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研修ノート

血液科研修ノート診断と治療社 | 書籍詳細:血液科研修ノート

自治医科大学学長

永井 良三(ながい りょうぞう) 総監修

自治医科大学内科学講座血液学部門教授

神田 善伸(かんだ よしのぶ) 責任編集

初版 A5判 並製 560頁 2016年05月15日発行

ISBN9784787821775

定価:7,480円(本体価格6,800円+税)
  

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血液の機能・仕組みや研修で学ぶべき基本的知識,症状の見方,検査・治療法,医師としての心構えや患者・スタッフとのコミュニケーションのとり方,各種書類の書き方まで,血液科専門医を目指す後期研修医が臨床で必要とする知識を網羅した一冊.医師らの経験談やアドバイスのつまったコラム68本の他,付録として体表面積換算表を収録.

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目次

第1章 血液科研修でのアドバイス
A血液科医になる人へ
1. 日本血液学会専門医への道
 日本血液学会専門医研修カリキュラムについて 麻生範雄
2. 血液科領域の関連学会について 鈴木律朗
3. ワークライフバランスを考える
 血液内科を生涯のプロフェッショナルとするために
  大和田千桂子
B知識の習得の仕方,勉強の仕方
1. 研修医の到達目標 高見昭良
2. 教科書,参考書の選び方 岡田 定
3. 医学論文の読み方・書き方 熱田由子
4. 学会での症例報告 竹下昌孝
5. 血液科医にとっての研究と学位 合山 進
C医療現場でのコミュニケーション
1. インフォームド・コンセント
 説明と同意と自己選択 森 慎一郎
2. 地域連携 冨塚 浩
3. チーム医療 澤 正史

第2章 血液の機能と仕組み
1. 造血システム 川野宏樹,片山義雄
2. 各白血球の働き 柴山浩彦
3. 赤血球の働き 藤原 亨
4. 止血の仕組み 一瀬白帝

第3章 研修で学ぶべき主な症状・症候の見方
1. リンパ節腫脹,肝脾腫の見方 錦織桃子
2. 貧血の見方 高見昭良
3. 多血症の見方 臼杵憲祐
4. 白血球増加と減少の見方 波多智子
5. 血小板増加症・減少症の見方 金子 誠
6. 出血・血栓傾向の見方 大森 司

第4章 研修で学ぶべき検査と治療法
A検査
1. 骨髄穿刺・生検 通山 薫
2. 細胞化学的検査 通山 薫
3. 溶血に関連する検査 和田秀穂
4. 細胞表面形質検査 稲葉 亨
5. 染色体検査 谷脇雅史
6. 分子生物学的検査 田部陽子
7. リンパ節生検 福原規子
B治療法(薬剤,対策)
1. 抗血栓療法に伴う落とし穴
 抗血栓療法のリスク管理 松下 正
2. 抗癌化学療法薬 細野奈穂子,山内高弘
3. 分子標的治療薬 田内哲三
4. 化学療法時の感染対策
 発熱性好中球減少症を中心に 冲中敬二
5. 腫瘍崩壊対策 蘆澤正弘,神田善伸
6. 嘔気対策 照井康仁
7. 不妊対策 菊地美里
C輸血
1. 血液型,交差適合試験,不規則抗体,HLA抗体 田野崎隆二
2. 血液製剤の適正使用 安村 敏
3. 輸血の副作用・合併症
 感染症,TRALI,鉄過剰症など 佐藤智彦,岡崎 仁
4. 交換輸血 梶原道子
5. アフェレーシス 梶原道子
D造血幹細胞移植
1. 自家造血幹細胞移植の適応と方法 大嶺 謙
2. 同種造血幹細胞移植の適応 杉田純一
3. 同種造血幹細胞移植のドナー選択,ソース選択 栗田尚樹
4. 同種造血幹細胞移植の移植前処置 山下卓也
5. 同種造血幹細胞移植のGVHD対策 村田 誠
6. 同種造血幹細胞移植の合併症(GVHD以外) 仲宗根秀樹

第5章 血液科疾患の診療
A赤血球系疾患
1. 鉄欠乏性貧血 鈴木隆浩
2. 慢性疾患に伴う貧血 山本昌代,生田克哉
3. 溶血性貧血 亀崎豊実
4. 発作性夜間ヘモグロビン尿症 野地秀義,七島 勉
5. 巨赤芽球性貧血 小船雅義
6. 赤芽球癆 廣川 誠
7. 再生不良性貧血 山﨑宏人
8. 腎性貧血 川端 浩,横井秀基
B白血球系疾患:腫瘍性疾患
1. 骨髄系腫瘍のWHO分類 南谷泰仁
2. リンパ系腫瘍のWHO分類 伊豆津宏二
3. 骨髄増殖性腫瘍①(慢性骨髄性白血病) 南 陽介
4. 骨髄増殖性腫瘍②(慢性骨髄性白血病以外) 得平道英
5. 骨髄異形成症候群 市川 幹
6. 急性骨髄性白血病(急性前骨髄球性白血病を含む) 入山規良
7. 急性リンパ性白血病 早川文彦
8. 慢性リンパ性白血病および類縁疾患 鈴宮淳司
9. 濾胞性リンパ腫 山本一仁
10. MALTリンパ腫 山本起代子,山本一仁
11. マントル細胞リンパ腫 山本一仁
12. びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 冨田章裕
13. Burkittリンパ腫 牛島洋子,冨田章裕
14. TおよびNK/T細胞リンパ腫 石塚賢治
15. 成人T細胞白血病・リンパ腫 石塚賢治
16. Hodgkinリンパ腫 宮﨑香奈
17. 多発性骨髄腫 飯田真介
18. マクログロブリン血症 飯田真介
C白血球系疾患:非腫瘍性疾患
1. 顆粒球減少症 原田浩徳
2. 伝染性単核球症 新井文子
3. 血球貪食症候群 中世古知昭
D血栓・止血疾患
1. 自己免疫性血小板減少症 柏木浩和
2. 血栓性微小血管症 松本雅則
3. ヘパリン起因性血小板減少症 松下 正
4. 抗リン脂質抗体症候群 家子正裕
5. 先天性血小板減少症・機能異常症 國島伸治
6. 播種性血管内凝固症候群 朝倉英策
7. 血友病 天野景裕
8. von Willebrand病 松下 正
9. Rare Bleeding Disorders 日笠 聡
10. 静脈血栓塞栓症(先天性・後天性) 森下英理子
E小児の血液疾患
1. 小児の急性骨髄性白血病 多賀 崇
2. 小児骨髄異形成症候群 平林真介,長谷川大輔
3. 若年性骨髄単球性白血病 真部 淳
4. 小児急性リンパ性白血病 康 勝好
5. 小児リンパ腫 小林良二
6. Epstein-Barrウイルス関連T/NKリンパ増殖性疾患
井上雅美,澤田明久
7. 血球貪食性リンパ組織球症 森本 哲
8. Langerhans細胞組織球症 森本 哲
9. 先天性骨髄不全症 村松秀城
10. 原発性免疫不全症 笹原洋二
11. 先天性貧血 小倉浩美,菅野 仁

第6章 知っておくべき知識と制度
1. 血液診療に関する法律の基礎知識 中村幸嗣
2. 個人情報保護 樋口敬和
3. 医療事故 吉永健太郎
4. 医療保険制度と介護保険制度 菊池由生子

第7章 書類の書き方
1. 診療録の書き方 佐藤元紀
2. 処方せん・注射せんのルール 山本雅人
3. インフォームド・コンセントと説明・同意書 北野文将
4. 血液疾患にかかわる医療費助成制度 伊賀陽子

付 録
1. 体表面積換算表
2. 略語一覧 突田真紀子

索引

◆Column
まずは名刺交換から 高見昭良
医師の宿命 岡田 定
こんなブラックラボはイヤだ! 合山 進
主文は後回し 森 慎一郎
コミュニケーションのとり方 冨塚 浩
ケースレポートを書こう! 川野宏樹
遺伝的に好中球機能異常をきたす疾患 柴山浩彦
年齢によりリンパ節腫脹の意義は異なる 錦織桃子
マラリアのピットフォール 高見昭良
赤血球増加と身体能力 臼杵憲祐
無形性発作による急激な貧血進行 和田秀穂
FCMによる硝子体リンパ腫の迅速スクリーニング 稲葉 亨
クロモスリプシス 谷脇雅史
分子遺伝学的寛解 田部陽子
病理医と仲よくしよう 福原規子
CTP-11の下痢には漢方を 細野奈穂子,山内高弘
FN時の抗菌薬選択 冲中敬二
予測性悪心,嘔吐 照井康仁
若いときの経験は,何でも貴重な財産だ 田野崎隆二
血小板の外観検査“スワーリング” 安村 敏
クリオプレシピテート 安村 敏
骨髄バンクドナーの自己血輸血 安村 敏
血小板輸血不応 佐藤智彦
臨床試験結果解釈における注意点 杉田純一
移植前処置薬剤の投与量算出 山下卓也
新しいGVHD治療薬 村田 誠
一期一会 仲宗根秀樹
鉄の吸収 鈴木隆浩
サラセミア 鈴木隆浩
様々な要因による貧血を合併したACD 山本昌代,生田克哉
特殊検査結果にコメントを! 亀崎豊実
PNHの症状は,ヘモグロビン尿だけ? 野地秀義
劇的ビフォーアフター 小船雅義
症例報告のススメ 廣川 誠
血清Crが比較的定値,血清EPOが正常範囲でも腎性貧血? 川端 浩,横井秀基
好酸球増加を伴う血液腫瘍 南谷泰仁
表面抗原は予後に影響するか? 入山規良
髪の長きは七難隠す? 山本一仁
MALTリンパ腫の染色体異常 山本起代子,山本一仁
1回で覚えろ! 山本一仁
BLとマラリア感染 牛島洋子
B細胞リンパ腫分類不能型,DLBCLとBLの中間型 冨田章裕
HTLV-1母子感染対策 石塚賢治
リンパ腫の主訴はリンパ節腫脹か? 宮﨑香奈
末梢血・骨髄塗抹標本を目視しよう 原田浩徳
病歴聴取が重要! 新井文子
慢性活動性EBウイルス感染症 新井文子
生検は要注意! 新井文子
若かりし頃の忘れ得ぬ経験 中世古知昭
理論は後からついてくる 柏木浩和
予防的血小板輸血 松本雅則
lupus anticoagulant hypoprothrombinemia syndrome (LAHPS) 家子正裕
顆粒球封入体 國島伸治
DICの誤診にご用心 朝倉英策
血友病診療の面白さにはまってみませんか? 天野景裕
先天性血栓性素因を有する症例の血栓症一次予防 森下英理子
実際の経験から 多賀 崇
小児MDSの進歩 平林真介,長谷川大輔
プロフェッショナルとしての医師の魅力 真部 淳
症例から学んだこと 井上雅美
遺伝子解析に頼りすぎてはならない 村松秀城
Waltzing with WASP 笹原洋二
稀少疾患にじっくり取り組もう 小倉浩美,菅野 仁
内服薬処方せんの記載方法の標準化に向けた取り組み 山本雅人
医療事故調査制度との関係 北野文将
患者が医学上の定説と著しく異なる治療を希望する場合 北野文将
患者が診療を拒否した場合 北野文将
カルテ記録の方法 北野文将

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序文

シリーズ総監修の序

 「研修ノート」は,かつての「研修医ノート」シリーズを全面的に刷新し,新シリーズとして刊行するものである.
 旧シリーズ「研修医ノート」は内科研修医のためのテキストとして1993年に出版された.その後,循環器,産婦人科,小児科,呼吸器,消化器,皮膚科など,診療科別に「研修医ノート」が相次いで刊行された.いずれも一般のマニュアルとは異なり,「基礎的な手技」だけではなく「医師としての心得」や「患者とのコミュニケーション」などの基本,あるいは「書類の書き方」,「保険制度」など,重要ながら平素は学ぶ機会の少ない事項を取り上げ,卒後間もない若手医師のための指導書として好評を博してきた.
 しかしながら,時代の変化により研修医に要求される内容は大きく変化した.地域医療の確保が社会問題化するなかで,研修教育の充実はますます重要となった.さらに医療への信頼回復や医療安全のためには,患者やスタッフとのコミュニケーションの改善も必須である.
 このような状況に鑑み,「研修医ノート」シリーズのあり方を再検討し,「研修ノート」の名のもとに,新シリーズとして刊行することとした.読者対象は後期研修医とし,専門分野の決定後に直面するさまざまな問題に対する考え方と対応を示すことにより,医師として歩んでいくうえでの“道標”となることを目的としている.
 本シリーズでは,全人的教育に必要な「医の基本」を記述すること,最新の知見を十分に反映し,若い読者向けに視覚的情報を増やしながらも分量はコンパクトとすることに留意した.編集・執筆に当たっては,後期研修医の実態に即して,必要かつ不可欠な内容を盛り込んでいただくようお願いした.“全国の若手医師の必読書”として,本シリーズが,長く読み継がれることを願っている.
 終わりにご執筆いただいた諸先生に心より感謝を申し上げます.

 2016年4月吉日

 自治医科大学学長
 永井良三


編集の序

 本書は,診断と治療社の「研修ノート」シリーズの一冊として発刊されました.このシリーズは初期研修を終えて,自分の専攻を見定め,専門医を目指して突き進む若手医師,特に後期研修医を対象として企画されたものです.したがって,本書を手にとると想定されているのは血液科専門医を目指す後期研修医ということになります.では,「血液科専門医を目指す後期研修医」とは果たしてどのような人たちでしょうか.身近にいるちょっと風変わりな(?)後期研修医は手の届く範囲で一番高い棚に上げておいて,一般的な血液後期研修医像を想像してみましょう.
 そもそも,初期研修の期間に,日々忙しそうに,そして忙しさを楽しんでいるかのようにも見える血液専門医を目の当たりにしながら,血液専攻を選んだということですから,根性があるに違いありません.また,血液診療は,ダイナミックな変化を特徴としながらも,反射的な決断を迫られるわけではなく,科学的に診療決断することができる分野ですので,考えることが好きな人たちではないかと思われます.常に全身管理が求められる診療に魅力を感じた人もいるでしょうし,分子生物学と診療現場が密接につながっているということに惹かれた人もいるでしょう.つまりは,当たり前のことではありますが,多彩な人物像が入り交じっているはずなのです.これに安心して,棚に上げた我らが後期研修医たちも地上に下ろすことにしましょう.
 さて,本書はそんな血液後期研修医を対象として,勉強の方法から,コミュニケーション,医療制度まで,幅広く解説を加えています.初期研修医,後期研修医を対象とした血液学の教科書は他にもいくつか存在しますが,本書は後期研修医を対象に焦点を絞ることによって,他書とは異なるコンセプトで統一され,日常診療に役立ち,かつ血液専門医へと歩みを進めるモチベーションを高めることができる一冊に仕上がっているのではないかと思います.今後,長年にわたって若手医師にぼろぼろになるまでに愛読される書籍となることを期待しています.

 2016年4月吉日

 自治医科大学内科学講座血液学部門教授
 神田善伸