診断と治療
最新の医学情報を最高の執筆陣でお届けする内科総合雑誌のパイオニア!
|
2019年 Vol.107 No.5 2019-05-09
一般臨床医のための貧血診療 これだけ

定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
特集 一般臨床医のための貧血診療 これだけ
ねらい 岡田 定
◆貧血診療の総論
貧血診療のオリエンテーション 岡田 定
◆貧血の基本,病歴,身体所見,検査
貧血とは何か,貧血が起こるメカニズムは 齋藤 慧,他
病歴からどのように貧血を疑うか 山中克郎
貧血のフィジカル 徳田安春
貧血を疑ったとき,どのような検査をしてどの所見に注目するか 山﨑宏人
◆貧血の鑑別診断
慢性の貧血を診たときにどのように鑑別するか
①小球性貧血,②正球性貧血,③大球性貧血 岡田 定
急性の貧血を診たときにどのように鑑別するか 東 光久
◆見逃してはいけない貧血と専門医に任すべき貧血
一般臨床医が見逃してはいけない貧血とは 宮崎 仁
血液専門医に任せるべき貧血とは 森 慎一郎
◆一般臨床医が診るおもな貧血
鉄欠乏性貧血の診断と治療 竹下昌孝
潜在性鉄欠乏症の診断と治療 岡田 定
二次性貧血の診断と治療 寺村正尚
ビタミンB12欠乏性貧血の診断と治療 大西 康
溶血性貧血の診断 亀﨑豊実
輸血すべき貧血と輸血を避けるべき貧血 樋口敬和
◆教訓的な貧血例
一般臨床医に教訓的な貧血の3例 臼杵憲祐
座談会
◎新しい高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインをどう使いこなすか
連 載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
突然の心窩部痛を認めた71歳男性 懸樋英一
◎注目の新薬
プレバイミスⓇ(レテルモビル) 神田善伸
◎医療裁判の現場から
EB錠処方後に失明した症例について,失明と因果関係ある
過失は認められなかったものの,副作用についての説明義務
違反があるとされた事例 笠間哲史
ヒトの体はおよそ37兆個の細胞からなるといわれていますが,そのうち赤血球はどれくらいを占めるか,ご存じでしょうか.
赤血球数はおよそ500万/μL.体重65 kgのヒトの循環血液量はおよそ5 L.したがって全赤血球数は5×10^6×5×10^6=25兆個になります.25兆個ということは,ヒトの全細胞の実に2/3が赤血球ということになります.
貧血とはこの赤血球が少なくなった病態です.ありふれた病態であり,一般臨床医の先生方もよく遭遇されると思います.
貧血はありふれた病態ですが,貧血診療はそれほど単純ではありません.「ヘモグロビンが低い→貧血だ」だけでは貧血診療ではありません.「貧血だ→まず鉄剤だ」では時に危険な診療になります.
貧血の背景には貧血をきたす原因疾患があります.貧血の原因を突き止め,その原因疾患を治療することが貧血診療です.
本特集は,血液診療を専門にしない『一般臨床医のための貧血診療 これだけ』です.貧血はありふれた病態であっても,貧血をきたす原因疾患は多岐にわたります.一般臨床医は,この多岐にわたる疾患すべてに精通する必要はありません.
一般臨床医にとって必要なのは,日常診療で頻繁に遭遇する疾患に対する実践的な知識です.commonな貧血疾患を診ることができ,commonでない貧血疾患を専門医に紹介できる知識です.
最もcommonな疾患は鉄欠乏性貧血と二次性貧血です.次にcommonな疾患はビタミンB12欠乏性貧血と溶血性貧血です.その他の貧血をきたす疾患は比較的まれであり,専門医に任せるべき貧血です.
繰り返しますが,本特集は一般臨床医のための実践的な特集です.血液専門医のための新知見を集めた特集ではありません.そのため,執筆者には血液診療の専門医というよりも,一般診療と血液診療の両分野のエキスパートにお願いしました.
内容は,「貧血診療のオリエンテーション」「貧血の基本,病歴,身体所見,検査」「貧血の鑑別診断」「見逃してはいけない貧血と専門医に任すべき貧血」「一般臨床医が診るおもな貧血」「教訓的な貧血例」からなります.
『一般臨床医のための貧血診療 これだけ』をお読みいただければ,明日からの貧血診療は一気にレベルアップするはずです.どうぞお楽しみください.
聖路加国際病院人間ドック科・血液内科
岡田 定