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書籍詳細

腎動脈ステント留置術ハンドブック診断と治療社 | 書籍詳細:腎動脈ステント留置術ハンドブック

小倉記念病院循環器科部長

横井 宏佳(よこい ひろよし) 編集

初版 B5判 並製 144頁 2010年12月15日発行

ISBN9784787818164

定価:本体4,800円+税
  

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高血圧や腎機能の悪化を誘発する腎動脈狭窄症の治療法として普及が予想される腎動脈用ステント留置術の基礎知識はもとより,写真・図表を多用して手技や症例などを分かりやすく解説.

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目次

執筆者一覧  
序文  

基礎編
 1.腎動脈ステント留置術のエビデンスとガイドライン /横井宏佳
 2.腎動脈の解剖と生理 /伊藤貞嘉
 3.腎動脈狭窄症とは /宇津 貴
 4.腎動脈狭窄を疑うべき所見 /増冨智弘,藤田浩志,木村玄次郎
 5.腎動脈狭窄症の診断 /阿部倫明,田熊淑男

実践編
 1.腎動脈ステント留置術の適応と禁忌 /中村正人
 2.画像診断 /吉川公彦,平井都始子
 3.使用器具 /山下武廣
 4.周術期管理 /山下武廣
 5.標準手技 /横井良明
 6.術後の管理 /中村正人
 7.看護管理 /曽我芳光
 8.コメディカルの役割 /宮下裕介

症例編
 1.急性大動脈解離に合併した腎動脈解離にステント留置が有効であった一例
/宮本 明,福田正浩
 2.慢性心不全増悪を繰り返す腎障害合併腎動脈狭窄症 /原田 敬
 3.心不全とACE阻害薬により腎機能障害を起こした腎血管性高血圧症に対し
PTRAS(腎動脈拡張術+ステント挿入術)を施行した症例 /阿部高明
 4.偽腔開存型急性大動脈解離(DeBakey III b)に伴う両側腎動脈狭窄により,
降圧治療に難渋した症例 /浦川知子
 5. Should we treat incidental renal artery stenosis? /山下武廣
 6.治療抵抗性高血圧の片側性腎動脈狭窄症 /横井良明
 7.急性腎不全に対する緊急PTRAの一例 /中村正人
 8.腎動脈形成術中に遠位保護が有効であった一例 /宮下裕介

索引

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序文

● 序  文 ●

 粥状動脈硬化,繊維筋性異形成が原因で生じる腎動脈狭窄症は慢性腎臓虚血や心血管イベントを生じ,死亡率を増加させることが知られている.血行再建術は腎機能を保持し,高血圧を治療し,心血管イベントリスクを低下させることを目的としている.腎動脈狭窄症に対する最初のバルーンによる血行再建術はPCIの開始と同じ年である1977年に,PCIの創始者であるGruentzighよって行われた.経皮的インターベンションは外科的バイパス手術に比較して低侵襲であり血行再建術の中心的役割を担っているが,腎動脈狭窄症に対する血行再建も冠動脈,下肢動脈,頸動脈と同様にインターベンションが重要な位置を占めている.治療デバイスはこの10年間で非常に進化し,安全に確実に初期成功が得られようになった.特にわが国では2009年より米国に先駆けて,腎動脈専用のステントが承認され,より低侵襲に治療が可能となり腎動脈インターベンションが増加している.難治性悪性高血圧患者の血圧を低下させ,血液透析を余儀なくされていた進行性腎機能低下を改善し,反復性心不全による入院が不要となるこの治療は,カテーテル治療に携わる臨床医に大きなやりがいを感じさせている.
 しかし,腎動脈狭窄症患者は大動脈から重度の粥状動脈硬化を合併することが多く,カテーテル操作に熟練していなければ合併症は致死的なイベントを生じる危険もある.また,腎機能低下を合併することも少なくなく腎臓保護に関する知識も要求される.欧米では2000年代始めより循環器医を中心に積極的に施行されてきた腎動脈インターベンションの効果に対して懐疑的なエビデンスが報告され,血行再建術に適した患者,病変の検出,狭窄の判定基準,ステント,末梢塞栓予防器具の役割,心血管イベント抑制効果,腎機能保持効果の程度などが議論されている.
 このようなわが国の状況の中で,腎動脈ステント留置術の適応,治療の実際を詳しく記した実践的な書物が必要と思い本書を企画した.わが国における,この領域に造詣が深く,実際に腎動脈ステント留置術に携わっている循環器科,腎臓内科,放射線科の先生に御執筆を依頼し,快く引き受けていただいた.本書が腎動脈ステントのわが国における安全で適切な普及に貢献できればこのうえない幸せである.

2010年11月
                   小倉記念病院循環器科部長 横井宏佳