産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2019年 Vol.86 No.9 2019-08-20
エキスパートに聞く 産婦人科超音波ABC

定価:3,080円(本体価格2,800円+税)
企画 田中 守
1.超音波診断装置の基礎 / 中田雅彦・他
2.生殖医療 / 田村博史・他
3.婦人科腫瘍―卵巣腫瘍診断における超音波検査の活用 / 野村弘行・他
4.妊娠初期のスクリーニング / 中村 靖
5.多胎妊娠 / 村越 毅
6.妊娠中期の簡易スクリーニング / 谷垣伸治・他
7.胎児心疾患 / 山本祐華
8.胎児形態異常 / 宮越 敬
9.胎児発育と胎児発育不全評価 / 市塚清健・他
10.胎児血流計測 / 高橋雄一郎
11.胎盤・臍帯・羊水 / 長谷川潤一・他
12.頸管長 / 大槻克文
13.産科救急 / 田中宏和
14.分娩管理 / 田中宏和
15.超音波診断装置の新技術・今後の展望 / 松岡 隆
連載
働き方改革がはじまる! 第1回
医師の働き方改革のポイントと産婦人科医療供給体制の現状 / 中井章人
医療裁判の現場から 第16回
帝王切開術後4日目に他院へ転送されるも肺血栓塞栓症により死亡した患者につき,医師に術後深部静脈血栓症を疑い,必要な措置を怠った過失と結果との間の因果関係が認められた事例 / 山田隆史
若手の最新研究紹介コーナー
生殖可能年齢にある自己免疫性疾患罹患女性の診療における現状と課題 / 津田さやか
来たれ! 私たちの産婦人科 第33回
東京医科大学 産科婦人科学分野 / 西 洋孝
症例
腹腔鏡下子宮全摘術後に卵巣腫瘍茎捻転を生じた1例 / 中島伶奈・他
神経線維腫症1型に合併した外陰部悪性末梢神経鞘腫瘍の1例 / 加地崇裕・他
1960年に世界ではじめて超音波診断装置が,当時のアロカ社によって発売され,X線を使用しない画期的な診断装置として衝撃を与えた.その当時はAモード法といわれるプローブを動かすことによって画像化するものであり,潜水艦のソナーの応用製品であった.それ以降,Bモード法,Mモード法,電子セクターBモード法,ドプラ法と次々に新しい超音波診断技術が開発され,近年では,デジタル信号処理および画像処理プロセッサ技術の向上により,以前ではみえなかったものも観察できるようになってきた.とくに基本的に被曝を考慮するためX線を使用しない産科領域においては必要不可欠な診断装置となってきている.そのような超音波診断装置は,わが国の産婦人科医療にとって切っても切れない存在であり,多くの施設で内診台に一台は設置されている診療機器である.
海外では,ISUOG (International Society of Ultrasound in Obstetrics and Gynecology)という学会が存在し,学会先導で産婦人科領域における超音波診断,治療について様々な研究および教育プログラムを展開し,多くの参加者を集めている.非常にポピュラーなるがゆえにわが国においては,残念ながらISUOGの受け皿となる学会は存在せず,以前より日本母体胎児医学会が産婦人科教育セミナーを開催している.そこで本特集号では過去に日本母体胎児医学会で教育セミナーを担当した経験を有する,各領域でも全国的に高名なエキスパートに解説をお願いした.超音波診断装置の基礎から最新技術まで幅広く網羅し,専攻医からベテランの産婦人科医にとって,この1冊を読めば産婦人科領域の超音波検査最新事情が理解できる必携の特集号となることを願っている.
(慶應義塾大学医学部産婦人科 田中 守)