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熱性けいれん診療ガイドライン2015診断と治療社 | 書籍詳細:熱性けいれん診療ガイドライン2015

日本小児神経学会 (にほんしょうにしんけいがっかい) 監修

熱性けいれん診療ガイドライン策定委員会 編集

初版 B5判 並製 100頁 2015年03月29日発行

ISBN9784787821652

定価:本体2,800円+税
  

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わが国唯一の診療指針であった『熱性けいれんの指導ガイドライン』の改訂から18年.日本小児神経学会監修のもと新たな診療ガイドラインが登場.日常診療でよくみられる一方,診療の際には戸惑うことも少なくない熱性けいれんの初期対応や再発予防についてクリニカルクエスチョン方式でわかりやすく解説した必携の一冊.

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目次

発刊にあたって
序文
Introduction
CQ・推奨一覧
第1部 総論
総論1 ‌熱性けいれんの定義
総論2 ‌単純型熱性けいれんと複雑型熱性けいれん
総論3 ‌熱性けいれん重積状態の定義
総論4 ‌熱性けいれんの再発頻度と再発予測因子
総論5 ‌熱性けいれんの既往がある小児の
その後のてんかん発症頻度とてんかん発症関連因子
総論6 ‌年長児の有熱時発作
第2部 各論
1.初期対応
CQ 1-1 ‌有熱時発作を認め救急受診した場合に髄液検査は必要か
CQ 1-2 ‌有熱時発作を認め救急受診した場合に血液検査は必要か
CQ 1-3 ‌有熱時発作を認め救急受診した場合に頭部画像検査は必要か
CQ 1-4 ‌有熱時発作を起こした小児において入院(入院可能な病院への搬送)を
考慮する目安は何か
CQ 1-5 ‌来院時に熱性けいれんが止まっている場合に外来で
ジアゼパム坐薬を使用したほうがよいか
◉有熱時発作の初期対応
2.熱性けいれん重積状態
CQ 2-1 ‌熱性けいれん重積状態の初期治療薬は何か
CQ 2-2 ‌熱性けいれん重積状態を起こした小児において有用な検査は何か
3.脳波検査
CQ 3-1 ‌熱性けいれんを起こした小児に対して脳波検査は必要か
4.治療(1)発熱時のジアゼパム坐薬
CQ 4-1 ‌熱性けいれんの既往がある小児において
発熱時のジアゼパム投与は必要か.適応基準は何か
CQ 4-2 ‌発熱時のジアゼパムの投与量,投与方法,投与対象期間
および使用上の注意事項は何か
5.治療(2)抗てんかん薬内服
CQ 5-1 ‌熱性けいれんの既往がある小児において抗てんかん薬の
継続的内服を行うべきか
6.治療(3)解熱薬
CQ 6-1 ‌解熱薬は熱性けいれん再発に影響するか
7.注意すべき薬剤
CQ 7-1 ‌熱性けいれんの既往がある小児で注意すべき薬剤は何か
1.発熱性疾患に罹患中に鎮静性抗ヒスタミン薬を使用してよいか
2.テオフィリン等のキサンチン製剤を使用してよいか
◉参考資料 抗ヒスタミン薬とけいれんに関して
8.予防接種
CQ 8-1 ‌熱性けいれんの既往がある小児は予防接種をうけてよいか
CQ 8-2 ‌発熱が誘発されやすいワクチンの種別は何か.
またその発熱時期はいつ頃が多いか
CQ 8-3 ‌熱性けいれんの既往がある小児に予防接種を行う場合,
最終発作からの経過観察期間をどれぐらいあければよいか
索引

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序文

 発刊にあたって

日本小児神経学会では2011年にガイドライン統括委員会(以下統括委員会)を発足させました.その目的は小児神経疾患を診療するときに一定の標準化された医療が提供できるように,エビデンスに基づいた診療ガイドラインを策定することにあります.
ガイドライン策定にあたり,対象疾患の選定は会員に公募のうえ統括委員会が決定しました.その結果を踏まえて統括委員会委員長が診療ガイドライン策定委員長を指名し,次に策定委員長が委員会の委員,アドバイザー,評価委員候補者を推薦しました.策定委員会の委員は利益相反自己申告書を提出し,理事会の承認を経て,正式に委員会が発足するという手順で進めました.
今回,統括委員会では対象疾患として「熱性けいれん」を取り上げました.熱性けいれんは頻度が高く,一般臨床現場でたびたび遭遇するものです.米国では米国小児科学会(American Academy of Pediatrics:AAP)が2011年に熱性けいれんの診療ガイドラインの改訂を行い公開しています.一方,わが国では1988年に熱性けいれん懇話会主導で「熱性けいれんの治療指針」が提案され,さらに1996年には福山らにより「熱性けいれんの指導ガイドライン」として
改訂されました.このガイドラインは現在までわが国における「熱性けいれん」診療の唯一の指針として利用されてきました.しかし診療ガイドラインは医療の進歩,倫理観の変化,あるいは新規薬剤の登場などにより,その時点における医療の進歩に応じて改訂されることが必要です.「熱性けいれんの指導ガイドライン」の改訂が行われてから18年が経過し,今回evidence-based medicine (EBM)の考え方により新たな「熱性けいれん診療ガイドライン」を作成いたしました.
本ガイドラインはクリニカルクエスチョン(CQ)と推奨,すなわち,質問とそれに対する回答の形式で記述されています.疾患の性質上,なかにはエビデンスレベルが十分でない場合もありますが,できる限りエビデンスを精査して,推奨グレードを示しました.
この診療ガイドラインは,決して画一的な治療法を示したものではなく,守らなくてはいけない規則でもありません.患者さんへの治療計画は個々の患者さんを総合的に判断して,経験や考え方によって主治医が決定するのが原則であり,推奨はその参考にすぎません.診療ガイドラインは治療法を決定する際に主治医が参考にするためのものです. また「熱性けいれん」の診療はエビデンスの少ない分野であり,今後,より質の高い研究結果が示され,推奨も変化する可能性があります.
この診療ガイドラインは,学会ホームページで公開を予定しています.一般医に広く内容が認識されるには数年かかることが予想され, 当学会としても周知に尽力していきたいと考えています.
「熱性けいれん診療ガイドライン2015」が診療現場で診療にあたる学会員を含めた主治医の皆様にとって有用なものであることを願っております.本ガイドラインを活用していただき,さらに様々なご意見をいただくことにより今後の改訂の参考にしたいと思います.今後ともご意見,ご評価をいただけるようよろしくお願いいたします.
なお熱性けいれん診療ガイドライン策定委員会の初期段階で委員長をお務めいただいた静岡県立こども病院 故愛波秀男先生に感謝いたします.

2015年3月
日本小児神経学会
理事長  高橋 孝雄
ガイドライン統括委員会担当理事(前委員長)  杉江 秀夫
ガイドライン統括委員会委員長  福田冬季子



 序文

熱性けいれんは小児期にみられる最も一般的な神経疾患の一つで,特に日本では欧米に比べて高い頻度でみられます.研修医から救急医,一般開業医まで多くの医師が熱性けいれんの患者の診療にかかわりますが,誰でもはじめて目の前でけいれん発作をみれば動揺をし,対処法や鑑別に悩むものです.また,再度の発作に対する家族の不安への対応,ジアゼパム予防投与の適応,予防接種など,一般診療医が日常診療で困り疑問を感ずることも多くあります.本ガイドラインを使用していただく対象は一般診療医,救急医などの必ずしも神経学を専門としない医師であり,クリニカルクエスチョン(CQ)もそうした観点で選定しました.
熱性けいれんの診療は近年大きな変貌を遂げています.たとえば20年前には初発の熱性けいれんの患者が受診すれば細菌性髄膜炎の鑑別のために髄液検査を行うことも多くありましたが,現在はワクチンの進歩に伴い細菌性髄膜炎の頻度が減り熱性けいれんの初期対応は変化しています.また発症時は熱性けいれんの重積状態と思われるような急性脳症と診断される二相性けいれんと拡散低下を呈する急性脳症(AESD)も知られるようになりました.本ガイドラインはこうした医学の進歩,新たな研究成果を取り入れられるように,客観的,網羅的に論文の評価を行って作成されました.
一方で,熱性けいれんには今でも解決されていない臨床的,研究的問題も多くあります.たとえば側頭葉てんかんと乳幼児期の熱性けいれん重積状態の関連には議論があり,多くの臨床研究や動物実験などが行われています.また熱性けいれんにかかわる遺伝子も報告されていますが,多くの熱性けいれんの患者においては遺伝形式は複雑で未解明です.本ガイドラインの作成においても十分なエビデンスがみつけられないCQも多くありました.そうしたCQについては委員会で議論を重ねて,委員会において推奨グレードの投票を行い,偏りのない意見となるように努めました.ガイドラインの内容について違った意見をもつ読者の方もいると思いますが,本ガイドラインの策定がきっかけとなりさらなる議論や臨床研究が進み,熱性けいれんの患者さんたちがこれまで以上に適切な医療を受けられるようになることを期待しています.
本ガイドライン策定委員会は当初,静岡県立こども病院の故愛波秀男先生を委員長として発足する予定でしたが,私が委員長を引き継ぎ2012年に委員会を発足しました.自分にとってガイドライン策定にかかわるのははじめての経験でとまどうことも多くありましたが,当時のガイドライン統括委員長(現担当理事)である杉江秀夫先生,「てんかん治療ガイドライン2010」(監修 日本神経学会)の作成などにかかわってこられた須貝研司先生,「デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン2014」(監修 日本神経学会)の作成委員であった小牧宏文先生をアドバイザーに迎え,策定委員会の皆さんの力添えもあって本ガイドラインを完成させることができました.策定委員会に参加いただいた小島原典子先生にはガイドライン作成の基本からご指導いただき大きな助けとなりました.また外部評価やパブリックコメントでも多くのご意見をいただき大変参考になりました.本ガイドライン策定に協力いただいた皆さんにこの場を借りてお礼を申し上げます.

2015年3月
日本小児神経学会
熱性けいれん診療ガイドライン策定委員会委員長  夏目 淳