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書籍詳細

新・糖尿病臨床入門診断と治療社 | 書籍詳細:新・糖尿病臨床入門

社会医療法人財団慈泉会相澤病院糖尿病センター顧問

相澤 徹(あいざわ とおる) 著

初版 B5判 並製 152頁 2011年08月01日発行

ISBN9784787818898

定価:本体3,500円+税
  

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糖尿病患者の急増に伴い,非専門医も糖尿病患者を診る機会の多くなった現在,これから糖尿病を学ぼうとする研修医や実地医家のために明快に解説した入門書.
改訂版から6年が経過し,続々発表される糖尿病の病因,治療,予後などの新知見や診断基準の見直しに基づき新版として全面改訂した.「不安定期の糖尿病治療」の章を新たに追加,糖尿病臨床初期研修カリキュラムも掲載し,内容を充実するとともに到達度自己チェックにも役立てられるよう工夫した.

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目次

第 1 章 糖尿病臨床の do と do not
A.共通の理念に基づいた個別性
B.十分な説明と本人の納得   
C.治療開始時の説明   
D.長期予後を視野に入れた疾患管理/バトンタッチの思想   
E.指導でなく援助の視点   
F.チーム医療と主治医の関係──
  糖尿病専門医とかかりつけ医のバランス

第 2 章 糖尿病の診断と評価   
A.糖尿病の疾患概念   
B.糖尿病のトリアージ   
C.糖尿病があるか否かについての診断   
 1.どのような患者で糖尿病の存在を疑うか 
  a.無症状の場合 
  b.糖尿病を疑う自覚症状 
 2.糖尿病があるか否かを判断する具体的な手順 
D.病歴上の注意点   
 1.主 訴 
  a.高血糖の自覚症状 
  b.合併症による自覚症状 
 2.現病歴 
  a.流れを視野に入れた病歴 
 3.家族歴 
 4.既往歴 
  a.体重の変遷 
  b.生活習慣 
  c.高血圧,脂質代謝異常 
  d.薬剤歴
 5.特殊型
E.身体診察での注意点
 1.糖尿病全般について 
  a.角膜
  b.脈 
  c.血圧 
  d.口腔内 
  e.甲状腺腫/皮膚の湿潤/頻脈/手指振戦
  f.腹部
  g.下肢 
 2.二次性糖尿病 
F.糖尿病の病型診断   
 1.病型診断の実際
  a.自己免疫の指標
  b.β細胞機能
  c.特殊型の診断
  d.筆者の提唱する糖尿病の病型分類
G.臨床病期分類─重症度の判断  
 1.標準的な病期分類
 2.筆者の考える糖尿病の病期分類(G-C 分類)
  a.高血糖(代謝失調)の程度からみた分類─ G 分類
  b.糖尿病合併症の程度からみた分類─ C 分類
  c.総合判断
H.糖尿病の評価に必要な検査 
 1.血糖値
  a.食後(随時)血糖
  b.空腹時血糖
  c.血糖の日内変動
  d.HbA1c
  e.その他の血糖コントロール指標
  f.尿糖
  g.筆者が日常行っている実際的なアプローチ 
 2.インスリン分泌能
  a.75 g OGTT 
  b.尿中 CPR
 3.インスリン抵抗性と感受性
 4.糖尿病関連自己抗体
  a.抗 GAD 抗体
  b.インスリン自己抗体
  c.抗 IA2 抗体
 5.HLA 
I.糖尿病患者の入院適応  
J.社会医学的評価など 

第 3 章 急性代謝失調の診断と治療  
A.診 断  
 1.急性代謝失調を疑う状態
 2.急性代謝失調の鑑別点
  a.臨床検査
  b.併発している糖尿病以外の疾患
B.治 療 
 1.輸液の選択 
 2.輸液量 
 3.インスリン
 4.ある程度血糖が下がったら
 5.電解質の補正 
 6.HHS の治療
C.急性代謝失調に準ずる状態 

第 4 章 不安定期の糖尿病治療  
A. 糖尿病管理の具体策─何を知りどう対応するか   
 1.栄養摂取(補給)に合わせたインスリン投与 
  a.経口摂取している患者 
  b.経口摂取ができずに経静脈的に栄養補給が行われている患者 
  c.急な手術が必要で著しい高血糖(350 mg/dL 以上)の患者─急速な血糖管理が必要な患者─ 
 2.目標とする血糖値 
 3.インスリン投与量 
  a.規則的に経口摂取している患者
  b.不規則な経口摂取の患者
  c.経口摂取ができずに経静脈的に栄養補給が行われている患者
  d.急な手術が必要で著しい高血糖(350 mg/dL 以上)の患者
  ─急速な血糖管理が必要な患者─ 
 4.その他の調整事項

第 5 章 慢性期の糖尿病治療  
A.血糖コントロール  
 1.治療計画の立案 
  a.血糖コントロール目標の設定
 2.血糖コントロールの速度について
 3.血糖自己測定(self-monitoring of blood glucose:SMBG)
B.非薬物療法   
 1.食事療法 
  a.食事療法の意義 
  b.食事療法の実際
  c.糖尿病で食べてはいけないものがあるか 
  d.食塩と脂質 
 2.運動療法
  a.運動療法の意義
  b.運動療法の実際
  c.運動の禁忌
C.薬物療法  
 1.経口血糖降下薬
  a.インスリン分泌促進薬
  b.インスリン抵抗性改善薬
  c.その他の薬剤
  d.異なった種類の経口薬の併用
  e.糖尿病治療薬の副作用
  f.経口血糖降下薬使用の実際
 2.インスリン 
  a.インスリン注射の考え方
  b.インスリン注射の適応
  c.インスリンの種類と使用法
  d.インスリン注射の実際 
  e.インスリンと経口薬の併用
 3.GLP-1 誘導体(リラグルチド)とエクセナチド

第 6 章 合併症の診断と治療   
A.ミクロアンギオパチー 
 1.眼 症
  a.糖尿病網膜症と白内障 
  b.治療 
 2.腎 症 
  a.臨床診断
  b.自覚症状 
  c.腎症の評価 
  d.腎生検 
  e.治療
 3.神経障害 
  a.診断 
  b.治療 
 4.壊 疽 
B.マクロアンギオパチー  
 1.自覚症状
 2.身体所見
 3.検査所見
 4.治 療 

第 7 章 境界型高血糖 
A.病 態  
B.臨床的な問題点   
 1.糖尿病への移行
 2.糖尿病への移行以外の問題点

第 8 章 高血圧と脂質代謝異常  
A.高血圧  
 1.二次性高血圧を疑うべき徴候 
  a.クッシング症候群
  b.褐色細胞腫
  c.アルドステロン症と腎血管性高血圧症
  d.先端巨大症
 2.治 療
  a.降圧の目標値
  b.非薬物療法
  c.薬物療法 
B.脂質代謝異常  
 1.インスリンの脂肪代謝への作用
 2.著しいインスリン欠乏状態での脂質代謝異常 
 3.2 型糖尿病での 脂質代謝異常 
 4.脂質代謝異常の診断と治療
  a.脂質代謝異常の評価 
  b.治療

第 9 章 特殊な問題  
A.外科手術  
B.妊娠   
C.感染症   
D.暁現象とソモジー現象   
E.シックデイ   

第 10 章 低血糖  
A.低血糖と考えるべき血糖値   
B.自覚症状   
C.メカニズム   
D.低血糖の診断と治療   
 1.診 断 
 2.治 療 
  a.当面の処置 
  b.低血糖の原因解明と予防 

第 11 章 糖尿病の発症メカニズムとブドウ糖毒性  
A.糖尿病の発症メカニズム   
 1.ブドウ糖の流れとその調節因子としてのインスリン
  a.臓器レベルでの糖の流れ:インスリン依存性の糖の流れと
  インスリン非依存性の糖の流れ 
  b.細胞内でのブドウ糖の流れとインスリンによるその調節
 2.マクロ的な糖尿病の発症原因 
 3.インスリン不足とインスリン抵抗性 
  a.インスリン不足 
  b.インスリン抵抗性 
B.ブドウ糖毒性  
 1.ブドウ糖毒性が生ずる可能性のある血糖レベル 
 2.ブドウ糖毒性と糖尿病臨床

第 12 章 将来への期待―糖尿病の合併症を過去形で語る
     時代をめざして―  
A.糖代謝異常の早期診断と早期介入  
 1.境界型への介入(糖尿病の一次予防)
 2.糖尿病発症初期の介入(糖尿病の二次予防)
B.新たな治療手段の開発  
 1.薬 剤 
 2.食事療法 
C.新たな機器   
 1.非観血的血糖モニター
D.遺伝子   

付録 糖尿病臨床初期研修カリキュラム  
   初期研修医 内科(糖尿病)CSA(clinical skills assessment)
   初期研修 内科 糖尿病 到達度チェック
    MCQ(multiple choice question)

索 引   

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序文

「新・糖尿病臨床入門」の序

 本書の初版を執筆してから 11 年が経過した.糖尿病臨床が明確に beyond glucose の時代に入ったことへの思いを込めて,タイトルを「新・糖尿病臨床入門」とした.研修医の方々には「糖尿病の合併症を過去形で語る時代」を視野に入れ,特に第 1 章を critical に読んでもらいたい.糖尿病臨床は血糖管理ではない.How to と Why のバランスに留意して,筆者自身の考えをその旨断ったうえで随所に記載した.本書の利用方法も参考に本書のような手軽な本を入り口として,是非以下に挙げた分厚い教科書も読み進んで,専門医を目指してさらに知識を深めていただきたい.簡便な糖尿病管理の手引きとして,日本糖尿病学会編の小書も参考にあげておく.改訂にあたっての相澤病院山内恵史先生,舩瀬芳子先生,信州大学駒津光久教授の御校閲,診断と治療社の田阪真理子氏,荻上文夫氏の御力添えに深謝する.

2011 年 6 月
著者



「糖尿病臨床入門」初版の序

 本書は臨床糖尿病学への入門書である.21 世紀の間に,是非糖尿病の重篤な合併症について医学書に過去形で記載される日が訪れることを強く期待するが,その目標の達成には,当面糖尿病の臨床と研究の領域に新しく足を踏み入れる医師,研究者,コ・メディカルが増えて,糖尿病学が発展することが不可欠である.本書の読者としては,主として糖尿病臨床の現場でこれから糖尿病について勉強してゆこうとする研修医や一般内科医の方々を意識している.そして本書は,いわゆる教科書的な順を踏んだ構成ではなく,筆者自身がこれまで糖尿病の専門医を目指して勉強してきた過程をなぞるような構成となっている.
 執筆にあたっては,筆者自身が重要と考える事項を筆者の視点で書き綴った.また臨床医は,エビデンスが確立していない多くの事柄に対しても,当然ながら自らの責任で決断を迫られる.こうしたことを踏まえて,本書では確立した見解を羅列するだけでなく,筆者自身の考えをその旨断ったうえで随所に記載した.また,現在の糖尿病治療は決して完全とはいえない.そこで,筆者の実地臨床上での迷いも記したつもりである.そのことで,筆者自身が糖尿病という極めて多面的な疾患をどのように捉えているか,という切り口をできるだけ明快に示し,具体的な手がかりを示すことを望んだ.読者の方々が是非本書の内容を踏み台にして,糖尿病学の本質をきわめるべく志を高くもってさらに努力してゆかれんことを願っている.
 糖尿病については多くの研究者の共同執筆になる確立した教科書がある.特に筆者が優れていると考える教科書を下記に列挙(第 3 版改訂時削除)しておくので,糖尿病を本格的に学ぶ志を立てた方は,本書のような手軽な本を入り口として,是非こうした分厚い教科書も折に触れて読み進んで,さらに知識を深めていただきたい.また非常に簡便な糖尿病管理の手引きとしては,日本糖尿病学会編の小書がよくまとまっているのでこれも参考にあげておく.本書では,血糖値という言葉はことわりのない限り静脈血漿ブドウ糖(plasma glucose)濃度という意味で用いた.
 本書の執筆にあたっては,信州大学老年医学教室駒津光久先生,山内恵史先生,更埴中央病院片倉正文先生に critical な,しかし建設的で極めて適切な助言を頂き,また信州大学老年医学教室橋爪潔志教授にも御校閲を頂いた.また片倉先生と山田隆司先生(信州大学老年医学教室前教授)には貴重なデータも御提供頂いた.また筆者の佐久市立国保浅間総合病院での臨床経験,なかんずく吉澤國雄先生に教えて頂いた糖尿病/内科臨床におけるスピリットは本書の基調をなしている.こうした多くの方々のお力添えと御指導に心から感謝する次第である.また診断と治療社の久次武司,小池さつき両氏の励ましと御助力にも深謝したい.

2000 年 4 月
著者