チャイルドヘルス
21世紀の子どもの保健と育児を支援する雑誌
|
2015年 Vol.18 No.7 2015-06-26
妊娠期からの母親支援

定価:本体1,400円+税
Myオピニオン 社会全体で子どもの睡眠を守る取り組みを…谷池雅子
【特集】妊娠期からの母親支援
(企画,とびらの言葉…吉田穂波)
1 最近の母子保健疫学から見える新たな母親像…吉田穂波
2 子どもを取り巻く周産期・新生児医療関係者のチーム作り…鈴木 真
3 妊娠期から始まる母親の健康づくり…大葉ナナコ
4 現代女性にとっての妊娠・出産…堀口貞夫
5 ノン・メディカルな妊娠・出産支援…福澤利江子,水越真依,丸山暁子,網谷レイチェル
6 周産期メンタルヘルスケアのベストプラクティス…宗田 聡
7 妊娠期からつながる産後ケア…春名めぐみ
8 妊娠期に良好な親子関係のスタートを切るために…竹内正人
9 産婆さんから助産師さんまで~寄り添い型支援の歴史~…石田登喜子
10 妊娠・出産・産後を通した母子の健康サポート…佐山圭子
11 「医療メディエーション」で行うハイリスク妊婦への介入…橋井康二
【連載】
◆おもちゃで広がる病児の遊び環境 第3回
小児科クリニックに望まれるおもちゃ…森 庸祐
◆災害から子どもたちをどう守るか~危機管理の観点から~ 第6回
3.東日本大震災 4)こころのケア(現地)
~専門職の少ない地域における子どものこころのケアのしくみづくり~…八木淳子
◆子どもの虐待予防 第10回
いじめと子ども虐待…河津英彦
◆子どもの貧困 第5回
小児医療と子どもの貧困~気づきの時代からその先へ~…武内 一
◆「健やか親子21」をもっと知ろう 第7回
妊娠期から18歳までの切れ目のない子育て支援とネットワーク(基盤課題)…中板育美
◆くま先生の小さなお話し会 第7回
ブー,プ~,スー・・・…松田幸久
◆海外文献の紹介
乳児期に抗生物質(抗菌薬)を服用した子どもは肥満になりやすい…榊原洋一
親子の愛着形成は,子を受胎し,その心拍を超音波画像の上に認めたときから始まっています。わが子の成長を見,胎動を感じ,声をかけ,コミュニケーションをするなかで親になっていくプロセスは,省略したり短縮したりすることのできない,必要不可欠な時間です。また,親は妊娠経過のなかで初めて自らの母性や父性と向き合い,親になっていきます。この時期に得た人間関係は,その後の親子を支える貴重な財産です。
今まで日本の周産期医療は世界最高レベルを誇ってきましたが,医療の安全性を重視するあまり「胎児中心」「異常中心」の医療であったとの反省が聞かれるようになりました。少子化が進む今,これからは,「母親中心」「日常中心」であり,母親そのものが満たされ,「生き甲斐」や「将来の希望」を持ち,わが子に愛情を注ぐことのできるような妊娠期の環境作りが必要とされています。今回の特集では,子どもだけではなく,出産前の親に焦点を当て,親が本当に望む支援とは何か,各方面の専門家に経験やアイディアを紹介していただきました。親が幸せであれば子どもも幸せであるとはよく言われることですが,親子を支えたいと思う私たちにはどのようなことができるのか。本特集がそのヒントとなれば幸いです。
(国立保健医療科学院生涯健康研究部/吉田穂波)