小児科診療
最新の情報からベーシックな知識までわかりやすくお届けします!
読者の要望にお応えすべくup-to-dateな特集を提供.内容の充実とわかりやすい解説に腐心しました.
一目で要点をとらえ,本文へ読みすすみやすいレイアウト.
「増刊号」・「特大号」を年各1冊発行.読者の厚い信頼に応える内容で日常診療に不可欠な情報満載.
連載「Photo Quiz」ではビジュアルに画像診断のポイントを解説.
2019年 Vol.82 No.8 2019-07-12
子どものあたま、かお、くびの病気〜コンサルのタイミング

定価:3,080円(本体価格2,800円+税)
序 文 永田 智
Ⅰ.頭 部
小児頭部外傷に対する初期診療ポイント /下川尚子
頭蓋骨変形・小頭 /小室裕造
大 頭 /宇佐美憲一
Ⅱ.眼・眼囲
角膜炎・結膜炎 /宮田 章
先天性鼻涙管閉塞症 /松村 望
斜視・弱視 /近藤寛之
眼囲のアトピー性皮膚炎 /味木 幸
Ⅲ.耳
耳瘻孔 /有本友季子
めまい /五島史行
Ⅳ.鼻
鼻出血 /橋本亜矢子
アデノイド増殖症 /大津雅秀
鼻副鼻腔炎 /工藤典代
Ⅴ.口腔・歯・口囲
舌小帯短縮症 /世川 修
外歯瘻 /佐々木 亮・他
口腔の腫瘤 /佐々木 亮・他
Ⅵ.頸 部
正中頸嚢胞,側頸瘻,梨状窩瘻 /矢﨑悠太・他
リンパ管腫 /渕本康史
血管腫 /荒牧典子
原 著
要保護児童対策地域協議会に参加することでみえた,小児科医の役割と強み /白井沙良子・他
川崎病回復期に遅発性に関節症状を呈した4例 /梅田千里・他
永田 智 /東京女子医科大学小児科
小児科医は子どもの総合診療医である責務上,他科(特に外科系)の守備分野と重なる領域の疾患のファーストタッチをしなくてはならない場に多く遭遇する.なかには,迅速な専門医診察が必要なものがあり,早急な他科紹介(いわゆる“コンサルテーション”,最近は慣用的に“コンサル”)の判断をしなくてはならない場面もある.
このように「どこの領域に属するかわからないが,とりあえず小児科外来に来る患者」については,十分に外来経験を積んだ小児科専門医の先生においても,頭をひねるような場面に遭遇することは決してまれではないことから,ましてや研修医の先生方においては,ときに頭をかかえるような難物に映るに違いない.若手の先生方からは,外来の机に,バッとめくればほしい項目がすぐに見つかり,「ツーといえばカー」的な答えをすぐにくれる参考書があれば…という要望を何度となく聞いた.そのような特集が果たしてできるかどうか定かではなかったが,「判断に窮し,かつ急を要する境界領域疾患とは何か」をまず調べてみたところ,特に多くの診療科が関係する「あたま,かお,くび」の領域に集中したことから,今回のような特集を組むことになった.
執筆者は,各境界領域のエキスパートのおもに外科系の先生方で,特に日頃より小児医療にご興味がありご尽力いただいている方々にお願いした.各疾患について,小児科医が診断するにあたって注意を要する症候,診察所見をあげていただき,緊急性を示唆する所見,次にどのような検査を行うべきか,専門医にコンサルする場合の適切なタイミングについてなどを中心にご教示いただいた.
また,多くの領域疾患は専門家に紹介後は他科の手に委ねることになり,専門医の治療については伝え聞くしかないことが多いことから,本書では,さらに紹介後の手術,処置についてもふれていただき,小児科医が日常診療でなかなかみることがない診察,検査所見の図示,写真などを多く呈示いただいた.
本特集が,専門医と一般小児科医の間のよき懸け橋になるような実践的なものになることを望んでやまない.ぜひ,小児科外来に1冊置いていただき,これぞという時にさっとめくってみて,走り読みでも要点が頭に入るような読み物になることを願っている.
末筆ながら,ご多忙の中,本特集のために貴重なお時間を割いていただき,少しでも一般小児科の先生方の日頃のご診療の助けになればと,熱意をこめて原稿を書いていただいた各ご執筆者の先生方に心より敬意と謝意を表します.