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臨床遺伝専門医テキスト

臨床遺伝専門医テキスト② 各論Ⅰ 臨床遺伝学生殖・周産期領域診断と治療社 | 書籍詳細:臨床遺伝専門医テキスト② 各論Ⅰ 臨床遺伝学生殖・周産期領域

臨床遺伝専門医制度委員会 監修

初版 B5判 並製 188頁 2021年11月24日発行

ISBN9784787825148

定価:5,720円(本体価格5,200円+税)
  

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日本人類遺伝学会,日本遺伝カウンセリング学会の共同運営による,臨床遺伝専門医制度委員会が監修した,臨床遺伝専門医テキストシリーズ.本シリーズは「臨床遺伝学総論」「臨床遺伝学生殖・周産期領域」「臨床遺伝学小児領域」「臨床遺伝学成人領域」「臨床遺伝学腫瘍領域」の5冊からなり,今回,第2弾の「各論Ⅰ 臨床遺伝学生殖・周産期領域」が満を持しての刊行となりました.臨床遺伝専門医を目指す医師,必読の書です.

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目次

発刊にあたって  小崎健次郎
発刊にあたって  櫻井晃洋
『臨床遺伝専門医テキスト』総編集の序  蒔田芳男
『各論Ⅰ 臨床遺伝学 生殖・周産期領域』編集の序  佐村 修/浜之上はるか
本書における用語について
執筆者一覧


Ⅰ.総論

1.生殖・周産期領域のオーバービュー
 A 生殖のオーバービュー  三春範夫
 B 周産期のオーバービュー  左合治彦
 C 女性健康医学・性分化疾患分野  平原史樹

2.生殖・周産期分野における遺伝カウンセリング
 A それぞれの分野における遺伝カウンセリング  三浦清徳

3.生殖・周産期領域における遺伝学的検査
 A 着床前遺伝学的検査  倉橋浩樹
 B 出生前遺伝学的検査  関沢明彦
  Column MPS法を用いたNIPTの原理と精度  関沢明彦
  Column 非確定的検査の選択  関沢明彦
 C 性分化分野で多用する遺伝学的検査  緒方 勤

4.治療・介入
 A 不育症ケア・生殖補助医療との連携  杉浦真弓
 B 性の概念の理解に基づく性分化疾患に関する介入  上村のぞみ

5.移行医療
 A 遺伝領域における移行医療  江川真希子

6.生殖・周産期における社会保障制度
 A 不妊助成制度・産科医療保障制度  大畑尚子


Ⅱ.各論

1.先天異常症候群
 A 胎児と染色体疾患  池田敏郎
 B 胎児と単一遺伝子疾患  室月 淳
 C 胎児と多因子疾患  濱田洋実
 D 胎児と外的要因(母子感染・薬剤・放射線)  濱田洋実
 E 先天異常モニタリング  須郷慶信

2.周産期管理と遺伝学的アプローチ
 A 異常妊娠(多胎・胞状奇胎)  岡本陽子
 B 高年女性の妊娠・周産期予後  小川昌宣
 C 妊娠中の超音波所見  篠塚憲男
 D 遺伝性疾患をもつ妊婦の管理  髙木紀美代

3.不妊・不育・性分化・内分泌疾患
 A 不育
  1 母体年齢と染色体数的異常  山中美智子
  2 均衡型相互転座・ロバートソン型転座  黒田知子
 B 男性不妊  竹下直樹
 C 卵巣機能不全  片桐由起子
 D 性分化疾患  丸山哲夫

4.遺伝学的手法
 A 出生前遺伝学的検査  山田崇弘
 B 着床前遺伝学的検査
  1 PGT-MとPGH  末岡 浩
  2 PGT-SRとPGT-A  中岡義晴

5.生殖医療の実際
 A 生殖補助医療の実際と染色体正二倍体胚獲得の工夫  遠藤俊明
 B 配偶子凍結,妊孕性温存  望月 修
  Column 第三者のかかわる生殖医療  久慈直昭

6.倫理・法的・社会的課題
 A 生殖周期遺伝医療における倫理  斎藤仲道

索 引

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序文

発刊にあたって

 臨床遺伝学は人類遺伝学の原理を診療に応用する分野です.近年のゲノム解析技術の飛躍的な進歩を受けて,難病やがんの診断に大きく貢献しています.今後は遺伝子編集技術や遺伝子治療ベクターの発展を受けて,さらに治療学分野として発展することが期待されます.数千を数える遺伝性疾患の発症時期は胎児期・新生児期から老年期にわたり,罹患臓器は全身におよび,臨床遺伝学の知識体系は既に膨大です.新規疾患の発見や多因子疾患分野での臨床応用の進展など,今後も拡大を続けることでしょう.出生前診断や着床前診断,網羅的遺伝子診断に伴う二次的所見の開示など生命倫理上の課題も増え,患者さんごとに提供すべき遺伝カウンセリングのあり方も変わってゆくと予期されます.
 全方向に発展を遂げる臨床遺伝学分野において,新しい医療の先導者となる専門医を育てるためには,基礎となる理論を提示したうえで,診療現場での理論の実践を促し,応用力の涵養を図る以外の良法はありません.本書は臨床遺伝専門医をめざす各診療科の医師に対して,学習上の明確な里程を示すことを目指して編纂されました.臨床遺伝専門医が,自身の臓器別・年齢別・性別の専門領域を問わずに共有すべき理論と知識について,各分野で診療と研究に邁進される気鋭の臨床遺伝専門医の方々に解説をいただきました.
 臨床遺伝専門医を目指される医師が,本書を手がかりとして,経験された遺伝性疾患についてOMIMやGeneReviewsなどの網羅的な知識ベースをひもとかれ,一次文献を精読され,最新の臨床遺伝学を遺伝性疾患の患者さんやご家族の診療に生かされること,さらには研究を通じて新しい知見や理論を生み出され,次世代の臨床遺伝学を切り拓かれることを願ってやみません.
 最後になりますが,本書の企画・制作に情熱を捧げられた,日本人類遺伝学会前理事長の松原洋一教授,臨床遺伝専門医制度委員会委員長・本シリーズ総編集 蒔田芳男教授,同じく総編集 櫻井晃洋教授,遺伝医学セミナー実行委員会委員長 佐村修教授をはじめとするすべての関係者の方々に感謝を申し上げたいと思います.

2021年11月

一般社団法人日本人類遺伝学会
理事長  小崎健次郎


発刊にあたって

 臨床遺伝専門医を目指す医師のための,待望のテキストが刊行されました.
 日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が共同で運営する臨床遺伝専門医制度は,日本遺伝カウンセリング学会の前身である日本臨床遺伝学会による遺伝相談認定医師カウンセラー制度と,日本人類遺伝学会による臨床遺伝学認定医制度を発展的に再構築し,21世紀のスタートと同時に2001年から制度化されたものです.20年の歴史の中でこれまでに1,500名を超える医師が臨床遺伝専門医として認定され,各方面で活躍しています.ゲノム医療の急速な発展に伴い,臨床遺伝専門医に求められる医療は領域も内容も,ますます広く深くなっています.
 これまで,わが国には臨床遺伝専門医を目指す医師のためのテキストがありませんでした.このため,両学会が主催するセミナーの資料や海外の臨床遺伝学領域の書籍などがテキストとして用いられる状況が長く続いていました.これは医学部卒前教育も同様で,もともと医学教育モデル・コア・カリキュラム(コアカリ)に臨床遺伝学領域の内容が記載されていなかったため,多くの大学では教員の熱意によってそれぞれ独自の臨床遺伝学教育が行われてきたという経緯があります.こちらは2016年度の改訂でコアカリに「遺伝医療・ゲノム医療」が追加され,これに基づいて日本人類遺伝学会による卒前教育のためのテキスト『臨床遺伝学テキストノート』が刊行されました.
 臨床遺伝専門医についても,2019年度にその到達目標が改訂されたのを機に,日本のこれからの臨床遺伝学を支える人材を育成するための基盤となる教科書刊行が計画され,このたびこの5分冊からなる『臨床遺伝専門医テキスト』を皆さまにお届けすることになりました.
 本書は,構想の段階から刊行まで,編集,執筆にあたられた日本の臨床遺伝学のリーダーである多くの先生方の並々ならぬ熱意,そして私たちの思いを共有し多くの難題に直面しつつも最後までご支援くださった株式会社 診断と治療社の方々の熱意の賜物です.本書の制作にかかわってくださったすべての方々に心から御礼申し上げます.
 本書が,臨床遺伝学を学ぶ意欲ある方々の必携の書としてお役に立つことを願っています.

2021年11月

一般社団法人日本遺伝カウンセリング学会
理事長  櫻井晃洋


『臨床遺伝専門医テキスト』総編集の序

 ここに,日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会員自らが執筆した『臨床遺伝専門医テキスト』をお届けします.
 日本における医学生向け遺伝学教科書の金字塔である『医科遺伝学』(南江堂,1991年)の序文には,1979年にアメリカ人類学会誌の編者であるD. Comingsが,遺伝子研究開始以後の遺伝学に対して命名した造語である“New Genetics”が引用され「遺伝子診断,遺伝子治療などの先端技術が医療の中でどう扱われるべきか,その倫理面の検討が問題にされつつある」と記載されています.『医科遺伝学』から30年を経て,私たち医師は,この“New Genetics”を現実の医療の中で実際に扱う局面に立たされていると言えます.
 日本人類遺伝学会では,すべての医師が,“New Genetics”の担い手としての臨床遺伝学を習得すべきであると考え2013年に「医学部卒前遺伝医学教育モデルカリキュラム」を共同で作成し公開しました.この内容は,平成28年(2016)改訂「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に取り込まれることになり,2018年に『コアカリ準拠 臨床遺伝学テキストノート』(診断と治療社)の発刊に繋がっています.
 しかしながら,実際の“New Genetics”の担い手へのテキストは,「翻訳物が多い」「日本の実態にそぐわない」などの状態が続いており,日本の臨床遺伝専門医になるための必須の知識の整理を求める機運が高まってきました.折しも2019年に臨床遺伝専門医到達目標が全面的に改定され行動目標となったタイミングで,この『臨床遺伝専門医テキストシリーズ』が企画されることになったわけです.本書は,日本での臨床遺伝学の実践に関わる4つの領域(生殖・周産期,小児,成人,腫瘍)の別冊と総論の5冊で構成されています.臨床の現場と直結する内容を領域別の分冊とした理由は,時代とともに順次改訂され,常にアップデートな内容を維持するためです.今後のアップデートにも期待いただきたいと思います.
 編集者と執筆者は,臨床遺伝専門医制度における専攻医のみなさんが,このテキストを用いることで,日本における臨床遺伝学の実践を肌で感じることができると信じています.専攻医が,研修を始め専門医取得に至るステップについては,臨床遺伝専門医制度委員会HP(http://www.jbmg.jp/examinee/index.html)「臨床遺伝専門医を目指す方へ」をご覧いただきたいと思います.
 本書の構想から実現には,(株)診断と治療社の編集者の方々(堀江康弘/柿澤美帆/川口晃太朗/前原宏美/小林雅子/吉田洋志/坂上昭子/土橋幸代)に継続的でかつ多大な援助をいただきました.また,両学会の関係者のみなさまや,5分冊の編集を担当していただいた先生方の力添えがあってこそ,この本を世に問うことができたと思っております.合わせて感謝申し上げます.

2021年11月

臨床遺伝専門医制度委員会
委員長  蒔田芳男


『各論Ⅰ 臨床遺伝学 生殖・周産期領域』編集の序

 臨床遺伝専門医制度が2001年に発足してから早いもので20年になります.この間に多くの臨床遺伝専門医が認定され,1,500名を超える多数の臨床遺伝専門医が,わが国の臨床遺伝,遺伝学的研究,遺伝教育など多分野で活躍しています.臨床遺伝専門医を取得するための研修には日本人類遺伝学会や日本遺伝カウンセリング学会に入会し,日本専門医機構が定める基本領域学会専門医または制度委員会が認める専門医(認定医)資格を取得して研修開始届を出す必要があります.その後に臨床遺伝専門医制度委員会が定める所定の研修を積んで3年後に専門医認定試験を受けていただくことになります.この臨床遺伝専門医の研修で,専門医としての知識・技能・態度を身につける必要があります.その中で,知識の研修としては両学会の主催するセミナーの講義を聴講することや各種教科書での自習で身につけることになります.
 しかし,これまではこの臨床遺伝専門医制度の到達目標に準拠した教科書というものはありませんでした.臨床遺伝専門医制度の到達目標が2019年に全面的に改定され行動目標となったことを契機に,この「臨床遺伝専門医テキストシリーズ」が企画され,2021年7月に「①臨床遺伝学総論」が発刊されました.それに引き続き生殖・周産期領域のテキストを発行することになりました.
生殖・周産期領域においても,出生前遺伝学的検査でマイクロアレイが利用されるようになり,また,胎児の繰り返す形態異常などでは次世代シークエンサーを用いた全エクソーム解析や全ゲノム解析が行われるようになっています.さらに,次世代シークエンサーの技術を応用し,母体血胎児染色体検査(NIPT)が,2011 年に米国で開始され,世界では,すでに年間1,000万件を超える検査が実施されていると推定されるなど,急速に利用が拡大しています.また,生殖医療の分野でもPGT-A,PGT-SR,PGT-Mといった着床前遺伝学的検査が世界的には広く行われてきており,わが国でも臨床研究が開始されています.これらのことからわかるように,この領域は昔からそして現在に至るまで遺伝医療と深く関連しています.
 このような状況のなかで遺伝医療に従事する医療者が知っておくべき知識を整理すること,また,そのことを実際に遺伝カウンセリングの中で活用していただく目的で本書は作成されています.わが国の選りすぐりの生殖・周産期領域における臨床遺伝専門医に執筆をお願いしております.
 本書制作中に,生殖・周産期遺伝医療における倫理という大変重要な項目をご執筆いただいた斎藤仲道先生の訃報に接しました.斎藤仲道先生は日本の生殖・周産期遺伝医療を長年にわたり牽引され,この分野の発展に尽くされました.心よりご冥福をお祈りいたしますとともに,本書がより多くの読者の方にお役立ていただけることを願っております.

2021年11月

『各論Ⅰ 臨床遺伝学 生殖・周産期領域』責任編集    佐村 修
編集    浜之上はるか