小児科診療
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連載「Photo Quiz」ではビジュアルに画像診断のポイントを解説.
2017年 Vol.80 No.増刊号 2017-04-05
小児科ケースカンファレンス

定価:8,250円(本体価格7,500円+税)
序 文 /山岸敬幸
Ⅰ 遺伝,先天奇形,染色体異常
常染色体異常(Down症候群) /竹中 暁
性染色体異常(Turner症候群) /小川英伸
常染色体優性遺伝疾患(Marfan症候群) /古谷憲孝
常染色体劣性遺伝疾患(Cockayne症候群) /太田さやか・他
X連鎖劣性遺伝疾患(Aarskog症候群) /清水健司
多因子遺伝病(口唇口蓋裂) /髙野亨子
環境因子などによる奇形(先天性サイトメガロウイルス感染症) /土田晋也
トリプレットリピート病(筋強直性ジストロフィー) /竹下絵里
染色体微細構造異常による疾患(Prader-Willi症候群) /齋藤伸治
Ⅱ 栄養障害,代謝性疾患,消化器疾患
糖尿病 /鈴木潤一・他
肥満,脂質代謝異常,脂肪肝 /原 光彦
微量元素欠乏症(亜鉛欠乏症) /児玉浩子・他
周期性嘔吐症 /石崎優子
肥厚性幽門狭窄症 /永田 智
Crohn病 /清水泰岳・他
急性虫垂炎 /山口隆介・他
腸重積症,Meckel憩室 /渡邉佳子・他
肝炎・膵炎(シトリン欠損症) /乾 あやの
胆道拡張症 /浦尾正彦・他
Ⅲ 先天代謝異常,内分泌疾患
先天代謝異常症(ミトコンドリア病) /三牧正和
成長ホルモン分泌不全性低身長症 /都 研一
甲状腺機能低下症 /長崎啓祐
先天性副腎過形成症(21水酸化酵素欠損症) /天野直子
混合性性腺異形成症 /水野晴夫
尿崩症 /伊藤純子
二次性肥満(Cushing症候群) /田久保憲行
カルシウム,リン代謝異常(常染色体優性低カルシウム血症) /原田大輔・他
Ⅳ 免疫異常,膠原病,リウマチ疾患,感染症
血管炎症候群(Henoch-Schönlein紫斑病〈IgA血管炎〉) /稲毛康司
リウマチ熱 /藤川 敏
若年性特発性関節炎(全身型) /原 拓麿
全身性エリテマトーデス /宮前多佳子
細菌性腸炎,ウイルス性胃腸炎(ロタウイルス性胃腸炎) /川村尚久
重症複合免疫不全症 /金兼弘和・他
Wiskott-Aldrich症候群 /今井耕輔
毛細血管拡張性小脳失調症 /近藤直実
慢性肉芽腫症 /柳町昌克
若年性皮膚筋炎 /岸 崇之
Ⅴ 新生児疾患
敗血症,髄膜炎 /大城 誠
呼吸窮迫症候群 /戸津五月
新生児仮死 /岩田欧介・他
新生児けいれん(新生児発作) /早川昌弘
多血症 /浅沼秀臣
新生児血小板減少症 /西久保敏也
新生児黄疸 /吉川香代・他
低出生体重児(超低出生体重児) /谷口英俊
Ⅵ 呼吸器,アレルギー
気管支喘息 /佐藤一樹
喉頭軟化症 /長谷川久弥
細気管支炎,クループ症候群 /星野 直
空気漏出症候群(気胸) /宮川知士
気道異物 /樋口昌孝
感染性肺炎 /菱木はるか
アナフィラキシー /清水麻由・他
新生児・乳児消化管アレルギー /溜 雅人・他
アトピー性皮膚炎 /千葉友幸
薬剤アレルギー /高橋亨平・他
アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎(花粉症) /小林茂俊
Ⅶ 循環器疾患
チアノーゼ性先天性心疾患(完全大血管転位) /安原 潤・他
非チアノーゼ性先天性心疾患(大動脈縮窄症) /武田充人
肺高血圧症 /柴田映道
心不全(先天性孤立性僧帽弁閉鎖不全症) /村上智明
心筋症 /平田陽一郎
感染性心内膜炎 /小野 博
不整脈(発作性頻拍症) /芳本 潤
川崎病の心血管障害 /野村裕一・他
高血圧 /藤原優子
Ⅷ 血液,腫瘍
白血病 /康 勝好
リンパ腫 /森 鉄也
好中球減少症 /土居岳彦・他
血友病 /武山雅博
播種性血管内凝固症候群(DIC) /朝倉英策・他
免疫性血小板減少性紫斑病 /中舘尚也
固形腫瘍(神経芽腫) /文野誠久・他
再生不良性貧血 /濱田太立・他
Ⅸ 腎・泌尿器疾患,生殖器疾患
ステロイド反応性(感受性)ネフローゼ症候群 /敦賀和志
溶連菌感染後急性糸球体腎炎 /田中悦子・他
紫斑病性腎炎(IgA血管炎腎炎) /川崎幸彦
IgA腎症 /中西浩一
Dent病 /三浦健一郎・他
Gitelman症候群 /野津寛大
溶血性尿毒症症候群 /芦田 明・他
低形成・異形成腎 /佐藤 舞・他
膀胱尿管逆流を伴う尿路感染症 /木全貴久
先天性水腎症 /小川哲史
停留精巣 /林 祐太郎・他
Ⅹ 神経・筋疾患,精神疾患,心身症
けいれん性疾患(熱性けいれん) /夏目 淳
てんかん(中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん,若年ミオクロニーてんかん) /竹田加奈子・他
中枢神経系感染症(細菌性髄膜炎) /横山淳史
自閉スペクトラム症 /広瀬宏之
周産期脳障害の神経学的後遺症,脳性麻痺 /日暮憲道
Duchenne型筋ジストロフィー /竹下絵里・他
小頭症(先天性サイトメガロウイルス感染症) /西田裕哉
Guillain-Barré症候群 /塩浜 直・他
心身症(慢性頭痛,起立性調節障害) /小穴信吾・他
反応性愛着障害 /松岡美智子・他
索 引
山岸敬幸 /慶應義塾大学医学部小児科
小児科医を続けていると,「小児の診療とは何と魅力的なのだろう!」といつも思います.小児科診療の面白さの1つは,小児科単科で内科の幅広い領域を,そしてときには外科領域もカバーする役割を担っている点ではないでしょうか.小児科の中には多くのサブスペシャリティ・専門領域があり,胎児・新生児から思春期・成人領域に至るまで常に変化し続ける特有の病態について,専門的かつ総合的に診療することが私たちの使命です.細分化された成人の内科・外科と異なり,専門性をもったgeneralistとしての役割を果たしています.そのような「小児科診療」を効率的に勉強するための1冊として,「小児科ケースカンファレンス」を企画しました.
小児科医は専門性をもったgeneralistである限り,非常に多くの種類の病気・病態に出会います.教科書を読むことはもちろん大切ですが,目の前に現れる患者さんのすべてが,教科書に書かれているような典型例とは限りません.また,多様な病態のすべてを教科書的な記載だけではイメージしにくいという現実もあります.これが小児科診療の難しいところですが,同時に面白いところでもあり,小児科医は何年たっても新鮮な経験をすることができ,様々な患者さんに出会うことによって新たに勉強する機会を得ているのです.
本特集にあたり,特に以下に重点をおいて企画・編集しました.
①主訴,病歴,理学所見,検査所見を含む症例提示から始まり,その症例を実際に診療しているかのように,鑑別診断,治療法を一連の流れとして具体的に理解できるようにする
②各症例に必須の疾患概念・病態や周辺の疾患群の知識についても,コンパクトに学ぶことができるようにする
③実際のカンファレンスのように質疑応答(Q&A)を盛り込んで,診断・治療のイメージを実感できるようにする
④豊富な臨床経験をお持ちの先生方のご経験に基づいた,教科書には記載されていないような「ワンポイント」,「ピットフォール」を含める
また,提示症例の選択では,小児科専門医試験「症例要約」として義務化されている指定疾患(http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/sikkan_list.pdf)に準拠することを目指しました.昨今の少子化問題とともに,小児科専門医の重要性はますます高まり,新たな専門医制度も始動しました.小児科専門医の医師像は,「子どもの総合診療医」「育児・健康支援者」「子どもの代弁者」「学識・研究者」「医療のプロフェッショナル」であると提言されています.
本書が,専門医として日夜患者さんに接しておられる先生方はもちろん,小児科専門医を目指す若い皆さんにも,様々な場面でお役に立てられればと思います.お忙しい診療の合間にクイズ形式でお読みいただいたり,実際にご自身で診療された症例と比較したり,また,上級医・指導医と研修医のカンファレンス・ディスカッションなど,どうぞいろいろご活用ください.
最後に,お忙しい中,大変貴重な症例を呈示し,診療の実地に基づいた解説をしていただきましたご執筆の先生方に,心より御礼申し上げます.