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知っておきたい腹膜透析実践マニュアル診断と治療社 | 書籍詳細:知っておきたい腹膜透析実践マニュアル

内藤医学研究所

内藤 秀宗(ないとう ひでむね) 編集

札幌北クリニック

大平 整爾(おおひら せいじ) 編集

初版 B5判 並製 202頁 2010年11月01日発行

ISBN9784787818140

定価:本体4,200円+税
  

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腹膜透析の理論から導入,運用,管理,患者指導まで,腹膜透析のすべてを網羅.血液透析や腎移植との関係性にも触れ,腎不全診療全般を総合的に遠望する本格派マニュアル.

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目次

執筆者一覧 
序文   
 ………………………………………内藤秀宗,大平整爾

 第1章 腹膜透析の基本知識 
 1.腎臓の構造・機能と慢性腎臓病・慢性腎不全   
 ………………………………………内藤秀宗,大平整爾
  A 腎臓の位置と構造 
  B 腎臓の血流と循環の特徴 
  C 腎臓の機能 
  D 腎機能の検査法 
  E 慢性腎臓病の病期分類 
  F 慢性腎不全 
 2.腹膜透析の原理   
 ………………………………………山下明泰
  A 膜分離における物理現象の概説 
  B PDのメカニズム 
 3.腹膜透析の種類——IPD,CAPD,CCPD   
 ………………………………………笠井健司
  A PDの種類 
  B PD注・排液法 
  C 系統的なPDの選択 
 4.腹膜透析の種類——PD+HD併用療法   
 ………………………………………友 雅司
  A PD+HD併用療法の変遷 
  B PD+HD併用療法の方法 
  C PD+HD併用療法の溶質除去 
  D PD+HD併用療法の展望と問題点 
 5.腹膜透析液の種類   
 ………………………………………友 雅司
  A 腹膜透析液の種類 
  B 透析液の使い分け 
 6.バッグ交換システムの種類   
 ………………………………………土田健司
  A バッグ交換システム 
  B APD装置 

 第2章 腹膜透析の実際 
 1.保存期患者教育   
 ………………………………………伊丹儀友
  A 腎代替療法についての説明開始時期 
  B 療法選択に関する医学的な説明の概要 
  C 療法選択に関するQOL面からの説明(生活パターン,社会保障,その他留意点など) 
  D 腎代替療法の導入開始時期 
  E 医師と看護師の役割分担 
 2.腹膜透析カテーテル挿入術   
 ………………………………………深澤瑞也,松岡哲平,水口 潤
  A PDカテーテル 
  B 術前評価・処置 
  C 麻酔 
  D 留置術 
  E 挿入術後の処置 
  F 術後合併症 
 3.腹膜透析導入法とその処方   
 ………………………………………中元秀友
  A PD処方の選択と新たな潮流 
  B PD療法の選択 
  C 標準的なPD導入方法 
  D SMAPによるPD導入時の透析処方 
  E 安定期のPD処方の実際 
  F 残存腎機能維持を目的としたPD処方 
  G 導入時に起こるトラブルとその対処方法 
 4.導入期患者教育   
 ………………………………………伊東 稔,政金生人
  A 入院から退院までのクリニカルパス 
  B バッグ交換の指導 
  C 栄養・服薬指導 
  D 体重・血圧測定 
  E 注・排液の観察と注意事項 
 5.腹膜透析患者の外来受診時における管理   
 ………………………………………森石みさき
  A 外来検査項目 
  B 外来診察の手順 
  C 緊急時の対応 
 6.適正透析とその処方のあり方   
 ………………………………………寺脇博之,中山昌明
  A 適正透析とは何か? 
  B 適正透析の基準となる根拠 
  C 根拠の評価:観察研究と介入研究 
  D 数値目標を達成するための透析処方の立て方 
  E 体液過剰とその対策 
 7.栄養管理   
 ………………………………………金澤良枝,中尾俊之
  A 栄養管理のあり方 
  B 食事摂取量の考え方 
  C 食事指導の実際 
  D 栄養評価 

 第3章 感染症・合併症 
 1.感染性合併症   
 ………………………………………武本佳昭
  A 出口部・トンネル感染 
  B CAPD腹膜炎 
 2.感染症以外の合併症の予防と診断・治療   
 ………………………………………武本佳昭,長沼俊秀,吉村力勇
  A カテーテル挿入早期の合併症 
  B カテーテル挿入後期の合併症 
 3.被囊性腹膜硬化症と腹膜透析中止時期決定因子   
 ………………………………………川西秀樹
 被囊性腹膜硬化症 
  A 病態 
  B EPS発症機序 
  C 発症率 
  D 診断 
  E EPS発症リスクとその予知 
  F 予防と治療 
 PD中止時期の決定 
  A 透析量より考えるPD中止時期 
  B PD+HD併用療法でのPD中止時期 
  C 腹膜劣化を基本としたPD中止
 
 第4章 特殊な場合の腹膜透析 
 1.小児腹膜透析の特性   
 ………………………………………中倉兵庫,芦田 明,服部元史
  A 小児の特徴 
  B 小児の透析導入 
  C PDの選択 
  D カテーテル・出口・サイクラー 
  E 適正透析・栄養・腹膜機能 
  F 合併症 
 2.糖尿病患者における腹膜透析の特性   
 ………………………………………馬場園哲也,田中伸枝
  A 糖尿病PD患者における糖・脂質代謝の特性と対策 
  B 糖尿病PDにおける体液管理上の特性 
  C 糖尿病患者のPDにおける腹膜炎 
 3.高齢者腹膜透析の特性   
 ………………………………………平松 信
  A 高齢者の腎不全の特徴 
  B 高齢者の保存期腎不全管理 
  C 高齢者透析の実態 
  D 高齢者における透析療法の選択 
  E 高齢PD患者におけるイコデキストリン透析液(E-elderly) 
  F 高齢PD患者におけるQOL 
  G 1人暮らしの高齢PD患者 
  H 高齢者PDのポイント 

 第5章 知っておきたい問題と情報 
 1.腹膜透析患者に対する腎移植   
 ………………………………………山本裕康
  A 腎移植について 
  B 透析患者と腎移植 
  C 腎移植につなぐ透析療法としてのPD 
  D PD患者に対する腎移植の実際 
 2.腹膜透析患者の薬剤処方   
 ………………………………………太田美由希,平田純生
  A 腎不全患者における薬物動態の変動 
  B PD患者の薬物投与設計 
  C 薬剤の処方・管理上注意を要する点 
 3.長期腹膜透析に伴う問題点——糖代謝・脂質代謝異常,末梢動脈疾患を中心に  
  
 ………………………………………池江亮太,小林修三
  A PDにおける糖代謝・脂質代謝異常 
  B PD患者の末梢動脈疾患 
 4.腹膜透析ガイドライン   
 ………………………………………中山昌明
  A 腹膜透析ガイドラインとは? 
  B ガイドラインが示すPDとは?—「全人的チーム医療」 
  C ガイドライン各論 
 5.腹膜透析療法の展望   
 ………………………………………川口良人
  A 世界のPDと日本のPD 
  B わが国のPD発展のために何を変えればよいのか 
  C PDにおける残存腎機能の重要性 
  D 透析液の問題 
  E 腹膜炎 
  F PD+HD併用療法 
  G 高齢腎不全患者の在宅PD適応と支援 
  H わが国の貢献と将来なすべきこと 
 6.腹膜透析を受ける患者さんに知ってもらいたい情報   
 ………………………………………一宮奈央,伊丹儀友
  A 利用できるサービス 
  B 患者会 
  C 旅行に関して 

索引 

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序文

序 文


 日本透析医学会の統計調査によると,2009年12月末現在,わが国には約29万人の維持透析患者が存在している.2008年12月末に比較して約8,000人の増加となる.維持透析患者の増加率は逓減しているが,総数としては依然プラトーに達していないことがわかる.
 腹膜透析単独患者数は2009年12月末現在,9,856人で全体の3.4%に該当する.腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)と血液透析(hemodialysis:HD)または血液透析濾過(hemodiafiltration:HDF)とを併用している患者数が1,699人であることは注目に値する.いずれにせよHDが96.6%を占めており,HDが著しく優勢な状況はこのところ継続している.PDを施行している医療機関の種別比率は,大学病院20.0%・公立病院43.3%・私立病院26.8%・私立診療所9.9%であり,各種病院がPD患者の90.1%を治療していることになる.この点は,HD患者が私立医療機関で85%(私立病院32.8%・私立診療所52.2%)治療されている状況ときわめて対照的である.このような情勢の裏面に,PDの普及を阻む何かが隠されている可能性が大きいのではないか.
 腎代替療法におけるHDとPDは「二者択一」を強いられるべきものではなく,1人の末期慢性腎不全患者の病態,社会的・家庭内環境,仕事の種類,活動度などでいずれかが選択されてよいのであろう.しかし,PDの療法上の優れた諸点が,医療者にも患者や家族にも十分に理解されていない傾向にあることは否めない.確かにPDは,腹膜機能の経年的劣化のために腎代替療法として「先発完投型」ではなく,開始後も絶えず腹膜機能を把握しながら,その継続か中止かを慎重に検討していかなければならない.しかし,腹膜機能がある程度低下したすべての患者が完全にHDへ移行せずに,併用療法を選択する患者がいるのはなぜなのだろうか.継続してきたPDに捨てきれない何かがあると推測するのである.
 個々の施設に得手不手があることはやむを得ないが,腎代替療法の選択に際して,当該患者にその時点で最適な療法を患者とともに医療者が考えて選択作業を行うためには,HD・PD・腎移植の過不足のない知識を習得することが肝要であろう.
 このような観点から本書は企画され,PD全般にわたる基礎知識を網羅し,これらを経験豊富なエキスパートに簡潔かつ実務的に執筆していただいた.
 現在,PD患者を診ている透析スタッフはむろんその知識の再確認や向上のために,また,望むらくは現在は診ていない透析スタッフにも,治療の幅を広げるためにぜひ本書をひもといていただきたい.

 2010年10月
内藤秀宗,大平整爾