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小児免疫性血小板減少症診療ガイドライン 2022年版診断と治療社 | 書籍詳細:小児免疫性血小板減少症診療ガイドライン 2022年版

日本小児血液・がん学会 監修

初版 B5判 並製ソフトカバー 2色刷 112頁 2022年06月30日発行

ISBN9784787825544

定価:4,950円(本体価格4,500円+税)
  

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日本小児血液・がん学会による公式ガイドライン.出生直後から成人までに血小板のみの減少から出血症状を呈する疾患は,造血器腫瘍,感染に伴うもの,遺伝性疾患まで実に様々である.本ガイドラインは,小児と成人における免疫性血小板減少症の病態と治療の相違点を明確に示し,正しい診断と適切な治療法の選択ができるよう記載されている.専門医のみならず,小児科や一般内科の現場で活用しやすい包括的かつ実践的な1冊.

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目次

緒言
序文
作成組織
本ガイドラインの作成について
ガイドラインサマリー
小児ITPの診療フローチャート
略語一覧

Chapter 1 小児免疫性血小板減少症診療ガイドライン2022年版
Ⅰ 総説 免疫性血小板減少症(ITP)とは?

Ⅱ CQ1 小児ITP患者の治療方針の決定に必要な分類と検査および治療介入の目安は?
 CQ1.1 血小板減少症の定義および用語・分類は?
 CQ1.2 治療方針の決定に必要な検査は?
 CQ1.3 重症度をどのように評価するか?
 CQ1.4 患者および家族の健康に関連した生活の質(HRQoL)評価を治療方針に反映すべきか?
 CQ1.5 治療介入の目安は?

Ⅲ CQ2 小児ITP患者に対するファーストラインの治療は?
 CQ2.1 新規診断ITP患者に副腎皮質ステロイド治療を行うか?
 CQ2.2 新規診断ITP患者に免疫グロブリン静注療法(IVIG)を行うか?
 CQ2.3 新規診断ITP患者に副腎皮質ステロイド治療と免疫グロブリン静注療法(IVIG)のどちらを選ぶか?
 CQ2.4 新規診断ITP患者に対するファーストラインの治療として,トロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RA)またはリツキシマブを使うか?
 CQ2.5 新規診断ITP患者に対して,副腎皮質ステロイド治療や免疫グロブリン静注療法(IVIG)以外に配慮すべきことがあるか?
 CQ2.6 乳児の新規診断ITP患者のファーストラインの治療は?
 CQ2.7 無治療経過観察中の持続性および慢性ITP患者が急性増悪した場合や再発(再帰)性ITP患者の治療は?

Ⅳ CQ3 小児ITP患者に対するセカンドラインの治療は?
 CQ3.1 セカンドラインの治療としてトロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RA)を投与するか?
 CQ3.2 セカンドラインの治療としてリツキシマブを投与するか?
 CQ3.3 セカンドラインの治療として脾臓摘出術(脾摘)を行うか?
 CQ3.4 セカンドラインの治療のなかで何が優先されるか?
 CQ3.5 エルトロンボパグとロミプロスチムのどちらを優先すべきか?

Ⅴ CQ4 ワクチンおよびヘリコバクター・ピロリ感染に関連したITP
 CQ4.1 ワクチン接種に関連したITPの特徴は?
 CQ4.2 小児の慢性ITP患者におけるヘリコバクター・ピロリの検査と除菌は?

Ⅵ CQ5 脾臓摘出術(脾摘)後の有効な感染管理は?
 CQ5.1 脾摘を行う場合のワクチン接種は?
 CQ5.2 脾摘後の予防的抗菌薬投与は?

Ⅶ CQ6 副腎皮質ステロイドやリツキシマブを投与した場合に推奨されるワクチン接種の方法は?
 CQ6.1 副腎皮質ステロイド治療中の小児に対する不活化ワクチン接種は有用か?
 CQ6.2 副腎皮質ステロイド治療中の小児に対する生ワクチン接種は有用か?
 CQ6.3 リツキシマブ投与後の小児に対するワクチン接種は有用か?

Ⅷ CQ7 ITP合併妊婦から出生した新生児の管理は?
 CQ7.1 ITP合併妊婦から出生した新生児の検査は?
 CQ7.2 ITP合併妊婦から出生した新生児の治療は?

Ⅸ CQ8 緊急時の治療は?
 CQ8.1 緊急時の治療として免疫グロブリン静注療法(IVIG)は有用か?
 CQ8.2 緊急時の治療として副腎皮質ステロイド治療は有用か?
 CQ8.3 緊急時の治療として血小板輸血は有用か?
 CQ8.4 緊急時の治療としてトロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RA)は有用か?
 CQ8.5 緊急時の治療として脾臓摘出術(脾摘)は有用か?

Ⅹ CQ9 小児ITP患者の生活管理上の注意点は?
 CQ9.1 ITP患者において,運動制限は必要か?
 CQ9.2 ITP患者において,出血リスクが高いスポーツへの参加は可能か?
 CQ9.3 ITP患者において,出血リスクが中間のスポーツへの参加は可能か?
 CQ9.4 ITP患者において,出血リスクが低いスポーツへの参加は可能か? 
 CQ9.5 思春期のITP患者における月経の出血頻度や出血量のコントロールに,ホルモン療法は有効か?
 CQ9.6 思春期のITP患者における月経の出血頻度や出血量のコントロールに,抗線溶薬の投与は有効か?
 CQ9.7 思春期のITP患者における月経過多では,鉄剤の補充が有効か?

ⅩⅠ CQ10 小児ITP患者に対するサードライン以降の治療は?
 CQ10 小児ITPのサードライン以降で推奨される治療は?

Chapter 2 システマティックレビュー(SR)ダイジェスト
文献検索式:CQ2 小児ITP患者に対するファーストラインの治療は?
文献検索式:CQ3 小児ITP患者に対するセカンドラインの治療は?
付録 小児難治性ITP治療ガイド2019
和文索引
欧文-数字索引

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序文

緒 言

日本小児血液・がん学会監修による『小児免疫性血小板減少症診療ガイドライン2022 年版』をお届けいたします.このガイドラインは,本学会の前身となる日本小児血液学会のITP 委員会が2004 年に作成した「小児特発性血小板減少性紫斑病-診断・治療・管理ガイドライン-」が原点となります.その後,ITP の病態解明の進歩に基づく疾患概念の変遷と新規治療法の開発が進んだため,付録の「小児難治性ITP 治療ガイド2019」とともに現場で活用しやすい包括的かつ実践的なガイドラインの登場が待たれていました.今回,小児血液領域のエキスパートが協力して,原版を作成し,日本小児血液・がん学会の診療ガイドライン委員会による審査,パブリックコメントの募集と修正,そして承認を経て出版に至りました.多くの先生方のご尽力に御礼申し上げます.
本ガイドラインは小児ITP の特徴を理解し,正しい診断と適切な治療法の選択ができるよう細やかに配慮されています.小児と成人におけるITP の病態と治療の相違点が明確に記載されているのが特色です.一方で,出生直後から成人までに血小板のみの減少から出血症状を発症する疾患には,白血病などの造血器腫瘍だけでなく,感染に伴うものから遺伝性疾患まで実にさまざまであり,これらの除外が必須です.近年,保険収載される遺伝子検査も増えてきました.このガイドラインとともに日本小児血液・がん学会の血小板委員会が執筆した総説「先天性血小板減少症・異常症の診療ガイド」(日本小児血液・がん学会雑誌. 第58巻第3 号: 253-262, 2021)も合わせてご利用いただければ,皆様の日常診療のお役に立てることと存じます.
最後になりますが,本ガイドラインの作成に中心的役割を担われました国立成育医療研究センターの石黒 精先生をはじめ,執筆に携わられた先生方に深謝いたします.多くの医療従事者が,本書を活用することによって,患児とそのご家族の生活の質がさらに向上することを期待してやみません.

2022 年5 月吉日
一般社団法人 日本小児血液・がん学会
理事長 大賀正一
(九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野)


序 文

この度,『小児免疫性血小板減少症診療ガイドライン2022年版』を作成しました.免疫性血小板減少症(ITP)の診療には,血液疾患を専門としない方も携わると思われます.そのような方にも役立つことを願って,日本小児血液・がん学会血小板委員会の叡智を結集して本ガイドラインを編みました.ITPにかかわる医療者の知識がアップデートされ,ITP患者さんやその家族に少しでも貢献できることを願ってやみません.
2004年に日本小児血液学会ITP委員会から上梓された「小児特発性血小板減少性紫斑病-診断・治療・管理ガイドライン-」は,広く参照されて治療の標準化に貢献しました.それから20年近く経ち,学問の進歩に合わせて刷新が必要になりました.そもそも病名からして,特発性血小板減少性紫斑病から免疫性血小板減少症に変わりました.もちろん英語の略称はITPのままです.またITPの病型も小児慢性特定疾病で用いられている「急性」と「慢性」という区分から変わって,「新規診断」,「持続性」および「慢性」に分類されるようになってきました.
主要な治療目標にも変化がみられます.従来は血小板数によって治療介入を決めていましたが,出血症状に応じて治療介入を決める方針へと転換が起きました.主要な治療目標は,重症出血の防止と中等症出血の減少,健康に関連した生活の質の最適化,治療薬物による副作用の最小化となりました.新たに発売された治療薬物の評価を明らかにすることも必要になり,先のガイドラインの不足を補うために「小児難治性ITP治療ガイド2019」をすでに出しました.同ガイドを本書の付録として収めてあります.
成人のITPと小児のITP には大きな違いがあり,成人向けとは別に小児用のガイドラインは必須です.具体的な違いとして,成人では多くが慢性化するのに対し,小児のITPは6か月~1年以内に自然寛解する例が多く,慢性化するのは約25%に過ぎません.また女性に多い成人に対して,小児では男児に多く見受けられます.「成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド2019改訂版」に記載された治療目標は「重篤な出血を予防しうる血小板数(通常,3万/μL 以上)に維持すること」とされています.一方,本ガイドラインでは,血小板数ではなく,出血症状に応じて治療介入する点が対照的です.診療の最初にピロリ菌感染の有無について検討し,ピロリ菌陽性例は除菌する点も,ピロリ菌陽性例が少ない小児とは異なります.なおファーストライン治療も,成人では副腎皮質ステロイド治療だけが選ばれているのに対し,本ガイドラインでは副腎皮質ステロイド治療と免疫グロブリン静注療法を併記しています.
本ガイドラインは,編集委員に加えて,査読委員および系統的レビュー担当者など多くの方のお陰でようやく完成しました.また,パブリックコメントに応じて意見を頂いた方々にも感謝いたします.皆さん本当にありがとうございました.

2022年5月吉日
編集委員を代表して
石黒 精
(国立成育医療研究センター 教育研修センター・血液内科)