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小児アレルギー診療ブラッシュアップ診断と治療社 | 書籍詳細:小児アレルギー診療ブラッシュアップ

末廣 豊(すえひろ ゆたか) 編集

初版 B5判 並製 152頁 2010年05月15日発行

ISBN9784787817723

定価:本体3,800円+税
  

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小児アレルギー診療ですぐに実践できるコツとポイントを各項2頁構成で読みやすくわかりやすく解説。教科書やガイドラインの一歩先の診療を目指す医師へ向けた1冊。

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目次

小児アレルギー診療ブラッシュアップ
Contents

口絵カラー 
序文   
執筆者一覧   

1わかりやすい説明をするために   
 1.話をよく聴く   
 2.削って,削って   
 3.子どもと話をするために   
 4.ステロイドを嫌がる人に対して   
 5.患者は過小評価をしたがる―よく・軽く思いたい   
 6.母性と父性と―そして学んで変わること   
 7.こういう説明は嫌われる   

2気管支喘息   
 1.原因と治療   
 2.吸入指導のこつ   
 3.どれくらい治るのか?   
 4.どこまでするのか喘息治療   
 5.風邪を引くと喘息は起こる   
 6.長引く咳   
 7.EIA は重症度のいい目安   
 8.聴診のこつ   
 9.肺機能   
 10.パルスオキシメトリー   
 11.Phenotype   
 12.マイコプラズマ感染症   
 13.喉頭・気管・気管支炎   
 14.救急室からみた思春期喘息   

3アトピー性皮膚炎   
 1.原因と治療   
 2.食物アレルギーばかりが原因ではない   
 3.ドライスキン   
 4.掻破   
 5.なぜ痒いか   
 6.掻破行動すべてが痒いからではない
 7.塗り薬が大切   
 8.塗り方の説明が大切   
 9.合併症―水いぼ,黄色ブドウ球菌感染症,ヘルペス,白内障・網膜剥離   
 10.アトピー性皮膚炎とストレス   

4食物アレルギー   
 1.原因と治療   
 2.食べずに待つか,食べて治すか―パラダイムの転換を求められている   
 3.プロバビリティカーブ   
 4.負荷試験   
 5.湿疹は塗り薬でツルツルにしておく   
 6.アナフィラキシー予防のために   
 7.アナフィラキシーのサインと対応   
 8.アレルギー除去食の考え方   
 9.外食の注意事項   
 10.To fear is fear itself   
 11.口腔アレルギー症候群(OAS)   
 12.食物依存性運動誘発アナフィラキシー   
 13.エピペンR のこと   

5アレルギーマーチの予防   
 1.アレルギーマーチとは何か?   
 2.プロバイオティクス   
 3.環境整備   
 4.薬物療法   
 5.皮膚からの感作を予防する   

6 Pros & Cons   
 1.ペット―飼ってもよい/飼ってはいけない   
 2.食物制限―したほうがよい/しないほうがよい   
 3.ICS―したほうがよい/しないほうがよい   
 4.ダニ対策―したほうがよい/してもむだ   
 5.アレルギーは治せるか?―治せる/治せない   

7大切なことを教えてくれた症例   
 症例 1 思春期喘息   
 症例 2 思春期喘息   
 症例 3 幼児喘息の一例   
 症例 4 コメ喘息   
 症例 5 食物アレルギー   
 症例 6 重症乳児アトピー性皮膚炎(AD)   
 症例 7 難治性アトピー性皮膚炎   

ワンポイントアドバイス
 ①学校生活   
 ②はじめて父親になるヤングパパに   
 ③はじめて母親になるヤングママに   
 ④育児に悩む母親に   
 ⑤心配で口出しするじじばばに   


あとがき   
索引(和文・欧文)

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序文

ある疾患がなぜ起こるか,それはもって生まれた素因と環境との相互作用の結果であると説明される.アレルギー疾患は近年増加の一途をたどっている,というとき,ヒトの遺伝子がここ 30 年くらいの間に急速に変化することは考えにくく,むしろ私たちを取り囲む環境が変化しているから,という理屈のほうが説得力がある.結核をはじめとする感染症が減った,エンドトキシンが減った,家屋構造が変わった,室内アレルゲンが増加した,メンタルストレスが増加したことすべてが,アレルギー疾患増加を支持している.それでは,環境を改善すればアレルギーは完治させられるか,否,もって生まれた体質,遺伝子は一生もので,遺伝子治療以外には完治は不可能である.それを根拠に,アレルギーは治らないと,説明される.本当はどうなのか? たとえ遺伝子は変えられなくとも,種々の介入をすることにより,症状をコントロールすることが可能となり,さらにずいぶんと治療をゆるめていけるようになることも事実である.そのためには何が一番必要か?
 信頼関係にあふれた,医療者―患者パートナーシップに基づいた患者自身の自己管理能力こそがすべての源である.患者自身がしっかり頑張ろうと心から目覚めるエネルギーはどこから生まれるのだろうか? 一つは,患者によくなって欲しいと一所懸命説明する医療者の情熱,一つはその医師の熱い思いに応えてくれる患者の存在だろう.お互いが響きあって,研ぎ澄まされ昇華してゆく,その聖域には遺伝子も環境も侵入するのさえ憚られよう.大野晋氏によると,紫式部が千年もの時代を経てなお艶褪せぬ源氏物語を書き終えることができたのは,道長への筆舌尽くし難い熱い思いがあったからだろう,本居宣長が国学を極め得たのは,民さんへの強いエネルギーの故だろうと述べている(大野晋:日本語と私.新潮文庫).私が今日も元気に小児科医でいられるのは,子どもの笑顔に励まされ,ものすごいエネルギーを与えてくれた,重症喘息の,アトピーの,食物アレルギーの子どもと出会ったからである.
 医学でもエビデンスが最優先される時代である.しかしながら,ICS をよくサボる患者には,喘息死もあり得るゾ,と脅かすことが必要であり,リモデリングが進行し治らないと将来を悲観する母親には頑張ればよくなるからと励ます,これが心の通った医療であろう.
 この本は小児アレルギーを同じく専門とする熱い思いの先生に執筆をお願いした.さらにアレルギー診療のブラッシュアップを願う若い先生方の心に響けば幸いである.


大阪府済生会中津病院 小児科,免疫・アレルギーセンター部長
末廣 豊