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書籍詳細

小児アレルギーシリーズ

喘息診断と治療社 | 書籍詳細:喘息

国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部長

斎藤 博久(さいとう ひろひさ) 監修

東京慈恵会医科大学小児科講師

勝沼 俊雄(かつぬま としお) 編集

初版 B5判 並製 236頁 2006年11月02日発行

ISBN9784787814883

定価:本体5,700円+税
  

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アレルギーを専門としない内科医・小児科医,研修医必携の小 児アレルギーシリーズ第一弾.喘息診療の基礎から臨床,外来か らICUまでオールカラーで具体的・実践的に網羅,診療の一線で 活躍するエキスパートたちが日常臨床ですぐに役立つ実践のヒン トをわかりやすく伝授する.コラムも充実.アレルギー診療にか かわる者にとってスタンダードとなる充実の1冊である.

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目次

contents

解説

診察・診断
1. 問診のこつと身体所見のとり方………………………星岡 明

2. 鑑別診断
 1)“喘鳴”を診るときの鑑別…………………………坂本龍雄
 2)“慢性咳嗽”を診るときの鑑別……………………荒川浩一

3. 年齢による喘息のとらえ方
 1)乳児喘息の特徴と治療の考え方……………………吉原重美
 2)思春期喘息の特徴と長期ケア……………………野村伊知郎

4. 検査からなにがわかるか
 1)呼吸機能検査…………………………………………赤司賢一
 2)アレルギー検査………………………………………増田 敬

小児気管支喘息治療・管理ガイドライン
 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)2005の考え方
 と要点
 ………………………………………………………………浜崎雄平

急性増悪期の治療
1. 急性増悪時治療薬 ― reliever
 1)β2刺激薬………………………………………………土居 悟
 2)テオフィリン・アミノフィリン……………………足立雄一
 3)ステロイド薬…………………………………………青柳正彦

2. 重症発作時のcritical care……………………………橋本光司

3. 理学療法の意義と方法………………………………野村伊知郎

長期ケア
1. 長期ケアの薬物治療 ― controller
 1)吸入ステロイド薬の効果と限界………柴田 淳・勝沼俊雄
 2)吸入ステロイド薬のadd-on(追加)薬……………井上壽茂
 3)DSCGの適応と使い方…………………長尾みづほ・藤澤隆夫
 4)テオフィリン徐放製剤の使い方と注意点
   …………………………………………小田島安平・中野裕史
 5)経口抗アレルギー薬は必要か……………………海老澤元宏
 6)Th2サイトカイン阻害薬(トシル酸スプラタスト)の
   適応と使い方
   …………………………………………………………山田裕美
 7)ロイコトリエン受容体拮抗薬の使い方……………亀田 誠
 8)β2刺激薬の使い方………………………鈴木雅登・徳山研一
 9)抗コリン薬の適応と使い方………………………野々村和男

2. 喘息長期ケアの話題
 1)喘息に合併する鼻炎・副鼻腔炎の診療……………寺田明彦
 2)長期管理薬はどのように減量・中止すべきか……望月博之
 3)喘息長期管理薬の薬価対治療効果
   …………………………………………松原知代・長谷川真成
 4)アレルゲン免疫(減感作)療法の意義
   …………………………………………小林威仁・永田 真

喘息児の日常生活
1. 環境調整の意義と指導…………………………………西岡謙二

2. 小児の喘息とスポーツ…………………………………大矢幸弘

3. 喘息児が外科手術を受けるときの注意点……………赤澤 晃

喘息を的確にとらえるために
1. 病態を知る………………………………………………勝沼俊雄

2. 喘息は増えているのか ― 疫学………………………松本健治

3. 喘息は治るのか ― 予後………………………………下条直樹

アドバイス
・専門医に紹介するタイミングと病診連携のあり方…勝沼俊雄
・症例をみる 喘息重積発作 ― 3歳,男児,体重14kg
  …………………………………………………………中川 聡
・喘息患者の人工呼吸管理………………………………中川 聡
・医療機関が患者に吸入器を貸し出す適応……………橋本光司

【コラム】
・テオフィリン処方時に必要な親への説明の仕方
・アドヒアランス低下症例への取り組み方のヒント
・パルミコート吸入液(ブデソニド)
・テオフィリン処方時に必要な親への説明の仕方
・3歳で吸入ステロイド薬をはじめても……!?
・漢方薬の可能性
・防ダニグッズ
・アトピー性皮膚炎を合併する喘息児が水泳を
  行うときの注意点

【ミニコラム】
・最初は親の表現をそのまま記録する
・呼吸音の記載方法
・早起きして聴診すること
・特発性喉頭けいれんと喘息発作
・one airway one disease
・レスポンデント条件づけ
・オペラント条件づけ
・血清総IgEの基準値
・特異的IgE抗体測定におけるIgGの影響
・その他の特異的IgE抗体測定キット
・即時型皮膚反応の利点と欠点
・CAP RASTにおけるQ&A
・β2アドレナリン受容体遺伝子多型
・ステロイド薬投与に関する留意点
・genomic effectとnon-genomic effect
・ステロイド薬使用時のインフォームド・コンセント

トピックス
・喘息最新治療の現状…美濃口健治
・喘息と遺伝…金子英雄
・衛生仮説の妥当性と矛盾点…大嶋勇成

私の処方箋
0歳10ヶ月 咳が数週間止まらない………………………徳山研一
1歳 繰り返す喘鳴.病態を年長児と同様に考えて抗炎症治療を
 施すべきか?……………………………………………吉原重美
2歳 週2回以上の喘鳴・呼吸困難が持続するが吸入ステロイド
 薬を吸入できない………………………………………井上壽茂
3歳 3ヶ月間喘鳴・発作なし.薬剤の減量・中止をどうする?
 ……………………………………………………………橋本光司
4歳 中等症持続型.「吸入ステロイド薬は絶対嫌だ」と親が言う
 ……………………………………………………………徳山研一
5歳 軽症間欠型.「どうしても飼いネコは手放せない」と訴える
 ……………………………………………………………星岡 明
6歳 入学間近.学校生活で注意させることは?………橋本光司
7歳 長期管理薬を増量しても症状がよくならない……足立雄一
8歳 発作のときだけ来院するケースをどうする?……井上壽茂
9歳 慢性の咳嗽と鼻閉を訴えて来院……………………足立雄一
10歳 アスピリン過敏症が疑われるケースをどうする?
 ……………………………………………中野裕史・小田島安平
11歳 両親の別居に伴い喘息が悪化した…………………大矢幸弘
12歳 vocal cord dysfunctionが疑われる………………大矢幸弘
13歳 生理のときに喘息が悪化する………中野裕史・小田島安平
14歳 最近,通院・服薬状況(コンプライアンス)が目立って
 低下した…………………………………………………星岡 明
15歳 間欠型.吸入ステロイド薬の短期使用は有効か?
 ……………………………………………………………勝沼俊雄
16歳 1年間喘鳴・発作なし.薬剤の減量・中止をどうする?
 ……………………………………………………………勝沼俊雄
17歳 喘息患者が妊娠したときの投薬と注意点………吉原重美
索引

【ミニコラム】
・ソーセージにより重症発作が引き起こされた
  アスピリン喘息小児
・挿管する前に
・吸入ステロイド薬とうがい ― 乳児はどうする?
・反復性喘鳴性疾患の鑑別
・小児のDPI吸入
・β2刺激薬の固有活性と使い方は?
・コンプライアンスが低下した中学2年生男児
・一塩基多型:SNP(single nucleotide polymorphism)

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序文

監修の序

 アレルギー疾患やアレルギー体質の保有率は増加を続け,今や
全国民の約30%が何らかのアレルギー疾患に罹患しているといわ
れている.とくに小児から青年にかけての罹患率の増加は著しく,
20歳代のアレルギー体質の保有率,すなわち特異的IgE抗体陽性
率は70~80%に達し,小学生の気管支喘息の罹患率も10%を越え
ている.このような現状において,アレルギーを専門としない小
児科医や内科医がこれらの患者を診察する機会が増えている.
 また,欧米での事情と異なり,わが国ではアトピー性皮膚炎患
者は皮膚科医,花粉症患者は耳鼻咽喉科医が診療を担当するなど
診療科別の診療が行われている.様々なアレルギー症状を有する
同一患者が複数の診療科を受診することも多い.しかし,近年,
アレルギー性鼻炎と気管支喘息が高頻度に合併することや,アレ
ルギー性鼻炎患者がウイルスに感染したときに喘息を発症するこ
となどが多く報告されている.実際にアレルギー疾患患者を診療
する際には,小児科医や内科医であってもアレルギー性鼻炎やア
トピー性皮膚炎に関する知識をもつことは大変重要なことである
と認識されつつある.種々のアレルギー疾患治療ガイドラインは
本来,非専門医がアレルギー診療を行う参考として策定されたも
のである.しかし,改訂を重ねる度に,臨床研究における種々の
成果やエビデンスがほとんど箇条書きに近い状態で記載されるよ
うになり,非専門医が一読して理解できる内容ではなくなりつつ
ある.
 そこで,専門領域の異なる医師やコメディカルが日常診療にお
いて様々な病型の小児アレルギー疾患患者を診察する際に,ベッ
ドサイドで要点が理解できる参考書的な本の作成をめざして,
[小児アレルギーシリーズ]を企画した.本シリーズでは,「喘
息」(編集:東京慈恵会医科大学小児科講師 勝沼俊雄),「食
物アレルギー」(編集:国立病院機構相模原病院臨床研究センタ
ーアレルギー性疾患研究部長 海老澤元宏),「アトピー性皮膚
炎」(編集:国立成育医療センター第一診療部アレルギー科医長 
大矢幸弘),の三大小児アレルギー疾患とともに,近年,小児期
でも増加している「花粉症と周辺アレルギー疾患」(編集:国立
成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部長 斎藤博久)の
四つの巻に分けてテーマを組んだ.執筆者としては各分野におけ
る第一人者の専門家を選定し,非専門医のみならず研修医,看護
師や薬剤師などコメディカルの方々でも理解していただけるよう
高度な内容でも噛み砕いた表現を心がけた記載を依頼した.外来,
クリニックで,小児期の様々なアレルギー疾患患者の診療を行う
ときに是非,役立ていただきたい.
 
2006年10月

国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部
斎藤博久


喘息

編集の序

 小児の喘息患者は国内におおよそ100万人存在するといわれて
いる.乳幼児期・学童期を合算した有症率は13~19%にのぼる.
“しつこい咳”,“ヒューヒュー・ゼーゼー”,“息苦しさ”
を訴える子どもの来院が,いかに多いかを裏付けている.した
がって,小児医療に携わる者は,望むと望まざるとにかかわら
ず,喘息にうまく対処しなくてはならないといえる.
 ところが大半の医療者は,喘息を専門とされていない.次々
と新薬が登場し,雑多な情報が氾濫する現状で,多くの実地医
家が,薬剤の選択,副作用リスク,減量・中止のタイミング,
生活指導や予後の示し方等に関し、絶対的自信を持てぬまま診
療を進めざるをえないようである.「これでよいのだろうか?」,
「間違っていないだろうか?」多岐にわたる若干の不安を感じ
ながら,喘息という,小児で最もポピュラーな慢性疾患と対峙
しなくてはならない現実があると考える.
 しかしながら,主治医が不安を抱いた状態で診療を続けては,
患者・家族が喘息の苦しみから真に解放されることは難しいの
ではなかろうか.
 すでにわれわれは優れた喘息ガイドライン(小児気管支喘息
治療・管理ガイドライン2005)を有している.ところが,ガイ
ドラインに示される内容は教科書的な基本指針である.対して
臨床は,臨機応変な応用力が求められる実践の場であり,適正
な診療を行うためには,両者をうまく結びつけられる触媒的存
在が必要といえよう.
 
 このような状況を顧みて企画されたのが本書である.本書に
はガイドラインのエッセンスが凝縮されており,臨床現場での
実践についても詳細に示されている.ガイドラインを補完して
あまりあると自負する.
 本書は明快で分かりやすい喘息診療実践書であることを心が
けた.治療手段を理解するための論理的背景も示されている.
小児の喘息診療に関する基礎と臨床が幅広く網羅されている.
胎児から成人に至るまでの喘息にかかわる情報と知識,外来か
らICUまであらゆる診療場面をカバーした治療内容を含んでい
る.日頃聞きたくても聞きにくい,日常臨床のちょっとした疑
問点には,専門医による「私の処方箋」がヒントになるだろう
し,診療のこつやミニ情報は「コラム」として示した.
 これらはすべて,臨床の一線で才気煥発にご活躍中の専門家
にご執筆いただいたものである.ページをめくっていただけれ
ば,必ずや本書が皆様の日常の診療のお役に立てるものと確信
している.

2006年10月

東京慈恵会医科大学小児科
勝沼俊雄