小児科診療
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2019年 Vol.82 No.6 2019-05-14
小児感染症のいまを読み解く

定価:3,080円(本体価格2,800円+税)
序 文 /星野 直
Ⅰ.流行の変化を読み解く
RSウイルス感染症~最近の疫学の変化~ /橋本浩一
麻 疹 /多屋馨子
水痘,帯状疱疹 /服部文彦・他
肺炎球菌感染症 /石和田稔彦
インフルエンザ菌感染症 /佐々木裕子
肺炎マイコプラズマ感染症 /成田光生
百日咳 /岡田賢司
Ⅱ.実際の症例から読み解く
ヒトパレコウイルス感染症 /相澤悠太
日本脳炎 /北澤克彦・他
重症血小板減少症候群(SFTS) /保科隆之
先天性風疹症候群 /長澤耕男
先天梅毒 /金井瑞恵
Ⅲ.話題の感染症を読み解く
新型インフルエンザ /田村大輔
エンテロウイルスD68感染症 /清水博之
蚊媒介感染症 /福島慎二・他
結 核 /宮川知士
侵襲性髄膜炎菌感染症 /神谷 元
多剤耐性グラム陰性桿菌感染症 /石井良和
星野 直 /千葉県こども病院感染症科
麻しん・風しん混合ワクチン,水痘ワクチンの2回接種の導入,インフルエンザ菌b型ワクチン,肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種化などにより,欧米とのワクチンギャップは大幅に縮小されました.その結果,多くの子どもたちがその恩恵を受けられるようになりました.一方で,感染症の流行のパターンや好発年齢の変化,原因病原体の血清型置換や薬剤感受性の変化など,以前には認められなかった新たな問題が出現しています.また,国をあげた薬剤耐性菌対策が進むなか,国際的な多剤耐性菌の蔓延は小児科医としても看過できない問題です.
感染症の流行は,国際交流や気象の変化の影響も受けます.2017年の訪日外客数は2010年比で3.3倍に増加し,日本の平均気温は100年あたり1.2℃のペースで上昇しています.すなわち,インバウンドの増加や気温の上昇に伴う新興・再興感染症の発生に備えなくてはなりません.2014年に東京でデング熱国内感染例が発生したことや,2015年に山口県で開催された世界スカウトジャンボリーで侵襲性髄膜炎菌感染症の発症がみられたことは,記憶に新しいところです.
このように,感染症の疫学は様々な要因により絶えず変化しています.日頃から感染症の診療にあたる機会の多い小児科医としては,最新の疫学情報に目を向けておかなくてはなりません.そこで,感染症の疫学の現状を知り,日々の診療にお役立ていただけるような1冊を目指し,18種類の感染症に関する特集を企画しました.
「Ⅰ.流行の変化を読み解く」では,commonな小児感染症7疾患を取り上げました.最近みられている疫学の変化や,それに伴う問題点などについて,ご専門とされる先生に解説していただきました.
「Ⅱ.実際の症例から読み解く」,「Ⅲ.話題の感染症を読み解く」では,新興・再興感染症11疾患を取り上げました.「Ⅱ.実際の症例から読み解く」ではわが国で小児例の発症がみられた5疾患について,実際にご経験された先生に症例を提示していただくとともに,臨床的特徴や疫学について解説していただきました.また,「Ⅲ.話題の感染症を読み解く」では,すでにわが国での発症が問題となっている感染症,今後の発症に備えるべき感染症の計6疾患について,国内外の状況を中心にご専門の先生に解説していただきました.
本特集を通読していただくことで,「小児感染症のいまを読み解く」一助となるはずです.
最後になりますが,お忙しいなか貴重な原稿をご執筆いただいた先生方に深く感謝申し上げます.