小児科診療
最新の情報からベーシックな知識までわかりやすくお届けします!
読者の要望にお応えすべくup-to-dateな特集を提供.内容の充実とわかりやすい解説に腐心しました.
一目で要点をとらえ,本文へ読みすすみやすいレイアウト.
「増刊号」・「特大号」を年各1冊発行.読者の厚い信頼に応える内容で日常診療に不可欠な情報満載.
連載「Photo Quiz」ではビジュアルに画像診断のポイントを解説.
2018年 Vol.81 No.5 2018-04-13
研修医必携!これだけは知ってほしい薬の使い方

定価:2,970円(本体価格2,700円+税)
序 文 /三牧正和
Ⅰ.総 論
小児薬物療法の基本 /河田 興
処方箋の書き方・処方ミスと対策 /寺島朝子
小児薬物療法における有害反応 /柏瀬しのぶ・他
妊婦および授乳婦への服薬指導 /伊藤直樹
医薬品の保険適用と適応外使用 /原 佳津行・他
Ⅱ.症候/疾患別・薬の使い方
細菌感染症 /竹下健一・他
ウイルス感染症,真菌感染症 /水上智之
感 冒 /西田 豊・他
アレルギー・アナフィラキシー /花谷あき・他
嘔吐,下痢,腹痛 /細井賢二・他
喘 息 /勝沼俊雄・他
けいれん,てんかん /佐藤敦志
発達障害 /古荘純一
脱 水 /三浦健一郎・他
Ⅲ.薬効別・薬の使い方
解熱薬,鎮痛薬 /関口進一郎
循環器薬 /三浦 大
抗腫瘍薬,血液製剤 /鶴田敏久
免疫抑制薬・免疫調整薬,生物学的製剤 /竹内一朗・他
外用薬(保湿薬,ステロイド薬) /神戸直智
鎮静・催眠薬 /山中 岳・他
漢方薬 /黒木春郎
原 著
乳児期以降に診断された低位鎖肛症例の検討 /青井重善・他
症例報告
腹部腫瘤を契機に診断し得たRapunzel症候群の1例 /小林亮太・他
三牧正和 /帝京大学医学部小児科
子どもの総合医を目指す小児科医の診療領域は非常に広範囲であり,数多くの疾患,多様な症状に対応しなければなりません.臓器別に細分化・専門化された成人診療と比較して,小児科医1人1人が使用法に習熟すべき薬剤の種類は非常に多く,何をどのように使ったらよいか戸惑う場面も多いのではないでしょうか.薬物療法はあくまで診療の一部に過ぎませんが,薬は病気と闘う際の大切な武器であり,どのような場面でどの薬をどのように使用するかは,自分なりの戦略,診療スタイルをつくるうえで重要な位置を占めることは間違いありません.小児科医はみな,適切な薬の使用法を身につけることで,勇気をもって子どもの病気に相対したいと学び続けているのではないでしょうか.
しかしながら,子どもに処方を行うにあたっては,小児の生理学的特殊性に起因する薬物動態の特徴など,小児ならではの問題を知っておかなければなりません.また,新規薬剤も次々と登場し,治療に際して必要な知識は年々増えるばかりです.本特集ではこのような小児の薬物療法の特殊性を考慮し,初期研修医や小児科専攻医など,小児診療の経験の浅い,しかし日々の診療現場でフロントに立つ医師を対象に,子どもの処方の基本から実践までを経験豊富な先生方にお示しいただくよう,編集委員が相談して企画いたしました.
まず総論として,薬物動態の特徴を含め,用量の考え方,小児ならではの有害反応,周生期の注意点などにつき,小児薬物療法の基本を紹介いただきました.さらに,処方箋の書き方や,保険適用外使用の問題など,実際の臨床現場で直面する実践的な問題や対応法についても紹介いただいています.
各論においては,日常小児診療で遭遇するおもな症候や疾患を取りあげ,特にファーストタッチでどのような処方を行うか,これだけは知っておいてほしい薬剤使用方法のコツをご紹介いただきました.また,薬剤使用に際して特に注意すべきこと,してはいけないことについても伝授いただき,将来診療の中核を担うべき研修医などの若手の先生方に向けたメッセージが込められた内容となっています.さらに各論の後半では,小児領域で使用頻度の高い薬物を薬効別に整理し,具体的処方例を交えるなど,日常診療に役立つよう実践的な情報を盛り込んで解説いただいています.
小児診療に取り組む医師が,正しい知識のもとに薬を効果的かつ安全に使用し,自信をもって診療にあたれるように本特集を役立てていただけることを,編集委員一同願っております.最後になりますが,お忙しい中,貴重な原稿をご執筆くださったエキスパートの先生方に,深く感謝申し上げます.