診断と治療
最新の医学情報を最高の執筆陣でお届けする内科総合雑誌のパイオニア!
|
2016年 Vol.104 No.12 2016-12-06
知っておきたい関節リウマチの診断から治療

定価:本体2,500円+税
focal point――特集のねらい/竹内 勤
◆診断
関節リウマチ分類基準の変遷/亀田秀人
関節リウマチの鑑別診断/岸本暢将
関節リウマチの診断時に行うべき検査/三森経世
関節リウマチの疫学と予後/中島亜矢子,他
◆検査・評価
関節リウマチの疾患活動性評価法/川畑仁人
血液検査の読み方/金子祐子
関節単純X線とエコーの読み方/綾野雅宏,他
日常リウマチ診療における関節エコーの活用/池田 啓
MRIの有用性/保田晋助,他
疾患活動性評価の実際と日常診療における活用法/田中栄一
◆治療の考え方と実際
treat to targetの考え方と実地診療における活用/川人 豊
NSAIDsとステロイドの使い方/川合眞一
MTXを中心とした抗リウマチ薬の使い方/鈴木康夫
生物学的製剤の使い方と今後の動向/中野和久,他
低分子化合物の現状と今後/山岡邦宏
妊娠希望女性,妊婦における治療の実際/後藤美賀子,他
臓器障害を有する症例における治療/松本 功
◆連載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
敗血症性ショックを一時離脱,その後もショックを繰り返した85歳男性/永田祐子,他
◎人気の診療科紹介
大阪府立急性期・総合医療センター関節リウマチ・バイオサポートセンター/藤原弘士
◎注目の新薬
イフェクサーSR®カプセル(ベンラファキシン)/池田真優子,他
◎臨床例
回腸憩室穿通にて回盲部切除術を施行した12歳男児の1例/寺川裕史,他
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の診断と治療は直近の5~6年間に大きな変革を遂げた.新分類基準,新たな関節画像診断モダリティ,新寛解基準,目標達成に向けた治療戦略,治療リコメンデーション・ガイドラインの改定,など枚挙に暇がない.この変革を推し進めた原動力は,薬物治療の進歩や治療評価法の進歩であり,それらを利用した豊富で質の高い臨床研究の積み重ねであった.臨床的寛解が現実的な治療目標となり,関節破壊進行の阻止,日常生活動作をほぼ正常に維持する機能的寛解を目指した治療に向けて大きく前進している.
診断は,2010年,23年ぶりに分類基準が改訂され早期診断が行ないやすくなった.そのなかで,重みを増した自己抗体と新たに取り入れられた炎症反応は,いずれも検査による客観的指標である.RAに特異性が高い抗シトルリン化ペプチド抗体(anti-citrullinated peptide antibody:ACPA)陽性と,陰性によってRAを分子分類できる可能性も指摘されている.
臨床的評価の手法はますます洗練され,疾患活動性,関節破壊の評価法の進歩も著しい.寛解をより厳密に評価できる指標としてSDAI,CDAI,Boolean基準などの新しい指標が提案された.一方,関節破壊に関しては,van der Heijde modified Sharp Score(vdH-sharpスコア)が,治験や臨床研究で使用されてきた.最近ではMR評価なども一部の治験に取り入れられている.超音波,MRや他の画像モダリティによる先進的関節破壊評価法は,これからもホットな領域として,注目を集め続けるであろう.
薬物治療に関しては,臨床的効果を最大化するための工夫,重篤感染症に対するリスク評価とマネジメント,薬剤導入タイミング,寛解と関連する要因,薬剤減量・中止の可能性など,日本から世界に向けて発信された情報は数知れない.
本特集では,診断,検査・評価,治療の三つの領域で中心的活動をされている第一線の研究者にご執筆いただき,今,関節リウマチ診療の現場で知っておくべきポイントを網羅していただいた.皆様の日常診療の一助になれば幸いである.
慶應義塾大学医学部リウマチ内科
竹内 勤