルとなっています.今回の改訂はチーフの長谷川龍志先生を中心に,橋口加名栄先生,瑞木 匡先生,森元英周先生の4名の新生児医療のエキスパートが神経,発達,呼吸管理,内分泌分野の専門性を駆使して,エビデンスに基づいた実践的かつきめ細やかなポイントが記載されており,よりわかりやすい改訂となっています.周産期医療は新生児医,産科医,外科医,脳神経外科医,リハビリテーションスタッフ,助産師,看護師,薬剤師,栄養士など,様々な職種がかかわるチーム医療が必要です.本書は,新生児医のみならず,全ての新生児医療にかかわる職種の方にも利用いただける内容となっています.是非にご活用いただければ幸いです.
2022年10月
京都府立医科大学 小児科学教室 教授
京都府立医科大学附属病院 周産期診療部 部長
家原知子
改訂第7版 序文
1998年に『最新NICUマニュアル』初版が出版されてから24年が経ち,このたび改訂第7版を出版することができました.私が小児科医として働き始めた頃お世話になったのが第2版でしたので本当に歴史を感じます.京都府立医科大学附属病院周産期診療部NICUの歴代チーフの先生方をはじめ,NICUで働かれた多くの先生方が培われた診療が礎となり『最新NICUマニュアル 改訂第7版』の出版につながっています.ただただ感謝の言葉しかございません.
さて,改訂第7版のコンセプトは,今までと同様に「小児科医がNICUで診療をするための実践的な1冊」になります.もちろん新生児を専門にしている方にも役立つように,実践的な内容だけでなく少し深い内容も盛り込んでいます.今回の内容は,新生児領域のみならず他分野にも精通したメンバーで執筆しました.今回執筆にあたった4名は周産期(新生児)専門医であることはもちろんですが,私は小児神経専門医としての立場から中枢神経疾患を中心に,瑞木 匡先生は呼吸器分野での臨床研究を複数論文化している経験を活かして超早産児の管理について,森元英周先生は内分泌代謝科専門医として先天代謝異常スクリーニングや代謝疾患などについて,橋口加名栄先生はNICU診療の基本となる基本的手技を中心にまとめました.
日々の診療でなにか困ったらこの『最新NICUマニュアル』をみてもらい,医師や看護師だけでなく,赤ちゃんの助けになることができれば幸いです.さらに,このマニュアルはわれわれ京都府立医科大学附属病院のものにはなりますが,皆様の施設のやり方や考え方,今までに経験したこと,勉強したり教えてもらったりしたことをどんどん書き込んで欲しいです.もしかするとご批判もあるかもしれません.様々なご意見をいただけますとこの改訂第7版がさらにグレードアップするきっかけになると考えています.
このたび,改訂第7版の執筆の機会をいただきました診断と治療社の方々に深謝いたします.また,監修を賜りました家原知子先生をはじめ,当院NICUにかかわる関係各科の先生方,関係病院の先生方,そして今回のマニュアルを一緒に作ってくれた橋口加名栄先生,瑞木 匡先生,森元英周先生に心より厚く感謝申し上げます.
2022年10月
京都府立医科大学 小児科学教室 学内講師
京都府立医科大学附属病院 周産期診療部 副部長
長谷川龍志