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書籍詳細

糖尿病学 2014診断と治療社 | 書籍詳細:糖尿病学 2014

東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授

門脇 孝(かどわきたかし) 編集

初版 B5判 1色(口絵カラーあり) 152頁 2014年05月20日発行

ISBN9784787820785

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定価:本体9,500円+税
  

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日進月歩の進歩を遂げる糖尿病学のなかでも特にわが国発の研究に重点を置いて重要な課題を取り上げ,専門的に解説したイヤーブック.今年もこの 1 年の基礎的研究,展開臨床研究の成果が 18編の論文に凝集されている.糖尿病研究者のみならず,一般臨床医にとっても必読の書.

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目次

口絵 
序文 
執筆者一覧 

基礎研究

1.膵β細胞における Warburg 効果とインスリン分泌
[藤本新平]
■2 型糖尿病におけるグルコースによるインスリン分泌障害 
■膵β細胞におけるインスリン分泌機構と代謝-分泌連関 
■2 型糖尿病膵β細胞における代謝-分泌連関の障害部位 
■膵β細胞代謝-分泌連関の破綻における酸化ストレスの役割 
■GK ラット膵島における ROS 除去の効果 
■GK ラット膵島における Warburg 効果による解糖系とミトコンドリア代謝の連結の破綻 
■おわりに 

2.2 型糖尿病遺伝子 TCF7L2 の機能を巡って
[高本偉碩]
■はじめに 
■canonical Wnt pathway の概要 
■Wnt シグナルのリガンドと受容体に関する遺伝子改変マウスの表現型 
■βカテニンに関する遺伝子改変マウスの表現型 
■TCF7L2 に関する遺伝子改変マウスの表現型 
■おわりに 

3.亜鉛のながれと肝インスリンクリアランス
[藤谷与士夫]
■はじめに 
■インスリン分泌顆粒と亜鉛 
■SLC30A8/ZnT8 とは? 
■膵β細胞特異的 SLC30A8/ZnT8 欠損マウスの特徴 
■インスリン分泌と膵から肝臓への亜鉛のながれ 
■亜鉛分泌とインスリン分泌 
■インスリンの代謝と肝インスリンクリアランス 
■ヒトにおいても SLC30A8/ZnT8 はインスリンクリアランスを制御する 
■肝インスリンクリアランス制御と糖代謝 
■おわりに 

4.肝臓グリコーゲンから脂肪分解への中枢性シグナリング
  ―神経による糖質と脂質エネルギー供給源の選択
[泉田欣彦,矢作直也]
■はじめに 
■肝臓と中枢神経系とのコミュニケーション 
■肝-脳-脂肪 神経回路の発見 
■生理的飢餓の状態で肝臓から脳へ向かう迷走神経を遮断すると,脂肪分解が抑制される 
■肝臓のグリコーゲンが増加すると,肝-脳-脂肪の神経回路の活性化は起こらない 
■肝臓でのグリコーゲン分解を抑制(グリコーゲン増加)すると肝臓からの脂肪分解シグナルは抑制される 
■未知のグリコーゲンセンサーの存在の可能性 

5.肥満による腸内細菌叢の変化と肝癌
[吉本 真,大谷直子,原 英二]
■はじめに 
■肥満と炎症:細胞老化の関与について 
■肝星細胞の細胞老化が肥満による肝癌の形成を促進する 
■肥満による腸内細菌叢の変化が肝星細胞の細胞老化と肝癌の発症を促進する 
■肥満により増加した DCA(二次胆汁酸)が肝星細胞に細胞老化を誘導する 
■ヒトでも同様のメカニズムが働いている可能性がある 
■おわりに 

6.セマフォリンと肥満
[吉田陽子,清水逸平,南野 徹]
■はじめに 
■セマフォリン 3E-プレキシン D1 シグナルは肥満時の内臓脂肪組織で亢進する 
■脂肪炎症におけるセマフォリン 3E-プレキシン D1 シグナルの役割 
■セマフォリン 3E はマクロファージ誘導因子として働く 
■p53 の活性化はセマフォリン 3E-プレキシン D1 シグナルを介して,脂肪炎症を悪化させる 
■おわりに 

7.メタボリックシンドロームにおける免疫・炎症性細胞のクロストーク
[西村 智]
■はじめに 
■生体分子イメージングとは 
■生体分子イメージングでみる脂肪組織 
■脂肪組織と炎症 
■CD8 陽性 T 細胞の重要性 肥満病態の最も初期のトリガーは何か? 
■制御性 B 細胞による脂肪組織炎症の調節機構 
■おわりに 

8.アディポネクチン受容体活性化低分子化合物(AdipoRon)の同定とその作用
[山内敏正,門脇 孝]
■はじめに 
■肥満によるインスリン抵抗性におけるアディポサイトカインの病態生理的意義 
■肥満・高脂肪食負荷による血中アディポネクチンレベルの低下 
■動脈硬化に対するアディポネクチンの作用 
■骨格筋におけるアディポネクチンの抗糖尿病作用メカニズム 
■アディポネクチンの脂肪酸燃焼促進メカニズム 
■アディポネクチン受容体,AdipoR1 および AdipoR2 の同定 
■肝臓におけるアディポネクチン受容体の病態生理的意義 
■骨格筋におけるアディポネクチン受容体の病態生理的意義 
■アディポネクチン受容体活性化低分子化合物(AdipoRon)の同定 
■おわりに 

9.糖尿病性腎症におけるオートファジーの役割
[久米真司,山原康佑,古家大祐,前川 聡]
■はじめに 
■オートファジーとは? 
■糸球体上皮細胞におけるオートファジーの役割 
■近位尿細管細胞におけるオートファジーの役割 
■蛋白尿に伴う尿細管障害発症における近位尿細管細胞オートファジーの役割 
■肥満に伴うオートファジー活性減弱機構の解明 
■糖尿病性腎症発症における糸球体上皮細胞オートファジーの役割 
■肥満・糖尿病の発症におけるオートファジーの役割 
■おわりに 

展開臨床研究

10.IDF アトラス 2013 年版(第 6 版)
[田口昭彦,谷澤幸生]
■IDF アトラスとは 
■糖尿病の有病者数と有病率 
■未診断の糖尿病 
■IGT の有病者数 
■糖尿病に関連した死亡 
■妊娠時の耐糖能異常 
■小児糖尿病 
■医療費の増大 
■総括 

11.熊本宣言について―新しい血糖コントロールの目標とその活用
[荒木栄一]
■はじめに 
■「新しい血糖コントロールの目標」の策定 
■改訂された「新しい血糖コントロール目標」の内容と意義 
■「新しい血糖コントロールの目標」の活用 

12.SGLT2 阻害薬について
[窪田直人,小畑淳史,門脇 孝]
■はじめに 
■グルコース再吸収と SGLT の役割 
■SGLT2 阻害薬 
■SGLT2 阻害薬の安全性 
■糖尿病治療における SGLT2 阻害薬の位置づけ 
■おわりに 

13.GPR40 作動薬について
[加来浩平]
■はじめに 
■GPR40 作動薬の基礎 
■GPR40 作動薬の臨床 
■おわりに 

14.厳格血糖・血圧コントロールによる顕性腎症の remission
[横山宏樹]
■はじめに 
■最近の知見に基づく腎症病期の推移 
■1 型糖尿病における顕性腎症の remission に関する研究 
■2 型糖尿病における顕性腎症の remission に関する研究 
■2 型糖尿病の透析発症率の抑制 
■おわりに 

15.SAVOR-TIMI53 試験および EXAMINE 試験の意義
[鈴木 亮]
■はじめに 
■2008 年 FDA による糖尿病治療薬開発に関するガイドライン 
■DPP-4 阻害薬の心血管保護効果に対する事前の期待 
■SAVOR-TIMI 53 試験:サキサグリプチンの心血管ベネフィットは証明できず 
■EXAMINE 試験:アログリプチンも同様 
■膵炎のリスク上昇はみられず 
■おわりに 

16.1 型糖尿病治療のアップデート
[浦上達彦]
■はじめに 
■インスリン製剤の進歩 
■インスリン製剤の特徴 
■インスリン注射法の選択 

17.膵島移植の進歩と今後の課題
[霜田雅之]
■はじめに 
■1 型糖尿病に対する同種膵島移植 
■同種膵島移植の課題と進歩 
■長期成績 
■同種膵島移植の世界的な状況 
■わが国の膵島移植 
■1 型糖尿病に対する次世代β細胞補充療法 
■自家膵島移植 
■おわりに 

18.糖尿病足潰瘍予防に関する看護研究の展開
[大江真琴,真田弘美]
■はじめに 
■フィールドを確保する―東京大学医学部附属病院糖尿病足外来 
■実態を探る―足潰瘍のハイリスク患者の抽出 
■よりハイリスクに絞る―炎症徴候に着目 
■炎症の要因を絞り出す―皮膚排泄ケア認定看護師の大学院生の研究 
■炎症を伴う胼胝を予防する―工学との連携 
■今後の課題 
■おわりに

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序文

 2014 年も日本糖尿病学会年次学術集会に合わせて,本書「糖尿病学」をお届けできる運びとなった.毎年恒例のようにこの時期に刊行できることは非常に喜ばしいことである.また,本書の刊行は一年間の研究成果を振り返る意味でも,非常に重要な役割を果たしている.

 さて,この一年も様々なテーマが話題となった.Patient-centered の血糖コントロール目標を示した熊本宣言をはじめとする臨床の話題,腸内細菌叢,免疫・炎症細胞の役割など基礎研究の新しい話題を含め,毎年のことながらそのテーマは多岐にわたる.本書ではおもに日本人による研究の成果を取りあげており,今年も 18 編の論文をこの一冊に収載することができた.

 「糖尿病学 2014」では,上記の話題に加えて,膵β細胞における Warburg 効果,亜鉛の流れ,セマフォリンと肥満,腎症とオートファジー,新しい糖尿病治療薬である SGLT2 阻害薬の治療での位置づけと安全性を重視した適正使用,膵島移植の進歩と現状・課題などが,特に関心度の高いテーマではないだろうか.また,看護研究のお手本として糖尿病足潰瘍予防に関するテーマも収載した.そのほか「基礎研究」から「展開臨床研究」まで素晴らしい価値ある成果であり,いずれも研究者の熱意と英知がこめられた論文ばかりである.

 最後に,できるかぎり新しい情報を発信するため非常に短い期間でご執筆をいただいた著者の先生方に深謝申し上げる.

平成 26 年 5 月
門脇 孝