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書籍詳細

代謝性ミオパチー診断と治療社 | 書籍詳細:代謝性ミオパチー
Basic mechanism, Diagnosis and Practical Approach

自治医科大学小児科教授

杉江 秀夫(すぎえひでお) 総編集

浜松医科大学小児科准教授

福田 冬季子(ふくだときこ) 分担編集

国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部部長

西野 一三(にしのいちぞう) 分担編集

久留米大学医学部小児科教授

古賀 靖敏(こがやすとし) 分担編集

初版 B5判  272頁 2014年05月30日発行

ISBN9784787820938

定価:本体7,200円+税
  

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臨床現場において筋痛,筋硬直などさまざまな筋症状からまず代謝疾患を疑ったときに,どのようにアプローチして診断につなげたらよいかがわかる.病態生理の立場から①筋型グリコーゲン代謝異常症,②筋脂質代謝異常症,③ミトコンドリア代謝異常症,④プリン代謝異常症,⑤薬剤性ミオパチー,⑥悪性高熱症,⑦運動誘発性筋硬直/筋痛,⑦ミオグロビン尿症に分けて記述.代謝マップや遺伝子変異など図表を多数使用し,ビジュアルに重きをおいた.

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目次

序文   
凡例   
執筆者一覧   
口絵   
総論 代謝性ミオパチー基本的事項
1.代謝性ミオパチーとは 杉江秀夫
2.検査
 1 一般検査 杉江陽子/杉江秀夫
 2 特殊検査
  a)筋組織化学 西野一三
  b)筋生化学検査 福田冬季子
  c)血中アシルカルニチン分析,尿有機酸分析 山口清次
  d)ミトコンドリア機能の臨床生化学的評価 古賀靖敏
  e)次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析 遠藤ゆかり/西野一三
各論Ⅰ 筋型グリコーゲン代謝異常症・Muscle glycogenoses(筋型糖原病)
1.筋型グリコーゲン代謝異常症の進歩とトピックス 杉江秀夫/杉江陽子
2.グリコーゲン代謝について 杉江秀夫/杉江陽子
3.診断の進め方 福田冬季子
4.各疾患について
 1 糖原病0型 鋤柄小百合
 2 糖原病II型(Pompe病) 福田冬季子
 3 糖原病III型(Cori病) 福田冬季子
 4 糖原病IV型(Andersen病) 南部光彦
 5 糖原病V型(McArdle病) 辻野精一
   Column「second wind 現象」 福田冬季子
 6 糖原病VII型(Tarui病) 高橋正紀/山崎知行
 7 糖原病IX型(前VIII型) 石垣景子
 8 ホスホグリセリン酸キナーゼ(phosphoglycerate kinase)欠損症 杉江秀夫/杉江陽子
 9 糖原病X型 辻野精一
 10 糖原病XI型 宮嶋裕明
 11 糖原病XII型 杉江秀夫/杉江陽子
 12 糖原病XIII型 福田冬季子
 13 糖原病XIV型 杉江秀夫/杉江陽子
 14 糖原病XV型 杉江秀夫/杉江陽子
各論Ⅱ 筋脂質代謝異常症・Lipid Myopathy
1.筋脂質代謝異常症の進歩とトピックス 西野一三
2.筋肉における脂質代謝 青山智英子/杉本博之
3.診断の進め方 西野一三
4.各疾患について
 1 カルニチンサイクル異常症
   a)CPT1(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI)欠損症 山口清次
   b)CPT2(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII)欠損症 青木淳哉
   c)PCD(一次性〈全身性〉カルニチン欠損症) 松石豊次郎
   d)CACT(カルニチン・アシルカルニチントランスロカーゼ)欠損症 山口清次
 2 β酸化異常症
   a)SCAD(短鎖アシルCoA脱水素酵素)欠損症 山口清次
   b)MCAD(中鎖アシルCoA脱水素酵素)欠損症 山口清次
   c)VLCAD(極長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ)欠損症 砂田芳秀
   d)SCHAD(短鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素)欠損症 山口清次
   e)TFP(ミトコンドリア三頭酵素)欠損症 山口清次
   f)MADD(グルタル酸尿症II型) 三橋里美/西野一三
   g)Lipin欠損症 三橋里美/西野一三
 3 中性脂質代謝異常症
   a)NLSDM 大熊 彩/西野一三
   b)NLSDI 大熊 彩/西野一三
   c)Barth症候群 須藤 章/武田充人
   d)CHKB(コリンキナーゼβ)欠損症 三橋里美
各論Ⅲ ミトコンドリア代謝異常症・Mitochondrial Diseases 
1.ミトコンドリア代謝異常症の進歩とトピックス 古賀靖敏
2.ミトコンドリアにおける代謝 古賀靖敏
3.診断の進め方  古賀靖敏
4.各疾患について
 1 ミトコンドリア代謝異常症の臨床的病型による分類
   a)MELAS 古賀靖敏
   b)MERRF 井川 正道/米田 誠
   c)慢性進行性外眼筋麻痺 中川正法
   d)Leber病 古賀靖敏
   e)MNGIE 竹下絵里/小牧宏文
   f)NARP症候群 藤井達哉
   g)Leigh症候群 内藤悦雄
   h)致死型乳児ミトコンドリア病 山崎太郎/大竹 明
   i)ミトコンドリアDNA枯渇症候群 藤井達哉
 2 ミトコンドリア呼吸鎖異常症
   a)Complex I(ミトコンドリア呼吸鎖複合体I)欠損症 村山 圭
   b)Complex II(ミトコンドリア呼吸鎖複合体II)欠損症 村山 圭
   c)Complex III(ミトコンドリア呼吸鎖複合体III)欠損症 村山 圭
   d)Complex IV(ミトコンドリア呼吸鎖複合体IV)欠損症 村山 圭
   e)Complex V(ミトコンドリア呼吸鎖複合体V)欠損症 村山 圭
 3 mtDNAの合成に影響する核の遺伝子異常
   a)DNAポリメラーゼγ異常症 後藤雄一
   b)ANT1などの遺伝子異常症 後藤雄一
各論Ⅳ プリン代謝異常症
1.AMP deaminase欠損症/筋プリン代謝異常症 樋口逸郎
各論Ⅴ 薬剤性ミオパチー(neuroleptic malignant syndrome含む)
1.薬剤による筋障害(薬剤性ミオパチー) 山下 賢
各論Ⅵ 悪性高熱症
1.悪性高熱症 右田貴子
各論Ⅶ 運動誘発性筋硬直/筋痛
1.Brody disease(Brody myopathy) 長嶋雅子/杉江秀夫
2.Familial X-linked myalgia and cramps 宮内彰彦/杉江秀夫
各論Ⅷ ミオグロビン尿症
1.横紋筋融解症/ミオグロビン尿症 杉江秀夫/杉江陽子


索引

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序文

 代謝性ミオパチーは,高CK血症,筋痛,筋硬直,横紋筋融解症や進行性の筋力低下といった筋障害を伴う先天性の疾患です.
 私が代謝性ミオパチーの研究に進むきっかけになったのは2人の患者さんによります.一人は卒後福山幸夫教授のもとで東京女子医科大学小児科で研修を始めた1年目の秋でした.患児は先天性小頭症で重度の四肢麻痺の3歳の男児で,ウイルス感染症による高熱で食事摂取ができなくなり入院していました.「いつもは体が硬いのに今日は柔らかくて抱きやすいです」と母親に言われました.おむつを替えたりすると妙に泣いたり,筋を触診すると嫌がるような反応がありました.呼吸もやや浅く,単なる脱水ではなく,全身状態は良くないなと感じました.検査をしてみると(当時は研修医が自分で検査をすることが義務づけられていました),尿が褐色で,潜血が強陽性でした.しかし奇妙なことに,尿沈渣では赤血球は1視野1~2個ぐらいしかみられないのです.当時若手が集まってなんだろうと議論しているときに,ミオグロビン尿ではないかと言う先生(Y.S先生)がいました.その後CKが10万を超えていることが判明し,横紋筋融解症と診断しました.腎不全もありましたが,内科的治療で乗り切り退院されました.もう一人をみたのは私が浜松医科大学小児科に赴任したその日でした.病棟へ行くと,原因不明の肝腎機能障害という6歳の男児がいました.近位筋の筋力低下があり,筋痛がありました.知的障害も伴っていました.CKを追加で提出しましたらやはり5万を超えていました.中枢神経障害もあり横紋筋融解症も伴うので訳がわかりませんでした.しかも全身けいれん後に起こったようで,何らかの運動誘発と考えられたからです.当時,浜松医科大学では世界で初のLDH-A欠損症を報告していましたので,中央検査部の菅野教授に指導を受けて,赤血球溶血液で解糖酵素を調べさせてもらいました.思いもかけずphosphoglycerate kinaseが正常の3%しか活性がなかったのです.文献を調べると,DiMauroらが数年前に報告していました,まさにそれでした.当時世界で3例目ではなかったかと記憶しています.これが代謝性ミオパチー,特に筋型糖原病との最初の出会いでした.
 さて,代謝性ミオパチーも最近10年間で疾患の種類,多様性,また治療について多くの進歩がありました.また次世代シークエンサー,メタボロームの解析など,新技術の登場によって,さらにこの分野でのブレークスルーが期待できます.この進歩が患者のQOLに大きく寄与できることを願っております.
 臨床現場において筋症状の様子から,基礎に“代謝異常”があるのではないか,と疑う例は比較的多くあります.それに対してどのようにアプローチし診断をしていくかはある程度専門的な知識が必要です.しかしながら現在,「代謝性ミオパチー」に特化した書籍は出版されておりません.そこで今回それに特化した参考書として本書を企画いたしました.本書は,「代謝性ミオパチー」に関する基礎知識,病態・原因,診断と治療,最新情報など成書としての要素を盛り込みつつ,臨床現場ですぐに使えるよう「At a Glance」的にアルゴリズムなどで容易に理解できるような誌面で,多くの医師(研修医から専門医まで)に手に取ってもらえるような内容を心がけました.
 この本は臨床現場で,症状,検査からどのように診断していくかをわかりやすく解説していただくように,第一人者の先生方に執筆をお願いいたしました.この本がベッドサイドで診断の一助となるように,また長く愛読していただけるように願っております.
 なお本書の企画にご協力いただいた浜松医科大学小児科 福田冬季子先生,国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部 西野一三先生,久留米大学医学部小児科 古賀靖敏先生に深く感謝いたします.また本書の企画にご支援いただいた診断と治療社 寺町多恵子様にもあわせてお礼を申し上げます.

2014年5月
 自治医科大学小児科教授 杉江秀夫