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損保・労災認定のための頭部外傷入門診断と治療社 | 書籍詳細:損保・労災認定のための頭部外傷入門

山口クリニック(脳神経外科・神経内科) 院長

山口 三千夫(やまぐち みちお) 著

初版 A5判変型 並製 256頁 2007年06月30日発行

ISBN9784787815620

定価:本体4,500円+税
  

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損保・労災認定の視点から頭部外傷を鮮明に照射し,医師のみ ならず,損保・労災関係者,つまり労働基準監督署の補償関係事 務官,損保傷害保険会社の補償関係者,社労士,弁護士事務所の スタッフなどにとって必要な知識を縦横に料理して呈示.治癒, 疾病先行,相当因果関係,詐病等の用語も詳説.50のミニレクチ ャーも一大特長.

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目次

まえがき

01 補償関係者に必要な頭部外傷の知識
02 外傷性頭蓋内血腫
03 硬膜外血腫
04 急性硬膜下血腫
05 慢性硬膜下血腫
06 頭皮下血腫(帽状腱膜下血腫)
07 びまん性脳軸索損傷(I)
08 びまん性脳軸索損傷(II)
09 脳 挫 傷
10 前頭葉挫傷
11 頭蓋骨骨折と髄液耳漏,および気脳症
12 低体温療法,頭蓋内圧亢進,脳ヘルニア
13 頭部外傷による脳血管障害
14 頭蓋骨形成術と外減圧
15 正常圧水頭症,外傷性脳萎縮
16 外傷性てんかん
17 鞭打ち(損傷)
18 頭部外傷後遺症としての高次脳機能障害
19 大脳の巣症状(大脳皮質の局所症状)と失認
20 低髄液圧性頭痛または髄液減少症
21 労災の業務上の判定
22 損害保険と疾病先行
23 外傷性神経症と詐病

参考文献
索  引
著者プロフィール

Mini lecture――Contents 
頭部外傷の分類とそのポイント
診療録記載の際に役立つポイント
ジェナレリの分類
GCSとJCS
外傷性頭蓋内血腫のポイント
硬膜外血腫のポイント
急性硬膜下血腫のポイント
急性と慢性の違いとは
慢性硬膜下血腫のポイント
頭皮下血腫のポイント
頭皮下血腫で陥りやすい失敗
びまん性脳軸索損傷の特徴とポイント
頭部外傷による脳機能低下のメカニズム
coup injuryとcontre-coup injuryのポイント
前頭葉に関するチェックポイント
前頭葉の特殊な機能に関するポイント
頭蓋底骨折,髄液耳漏,気脳症のポイント
脳ヘルニアのポイント
低体温療法のポイント
頭部外傷による脳血管障害のポイント
頭蓋内圧亢進,外減圧術,
 sinking skin flap syndromeのポイント
水頭症に関する必須知識
正常圧水頭症の症状と診断方法
頭部外傷と関連しない小児水頭症
水頭症の治療
外傷性てんかんのフォローアップのポイント
 服薬を続けることの重要性と行うべき検査
 頭部外傷受傷後2年以内にてんかんが発生することが多い
 いつ抗てんかん薬を中止するのか
 “脳波が読めない医師がほとんど”という事実
Mini lecture――Contents 
 労災の障害認定の場合
てんかん診療で陥りやすい失敗
頸椎捻挫のポイント
高次脳機能障害整理表と障害等級認定のポイント
高次脳機能障害評価のポイント
半盲のポイント
巣症状のポイント
低髄液圧性頭痛のチェックポイント
腰椎穿刺後の頭痛
若い女性に多い特発性の低髄液圧性頭痛
篠永先生らが提唱している,多くは外傷と
 関連のある低髄液圧症候群
髄液減少症があるとしても,ブラッドパッチで
 軽快しなかった場合
業務と災害との間の“相当因果関係”とは
業務と傷病との間の相当因果関係がないと補償されないこと
労災用語の“治癒”は完治状態ではないこと
通勤災害も労災のうち
脳心疾患とは
傷病年金と障害年金の違いとそのポイント
疾病先行
ヒステリー,抑うつを伴う神経症,転換反応のポイント
詐病と,外傷性神経症,身体表現性障害,ヒステリー


【著者プロフィール】

氏  名 山口三千夫(やまぐち みちお)
現  職 山口クリニック(脳神経外科,神経内科)院長
生  年 1938年2月 滋賀県生まれ

学歴および職歴
1962年3月 岐阜県立医科大学(現 岐阜大学医学部)卒業
1962年~63年 京都大学医学部付属病院で医学実地修練
       (インターン)
1963年4月 岐阜県立医科大学第二外科学教室
     (主任 竹友隆雄教授)入局
1967年3月~69年3月 シカゴ大学脳神経外科
           (主任J. P. Evans教授)留学
1970年4月 岐阜大学医学部助手(外科学第二講座)
1970年11月 医学博士学位授与(脳浮腫の生化学的研究)
1972年2月 神戸大学脳神経外科学(主任 松本悟教授)助手
1974年~76年 米国国立衛生研究所(NIH)
       Visiting Associate
1976年~77年 米国シカゴ市Cook County病院脳神経外科
       Clinical Fellow
1977年~78年 神戸大学医学部助手
1979年 神戸大学医学部附属病院脳神経外科講師
1984年4月 神戸大学医療技術短期大学部教授
1994年10月 神戸大学医学部保健学科教授
2001年3月 神戸大学定年退官
2001年5月 西宮市で山口クリニック(脳神経外科,
     神経内科)を開業
     主として頭痛の診療に従事して現在に至る

資  格 医師免許(1963年),日本脳神経外科学会専門医
     (1972年),日本頭痛学会認定頭痛専門医(2005年)

賞 2006年11月 地方労災医療貢献により藍綬褒章授与

専門領域 臨床頭痛学,頭部外傷後遺症の研究
     (特に高次脳機能障害,および外傷性頭痛)

学会活動 日本脳神経外科学会専門医,評議員
     日本頭痛学会認定頭痛専門医,評議員
     国際頭痛学会会員
     日本神経学会近畿地方会評議員

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序文

まえがき

 本書は頭部外傷と,それに関するいろいろなことを,様々な形
で,関連している人たちのために述べてみたものです.ですから
原則的には脳神経外科医または救急外科医のために書かれたもの
ではないともいえるでしょう.もちろん原則ですから脳外科医が
読んでくださってもかまいませんが,読者としては,医師以外の
人たち,まずは補償関係の仕事に従事している損保会社の職員や
労災関係の係官を想定しています.
 もとより,ナース,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨
床心理士,ケースワーカーなどの医療関連業種に働く人や,頭部
外傷に関連する訴訟を取り扱う法律関系の人たちにも,何らかの
お役に立てればと思っています.
 また,誰でも自分や家族が頭部外傷などに遭遇したくないのは
当然ですが,この世に生きていく限り事故にあうのは避けえない
ことでもあります.ですから,もし不幸にして頭部外傷を受けた
場合,患者サイドからいえば,できうる限りベターな対処をして
ほしいと願うのは当たり前でしょう.そのためには,最善の治療
そのものは病院のスタッフによる日夜の努力によってなされるわ
けですが,患者や家族も頭部外傷に関して,その病態や予後につ
いて正しく理解しておくことは大切なことと思われます.患者や
家族が傷病の経過の過程で,治療をする病院関係者に主体的な協
力をすることは,これからの傷病治療の形として望まれるものと
思われます.
 確かに過去においては,医師は“医療者である病院関係者は最
善のことをするから,医学についての素人である患者や家族はす
べてを医師にまかせて,とやかくいわず黙ってついてこい”とい
う父親的な姿勢(いわゆる“パターナリズム”です)でありまし
た.ところが医療は,いよいよ進歩してはいますが,また一方で
は非常に複雑になってきています.そのため,“いいから,まか
せろ”とはいっていられなくなりました.でも,ざっと説明した
ので,患者さんや家族で納得してくださいよ,だからインフォー
ムドコンセントに署名してくださいといえば,それでよいともい
えない事態になりつつあります.
 医療の発展は予想外の情報の複雑化を伴っており,医療サービ
スを受ける側にとっても,また医療者側にとっても,大変な時代
になってしまったともいえます.
 なお,神戸大学の医療短期大学部と保健学科で講義をしてきた
わたしの経験からいえば,要領よく,しかもわかりやすく説明で
きる教師は,事態が十分に理解できている教師であると思われま
す.したがって,状況を理解しやすく,しかも興味をいだいても
らえるように説明できるのも,医療関係者あるいは補償関係者と
して非常に重要な能力であると思われてなりません.
 また,わたしは労災関係のことについて,兵庫労働局管下の多
くの関係者の方々から,本当にいろいろなことを教えていただき
ました.この,貴重な知識も,本書をまとめるにあたって大層役
に立っています.とてもありがたいことであると思っています.
 仕事の関係で,頭部外傷などについてある程度の知識が必要な
人たち,たとえば労働基準監督署の補償関係業務に就いている職
員とか,損保会社にいて補償の仕事をしている人たち,自賠責保
険の損害料率算定の機構に働く人たち,あるいは法律事務所に働
く人たちにとっても,頭部外傷に関するまとまった書物は,是非
出版されるべきであろうと思ってきました.
 そのため,交通事故や労災事故によって発生した頭部外傷につ
いて,そのメカニズム,症状,診断方法,転帰(“最終的な医学
的な結末”という意味)などを,できるだけ理解しやすい形で述
べてみたものです.ですから,この本を読んでいただければ,必
ずや何かのお役に立つものと信じています.
 ただし,本書は決してハウツーものではありません.ここに記
された事柄を基にして,いろいろな場所でのディスカッションが
行われていくことを心から期待しています.大変に欲張りですが,
本書が上梓されることで,社会における,正しい理解に基づく事
態の改善が図られることや,障害の受容へも助けとなること,等
も希望しているところです.
 もとより,本書も決して完全なものではありません.今後とも,
諸方面の方々からの御教示ならびに御叱正をいただきつつ,でき
れば調整,訂正,加筆等を進めていきたいと考えています.
 最後に,本書収載の症例は,個人情報保護の観点から,個々人
が特定できないよう,医学的事実が損われない範囲で適正に変更
を加えてあることをお断りしておきます.

2007年6月
西宮にて 山口三千夫 識