HOME > 書籍詳細

書籍詳細

子どものための食材Q&A診断と治療社 | 書籍詳細:子どものための食材Q&A

女子栄養大学栄養科学研究所

根岸 由紀子(ねぎし ゆきこ) 編集

初版第1刷 A5判 並製 138頁 2005年12月20日発行

ISBN9784787814623

定価:本体1,800円+税
  

立ち読み機能は、ただ今準備中です  


魚・肉・野菜・卵など,各食材についての基本的な解説と子育て 中のお母さんからのあらゆる疑問にわかりやすく回答しました. 食物アレルギーなどのお子さんの除去・代替食などにも対応.育 児支援者の方に最適なマニュアル本です.

ページの先頭へ戻る

目次

さかな………………………………………………………青木隆子
 魚介類の種類と特徴
 魚介類の主要成分
さかなQ&A
卵……………………………………………………………松田早苗
 卵の構造について
 卵の栄養について
野菜・果物…………………………………………………石川裕子
 野菜に含まれる栄養素
 果物に含まれる栄養素
豆……………………………………………重野哲寛,根岸由紀子
 生活習慣病を防止
 豆の種類
 豆の栄養素と食べ合わせ効果
 豆の機能性成分・食物繊維
 豆の多彩な生理機能調節作用
 豆類の最新事情
 最近注目を集めている黒大豆とあずき
豆Q&A
穀物・いも…………………………………………………石川裕子
 穀物の種類と成分
 いもの種類と成分
穀物・いもQ&A
肉…………………………………………………………根岸由紀子
 肉類の主要成分
 肉類の加熱調理
 肉の部位名と成分値
肉Q&A
牛乳・乳製品……………………………………………根岸由紀子
 牛乳・乳製品の種類
 牛乳の主要成分
牛乳・乳製品Q&A
その他Q&A…………………………………………………根岸由紀子
食物エネルギーの基礎知識と除去食・代替食の実際
 ……………………………………………………………大谷智子
 食物アレルギーとは
 食物アレルギーの症状としくみ(機序)
 食物アレルギーの検査・診断
 食物アレルギーの治療について〜除去食療法の実際〜
コラム
 魚筋肉中のビタミンD含量について
 加工卵
 いとこ煮
 アミロースとアミロペクチン
 デュラムセモリナ粉
 中力粉
 アナフィラキシー症状
 口腔アレルギー症候群

ページの先頭へ戻る

序文

1)現代の食生活と子育て
 子どもたちをとりまく食環境の中で基本となるのは,まず家
 庭の食事です。その家庭の食事が最近では,献立の組み合せ
 が不十分で,栄養バランスもくずれていると感じます。
 たとえば,お母さんが作る献立内容を見てみると,焼肉と刺
 身,豚カツとぎょうざといったような主菜が2品あり,副菜は
 ないというような組み合わせがありますが,あまりおかしい
 とは感じていないようです。
 その原因として,24時間スーパー・総菜屋・デリバリーサー
 ビス・外食などを手軽に利用するようになったことで,栄養
 バランスよりも食べたいものを食卓に並べることが多くなり,
 主菜,副菜を揃えることや1汁2菜のような基本的な組み合せ
 ができなくなっているからだと思います。また,家庭で最初
 から材料をそろえなくても,野菜があれば市販の調味料を合
 わせるだけで本格的な中華料理ができます。このように私た
 ちは伝統的な和食だけでなく,各国の新しい食材や調味料,
 香辛料を手軽に使い,味わうことができるようになったので
 す。もはやフランス料理,イタリア料理だけでなく,タイ料
 理,ベトナム料理なども日常の家庭料理となりました。
 そして,現代社会の女性は,ここ何年かで社会参加する環境
 が整い,立場が大きく変化したと同時に一人で外食するのも
 おかしいことではなくなっています。遅くまで仕事をし,趣
 味を生かし,習い事もしていると家庭の食事は二の次になっ
 てしまい,朝食抜きや孤食も増え,またサプリメントの利用
 も多いようです。
 従来子どもは,家庭の中で食事のお手伝いをすることによっ
 て自然に食事に関心をもつことができました。今,子育て中
 のお母さんたちは,家庭の中であまりお手伝いをせずに育っ
 た世代です。できているものしか見ていないので,その食べ
 物がどの食品群かもわからず,献立のバランスがとれない原
 因になっているともいえます。
 さて,それまでの環境の中で育ってきた女性がやがて母親と
 なり子育てをはじめると,一番の悩みや関心事は子どもの食
 事作りになります。今までの食生活と「離乳食作り」のへだ
 たりが大きく,とまどい悩みます。「“すりつぶし”ってな
 んですか?」「“だし”はとらなきゃだめですか?」という
 ような質問が出るように,基本的な調理方法を知りません。
 また,「一日分の鉄分を補うには何gのほうれん草を食べさせ
 ればいいでしょうか?」「果物が大好きです。バナナ1本食べ
 ますが,大丈夫でしょうか?」というようなマニュアル的な
 質問もあります。
 最近は食物アレルギーに敏感で,赤ちゃんが成長するために
 必要なたんぱく質の摂取や離乳食の開始時期を遅らせる場合
 もみられます。特に食物アレルギーに関しては,情報が混乱
 していて,ますます不安になっているようです。
 出来合いの惣菜や加工品は利用しても,何を原材料にして作
 られているか理解していないために,卵の除去食といわれて,
 実際はプリンや卵豆腐などの加工品を与えている場合もあり
 ます。

2)日本人の食文化と離乳食
 離乳食は,大人にはなんでもないような日常的な食べ物でも,
 子どもにとっては初めての体験です。食べ物の順序や調理の
 仕方,与える量には大変気を使います。
 離乳食をすすめるにあたり,刺身はいつから使えるのか,大
 人は毎日豆乳を飲んでいるが子どもに与えていいか,モロヘ
 イヤは与えていいか,イクラやタラコ,ウナギは与えていい
 かなど,大人が食べているものを取り分けできるのがいつか
 らか,母親は疑問に思っています。しかし私たちでさえ,考
 えてみるとわからないことばかりです。なぜ与えてはいけな
 いのか,なぜ与えていいのか学問としてとらえようとしても
 厳密な線はありませんし,きちんと説明がつきません。
 そして,和食には食物繊維の豊富なもの(ごぼう,れんこん,
 豆など),海藻類(もずく,こんぶなど),練り加工品(ち
 くわ,つみれなど)にみられるように材料の物性がさまざま
 で,すぐに大人と同じ食べ物を取り分けて与えるのは困難で
 す。子どもの咀嚼を発達させるには,咀嚼を促す食事を組み
 立てる必要もあります。
 日本の離乳食は,昭和55年に当時の厚生省が「離乳の基本」
 を発表しており,その後,平成7年に改定されました。
 子どもの食事は発達段階にあわせて与えることはとても大切
 で,栄養,消化吸収,咀嚼,発達など,全体を考えながらそ
 の時期に合った食材を選び,調理,味付けを工夫します。身
 体的には,およそ5〜6か月ころから開始し,9か月ころには鉄
 分が補えるくらいの食べ物を食べられるようになっているこ
 とが必要です。また,食物アレルギーを起こす食品が幅広く
 なっていますので,除去食をするなら栄養不良にならないよ
 うな食物の組み合せが重要となります。

3)養育者が求めている栄養相談
 日ごろの栄養相談では,お母さんたちから「さかなはどんな
 ものから使えばいいのでしょうか?」「納豆は加熱せずにそ
 のまま与えていいのでしょうか?」「ゼラチンと寒天の違い
 は?」「たくさん食べさせると卵アレルギーになるでしょう
 か?」などいろいろな質問が寄せられます。食生活は生活の
 知恵という側面もありますが,できれば科学的な裏づけを説
 明してあげると柔軟に考えることができるようになっていき
 ます。
 そこで,2002年に診断と治療社発行の月刊誌「チャイルドヘ
 ルス」で3回にわたって,特集「こどもの食Q&A」を企画・掲
 載しました。これまでの栄養学の本は,理論書だったり育児
 雑誌のメニュー本だったり極端なことも多く,一緒にふまえ
 て解説したものというのは少なかったように思います。ある
 程度のまとまったページを専門分野の先生がまとめて書いて
 いただいたことも良かったと思います。
 そして,今回それらをまとめると同時に,不足していた食物
 アレルギーについての詳しい解説とQ&Aの項目を補強すること
 により,さらに現場の先生方に活用していただけるものとし
 て発行されることになりました。各項目ごとに総論でお書き
 くださった栄養学の知識を繰り返して読んでいただき,栄養
 指導に活かしていただきたいと思います。
 最近では「食育」の重要性がさかんにいわれはじめ,子育て
 支援者にとっても栄養相談を受けることが増えてくると思わ
 れます。
 これから求められる食生活指導は,食品の知識を具体的に説
 明できること,食品の特性を知った上で,与えていいのか悪
 いのか,調理しやすいのか,フリージングに適しているのか
 など,お母さんたちの質問にはできるだけエビデンスをもっ
 てわかりやすく説明していく必要があると思います。本書は
 楽しみながら雑学的な知識や栄養指導に使える知識の基礎固
 めにはちょうどよい資料といえます。乳幼児期の子育て支援
 に関わる先生方にぜひご活用いただきたいと思います。

2005年12月

編者代表
太田 百合子

*本書執筆者の重野哲寛先生は平成15年にご逝去されました。
 示唆に富む内容をご執筆いただきましたことに感謝し,心よ
 り哀悼の意を捧げます。