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書籍詳細

小児アレルギー診療 コメディカルとともに診断と治療社 | 書籍詳細:小児アレルギー診療 コメディカルとともに

大阪府済生会中津病院 小児科,免疫・アレルギーセンター 部長

末廣 豊(すえひろ ゆたか) 編集

初版 B5判 並製 152頁 2012年09月20日発行

ISBN9784787819772

定価:本体2,800円+税
  

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アレルギー専門医に看護師,アレルギーエデュケーター,臨床心理士,薬剤師,学校教諭から患者まで,小児のアレルギーに関わる様々な立場の執筆者による実践の書.基本的知識のアップデートはもちろん,アレルギー教室の具体的運営方法やコメディカルの育成・協働の実際,患者・患者団体からの提案など,教科書では学べないワザとコツ満載の,チーム医療の“現場”に活かせる一冊.高評既刊,『小児アレルギー診療 ブラッシュアップ』の姉妹本.

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目次

はじめに /末廣 豊
執筆者一覧

1章 基礎編
 1.新しい時代のチーム医療を目指して /足立壯一
 2.アドヒアランスを高めるために /楠  隆
 3.コメディカルの役割 /赤澤 晃
 4.アレルギーエデュケーターへの期待 /及川郁子
 5.アレルギーエデュケーターに何ができるか? /益子育代
 6.アレルギーエデュケーターは医療にどう貢献するか? /小田嶋 博

2章 わかりやすい説明をするために
 1.言葉の説明に気をつけよう
  ①喘息とは? /末廣 豊
  ②アトピー性皮膚炎とは? /末廣 豊
 2.喘息
  ①なぜ起こる? /南部光彦
  ②どうやって治すの? /吸入療法 /住本真一
  ③患者指導のポイント /亀崎佐織
  ④家族の不安と母親への指導 /末廣 豊
 3.アトピー性皮膚炎
  ①なぜ起こる? /南部光彦
  ②どうやって治すの? うまく塗るには /住本真一
  ③患者指導のポイント /亀崎佐織
  ④家族の不安と母親への指導 /末廣 豊

3章 実践編
 1.アレルギー教室の実際
  ① 喘息教室 1 /西紋悠子
  ② アトピー教室 /林 奈津子
  ③ 喘息教室 2 /南部光彦
  ④ 喘息キャンプ /村上洋子
  ⑤ アレルギー教室を開催するには /亀崎佐織
  ⑥ アトピー教室ならではのワザとコツ /末廣 豊
  ⑦ 患児・保護者への指導アプローチ /亀崎佐織

 2.コメディカルによる患者支援
  ① アドヒアランス向上のための行動科学的患者教育 /大矢幸弘
  ② セルフケア能力向上のために /金子恵美,井手野由美子,岩永知秋
  ③ 子ども・家族とのパートナーシップ /浅野みどり
  ④ 管理者の立場から見たエデュケーターの活用 /井手野由美子
  ⑤ 臨床心理士の立場から―病気や治療について,話すことと聴くこと― /花村香葉
  ⑥ 薬剤師の立場から―薬と上手につきあってもらうために― /嶋津史恵
  ⑦ 教諭の立場から―医療と教育の連携― /才田あゆみ
  ⑧ 学校におけるアレルギー疾患への対応 /有賀玲子
  ⑨ 開業医の立場から―保育所・幼稚園・学校との連携― /亀崎佐織

 3.患者の立場から
  ① チーム医療の一員として,社会資源として,患者会のはたす役割 /栗山真理子
  ② 受容と共感,希望がもてる励ましを /園部まり子
  ③ 喘息から学ぶ /松並百合愛,松並英世

4章 トピックス
 1.プリパレーション /住本真一
 2.古くて新しい環境整備 /南部光彦
 3.病診連携,開業医にできること /亀崎佐織
 4.shared treatment decision making (SDM)について /楠  隆

5章 禅問答
  咳嗽/痒みと搔破 /末廣 豊

鼎談「今,何が一番問題か?」 /末廣 豊,亀崎佐織,住本真一,南部光彦
索引
おわりに /末廣 豊


COLUMN
アドヒアランス向上へ ― 私の工夫 /末廣 豊
アドヒアランス向上へ ― 私の工夫 /亀崎佐織
アドヒアランス向上へ ― 私の工夫 /住本真一
アドヒアランス向上へ ― 私の工夫 /南部光彦
感動の一言「親には大変迷惑をかけました」 /末廣 豊
アトピー性皮膚炎 ― 子どものストレス /亀崎佐織
お母さんたちの一言一言 住本真一
アレルギー教室でのうれしい一言 /南部光彦
教育入院の実際 /末廣 豊
食物負荷試験 ― 新しい連携 /亀崎佐織


*本書では原則“気管支喘息”を“喘息”と表記しています

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序文

 アレルギー疾患に関するガイドラインが整備され,標準的な治療が受けやすくなったためか,重症の喘息発作や重症のアトピー性皮膚炎は減少してきているように感じます.ところが学童のアレルギー疾患の有症率をみてみると,アトピー性皮膚炎は少し頭打ちの感はありますが,他のアレルギー疾患,すなわち,喘息,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,花粉症は今なお増加し続けており,学童の約半数は何らかのアレルギー疾患を有しています.学童の喘息発作入院は減少傾向にありますが,乳幼児喘息の入院患者数は増加していますし,学童での運動誘発喘息は約半数でみられると報告されています.また,3歳児のいる家庭での父親の喫煙率は約20%に減少してきましたが,母親の喫煙率は約10%と,減少していません.「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012」では,喘息コントロール状態の基準が導入されましたが,すべての項目についてコントロール良好な患者さんをどれだけ増やせるかは,今後の大きな課題でしょう.

 患者さんたちが医療情報をどこで得ているのかを聞くと,以前は「診察室で」と答える割合が高かったのですが,最近は「インターネットで」と答える割合が増加しています.しかし,氾濫する情報に戸惑う患者さんが多いのも事実です.「正しい情報をいかにわかりやすく効果的に伝えるか」,なお課題が多いといえます.また,ステロイド外用薬を塗りたくない,吸入ステロイド薬による抗炎症治療に消極的である,アドヒアランスが向上しない,自己管理ができない,といった患者さんが多いのは昔と変わりません.こういった患者さんのアドヒアランスを高く維持するには,「医療と患者間の信頼関係」と「わかりやすい説明」が絶対に欠かせません.これらの問題に立ち向かい,患者・家族を支えながら十分な治療を実践していくためには,医師とともに協働できるコメディカルの力が必要です.

 本書は,『小児アレルギー診療 ブラッシュアップ』(2010年,診断と治療社)の姉妹編として企画しました.前書の読者対象が医師だったのに対し,本書は医師だけでなくコメディカル・スタッフも対象としました.医療現場でチーム医療の重要性が叫ばれ出してすでに久しく,治療の質の向上,患者満足度の充足という点ではそれなりに成果をあげてきました.しかし,治療効果をあげるためには患者教育が欠かせず,それには医師や限られたスタッフだけよりも,多職種がそれぞれの立場から特色を活かしたかかわり方をするほうが,より質の高い患者教育が行え,より高い効果が期待できます.それは,音楽にたとえればソロよりもデュエット,トリオ,カルテット,クインテット,さらにはシンフォニーへと響きが重厚さを増すのに似ています.

 食物アレルギーについてはすでに様々なテキストが刊行されているので,本書は喘息とアトピー性皮膚炎についての内容に絞り,医師や看護師,アレルギーエデュケーター,薬剤師,臨床心理士,学校教諭など,小児アレルギーにかかわる様々な職種の方々にご執筆いただきました.また,教科書的な内容は他書に譲り,アレルギー教室運営,チーム医療,コメディカルの育成についてなど,現場で活用いただける内容を目指しました.
 本書が,多くのコメディカルの方々にとって,わかりやすい説明とチーム医療の実践に活かせる一冊となりますことを,心から願っています.

 2012年8月吉日
末廣 豊