チャイルドヘルス
21世紀の子どもの保健と育児を支援する雑誌
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2019年 Vol.22 No.4 2019-03-27
知っておきたい蚊とマダニが媒介する身近な感染症

定価:1,650円(本体価格1,500円+税)
Myオピニオン
精神疾患の親をもつ子どもへの支援~私の子ども時代を振り返って~…夏苅郁子
【特 集】知っておきたい蚊とマダニが媒介する身近な感染症
(企画の言葉…成相昭吉)
1 蚊やマダニが媒介する感染症はなぜ目立つようになった?…西條政幸
2 蚊から子どもを守る…砂原俊彦
3 マダニから子どもを守る…宇田晶彦
4 日本脳炎の現状を知って予防接種を啓発しましょう…奥野英雄
5 デング熱は今後も国内流行するの?…髙崎智彦
6 胎児に影響を及ぼすジカウイルス感染…森内昌子
Column チクングニア熱って何?…林 昌宏
7 マラリアも蚊が媒介します!…福島慎二
8 増加し続ける重症熱性血小板減少症候群…保科隆之
Column マダニから感染する日本紅斑熱,子どもでも注意が必要です!…藤澤直輝
Column 過去のものではないつつがむし病…平本龍吾
Column 新たに(?)出現したダニ媒介性脳炎ウイルス…好井健太朗
【連 載】
◆ここが知りたい 子どもの薬 第8回
目薬や軟膏,外用剤の上手な使い方は?…石川洋一
◆小児保健・医療「すべきこと」「すべきでないこと」 第10回
マクロライドの適正使用…伊藤雄介
◆できたが増える できる体のつくり方 第11回
ボールをとることができない!…笹田 哲
◆スウェーデンでの研究生活はアドベンチャラス 第11回
北極圏が近い街の冬の過ごし方…武内 一
◆ようこそ絵本図書館へ 第4回
新しい生活に…児玉ひろ美
◆育児Q&A
花粉症は何歳から?…横内裕佳子
◆海外文献の紹介
身体運動の減少に伴う座業の増加は6歳からみられる…榊原洋一
【研究・報告】
保育者・教員の発達障害児に関する記述の特徴~テキストマイニングによる年齢と診断名に着目した検討~…鈴木浩太,平谷美智夫,稲垣真澄
2015年の秋に本誌の編集委員を引き受けた直後,長い間暮らした横浜を離れ,両親の介護のために,故郷の島根県出雲市に戻ってきました.横浜を離れなければならなかったことは残念でしたが,横浜では経験できなかったこと,認識がなかったことに対応する機会をたくさん得ました.
その一つが,マダニに咬まれた子どもたちでした.マダニが媒介する細菌感染症の日本紅斑熱が多い土地です.あわせて,やはりマダニが媒介するウイルス感染症の重症熱性血小板減少症候群についても調べました.
今,市中感染症は,人だけでなくペットの犬や猫,家畜や野生動物も含め,「人も動物も同じ枠の中で暮らしている」と考える“One world, One health”の観点で対応しなければならなくなっています.そして,それらの間を介在するマダニや蚊など,節足動物が媒介する感染症が,日本でも世界でも確認されています.そのなかには古くから知られていた細菌感染症だけでなく,原因ウイルスとの接触リスクが高まって発生した「新興ウイルス感染症」もあります.
母子保健・小児保健の大切な仕事の一つは,感染症の予防に関する適切な情報を,関係する職種の人たちや子どもの養育者にわかりやすく啓発することです.そのためには「正しい知識」をもちあわせておく必要があります.
今回,少々とっつきにくいテーマですが,この分野の第一人者の先生方に平易な言葉でご解説いただく企画を立てました.「わかりやすい解説書」になるものと期待しています.
(島根県立中央病院小児科/成相昭吉)