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書籍詳細

小児アレルギーシリーズ

アトピー性皮膚炎診断と治療社 | 書籍詳細:アトピー性皮膚炎

国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部長

斎藤 博久(さいとう ひろひさ) 監修

国立成育医療センター第一専門診療部アレルギー科医長

大矢 幸弘(おおや ゆきひろ) 編集

初版 B5判 並製 216頁 2007年04月28日発行

ISBN9784787814876

定価:本体5,700円+税
  

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アレルギーを専門としない内科医・小児科医,研修医必携 の小児アレルギーシリーズ.“エビデンスに基づいた包括的 医療”を基軸に,診療の一線で活躍する皮膚科専門医,アレ ルギー専門医がアトピー性皮膚炎診療のポイントをきめ細か く実践的に解説.医師はもちろんコメディカルにも活用して いただける,とてもわかりやすい充実の1冊である.

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目次

総説
アトピー性皮膚炎患児と養育者へのアプローチ
──行動科学とEBMを機軸に包括的医療を実践す………大矢幸弘

解説
1 診断と鑑別
 1. アトピー性皮膚炎を理解する──定義と診断基準
  ……………………………………………………………幸野 健
 2. アトピー性皮膚炎の重症度レベルを類別する
  …………………………………………………………佐伯秀久
 3. アトピー性皮膚炎を鑑別する…………越後岳士・竹原和彦

2 EBMによる薬物療法の選択と使い方
 1. スキンケアと保湿剤の選び方………………………窪田泰夫
 2. ステロイド外用薬の選び方と寛解導入期(増悪期)における
   使い方…………………………………………………古江増隆
 3. 寛解維持期におけるステロイド外用薬の使い方
   …………………………………………………………大矢幸弘
 4. ステロイド外用薬と保湿剤を配合するときの留意点
   …………………………………………………………大谷道輝
 5. カルシニューリン抑制性外用薬の使い方…………窪田泰夫
 6. 抗アレルギー薬の種類と選び方……………………幸野 健
 7. 消毒療法の可能性と注意点…………………………青木敏之

3 私の症例──処方ファイルから
 1. 乳児のアトピー性皮膚炎……………………………大矢幸弘
 2. 幼児から学童期前半のアトピー性皮膚炎…………大矢幸弘
 3. 学童期後半から思春期のアトピー性皮膚炎………中川秀己
 4. 思春期から青年期のアトピー性皮膚炎……………片岡葉子

4 日常生活で行う包括的治療とケア
 1. ストレス・マネジメントと行動療法………………大矢幸弘
 2. 患者教育とスキンケア指導の実際…………………益子育代
 3. 環境整備の効果と実際………………………………西岡謙二
 4. シックハウス症候群への対応…………勝沼俊雄・富川盛光

5 合併症および周辺疾患の治療
 1. 食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎の診断と治療
   ………………………………………………………海老澤元宏
 2. 蕁麻疹…………………………………………………秀 道広
 3. 皮膚感染症……………………………………………溝口昌子
 4. 接触皮膚炎…………………………………………松永佳世子
 5. アレルギー性眼疾患…………………………………藤島 浩

6 病態に関するメカニズム
 1. 皮膚バリア障害としてのアトピー性皮膚炎………中川秀己
 2. アレルギー炎症としてのアトピー性皮膚炎………斎藤博久
 3. アトピー性皮膚炎のかゆみのメカニズム…………豊田雅彦
 4. 腸管免疫異常とアトピー性皮膚炎…………………伊藤浩明
 5. 黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎……………野村伊知郎


【私はこうしている】
・抑制帯を外し,リラクセーションを教える……………大矢幸弘
・患者教育の主役は子ども…益子育代
・環境整備への意識をいかに長く持続させることができるか
 ………………………………………………………………西岡謙二
・アトピー性皮膚炎悪化要因としてのシックハウス症候群を
 見抜くコツ…………………………………………………勝沼俊雄
・湿疹の悪化をすべて食物アレルギーと関連づける保護者への対応
 ……………………………………………………………海老澤元宏
・アトピー性皮膚炎による蕁麻疹反応……………………秀 道広

【私はこうしている】
・アトピー皮膚の毛孔性丘疹の中に埋もれた伝染性軟属腫の診断
 はどうするか………………………………………………溝口昌子
・アトピー性皮膚炎と病初期のSSSSはどう鑑別するか…溝口昌子
・接触蕁麻疹が手湿疹の原因になることに注意して!
  …………………………………………………………松永佳世子
・眼のかゆみにも2種類ある………………………………藤島 浩
・眼球自体のかゆみへの点眼治療…………………………藤島 浩


トピックス
・漢方薬のエビデンスと症例への応用の限界……………豊田雅彦
・n-3系多価不飽和脂肪酸の治療への応用と注意点………鳥居新平
・紫外線療法の最先端をアトピー性皮膚炎にどういかすか
 ………………………………………………………………森田明理

付録
・主要保湿剤一覧 
・主要外皮用剤一覧

索引

【ミニコラム】
・液滴分散法
・その他の消毒療法
・免疫抑制薬点眼

【コラム】
・鎮静性抗ヒスタミン薬による能力障害(impaired performance)

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序文

監修の序

 アレルギー疾患やアレルギー体質の保有率は増加を続け,
今や全国民の約30%が何らかのアレルギー疾患に罹患してい
るといわれている.とくに小児から青年にかけての罹患率の
増加は著しく,20歳代のアレルギー体質の保有率,すなわち
特異的IgE抗体陽性率は70~80%に達し,小学生の気管支喘息
の罹患率も10%を越えている.このような現状において,アレ
ルギーを専門としない小児科医や内科医がこれらの患者を診
察する機会が増えている.
 また,欧米での事情と異なり,わが国ではアトピー性皮膚
炎患者は皮膚科医,花粉症患者は耳鼻咽喉科医が診療を担当
するなど診療科別の診療が行われている.様々なアレルギー
症状を有する同一患者が複数の診療科を受診することも多い.
しかし,近年,アレルギー性鼻炎と気管支喘息が高頻度に合
併することや,アレルギー性鼻炎患者がウイルスに感染した
ときに喘息を発症することなどが多く報告されている.実際
にアレルギー疾患患者を診療する際には,小児科医や内科医
であってもアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎に関する知
識をもつことは大変重要なことであると認識されつつある.
種々のアレルギー疾患治療ガイドラインは本来,非専門医が
アレルギー診療を行う参考として策定されたものである.し
かし,改訂を重ねる度に,臨床研究における種々の成果やエ
ビデンスがほとんど箇条書きに近い状態で記載されるように
なり,非専門医が一読して理解できる内容ではなくなりつつ
ある.
 そこで,専門領域の異なる医師やコメディカルが日常診療
において様々な病型の小児アレルギー疾患患者を診察する際
に,ベッドサイドで要点が理解できる参考書的な本の作成を
めざして,[小児アレルギーシリーズ]を企画した.本シリ
ーズでは,「喘息」(編集:東京慈恵会医科大学小児科講師
 勝沼俊雄),「食物アレルギー」(編集:国立病院機構相
模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部長 海老
澤元宏),「アトピー性皮膚炎」(編集:国立成育医療セン
ター第一診療部アレルギー科医長 大矢幸弘),の三大小児
アレルギー疾患とともに,近年,小児期でも増加している
「花粉症と周辺アレルギー疾患」(編集:国立成育医療セン
ター研究所免疫アレルギー研究部長 斎藤博久)の四つの巻
に分けてテーマを組んだ.執筆者としては各分野における第
一人者の専門家を選定し,非専門医のみならず研修医,看護
師や薬剤師などコメディカルの方々でも理解していただける
よう高度な内容でも噛み砕いた表現を心がけた記載を依頼し
た.外来,クリニックで,小児期の様々なアレルギー疾患患
者の診療を行うときに是非,役立ていただきたい.
 
2006年10月

国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部
斎藤博久


編集の序

 アトピー性皮膚炎は,日本の小児が罹患する慢性疾患のな
かでは最も有病率が高い疾患である.それと同時に,医療へ
の患者の満足度が低いという意味からも社会的な問題として
取り上げられることの多い疾患でもある.戦後の急速な文明
化に伴い急増し,また軽症から重症に至るまで様々なバリエ
ーションがあり,季節による変動や寛解・増悪を繰り返す病
像は,時間をかけた個別の対策や指導を要するにもかかわら
ず,急性疾患の対策と薬の処方を中心として発展してきたわ
が国の従来の外来診療体制では御しにくいという点が災いし
たと思われる.本疾患は,そうした意味でも,このような疾
病構造の変化と旧来の医療体制の歪を映し出す鏡の役割を演
じているようでもある.虫刺症や急性の接触皮膚炎などに対
するのと同様の姿勢で,ステロイド外用薬が処方されれば,
慢性疾患であるアトピー性皮膚炎のコントロールが不十分に
なるのは至極当然のことであり,同じ薬を処方しても,服薬
指導をどのように行うかで,この疾患のコントロールが全く
違ったものになることは周知のとおりである.結果として起
こったステロイド禍や忌避は起こるべくして起こったといえ
るかもしれない.
 現場の医師不足・看護師不足が深刻であるにもかかわらず
政府の医療費削減の姿勢が強まるなか,ガイドラインの存在
とそれへの準拠だけでは,日本の医療体制が必ずしも望まし
い方向へと本質的変換がなされるとは期待薄であろう.また,
エビデンスに基づかない治療や巨大なアトピービジネスの力
は想像以上のものがあり,その犠牲者はいまだに後を絶たな
い.こうした状況のなか,少しでも多くの患児と家族を救う
ためには,医療現場で患者と向き合う医師やコメディカルに
アトピー性皮膚炎という慢性疾患を治療するコツを伝えるこ
とは切実な要請となっている.

 “短期間で自然治癒する急性疾患に対するのと同じ姿勢で
決して臨んではならないこと,エビデンスに基づいて治療す
ればコントロールが困難な疾患ではないこと”を強く実感し
ていただけるよう,本書ではエキスパートの先生方にポイン
トをおさえたわかりやすい解説をお願いした.
 アトピー性皮膚炎は治療のコツを会得した医師には決して
診療の困難な疾患ではない.しかし,まだまだ十分にその知
識と技術は広まっていないのが現状である.このような医学
的・社会的必要に応えるために,本書を活用していただけれ
ば幸いである.

2007年4月

国立成育医療センター第一専門診療部アレルギー科
大矢幸弘