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書籍詳細

糖尿病学2016診断と治療社 | 書籍詳細:糖尿病学2016

東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授

門脇 孝(かどわき たかし) 編集

初版 B5判 1色(口絵カラーあり) 174頁 2016年05月25日発行

ISBN9784787822406

定価:本体9,500円+税
  

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日進月歩の進歩を遂げる糖尿病学のなかでも特にわが国発の研究に重点を置いて重要な課題を取り上げ,専門的に解説したイヤーブック.今年もこの 1 年の基礎的研究,展開・臨床研究の成果が 20編の論文に凝集されている.糖尿病研究者のみならず,一般臨床医にとっても必読の書.

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目次

 口絵 
 序文 
 執筆者一覧 

基礎研究
 1.ウイルス糖尿病感受性遺伝子の発見と,これからの展開
[永淵正法,三根敬一朗,栗崎宏憲,勝田 仁]
■はじめに 
■ウイルス糖尿病の位置づけ 
■実験的ウイルス糖尿病感受性遺伝子の発見 
■ヒトウイルス糖尿病感受性遺伝子
■糖尿病ウイルスワクチン開発プロジェクト 
■ウイルス糖尿病の医療経済とワクチン効果 
 2.母体高血糖が先天性心疾患を惹起するメカニズム
[蜂須賀正紘,目野主税]
■はじめに 
■左右軸形成のメカニズム 
■マウスにおける母体糖尿病と内臓錯位 
■高濃度グルコース培地による全胚培養解析 
■高濃度グルコースはノード遺伝子発現に影響する 
■妊娠前糖尿病における先天性心疾患の発症メカニズムの考察 
 3.Kcnq1遺伝子領域による膵β細胞量調節機構
[淺原俊一郎,木戸良明]
■はじめに 
■KCNQ1とは 
■Kcnq1ノックアウトマウスの解析 
■インプリンティング遺伝子とは 
■Kcnq1遺伝子領域における膵β細胞量調節機構 
■Kcnq1ot1 truncationマウスの解析 
■Kcnq1遺伝子変異と高脂肪食摂取の相乗効果について 
■他施設からの報告 
■おわりに 
 4.GLUT5の立体構造とフルクトース輸送機構
[野村紀通,岩田 想]
■はじめに 
■GLUTの生理機能および疾患との関連性 
■GLUT構造研究へのアプローチ 
■GLUT5の立体構造と分子機構 
■おわりに 
 5.褐色脂肪組織と糖代謝
[斉藤昌之]
■はじめに 
■褐色脂肪での熱産生とグルコース利用 
■褐色脂肪と全身レベルでの糖代謝 
■褐色脂肪由来の因子BATkine 
■ヒト褐色脂肪と糖代謝 
■おわりに 
 6.中枢神経系血管パターニングの制御機構
[久保田義顕]
■はじめに
■網膜血管ネットワークの段階的形成過程 
■VEGF,NotchシグナルとTip/Stalk細胞 
■網膜血管の2次元構築から多層構造への移行 
■神経によるVEGF蛋白の取り込みによる血管成長の方向性制御 
■おわりに 
 7.エピゲノムによる代謝制御
[酒井寿郎,阿部陽平,松村欣宏,稲垣 毅]
■はじめに 
■エピゲノムとは 
■脂肪細胞の分化とヒストン修飾 
■エピゲノムと糖尿病 
■脂肪燃焼と糖脂質代謝を制御するヒストン脱メチル化酵素JMJD1A 
■クロマチン高次構造と肥満,糖脂質代謝制御 
■おわりに 
 8.肥満脂肪組織におけるS100A8の意義
[堰本亮平,前田法一,下村伊一郎]
■はじめに 
■肥満の進展過程における免疫細胞動態変化 
■肥満脂肪組織とS100A8 
■脂肪組織炎症におけるS100A8の役割 
■S100A8の臨床的意義 
■おわりに 
 9.アディポネクチン受容体の立体構造と創薬への展開
[山内敏正,岩部美紀,岩部真人,門脇 孝]
■はじめに 
■肥満に伴うインスリン抵抗性におけるアディポサイトカインの病態生理的意義 
■高脂肪食負荷・肥満に伴う血中アディポネクチンレベルの低下 
■アディポネクチンによる代謝改善作用の分子メカニズム 
■アディポネクチンに結合してその作用を伝達する受容体の同定 
■アディポネクチン受容体の各組織における生理的・病態生理的役割 
■アディポネクチン受容体アゴニスト(AdipoRon)の同定とその抗糖尿病効果 
■アディポネクチン受容体の立体構造の解明 
■おわりに 
10.脂肪酸受容体GPR120による脂肪摂取後のGIP分泌の制御
[岩﨑可南子,原田範雄,稲垣暢也]
■はじめに 73
■腸管内分泌細胞と局在 
■K細胞の栄養素感知機構とGIP分泌 
■今後の研究の展望 

展開研究・臨床研究
11.ヒト褐色脂肪細胞株の樹立とその性状解析
[梶村真吾]
■はじめに 
■2種類の熱産生細胞(褐色脂肪細胞とベージュ細胞) 
■成人のUCP1陽性細胞はベージュ細胞に似た形質をもつ 
■ヒト褐色脂肪細胞の新規マーカーの同定 
■おわりに 
12.糖尿病患者における体組成と動脈硬化
[坊内良太郎,小川佳宏]
■はじめに 
■糖尿病患者における内臓脂肪蓄積の意義 
■臨床指標の内臓脂肪蓄積評価法としての意義と限界 
■画像検査による直接的な内臓・皮下脂肪評価と糖尿病・動脈硬化 
■異所性脂肪蓄積と糖尿病・動脈硬化 
■筋肉量・筋力と動脈硬化 
■種々の治療介入による体組成分布の変化と動脈硬化の改善 
■おわりに 
13.「名古屋宣言2015」採択と「肥満症」の意義
[春日雅人]
■はじめに 
■名古屋宣言2015 
■肥満症とobesity disease 
■肥満に関する欧米における考え方 
■おわりに 
14.GWASによる日本人2型糖尿病の疾患感受性遺伝子領域の同定
[前田士郎]
■はじめに 
■ゲノムワイド関連(相関)解析(GWAS) 
■欧米人における2型糖尿病GWAS 
■日本人における2型糖尿病疾患感受性遺伝子研究 
■特徴ある集団でのGWAS 
■GWAS情報の応用 
■日本人2型糖尿病感受性遺伝子研究の今後 
15.高齢者糖尿病の血糖コントロール目標
[荒木 厚]
■はじめに 
■血糖コントロールと糖尿病合併症・死亡 
■血糖コントロールと認知機能低下,認知症 
■血糖コントロールと身体機能(サルコペニア,フレイル,転倒・骨折) 
■HbA1c値と低血糖頻度 
■IADL低下,BADL低下と平均余命 
■高齢者糖尿病の血糖コントロール目標 
16.EMPA—REG OUTCOME試験
[小田原雅人]
■はじめに 
■FDAガイダンス 
■EMPA—REG OUTCOME試験の概要 
■EMPA—REG OUTCOME試験の心血管パラメータの推移 
■EMPA—REG OUTCOME試験の主要評価項目結果 
■EMPA—REG OUTCOME試験の主要評価項目以外の結果 
■EMPA—REG OUTCOME試験の有害事象の意義 
■EMPA—REG OUTCOME試験の有害事象 
■おわりに 
17.診療録直結型全国糖尿病データベース事業(J—DREAMS)
[植木浩二郎]
■はじめに 
■現在の糖尿病臨床研究とその課題 
■診療録直結型全国糖尿病データベース事業(J—DREAMS)の開始 
■J—DREAMSで何ができるのか 
■おわりに 
18.学習ツールの活用とチーム医療による糖尿病療養指導
[矢部大介,清野 裕]
■はじめに 
■糖尿病教育プログラムの現状と課題 
■糖尿病カンバセーション・マップTM 
■療養指導カード 
■療養指導者学習支援DVD 
■糖尿病連携手帳 
■糖尿病教育の学術集会 
■おわりに 
19.メタボリックシンドロームの診断基準と特定健診・保健指導
[高本偉碩]
■はじめに 
■メタボリックシンドロームの病態とわが国の診断基準 
■これまでのメタボリックシンドロームの診断基準の国際比較 
■診断基準の統一に関する動向 
■わが国におけるウエスト周囲長の基準を巡る議論 
■メタボリックシンドロームに関するエビデンス 
■特定健診・保健指導に関するエビデンス 
■おわりに 
20.J—DOIT3―介入研究から追跡研究へ
[門脇 孝]
■はじめに 
■J—DOIT3の目的 
■対象と方法 
■経過 
■J—DOIT3の追跡研究 
■J—DOIT3研究の意義 

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序文

 2016年も従来どおり日本糖尿病学会年次学術集会に合わせて,本書「糖尿病学」をお届けできる運びとなった.毎年この時期に刊行できることは非常に喜ばしいことである.

 さて,この一年も様々なテーマが話題となった.世界で初めてとなったウイルス糖尿病感受性遺伝子の発見,肥満症の概念について採択された名古屋宣言2015,メタボリックシンドロームの「鍵」分子であるアディポネクチン受容体の立体構造の解明,日本人2型糖尿病発症に関与する7つの疾患感受性遺伝子領域の同定など,新しい話題を含め,毎年のことながらそのテーマは多岐にわたる.本書ではおもに日本人による研究の成果を取りあげており,今年も20編の論文をこの一冊に収載することができた.

 「糖尿病学2016」では,上記の話題に加えて,エピゲノムによる代謝制御,K細胞におけるGIP分泌制御機構,高齢者の糖尿病患者における血糖コントロールのあり方,糖尿病教育プログラムの課題に対する日本糖尿病協会の取り組み,等々非常に興味深いテーマを取り上げることができた.また,全国糖尿病データベース事業であるJ—DREAMS,“J—DOIT3―介入研究から追跡研究へ”についても収載した.20稿のすべてが「基礎研究」から「展開・臨床研究」まで素晴らしい価値ある成果であり,いずれも研究者の熱意と英知がこめられた論文ばかりである.

 最後に,できるかぎり新しい情報を発信するため非常に短い期間でご執筆をいただいた著者の先生方に深謝申し上げる.

平成28年5月
門脇 孝