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書籍詳細

子どもの摂食指導診断と治療社 | 書籍詳細:子どもの摂食指導
食べる機能の発達をうながす子育て

東京都立北療育医療センター城南分園

田角 勝(たつの まさる) 編集

国立療養所松江病院 小児科

河原 仁志(かわはら ひとし) 編集

初版 A5判 並製 112頁 2003年09月01日発行

ISBN9784787813336

定価:本体1,500円+税
  

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摂食・嚥下障害の解説,介助・訓練法,口腔内ケアの方法,食物形態の解説からその作り方,養護学校での取組みなどを掲載.機能の発達に沿った摂食指導の重要性が伝わる書.

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目次

推薦のことば
 摂食・嚥下リハビリテーションの理解へ         金子芳洋
 職種や立場を越えて取り組むことの大切さ        向井美惠
 豊かな人生のための生活サポートをスキームとした本書に 飯野順子

はじめに                        田角 勝
                             河原仁志

摂食・嚥下障害とうまくつきあっていくために       河原仁志
 摂食・嚥下障害は「楽しく,おいしく,安全に,必要量を
 食べられないこと」と考える
 栄養不足は発育・発達に悪影響を与える
 食べる姿勢はとても大切である
 呼吸と食事の関係は複雑である
 胃食道逆流はやっかいである
 経管栄養を使いこなす
 摂食・嚥下障害対策は生活サポートの一部である
 障害の原因を理解する

摂食・嚥下障害を理解するために             田角 勝
 摂食・嚥下障害とは
 口とのどのつくり
 食べることのしくみと働き
 食べる機能の発達
 母乳の話
 いろいろな摂食・嚥下障害の原因
 誤嚥と誤嚥検査について

どんな治療ができるの〜介助と訓練〜           田角 勝
 どんな対策があるの
 じょうずな介助法
  姿勢の大切さ
  重要な食欲と感覚
  食べやすい食物形態
  食器をじょうずに使うには
  摂食・嚥下機能訓練とは

口の成長とそのケア                   吉川浩郎
 哺乳期から
 離乳期
 幼児期へ
 学齢期へ
 食べる機能,飲み込む機能(摂食・嚥下機能)に問題の
 ある子どもへの対応

おいしく楽しく食べるために               松本洋子
 発達の段階
 バランスのとれた食事にするために
  料理の組み合わせ
 食べやすい食事をつくるために
  学習食
  学習食はいつ食べさせるか
 調理の工夫
  生野菜の調理の仕方
  きざみ食(細かく切る)は食べにくい
  整形しなおし
  目で見ておいしい物を
  味付け(味覚)
  トロミ(つなぎ)
  増粘剤
  食べさせ方
  盛り付け量
  スプーン
 配慮食づくりにあると便利な調理器具
  冷凍保存(フリージング)
 さぁ,おいしい食事作りをはじめます
  おかゆ作り
  めん類
  野菜類
 調理例
  イカの香り揚げ
  とんかつ
  鯵(あじ)の塩焼き

食べる力を育てる給食指導〜教育現場から〜        酒井利夫
 食べるときの条件次第で子どもの食べ方が変わる
 子どもの持っている力を引き出す
 再調理をすることの大切さ
 適切な食物形態指導のすすめ方
 学校における食事の危険性
 家庭と学校の連帯
 療育機関と学校の違い,および個別指導計画

『摂食・嚥下』との出会いから〜体験をとおして〜    周藤はるみ
 日々の食事
 摂食ドックに入って
 ドック後の取り組み,そして今
 これからの展望

口から食べられる日を夢みて〜2年間の経管栄養児の子育て〜吉田良恵
 妊娠から出産,そして経管栄養に至るまで
 大学病院小児科摂食指導外来へ
  脱感作療法
  スプーンを口に
  食形態の工夫
  経管栄養卒業に向けて
 その後の展開

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序文

 食欲はヒトの基本的欲求であり,水分や栄養を摂取することは生きていくために絶対に必要です。そして私たちは日々の生活において何気なく食事をとって,「おいしい」あるいは「まずい」などといいながら食生活を楽しんでいます。もしじょうずに食べられないとか,食べるとむせてしまうなどという問題が起こったら,これは大変なことです。私たちはどのようにしたらこの難しい問題に直面した子どもたちの手助けができるでしょうか。その答えは私たちの経験を通して理解できることがたくさんあり,その日常経験を通して摂食・嚥下障害を理解することがじょうずな介助への近道と思います。
 もう一つ摂食・嚥下リハビリテーションにおいて大切なことは,ただじょうずに食べさせるための技術ではなく,食はコミュニケーションの方法の一つであるということです。特に重度の障害を持つ子どもにとって食べることそして食べさせることは重要なコミュニケーション法です。ですから,訓練するという意識でなく,食べ物を通じて子どもと会話をしてください。ことばを話せない子どもにとっては,食べ物がことばの代わりになってくれるはずです。
 この本は子どもの摂食・嚥下障害への対応についてさまざまな立場からわかりやすく解説することを目的としています。立場の違いもありますから,ニュアンスの相違はあると思います。しかし,子どもたちが楽しく笑顔で食べてくれることは,母親,父親,介護者,関係者すべてにとってこの上ない喜びであることは共通です。直接子どもたちの摂食・嚥下障害にかかわった生の声が書かれたこの本が読まれることにより,小児の摂食・嚥下リハビリテーションが理解され,摂食・嚥下障害児のより高いQOLにつながることを期待しています。

平成15年8月
東京都立北療育医療センター城南分園 田角 勝


 「食べることは生きること」ということばを聞いたことがあります。まさにこのことばを実感する場面に遭遇することが多い時代です。この本でとり上げた「摂食・嚥下障害」のみならず食べ過ぎによる肥満や朝食抜きの生活など「食にまつわる生活習慣病」の問題などが,ますますクローズアップされてきています。
 誰もが自然にできるようになったと思っている食べる機能の発達がうまくいかないために,苦労している子どもたちがいる。本来楽しく嬉しいイベントである食事中に,むせなどのために苦しむ子どもがいる。そのために育児に疲れ果ててしまっているご家族がいる。放ってはおけません。
 こんな思いから全国でさまざまな取り組みが行われています。その中心に摂食・嚥下リハビリテーション学会という職種や立場を越えて,「食べることに困っている人を助ける」ことを目的にしたすばらしい集まりがあります。この本はその会を通じて知り合った「食べる機能に問題のある子ども」にかかわる者たちが,同じ思いを共有する仲間のために,「一緒にやろうよ」というメッセージを込めて出版しました。このため執筆者は,小児科医師,歯科医師,栄養士,教師,看護師,親と実際にかかわっている仲間から選びました。
 記述に際しては,摂食・嚥下リハビリテーションを「一緒にやる」ために重要なことをできるだけわかりやすく伝えることをモットーにしましたが,少し専門的になっている部分や重複されている内容があるかも知れません。もしあなたが「専門的でちょっとわかりづらいなあ」と感じたらそこを読み飛ばしても,とにかくこの本全部を通読してみてください。そして理解が進んだら,再度読み残した部分に挑戦してみてください。きっとさらに理解が深まるものと思います。また,繰り返される記述には特に大切な考え方やコツが含まれています。
 この本がみなさんの「よーし,一緒にやろう」という気持ちを奮い起こし,子どもたちのたくさんの笑顔がみられるようになることを祈っています。

平成15年8月
国立療養所松江病院 河原仁志