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知って安心!食物アレルギー診断と治療社 | 書籍詳細:知って安心!食物アレルギー
―診療室からのメッセージ―

佐守小児科

佐守 友仁(さもり ともじ) 著

初版 A5判 並製 170頁 2013年01月07日発行

ISBN9784787819987

定価:本体1,900円+税
  

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著者の豊富なアレルギー診療の経験の中から,食物アレルギーの基本知識や最新情報,また適切な食品の選び方や食事方法について,家族や子どもに語りかけるようなわかりやすさで解説したマニュアル.

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目次

はじめに

A 食物アレルギー治療の歴史─変わったこと,変わらないこと,
私の基本的な考え
何を食べさせたらいいの? /「三大アレルゲン」時代 /食物日誌は必需品! /回転食療法は治療の基本? /「これも食べられる」を探していく「選択食」へ /「抗原強弱表」・「選択回転食」はエビデンスがない? /昨日の治療は,明日には古いもの /それでも「抗原強弱表」は必要か? /仮性アレルゲンは関係ない? 

B 最近の食物アレルギー事情
原因はますます複雑化し,重症・難治化の傾向 /血液検査の結果のみで判断してはダメ /食物アレルギーは「かくれ型」が多い /即時型の要因では圧倒的に「卵」が多い 

C おさらいしておこう!─食物アレルギーの基本
食物アレルギーの定義と食物による不利益な反応の分類 /アレルギー反応の分類 

D アナフィラキシーのABC─子どもの症状急変であわてないために
アナフィラキシーとは何か /新しいタイプの食物アレルギー /食物アレルギーによるアナフィラキシーの対処の実際 /アナフィラキシーを起こしてしまったら─緊急時の対処法 

E 0~3歳くらい─この時期の特徴と注意点
軽い子から重い子まで症状は様々 /この時期のアレルギーの特徴 /食事で何に気をつけたらいいのか /原因・症状がある程度定まる 

F 食物アレルギーはこのように検査・診断します
皮膚試験 /IgE抗体試験─血液検査 /最新の検査─ヒスタミン遊離試験(Histamine Release Test:HRT) 

G 診断の重要なツールです─食物日誌
献立の偏りも見抜ける食物日誌 /何をどう書き込めばよいのか─食物日誌に書き込むこと,つけ方のコツ /3か月間で貴重な財産になること間違いなし! /食物日誌の実例

H 食物アレルギーの治療の基本!─食事療法
食事療法のポイント /原因食物ごとの注意点 

I いつまで続けるの?─除去食の解除について
解除時期の決定 

J 塗り薬をじょうずに使おう─何をどう塗り,医師との
コミュニケーションをどうするか
皮膚炎の病態に応じた療法を /外用薬の種類とメリット,デメリット /ステロイド外用薬を含む外用療法の実際 /ステロイド外用薬の副作用とリバウンド現象 /タクロリムス軟膏(プロトピックR軟膏) /その他の外用薬 

K アトピー性皮膚炎の最新治療─プロアクティブ療法
プロアクティブ療法 /ステロイドに不安をもつ患者さん(保護者の方)に言いたいこと 

L おっぱいの話
母乳が一番 /いいおっぱいを出すためにはどうするか? /母乳とアレルギー /食物アレルギーと確定した場合の母乳栄養のあり方

M 離乳食の進め方─このピットホールに気をつけて!
魚卵,しらす,ちりめんじゃこなどの小魚 /たら・さけなど特によく使われている魚類 /ほうれんそう,トマト /じゃがいも,片栗粉 /バナナ,キウイ,マンゴー(南国系果実) /きな粉 /ごま /ピーナッツ(落花生) /牛乳・乳製品,卵・卵製品 /離乳の支援のポイント 

N いつまでも最新! 「食べんほうがええもん」番付
ここだけ大阪弁で説明させてもらいまっさ!

O 私の二つの指導ツール─食物抗原強弱表と旬の魚の抗原強弱表
利用の仕方 /利用するときに気をつけること

P 正しい「アレルギー対応食品」の選び方
アレルギー対応食品を選ぶときの注意点 

Q 食品添加物編「食べんほうがええもん」探し
食品添加物で発症するのはアレルギー? それとも過敏症? /食品衛生法からみた食品添加物 /食品添加物の表示基準について /一括名と添加物の例 /食品表示からはわからない,影の添加物 /あなたの食材選びの目安に加えてほしい食品表示 /過敏症を起こす食品添加物の種類と症状 

R ここを押さえておこう!─食品のアレルギーの表示について
やっと進んできた加工食品のアレルギー表示 /すべてに表示されているわけじゃない /アレルギー物質の混入の危険性はある /ごく微量でも表示されてしまう弊害もある /「個別で表示」「一括で表示」の2種類─省略規定の裏技もあり /わかりにくい表示にはこんな場合もあります 

S 暮らしの工夫─今日からできる,あんなことこんなこと
衣類と寝具について /子どもの皮膚にやさしい居住空間づくりを 

T スキンケアの話─入浴,洗浄,保湿
スキンケアの基本は「やさしく洗浄」および「しっとり保湿」 /低刺激性の洗浄剤とは何か? /保湿薬 

U 食物アレルギーをもつ子の予防接種─何に気をつければいいの?
卵アレルギー /牛乳アレルギー /ゼラチン 

V 子どもに楽しい園・学校生活を!─入園・入学前の準備がカギ
「間違いと混乱」があって当たり前 /入園・入学前に準備するべきこと /より理解を深めるためにすべきこと /何かが起こってしまったら!


Column

見えないところで口にすることも増える─隠れ食い
吸入抗原・接触抗原としての小麦アレルギー
TARCについて
教えて! 佐守先生─アトピーQ&A
何を食べさせたらいいのかわからなくなったとき─ある日の管理栄養士さんと
 お母さん(離乳食中期)との会話
「一日30食品を目標」とよく言われていましたが
色つきの薬の話
受動喫煙を回避しよう

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序文

はじめに
 
 私たちアレルギー専門医や各医療機関では食物アレルギーをもつ患者さんに対して,様々な方法で食物アレルギーを診断し,多くの患者さんの治療と食事指導を行ってきました.この二十数年間,日本全国の先生方がそれぞれ工夫をされたり,私たち関西圏では兵庫食物アレルギー研究会や大阪食物アレルギー懇話会などで各科の専門医が集まり,全国各地の先生をお呼びしてお話を聞いたり,月1回の会合を開いて意見交換・情報交換を積み重ね,「あっちでこんなこと,こっちであんなこと,あそこであんないいこと」と,なんとかよりよい方法はないかと,みんなで力をあわせてきました.
 私が十数年前に農山漁村文化協会から『がんばろや!お母さん アトピー 増やしていこう「食べてもいいもの」』『アレルギーっ子の入園・入学安心マニュアル─給食,体育,あそびから緊急時の対応まで─』を出版してから,「食物アレルギー」をとりまく環境は激変しました.
 まず,皮膚科と小児科の意見の統合が行われたのは,大変喜ばしいことです.
 そして,各学会・研究団体からいわゆる「ガイドライン」「ガイドブック」なるものが次々と表されました.それは食物アレルギーとアトピーに関するものだけでもたくさんあります.これらの本が今までうやむやになっていたことや,よ~くわからなかったこと,「なんとか統一した見解があったらいいのにな~」などといった,臨床最前線の医師たちの悩みを解決していく手助けとなりました.

●日本アレルギー学会から
『アレルギー疾患診断・治療ガイドライン 2010』(協和企画,2010)
『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2009』(協和企画,2009)
『臨床医のためのアレルギー診療ガイドブック』(診断と治療社,2012)
●日本小児アレルギー学会から
『小児アレルギー疾患総合ガイドライン2011』(協和企画,2011)
『食物アレルギー診療ガイドライン2012』(協和企画,2011)
『食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009』(協和企画,2009)
●厚生労働科学研究班から
『アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008』(2008)
『アトピー性皮膚炎Q&A ─コメディカルの患者指導のために─』(2007)
『食物アレルギーの診療の手引き2011』(2011)
『食物アレルギーの栄養指導の手引き2011』(2011)
●厚生労働省から
『保育所におけるアレルギー対応ガイドライン』(2011)
『保育所におけるアレルギー対応ガイドラインQ&A』(2012)
●日本学校保健会から
『学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン』(2008)
●日本皮膚科学会から
『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』(2009)
などが代表的なもので,さらには自治体からも自治体独自のガイドブックなどが発表されました.
●いわゆる教科書的な書籍もたくさん発刊されました.
私も診断と治療社より
『食物アレルギーの治療と管理 改訂第2版』(2008)
『食物アレルギー外来診療のポイント57』(2009)
『保護者と学校の先生に伝えたい食物アレルギーの基礎知識 改訂第2版』(2012)
などに分担執筆という形で書かせていただいています.

 これまで食物アレルギーについては,同じ食物を多量に食べる,あるいは少量でも毎日食べ続けるとその食物がアレルゲンになる可能性があると考えられてきました.この概念は日本における食物アレルギー研究の祖ともいえる故・松村龍雄先生(群馬大学小児科・名誉教授)の時代から脈々と言い伝えられてきました.数年前に『食物アレルギーの栄養指導の手引き2008』が厚生労働科学研究班から示され,さらに『食物アレルギーの栄養指導の手引き2011』として新しく改訂されました.そこには次のように記されています.
「食物アレルギー患者に対する栄養指導の役割は大きく,不可欠である.食物アレルギー患者は正しい診断にもとづいた必要最小限の食物除去を行いながら,適切な栄養素の確保・生活の質(QOL)を維持することが求められる.それはつまり「健康的で」「安心できる」「楽しい」食生活が送れることであり,栄養士はその支援・指導に関わることが期待されている.
本手引きは主に管理栄養士の食物アレルギーの栄養指導レベルの向上を目標に作成されているが,患者の生活に携わるすべての関係者の参考になると考える」(p.1).
 また注として,
「本手引きは食物アレルギーの標準治療にもとづいた栄養指導の基本を示すものであり,個々の指導法の詳細を示すものではない」(p.1)
 とも記されています.この『食物アレルギーの栄養指導の手引き2011』と同時期に表された『食物アレルギーの診療の手引き2011』は私たち食物アレルギーに関わる者にとって,医師,栄養士をはじめ一般のすべての人たちに対して「食物アレルギーにはこう対処していくんだ!」という公的な機関からの初めての指針となるもので,私にとってその発表はまさに感涙ものでした.
 前出の拙著『がんばろや!お母さん アトピー 増やしていこう「食べてもいいもの」』も内容的にはその役割を終えた面もあり,農山漁村文化協会の許可も得て,このほど本書を記しました.本書では実際の食事指導・栄養指導に必要で,患者さんに納得してもらいながら治療を進めていける資料をふんだんに用意しました.
 『食物アレルギーの栄養指導の手引き2011』ではある意味で問題視されていますが,選択回転食療法,食物抗原強弱表などの正しい利用方法について説明を加えました.

文献
・厚生労働科学研究班:食物アレルギーの栄養指導の手引き2011