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小児科ですぐに戦えるホコとタテ診断と治療社 | 書籍詳細:小児科ですぐに戦えるホコとタテ
小児科では・・コモンなディジーズの診かた

兵庫県立丹波医療センター小児科

岡本 光宏(おかもと みつひろ) 著

初版 B6変型 並製 568頁 2022年04月21日発行

ISBN9784787825407

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定価:5,390円(本体価格4,900円+税)
  

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著者が,自身の経験から得た知識をあますところなく盛り込んだ,「コモンなディジーズに自信をもって対応できる,実践的な小児科マニュアル」.
全ての小児科レジデントに送る入魂の一冊です!

「ガイドラインの選択・組み合わせは,非常に複雑でむずかしい.」
「【型】であるガイドラインを臨床現場にうまく持ち込むコツは,逆説的であるのだが,ちょっと【型くずし】することにある.」
「これは,ガイドラインを遵守するための【型くずし】である.」

「ガイドライン(型)」という名の硬いタテと,その型を突きくずす「現場のライブ感」という名のホコを携えて,あなたも小児科ですぐに戦える!

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目次

序文
本書の使い方
本書の注意点
Part A 体系的アプローチ
1 第一印象
2 一次評価
3 二次評価

Part B 症候学
1 発 熱
2 咳嗽・鼻汁
3 喘 鳴
4 下痢・腹痛・嘔吐
5 血 便
6 けいれん重積
7 胸 痛
8 徐 脈
9 頻 脈
10 不整脈
11 失 神
12 頭 痛
13 血尿・蛋白尿
14 発 疹

Part C 各論
(以下★は症例要約のサンプルあり〈タイトル横のQRコードから閲覧可能〉.区分は小児科専門医試験指定疾患リストと対応している)
①呼吸器
1 ウイルス性上気道炎
2 中耳炎
3 副鼻腔炎
4 気管支炎
5 ★肺炎 区分6
6 ★細気管支炎 区分6
7 ★クループ症候群 区分6
8 急性喉頭蓋炎

②感染症 
1 溶連菌感染症
2 アデノウイルス感染症
3 インフルエンザ
4 RSウイルス感染症
5 ヒトメタニューモウイルス感染症
6 手足口病・ヘルパンギーナ
7 ★ノロウイルス胃腸炎 区分4
8 ★ロタウイルス胃腸炎 区分4
9 突発性発疹
10 伝染性単核症
11 マイコプラズマ感染症
12 単純ヘルペスウイルス感染症
13 おたふくかぜ
14 水 痘
15 伝染性紅斑
16 百日咳
17 伝染性膿痂疹
18 蜂窩織炎・丹毒
19 肛門周囲膿瘍
20 化膿性リンパ節炎
21 眼窩隔膜前蜂窩織炎・眼窩蜂窩織炎
22 敗血症

③消化器 
1 ウイルス性胃腸炎 区分4
2 ★細菌性腸炎 区分4
3 ★急性虫垂炎 区分2
4 ★腸重積症 区分2
5 アセトン血性嘔吐症
6 ★周期性嘔吐症 区分2
7 ★肥厚性幽門狭窄症 区分2
8 過敏性腸症候群 区分10
9 便秘症

④循環器・血管炎
1 心筋炎 区分7
2 ★起立性調節障害 区分7
3 ★川崎病 区分4
4 ★IgA血管炎 区分4

⑤神経
1 無菌性髄膜炎
2 細菌性髄膜炎
3 ★熱性けいれん 区分10
4 憤怒けいれん 区分10
5 ★脳炎・脳症 区分10
6 ★胃腸炎関連けいれん 区分10
7 ★てんかん 区分10
8 ギラン・バレー症候群 区分10
9 ★片頭痛 区分10
10 緊張型頭痛

⑥腎・尿路系
1 ★尿路感染症 区分9
2 ★水腎症 区分9
3 ★膀胱尿管逆流現象 区分9
4 ★溶連菌感染後急性糸球体腎炎 区分9
5 ★ネフローゼ症候群 区分9
6 ★溶血性尿毒症症候群 区分9
7 尿道下裂 区分9
8 停留精巣
9 精巣捻転 区分9
10 夜尿症

⑦代謝・内分泌
1 糖尿病性ケトアシドーシス
2 ★糖尿病 区分2
3 ★成長ホルモン分泌不全性低身長 区分3
4 ★SGA性低身長 区分3
5 ★特発性低身長 区分3
6 ★クレチン症 区分3
7 早発乳房 区分3
8 ★思春期早発症 区分3
9 ★肥満症 区分3

⑧血液
1 ★好中球減少症 区分8
2 ★免疫性血小板減少症 区分8
3 鉄欠乏性貧血 区分8

⑨アレルギー
1 ★アナフィラキシー 区分6
2 ★食物アレルギー 区分6
3 ★気管支喘息 区分6
4 気管支喘息の急性増悪
5 喘息性気管支炎
6 乳児脂漏性皮膚炎
7 ★アトピー性皮膚炎 区分6
8 多形紅斑
9 蕁麻疹
10 ★アレルギー性鼻炎 区分6

⑩自己炎症性症候群・膠原病
1 周期性・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎症候群(PFAPA)
2 全身性エリテマトーデス 区分4
⑪外因
1 熱 傷
2 頭部打撲
3 異物誤飲
4 熱中症
5 緊張性気胸

 コラム
「いきなり各論スタート」してませんか
電話での受診相談

索引
著者profile

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序文

序 文

 よい時代になったと思う.咳には「小児の咳嗽診療ガイドライン2020(日本小児呼吸器学会)」がある.血尿には「血尿診断ガイドライン2013(日本腎臓学会,他)」があり,けいれんには「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会)」や「小児けいれん重積治療ガイドライン2017(日本小児神経学会)」がある.現在の医療はガイドラインで溢れており,これらはスマートフォン1つでどこからでも閲覧することができる.Mindsによるガイドラインのガイドラインも整備され,ガイドラインは読みやすく,わかりやすくなった.本当に便利な時代だ.
 しかし,われわれ小児科医は,これらのガイドラインをうまく使いこなせているのだろうか.たとえば,咳と呼吸苦で受診した6歳児を想定してみよう.「小児の咳嗽診療ガイドライン2020」で対応すると,「救急医療の必要な咳嗽フローチャート」に沿って診療を進めることになる.日本蘇生協議会またはアメリカ心臓協会の「蘇生ガイドライン」に準じた「小児二次救命処置(pediatric advanced life support: PALS)」で対応すると,第一印象から児の状態が不安定であることを見抜き,ABCDEを評価しつつ速やかに酸素投与することになる.どちらをどのタイミングで使うか,迷うかもしれない.そして,いずれのガイドラインを使ったにせよ,状態が安定すれば「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017(日本小児呼吸器学会,他)」や「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020(日本小児アレルギー学会)」などに引き継ぐことになり,結局1つのガイドラインだけで診療は完結しない.このように,実際の診療では適用可能な複数のガイドラインを取捨選択し,うまく組み合わせて,滞りのない診療を形づくらなければならない.とはいえ,ガイドラインの選択・組み合わせは,非常に複雑でむずかしい.ガイドラインには具体例が記載されておらず,また実際の診療の流れも書かれていないからだ.さらには,ガイドラインに忠実に従うと,実際の現場では非効率な動きになってしまう場面もある.結果的にガイドラインを使えていない医師は多い.ガイドラインが使えないと,その診療はどこか自信のないものになる.
 そういう背景もあって,「コモンなディジーズに自信をもって対応できる,実践的な小児科マニュアルをつくりたい」と筆者は考えた.筆者は小児科医となって11年になるが,小児科専門医プログラムの「基幹病院」で働いたことがない.「連携施設」とも「二次救急医療機関」ともよばれる,比較的規模が小さい病院でずっと働き続けている.コモンなディジーズをバリバリとこなすのが筆者の仕事である.コモンなディジーズというのはなかなか奥深い.風邪の診断に自信をもてないのも,風邪の診断を過信してしまうのも,どちらも問題である.当然だが,コモンは風邪だけではない.適度な自信をもってコモンに向き合うには,ガイドラインを「型」とした型通りの診療をすることである.診療に「型」が備われば,自信は自然と湧く.つまり「実践的なマニュアル」とは,「ガイドラインを実際の医療現場に持ち込む方法」と同じことである.「型」であるガイドラインを臨床現場にうまく持ち込むコツは,逆説的であるのだが,ちょっと「型くずし」することにある.だが,「型くずし」にはガイドラインに対する深い理解と,現場の流れを見通す経験とが必要になる.ガイドラインを読みながら,コモンばかりを見続けてきた筆者の経験が,「型くずし」のコツとして役立つように思ったのだ.
 「型くずし」をアドバイスできれば,「型」を現場に導入しやすくなり,結果的に型通りの(つまりガイドラインに準じた)診療ができるようになる.そう考えて,本書には「型くずし」のアドバイスを散りばめた.これは,ガイドラインを遵守するための「型くずし」である.当然だが,くずさなくていい状況では型通りに実践することが大切である.さらには,できるだけ実践的なマニュアルとなるように,小児科外来の基本的な姿勢から,症候学,各論までできるだけ広く書き尽くした.どうせなら,小児科専門医試験の症例要約にも使えるといい.多くの若手小児科医の最初の目標は,専門医になることだからだ.このマニュアル通りに診療し,それがそのまま症例要約に使えるのであれば,これほど実践的なことはないだろうと思ったのだ.あふれる気持ちがページ数からあふれてしまい,「続きはwebで」のようなスタイルにならざるをえなかった.
 小児科専門医試験の「症例要約・指定疾患リスト」には10の区分と,約200の疾患がリストアップされている.小児科医が扱う多岐多様な疾患を前にして,あらためて思う.「小児科医は総合医である」と.この約200疾患のうち,筆者が経験したのは半分くらいだ.一応,認定小児科指導医をもっているにもかかわらず,筆者はまだ小児科のすべてを知らない.むしろ「岡本はコモンしか知らない」と謗られそうだ.それでも,筆者はコモンばかりをずっと診てきたという自負がある.「コモンなんて勉強しなくても大丈夫,コモンなんてガイドラインがなくても簡単だ」という謎の安心感に対して,筆者は全力で否定する.ガイドラインを知ったうえで逸脱するのは医師の裁量だが,ガイドラインを知らずに逸脱しているのはただの無知である.「型」を知らないのに「くずす」のは,破天荒ではなく野放図である.本書の読者は,この本でコモンに対する正しい自信を身につけ,ゆくゆくは「コモンしか知らない」筆者のことをおおいに罵倒していただきたい.

令和4年3月
兵庫県立丹波医療センター小児科医長
岡本 光宏