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書籍詳細

先天性奇形症候群および遺伝性疾患データブック診断と治療社 | 書籍詳細:先天性奇形症候群および遺伝性疾患データブック CD

琉球大学医学部附属沖縄・アジア医学研究センター長

成富 研二(なりとみ けんじ) 著

改訂第3版 B5判 上製 3474頁 2001年05月26日発行

ISBN9784787811714

定価:本体80,000円+税

奇形,奇形症候群,神経筋疾患などの遺伝性疾患と遺伝情報を 最大限可能な限り掲載したデータブック.今度の改訂では’95 年以降に解明された遺伝子診断の大幅な追加と疾患(症状)に 解説を付加したことにより,より利用価値が向上,画像情報も 多数収録したハイブリッドCD−ROM付.

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目次

1. 奇形症候群・単独奇形
2. 骨系統疾患
3. 眼科関連疾患
4. 消化器関連疾患
5. 耳鼻科関連疾患
6. 泌尿器科関連疾患
7. 皮膚科関連疾患
8. 心・循環器関連疾患
9. 歯科関連疾患
10. 神経関連疾患
11. 先天代謝異常
12. 代謝異常疾患
13. 内分泌疾患
14. 腫瘍・血液・免疫疾患
15. その他
16. その他の変異が証明されている遺伝子
17. 染色体異常

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序文

ヒトゲノム計画は2000年現在86%のドラフトシーケンスが公開
されるまで進展し、いよいよ本格的にヒト遺伝子の実態が解明
される段階に突入しようとしている。これまで、1400種類以上
の疾患で遺伝子が同定されその変異が解明され、一部疾患と遺
伝子との関連がわかっているが、臨床に応用するにはまだまだ
多くの困難があるのが現状である。

 しかし、分子遺伝学的知識の積み重ねにより、遺伝子変異の
共通性や遺伝的異質性による臨床疾患の再分類が考慮されてき
ており、その意味でも疾患情報の整理と分子遺伝学的情報の整
理が益々重要になってきた。小生は1990年から遺伝性疾患診断
支援データベースである英文で作成したUniversity of the
Ryukyus-Database for Malformation Syndromes (UR-DBMS) を
日本で公開し続けており、2000年1月時点ではその第7版を公開
した。これまで、UR-DBMS の日本語訳を1993年『先天性奇形症
候群および遺伝性疾患データベース』と1995年その改訂第2版
を公開してきたが、これらの本は症状と文献のみの内容であっ
た。この5年間に疾患の解説文(コメント)をこつこつと日本語
に翻訳し、奇形症候群データブックを中心にしてかなりの部分
の翻訳が完成し、疾患内容もこの5年間で相当変化があったので、
2000年8月までのUR-SBMS の内容 (第7.5版に相当) を改訂第3版
として出版することにした。

 この間小生は長年住み慣れた琉球大学医学部小児科を離れ、
1999年4月から新たに設立された琉球大学医学部附属沖縄・アジ
ア医学研究センターの環境 (遺伝) 疫学研究部門の教授に就任
することとなり、2000年4月からはセンター長としてセンターの
運営にあたることとなった。小児科では臨床と教育の合間にデ
ータベースの改定作業を行っていたので、時間の制約と体力の
限界のためそろそろ中止を考えていたが、センターに移り、以
前とは比べものにならぬほどの時間を戴き、日本語翻訳もある
程度の完成をみることができた。

 遺伝子の単離とキャラクタライゼーションは今後急速に伸展
するであろうが、その遺伝子がヒトの病気とどのような関連を
もっているかは、診断のついた患者でしか証明できないし、そ
のような患者細胞を研究者が利用できる体制の確立が急務であ
る。今後の遺伝子医療の展開に本書や UR-DBMS が役立つこと
を祈りたい。

 本書原稿の完成を目前にして、米国人類遺伝学会に参加する
ためフィラデルフィアに来て、今ホテルでこの序文を書いてい
る。ポスターセッションでは多数の奇形症候群や染色体異常の
症例が展示されていたが、UR-DBMS があればもう少し鑑別診断
を考慮した発表ができると思われる独善的な発表がいくつかみ
られた。やはり、奇形症候群の診断は難しいしデータベースを
はやくソフト化しないと、分子遺伝学の進歩に臨床側と対応で
きないのではとも思った。フィラデルフィアに着いた数日は沖
縄と変わらない陽気であったが、帰国2日前から10℃となり、
ここも世界的な異常気象を反映されていた。動物の化石燃料を
使い続ける限り、人体はむしばまれ、異常気象はなくならない
(20年前私はジュラシックの逆襲と名付けた) ことを確信した
が、フィラデルフィアの排気ガスの多い空気のなかで、沖縄の
以前より汚くはなったがまだまだきれいな空気を思い、美しい
自然環境を感謝した。

      2000年10月4日フィラデルフィアにて 著者