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書籍詳細

糖尿病学2013診断と治療社 | 書籍詳細:糖尿病学2013

東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授

門脇 孝(かどわき たかし) 編集

初版 B5判 並製 192頁 2013年05月17日発行

ISBN9784787819994

定価:本体9,500円+税

日進月歩の進歩を遂げる糖尿病学のなかでも特にわが国発の研究に重点を置いて重要な課題を取り上げ,専門的に解説したイヤーブック.今年もこの 1 年の基礎的研究,展開・臨床研究の成果が 21編の論文に凝集されている.糖尿病研究者のみならず,一般臨床医にとっても必読の書.

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目次

基礎研究
 1.消化管における FoxO1 抑制による機能的インスリン産生細胞の樹立
[北村忠弘]
■はじめに 
■FoxO1 による膵内分泌細胞分化制御 
■FoxO1 による腸管内分泌細胞分化制御 
■おわりに 

 2.膵β細胞における炎症とインスリン分泌
[江口航生,眞鍋一郎,永井良三]
■はじめに 
■パルミチン酸は,TLR4-Myd88 シグナルを介し膵β細胞の急速な機能障害を生じる
■膵島への M1 型マクロファージの集積がパルミチン酸による膵β細胞機能障害を起こす
■サイトカインを介した膵β細胞-マクロファージ間コミュニケーション 
■炎症性マクロファージは糖尿病モデルマウスにおける膵β細胞の機能障害において
 重要な役割を果たす
■おわりに

 3.転写共役因子 CITED2 による新たな肝糖新生制御メカニズム
[松本道宏,酒井真志人]
■はじめに
■ホルモンによる肝糖新生調節と糖尿病 
■転写共役因子 CITED2 の発現は肥満・糖尿病の肝臓で増加する
■CITED2 は糖新生系酵素の発現を誘導し肝糖産生を増加させる 
■肥満・糖尿病モデルマウスの高血糖は肝臓における CITED2 の発現抑制により改善する
■CITED2 の強発現により絶食応答関連遺伝子の発現が増強する
■CITED2 は糖新生系酵素遺伝子転写のコアクチベーター PGC-1αを活性化する
■CITED2 は GCN5 による PGC-1αのアセチル化を抑制する
■CITED2 による PGC-1αの活性化はインスリンにより抑制される
■おわりに 

 4.非アルコール性脂肪肝炎におけるレプチンと腸内細菌の役割^n  ─レプチンによるエンドトキシン感受性の制御を中心として
[中島 淳,今城健人,米田正人,和田孝一郎]
■はじめに
■NASH 発症におけるエンドトキシン関与の可能性
■微量なエンドトキシンによる脂肪肝炎マウスモデルの作製
■ob/ob マウスでの意外な結果
■ヒトでの血清レプチン値と肝臓 CD14 発現の検討
■おわりに

 5.心不全や肥満における脂肪老化シグナルの意義
[清水逸平,吉田陽子,南野 徹]
■はじめに
■脂肪老化と糖尿病
■心臓老化とインスリンシグナル
■心不全と脂肪老化
■まとめ 

 6.アディポカイン PGRN は IL-6 を介して高脂肪食によるインスリン抵抗性と肥満を媒介する
[松原稔哉,清野 進]
■はじめに
■比較プロテオーム解析によるプログラニュリンの同定
■インスリン抵抗性および肥満における PGRN の役割
■PGRN 欠損マウスの解析
■PGRN によるインスリンシグナルの障害と IL-6 の関与
■PGRN によるインスリン抵抗性誘導と IL-6 の関与
■おわりに 

 7.免疫プロテアソームと脂肪萎縮
[安友康二]
■はじめに
■原因不明の進行性部分脂肪萎縮症
■エクソーム解析
■免疫プロテアソーム 
■免疫プロテアソームと炎症
■免疫プロテアソームと脂肪萎縮
■おわりに

 8.ヒトの褐色脂肪組織の生理と病理
[斉藤昌之]
■はじめに 
■FDG-PET によるヒト褐色脂肪の再発見
■ヒト褐色脂肪の活性,量と影響因子
■ヒトの褐色脂肪と肥満 
■褐色脂肪の活性化・増量による肥満予防
■おわりに 

 9.ヒト多能性幹細胞由来褐色脂肪細胞
[佐伯久美子]
■はじめに
■褐色脂肪細胞はどのような細胞であるか
■ヒト多能性幹細胞からの classical BA の作製技術
■ヒト多能性幹細胞由来 classical BA の代謝改善効果 
■“ヒト多能性幹細胞由来 BA”を用いた糖代謝異常に対する治療開発

10.東アジア人における肥満指標 BMI のゲノム解析
[田中敏博]
■はじめに 
■東アジア人における BMI 関連遺伝子の同定と欧米人との比較 
■肥満のリスクを高めるアレルが 2 型糖尿病のリスクを低下させる
■KLF9 遺伝子と myostatin 遺伝子(MSTN)間の相互作用
■おわりに 

11.インスリン作用の時間情報コード
[野口 怜,久保田浩行,黒田真也]
■はじめに 
■生体内におけるインスリンの時間パターンの生理学的な意義
■Fao 細胞におけるインスリン刺激時のシグナル分子の変動パターン
■インスリン-AKT シグナル経路モデルの構築
■AKT の時間パターンへの情報の多重組み込みと下流分子の選択的応答 
■制御構造や酵素の性質の違いによる選択的な伝達
■血中インスリンの時間パターンによる下流分子の選択的応答
■Fao 細胞における糖代謝経路のインスリン応答 
■おわりに

展開臨床研究
12.CKD の新しい分類と糖尿病腎症
[羽田勝計]
■はじめに
■CKD 重症度分類
■シスタチン C を用いた GFR 推算式 
■糖尿病腎症の病態:GFR decliner,fast progressor の存在
■糖尿病腎症の治療 
■まとめ

13.糖尿病と肝疾患
[岡上 武]
■はじめに 
■糖尿病患者における肝障害の実態
■糖尿病と肝癌
■糖尿病が NAFLD の病態に及ぼす影響
■NASH 発症・進展の感受性遺伝子
■GWAS 以外の方法での遺伝子解析
■おわりに

14.糖尿病と癌
[春日雅人]
■はじめに 
■糖尿病と癌罹患リスク―疫学的成績 
■糖尿病と癌罹患を結びつける要因
■糖尿病治療薬と癌罹患リスク 
■おわりに

15.Japan Diabetes Complications Study(JDCS)が教えてくれるもの
[曽根博仁,田中司朗,片山茂裕,山下英俊,赤沼安夫,山田信博]
■はじめに 
■研究の概要 
■網膜症について
■腎症について
■大血管症について 
■生活習慣介入の効果 
■JDCS が教えてくれるもの

16.糖尿病の食事療法の現状と課題
[宇都宮一典]
■はじめに 
■わが国の一般人口における栄養素摂取量の現況
■糖尿病における栄養摂取指針に関する現況 
■糖尿病治療における炭水化物制限の意義と課題
■糖尿病における食事療法の在り方と課題
■結 語 

17.2 型糖尿病の治療:患者中心のアプローチ ADA/EASD の新ガイドライン
[渥美義仁]
■はじめに 
■2 型糖尿病の治療ガイドラインの変遷
■大規模臨床試験でのリスク評価
■ADA/EASD の新ガイドライン
■リアルワールドへの活用 

18.持続血糖モニター(CGM)からみた糖尿病の病態と治療の評価
[西村理明]
■はじめに
■持続血糖モニター(CGM)とは 
■CGM データからみた耐糖能の悪化パターン 
■薬物療法
■CGM を用いた異なる薬剤の効果を比較検討した臨床試験 
■おわりに 

19.インクレチン関連薬と糖尿病性神経障害
[中村二郎,神谷英紀]
■はじめに
■インクレチンと末梢神経
■インクレチン関連薬と糖尿病性神経障害
■インクレチン関連薬への期待 

20.インクレチン関連薬と動脈硬化
[三田智也,綿田裕孝]
■はじめに
■脂質代謝に対する影響
■血圧に対する作用
■血管内皮細胞に対する GLP-1 の作用 
■単球/マクロファージに対する GLP-1 の作用 
■血管平滑筋細胞に対する GLP-1 の効果
■DPP-4 阻害薬の GLP-1 を介さない作用
■おわりに

21.第 9 回 IDF-WPR 会議をふりかえって
[矢部大介,清野 裕]
■はじめに 
■IDF-WPR の歴史 
■AASD の歴史
■第 9 回 IDF-WPR 会議,第 4 回 AASD 学術集会が秋の京都で同時開催
■患者支援や市民への啓蒙にも貢献 
■おわりに 

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序文

 今年もまた日本糖尿病学会年次学術集会に合わせて,本書「糖尿病学」をお届けできる運びとなった.毎年恒例のようにこの時期に刊行できることは非常に喜ばしいことである.  めまぐるしく進歩する糖尿病学の分野では,この一年も様々なテーマが話題となった.ADA/EASD の新しい糖尿病治療ガイドラインの策定,インクレチン製剤の普及,食事療法における三大栄養素の比率に関する議論,糖尿病と癌との関連などなど枚挙にいとまがない.本書ではおもに日本人による研究の成果を取りあげており,今年も 21 編の論文をこの一冊に掲載することができた.  「糖尿病学 2013」では肝疾患(NAFLD/NASH など)と糖尿病の関連,iPS 細胞由来褐色脂肪細胞による糖代謝異常に対する治療開発,持続血糖モニター(CGM)の治療への応用など,近年,注目度の高いテーマも盛り込んだ.そのほか「基礎研究」から「展開臨床研究」までいずれも素晴らしい業績であり,近い将来患者に役立つよう研究者の熱意と英知がこめられた論文ばかりである.  最後に,できるかぎりアップデートした情報を発信するため非常に短い期間でご執筆をいただいた著者の先生方に深謝申し上げる.
平成 25 年 5 月 門脇 孝