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吃音?チック?読み書き障害?不器用?の子どもたちへ 保育所・幼稚園・巡回相談で役立つ“気づきと手立て”のヒント集診断と治療社 | 書籍詳細:吃音?チック?読み書き障害?不器用?の子どもたちへ 保育所・幼稚園・巡回相談で役立つ“気づきと手立て”のヒント集

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 知的・発達障害研究部 客員研究員/鳥取県立鳥取療育園 園長

稲垣 真澄(いながき ますみ) 編集

初版 A5判 並製 100頁 2020年07月31日発行

ISBN9784787824707

定価:2,420円(本体価格2,200円+税)
  

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吃音,チック,読み書き障害,不器用(発達性協調運動症)の4つの発達障害を就学前に見出し,子どもたちの支援につながる具体的な手立てとヒントが満載.それらに気づくためのチェックリスト(CLASP)とともに子どもたちへの具体的なかかわり方もわかりやすく解説.園の先生方や,巡回相談の方など,子どもたちに幅広くかかわる方々にぜひご活用いただきたい1冊.

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目次

はじめに
編集・執筆者一覧
略語一覧
イラスト説明
◉吃音(どもり)について[話し方]
◉チックについて[くせ]
◉読み書き障害について[読み書き]
◉発達性協調運動症について[運動]

子どもの様子に関する観察シート

園の先生方へ

CLASPについて
 1 全体的な説明
 2 概要と特徴
 3 付け方と結果の見方
 4 チェックの数と可能性のある状態について
 5 園でのかかわり方

1-1 話し方の4項目
 1 説明と付け方
 2 園でのかかわり方

1-2 くせの5項目
 1 説明と付け方
 2 園でのかかわり方

1-3 読み書きの5項目
 1 説明と付け方
 2 園でのかかわり方
 ・具体的な活動例

1-4 運動の5項目
 1 説明と付け方
 2 園でのかかわり方

巡回相談に携わる方へ

2-1 話し方の4項目
 1 子どもの観察ポイント
 2 保護者向け問診・相談ポイント
 3 かかわり方の助言集
 4 吃音の相談先候補リスト

2-2 くせの5項目
 1 子どもの観察ポイント
 2 保護者向け問診・相談ポイント
 3 かかわり方の助言集
 4 チックの相談先候補リスト

2-3 読み書きの5項目
 1 子どもの観察ポイント
 2 保護者向け問診・相談ポイント
 3 かかわり方の助言集
    事例A 読み書き障害の可能性があるケース
    事例B 読み書きの困難が予想されるが,背景には知的な問題が推測されるケース
 4 読み書き障害の相談先候補リスト

2-4 運動の5項目
 1 子どもの観察ポイント
 2 保護者向け問診・相談ポイント
 3 かかわり方の助言集
    事例A 粗大運動が苦手なケース
    事例B 微細運動が苦手なケース
    事例C 協応運動(姿勢の保持)が苦手なケース
 4 発達性協調運動症の相談先候補リスト

索引

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序文

 発達障害は脳の機能の発達が関係する生まれつきの障害とされます.症状の現れ方は様々ですが,一般にコミュニケーションや対人関係をつくることが苦手な特性を示します.下の図(省略)は政府広報オンラインのHPに掲載されている,発達障害って,なんだろう?のページを一部改変したものです.そのなかで,自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)は社会性の困難さや多動・衝動性が目立つことで,幼児期からわかりやすい発達障害といえるでしょう.
 一方,吃音,チック,読み書き障害や不器用は法律で発達障害に含まれているものの,その特性に早期から気づいて支援する方法が明確になっていませんでした.これらはASDやADHDに比べると「わかりにくい発達障害」といえるかもしれません.難しい言葉では,「顕在化しにくい発達障害」と表記します.そこでわたしたちは4つの発達障害(吃音,チック,読み書き障害,不器用)を就学前に見出すこと,そして早期から子どもたちの支援につながる手立てを構築するための研究を開始しました.その詳細は,厚生労働省から出されている研究報告書をご覧ください.わたしたちは続けて,4つの発達障害に気づくチェックリストの活用マニュアルも作成しました.
 本書「吃音?チック?読み書き障害?不器用?の子どもたちへ 保育所・幼稚園・巡回相談で役立つ“気づきと手立て”のヒント集」は,上記のチェックリスト(CLASP)の使い方と活用マニュアルについて平易に書き改めたものです.その名のとおり,子どもたちに幅広くかかわる方々にご活用いただける内容となっています.スクリーニングの手順や意味,注意点そして各症状をもつ子どもたちへの具体的なかかわり方が満載です.
 ぜひとも手に取っていただいてジックリと読み込んでください.いろいろな症状で困っている子どもたち,そしてどのように対応してよいか悩んでいる周りのおとなたちのために多くのヒントが得られると考えています.わたしたちは本書が子どもたちにかかわるすべての皆様にとって有用となることを祈っています.
 各項目は担当者が心を込めて執筆くださいましたが,その内容や表現に関する責務は編者であるわたしが負うべきものと考えています.忌憚のないご意見をお待ちしています.

 最後に,本書の刊行にあたって多大な尽力をいただいた診断と治療社編集部の皆様に厚くお礼申し上げます.

2020年6月

「新しい日常」に慣れた子どもたちすべてに笑顔が戻ることを願いつつ

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 知的・発達障害研究部
現 鳥取県立鳥取療育園
稲垣真澄