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書籍詳細

小児アレルギーシリーズ

花粉症と周辺アレルギー疾患診断と治療社 | 書籍詳細:花粉症と周辺アレルギー疾患

国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部長

斎藤 博久(さいとう ひろひさ) 監修・編集

初版 B5判 並製 200頁 2007年02月28日発行

ISBN9784787814852

定価:本体5,700円+税
  

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アレルギーを専門としない内科医・小児科医,研修医必携 の小児アレルギーシリーズ第3弾.花粉症診療で知っておく べきすべてを診療の一線で活躍するエキスパートたちが具体 的,実践的にわかりやすく伝授.アレルギー性鼻結膜炎につ いても詳説.花粉症診療だけでなく,喘息診療にかかわる者 にとっても日常診療のヒントにあふれる充実の1冊である.

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目次

花粉症と周辺アレルギー疾患

―目次―

総説
花粉症・アレルギー性鼻炎診療のポイント
 1.花粉症とは―診断と治療
 2.花粉症とは―病態と疫学
 3.インターネットを使いこなそう

解説
1.アレルギー性鼻炎
 1.これがアレルギー性鼻炎だ
 2.鼻と気管支はつながっている
 3.薬物治療のコツ
 4.見えない副鼻腔炎を見つけるコツ
 5.非アレルギー性鼻炎
 6.手術やレーザー治療が必要なとき
2.花粉症によるアレルギー性鼻炎
 1.花粉症の症状にはどんなものがあるか
 2.通年性アレルギー性鼻炎との違い
 3.乳幼児の花粉症
 4.免疫療法の理論と実際
 5.エビデンスに基づく花粉症対策健康食品
 6.エビデンスに基づく花粉症グッズ

3.花粉症患者を眼科に紹介するタイミング
 1.眼科医以外は診てはいけない重症アレルギー性結膜疾患
 2.点眼薬の処方と指導のコツ

4.スギ・ヒノキ花粉以外のアレルゲンによる鼻結膜炎
 1.草本花粉による鼻結膜炎の特徴
 2.花粉症にみられる口腔アレルギー症候群とは
 3.ダニアレルゲン対策
 4.カビによるアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎

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序文

監修の序

 アレルギー疾患やアレルギー体質の保有率は増加を続け,
今や全国民の約30%が何らかのアレルギー疾患に罹患してい
るといわれている.とくに小児から青年にかけての罹患率の
増加は著しく,20歳代のアレルギー体質の保有率,すなわち
特異的IgE抗体陽性率は70~80%に達し,小学生の気管支喘息
の罹患率も10%を越えている.このような現状において,アレ
ルギーを専門としない小児科医や内科医がこれらの患者を診
察する機会が増えている.
 また,欧米での事情と異なり,わが国ではアトピー性皮膚
炎患者は皮膚科医,花粉症患者は耳鼻咽喉科医が診療を担当
するなど診療科別の診療が行われている.様々なアレルギー
症状を有する同一患者が複数の診療科を受診することも多い.
しかし,近年,アレルギー性鼻炎と気管支喘息が高頻度に合
併することや,アレルギー性鼻炎患者がウイルスに感染した
ときに喘息を発症することなどが多く報告されている.実際
にアレルギー疾患患者を診療する際には,小児科医や内科医
であってもアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎に関する知
識をもつことは大変重要なことであると認識されつつある.
種々のアレルギー疾患治療ガイドラインは本来,非専門医が
アレルギー診療を行う参考として策定されたものである.し
かし,改訂を重ねる度に,臨床研究における種々の成果やエ
ビデンスがほとんど箇条書きに近い状態で記載されるように
なり,非専門医が一読して理解できる内容ではなくなりつつ
ある.
 そこで,専門領域の異なる医師やコメディカルが日常診療
において様々な病型の小児アレルギー疾患患者を診察する際
に,ベッドサイドで要点が理解できる参考書的な本の作成を
めざして,[小児アレルギーシリーズ]を企画した.本シリ
ーズでは,「喘息」(編集:東京慈恵会医科大学小児科講師
 勝沼俊雄),「食物アレルギー」(編集:国立病院機構相
模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部長 海老
澤元宏),「アトピー性皮膚炎」(編集:国立成育医療セン
ター第一診療部アレルギー科医長 大矢幸弘),の三大小児
アレルギー疾患とともに,近年,小児期でも増加している
「花粉症と周辺アレルギー疾患」(編集:国立成育医療セン
ター研究所免疫アレルギー研究部長 斎藤博久)の四つの巻
に分けてテーマを組んだ.執筆者としては各分野における第
一人者の専門家を選定し,非専門医のみならず研修医,看護
師や薬剤師などコメディカルの方々でも理解していただける
よう高度な内容でも噛み砕いた表現を心がけた記載を依頼し
た.外来,クリニックで,小児期の様々なアレルギー疾患患
者の診療を行うときに是非,役立ていただきたい.
 
2006年10月

国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部
斎藤博久


編集の序

 周知のように,30%近い罹患率を有する「国民病」として
の花粉症は,若年化が進み小児期でも増加している.また花
粉が多く飛散する関東地区などでは20歳代においてスギ花粉
特異的IgE抗体の陽性率は70%近くに達している.この原因は
スギ花粉飛散量の増加のみならず,特異的IgE抗体を産生し
やすい体質(いわゆるアトピー体質保有者)が,若いひとの
間で増加していることと関係している.このような体質では,
スギ花粉特異的IgE抗体を保有するのみならず,同時に気管
支喘息などの通年性のアレルギー疾患の原因となるダニ特異
的IgE抗体も保有することが多い.
 「アレルギーマーチ」の概念はよく知られている.乳児期
にアトピー性皮膚炎を発症したアトピー体質保有者は,2,3
歳過ぎに喘息を発症することが多いという考えである.しか
し,本書で参考としている部分の多いARIA2001や鼻アレルギ
ーガイドライン2005に引用されている種々の疫学報告によれ
ば「アトピー性皮膚炎と喘息」の合併率よりも「アレルギー
性鼻炎と喘息」の合併率のほうが圧倒的に多い.報告によっ
てはアレルギー性鼻炎患者の半数近くは気管支喘息を合併す
るとの報告もある.いいかえれば,乳幼児が来院した際にア
レルギー性鼻炎の存在が確認された場合,約1/2の確率で気
管支喘息を発症すると推測できるということである.また,
抗ヒスタミン薬投与による喘息発症予防の介入を行うことに
より,その確率は半分になるとされている.これは,抗ヒス
タミン薬がアレルギー炎症を惹起する様々な分子を含んだ鼻
汁の下気道への流入を防ぎ,過敏性の獲得を防いでいるため
と想像される.すなわち喘息発症予防の鍵はアレルギー性鼻
炎の診断からはじまるわけである.
 一方,アレルギー性気管支喘息患者の70~80%はアレルギ
ー性鼻炎を合併している.アレルギー性鼻炎を適切に治療す
ることにより,喘息症状や呼吸機能の改善が認められること
も判明してきた.したがって,アレルギー専門医,非専門医
を問わず,小児科医や内科医にとって,花粉症および類縁疾
患としてのアレルギー性鼻結膜炎を理解することは今や必須
といっても過言ではない.
 このような状況をふまえて,主として小児期の花粉症と周
辺アレルギー疾患患者を診療するためのガイドブックづくり
をめざして「花粉症と周辺アレルギー疾患」を企画した.単
に小児期の鼻炎,結膜炎の治療という目的のみならず,アレ
ルギーマーチ,喘息発症の阻止という観点からも熟読してい
ただければ幸いである.

2007年2月

国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部
斎藤博久