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書籍詳細

診断と治療EXシリーズ

尿沈渣改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:尿沈渣改訂第2版
標本の作製から診断まで

奈良先端科学技術大学院大学 保健管理センター

上田 尚彦(うえだ なおひこ) 監修

大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻医療技術科学分野

今井 宣子(いまい のぶこ) 編集

改訂第2版 B5変形判 並製 104頁 2007年12月20日発行

ISBN9784787816221

定価:本体3,800円+税
  

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「尿は内臓の鏡なり」の言葉どおり,尿沈渣検査から得られる情報は非常に豊富であり,日常診療に欠かせない.単なる尿沈渣アトラスから脱皮して臨床との関連性に重点をおき,種々の病態を把握,評価する能力を養うための指針となる書である.

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目次

1 尿沈渣から得られる情報
A. 尿沈渣からのさまざまな情報
B. 尿沈渣由来の腎・尿路を知る
1. 腎・尿路の解剖  
2. 腎臓 の働き  
C. 尿沈渣の基本的な意義
1. 蛋白尿  
2. 血 尿  
3. 円柱尿  
4. 白血球尿(膿尿)  
5. 上皮細胞  
6. 脂肪体  
7. 結晶成分  
8. 細 菌  
9. 悪性細胞  

2 尿沈渣標本の作製方法
A. 採尿法(採尿の条件と採尿の仕方)
B. 標本の作製
C. 染 色
D. 鏡検の仕方とポイント
E. 注意点
1. 検体は 新鮮尿 であることが原則である  
2. 顕微鏡 は常日頃からよく整備し,適切な状態で使用する  

3 尿沈渣成分の分類・鑑別・表記法
A. 赤血球
B. 白血球
C. 上皮細胞
D. 円 柱
E. 結晶 ・ 塩類
F. 微生物類
G. その他(外来混入物)

4 尿沈渣所見と臨床
A. 糸球体疾患の臨床症候分類
1. 急性腎炎症候群  
2. 急速進行性腎炎症候群  
3. 反復性あるいは 持続性血尿症候群(無症候性血尿・蛋白尿)  
4. 慢性腎炎症候群  
5. ネフローゼ症候群  

B. 腎不全
1. 急性腎不全  
2. 慢性腎不全  
C. 糖尿病性腎症  
D. ループス腎炎
E. 多発性骨髄腫
F. 尿路感染症
1. 膀胱炎  
2. 腎盂腎炎  
G. 痛風腎
H. 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
I. 体位性(起立性)蛋白尿
J. 特発性腎出血
K. 泌尿器科疾患
1. 腎・尿路結石  
2. 悪性腫瘍  
3. 多発性嚢胞腎  
4. 腎移植後  
5. 尿路変更術後の回腸導管尿  
L. 婦人科疾患
1. 子宮癌  
2. トリコモナス腟炎  
M. その他の病態
1. 乳び尿  
2. 黄疸尿(choluria)  
3. 発作性夜間血色素尿症  
4. 白血病  
5. 麻 疹  

5 尿沈渣の成績管理

6 自動化・システム化と将来


  あとがき

索 引

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序文

初版発行以来8年を経過したが,この間,腎疾患の医療分野では大きな変化が生じている.それは“慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)”という概念の出現である(表参照).
慢性腎臓病については,2002年の米国での提案に始まり,わが国でも2004年から日本腎臓学会が,そして現在では全世界的にその取り組みが進んでいる.近年,「慢性腎臓病は末期腎不全や心血管疾患の大きな危険因子である」とする多くの証拠が提出されたことに加え,病態解明の研究成果に基づく治療法の進歩によって「慢性腎臓病には治療法がある」ことが明確になってきており,その対策に注目が集っている.慢性透析患者数はすでに26万人を超え,さらに毎年約1万人前後のペースで増え続けている.今や,国民の500人に1人が透析を受け,透析にかかる医療費は年間1兆円を超える時代を迎えている(国民総医療費約33兆円).
透析予備軍である慢性腎臓病は心血管疾患に大きく関与している.ネフローゼ症候群や透析患者では心血管疾患のリスクが高いことが古くから知られているが,最近ではネフローゼ症候群にならない程度の蛋白尿や,中等度の糸球体濾過量の減少が心血管疾患の危険因子となることが明らかにされている.日本人ではGFR60前後から心血管系イベントのリスクが高まり始めることが明らかで,最近の調査では,GFR50未満の患者数を推計すると480万人がこれに該当する.
心血管疾患に対するメタボリックシンドローム対策の重要性が叫ばれるなか,慢性腎臓病は糖尿病や高血圧症などと同等もしくはそれ以上に強い心血管疾患の危険因子と考えられるようになっているのである.
こうした慢性腎臓病の定義にも,当然のことながら,尿検査が重視されている.今一度,臨床検査の基本である尿検査,そのなかでも尿沈渣がいかに有用であるか,本書でもって再認識していただければ幸いである.

2007年11月
奈良先端科学技術大学院大学 保健管理センター
上田 尚彦