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クリニカルクエスチョン

抗血栓薬クリニカルクエスチョン100 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:抗血栓薬クリニカルクエスチョン100 改訂第2版
直接経口抗凝固薬時代の抗血小板・抗凝固薬の使い方

神戸市立医療センター中央市民病院神経内科部長

幸原 伸夫 (こうはら のぶお) 監修

神戸市立医療センター中央市民病院循環器内科部長

古川 裕 (ふるかわ ゆたか) 監修

大阪大学医学部附属病院脳卒中センター(神経内科・脳卒中科)助教

藤堂 謙一 (とうどう けんいち) 編集

神戸市立医療センター中央市民病院循環器内科副医長

金 基泰(きむ きて) 編集

改訂第2版 B5判 並製 168頁 2017年12月20日発行

ISBN9784787823113

定価:本体3,800円+税
  

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本書では,抗血小板・抗凝固薬の使い方を,実際に臨床で遭遇するクリニカルクエスチョンをあげ,その疑問・質問に答えるQ&A形式で適正な医療を行える指針となることを目的に編集.神経内科,循環器内科,脳神経外科のエキスパートが,その専門分野のノウハウを駆使して一人の患者さまに最善の治療を行えるよう,注意すべき点,その使い方のコツとピットフォールをあますところなく解説.循環器疾患,脳卒中診療に携わる医師,開業医・一般内科医等必携の書.2013年の初版以降登場した新薬,中和薬,新たなエビデンスを反映した待望の改訂版.

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目次

改訂第2版 監修の序
改訂第2版 編集の序

Chapter Ⅰ  総 論
  Q1 血液凝固のしくみはどうなっているのですか?
  Q2 抗血栓薬にはどのような種類がありますか?
  Q3 抗血小板薬にはどのような種類がありますか?
  Q4 新しい抗血小板薬について教えてください
  Q5 抗凝固薬にはどのような種類がありますか?
  Q6 血栓が生じる際には,どのような要因が関与しているのですか?
  Q7 できてしまった血栓が溶ける仕組みはどうなっているのですか?

Chapter Ⅱ  脳卒中
  Q8 MRIで無症候性脳梗塞を指摘されました.抗血栓療法は必要ですか?
  Q9 頭部MRI・MRAで脳動脈の狭窄が見つかった場合や頚動脈エコーで頚動脈の狭窄が見つかった場合,
    抗血栓療法はどうすべきですか?
 Q10 脳梗塞・TIAの既往があります.抗血栓薬による再発予防はどのようにすればよいですか?
 Q11 頚動脈ステント留置術(CAS)後や頚動脈内膜剥離術(CEA)後の抗血栓療法はどのようにすれば
    よいですか?

Chapter Ⅲ  虚血性心疾患
 Q12 虚血性心疾患の既往があります.抗血栓薬はどのように用いればよいですか?
 Q13 冠動脈造影で狭窄を指摘されましたが,カテーテル治療は行っていません.抗血栓療法は
    どのようにすればよいですか?
 Q14 安定虚血性心疾患に対して冠動脈ステント治療を受けた症例では,抗血栓療法はどのようにすれば
    よいですか?
 Q15 ステントを留置しない経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の場合も,治療後の抗血小板療法は
    ステント治療と同じなのでしょうか?
 Q16 PCI治療前の抗血小板薬の標準的な投与方法は?
 Q17 PCI治療中にはどのような抗凝固療法が行われているのですか?
 Q18 虚血性心疾患の一次予防のために抗血栓療法は必要ですか?

Chapter Ⅳ  末梢動脈疾患
 Q19 下肢末梢動脈疾患(PAD)があります.抗血栓薬は使用したほうがよいのでしょうか?
 Q20 下肢動脈疾患に使用する抗血小板薬にはどのようなものがありますか.特徴等について教えてください.
 Q21 下肢動脈にカテーテル治療を受けた患者では,抗血栓療法はどのようにすればよいですか?
 Q22 下肢動脈に薬剤溶出性ステントを留置した患者では,抗血栓療法をどのようにすればよいですか?
 Q23 末梢動脈疾患のために抗血小板薬内服中の場合,内視鏡検査,内視鏡処置,内視鏡治療時の対応は
    どのようにすべきでしょうか?

Chapter Ⅴ  集中治療・心不全管理
 Q24 大動脈内バルーンパンピング(IABP)を留置しCCUで管理されている患者では,どのような抗凝固療法が
    行われているのですか?
 Q25 経皮的人工心肺補助装置(PCPS)を挿入中の患者では,どのような抗凝固療法が行われているのですか?
 Q26 補助人工心臓(LVAD)植え込み後の患者では,どのような抗血栓療法が行われているのですか?
 Q27 心不全で利尿薬や強心薬を持続点滴治療中の患者では,抗凝固療法を行ったほうがよいですか?
 Q28 洞調律の低左室機能の患者において,心原性塞栓症予防のために長期の抗凝固療法が必要となることは
    あるのでしょうか?

Chapter Ⅵ  心房細動
 Q29 心房細動患者の塞栓症リスクはどのように評価すべきですか?
 Q30 心房細動患者の抗凝固療法に伴う出血リスクはどのように評価すべきですか?
 Q31 発作性心房細動でも抗凝固療法は必要ですか?
 Q32 心房細動に対するカテーテルアブレーションの後,抗凝固療法は終了できますか?
 Q33 アスピリンなどの抗血小板薬にも,心房細動の血栓塞栓症予防効果はあるのですか?

Chapter Ⅶ  心臓血管外科術後
 Q34 弁置換後の抗凝固療法はどうすべきですか?
 Q35 大動脈人工血管置換術後の抗血栓療法はどのようにすべきですか?

Chapter Ⅷ  深部静脈血栓症・肺塞栓症
 Q36 下肢深部静脈血栓症予防のための抗血栓療法はどのようにすべきですか?
 Q37 下肢静脈エコーで深部静脈血栓が見つかりました.どう対応すればよいでしょうか?
 Q38 急性肺塞栓症の抗凝固療法の方法は?
 Q39 急性肺塞栓症で血栓溶解治療の追加が必要なのはどんなときでしょうか?

Chapter Ⅸ  副作用
 Q40 抗血小板薬の副作用には,どのようなものがありますか?
 Q41 抗凝固薬の副作用には,どのようなものがありますか?
 Q42 抗血小板薬の出血助長効果はどれくらいあるのですか?
 Q43 抗血栓療法中の消化管出血時の対応はどのようにすべきですか?
 Q44 アスピリン内服中の上部消化管潰瘍の危険性はどの程度ですか?
 Q45 抗血栓薬内服中の脳出血時の対応はどのようにすべきですか?
 Q46 HITとはどのような病態ですか?
 Q47 HITはどのようなときに疑い,どのように診断すればよいですか?
 Q48 HITの治療はどのように行えばよいですか?
 Q49 HITの既往があるが,PCIや人工心肺を使用した手術を行う必要がある場合,どうすべきですか?

Chapter Ⅹ  抗血栓薬併用
 Q50 どのような脳梗塞の場合に抗血小板薬を2剤使用しますか?
 Q51 冠動脈疾患に対して,どのような場合に抗血小板薬を2剤使えばよいでしょうか?
 Q52 抗血小板薬を2剤にすると,出血助長効果はどのようになりますか?
 Q53 冠動脈疾患と心房細動の合併例では,どうすべきですか?
 Q54 頚動脈狭窄や脳動脈狭窄と心房細動の合併例では,抗血小板薬と抗凝固薬をどう使うべきですか?

Chapter Ⅺ  外科処置時の対応
 Q55 抗血栓薬休薬による脳梗塞発症の高リスク群とは?
 Q56 ステント血栓症とは何ですか?
 Q57 ステントの種類により,ステント血栓症のリスクに差はありますか?
 Q58 薬剤溶出性ステント(DES)留置後の患者が手術や消化管内視鏡検査を受ける際,抗血小板薬を中止しても
    よいですか?その場合,ステント血栓症(ST)の予防にヘパリンは必要ですか?
 Q59 歯科処置の際には抗血栓薬を中断しないといけないのですか?
 Q60 外科治療のために休薬が必要なときの主な薬剤の休薬期間を教えてください.
 Q61 ヘパリン置換の方法を教えてください.
 Q62 抗血栓薬内服中の内視鏡検査・内視鏡処置・内視鏡治療時の対応は,どのようにすべきですか?

Chapter Ⅻ  脳梗塞急性期
 Q63 脳梗塞急性期の抗血栓薬はどのように選択すべきですか?
 Q64 脳梗塞急性期の抗血小板薬はどのように開始すべきですか?
 Q65 脳梗塞急性期の抗凝固薬はどのように開始すべきですか?
 Q66 アテローム血栓性脳梗塞急性期の抗血栓療法は,どのようにすべきですか?
 Q67 ラクナ梗塞急性期の抗血栓療法は,どのようにすべきですか?
 Q68 脳動脈解離による脳梗塞の抗血栓療法はどのようにすべきですか?
 Q69 奇異性脳塞栓症の診断と抗血栓療法はどのようにすべきですか?
 Q70 大動脈弓部複合粥腫病変がある場合の抗血栓療法はどのようにすべきですか?
 Q71 感染性心内膜炎による脳梗塞に対する抗凝固療法はどのようにすべきですか?

Chapter ⅩⅢ  急性冠症候群
 Q72 急性心筋梗塞における急性期の抗血栓療法はどのようにすべきですか?
 Q73 クロピドグレルとチクロピジンには効果の違いはありますか?
 Q74 緊急ステント植え込み術後,ヘパリンの投与はいつまで必要ですか?
 Q75 急性冠症候群で緊急ステント植え込み術を行った場合,その後の2剤併用抗血小板薬療法(DAPT)の期間は
    慢性冠動脈疾患でのステント植え込み術後と同じでしょうか?
 Q76 冠攣縮による急性冠症候群の場合,抗血栓療法は必要ですか?

Chapter ⅩⅣ 大動脈解離
 Q77 急性大動脈解離を発症した場合には,以前から内服している抗血栓薬は中止すべきでしょうか?
 Q78 大動脈瘤内の壁在血栓に対する抗血栓療法は必要ですか?

Chapter ⅩⅤ 患者背景
 Q79 妊娠女性に対する抗血栓療法はどのようにすべきですか?
 Q80 高齢者に対する抗血栓療法はどのように考えるべきですか?
 Q81 透析患者の抗血栓薬はどのように用いるべきですか?

Chapter ⅩⅥ  ワルファリン
 Q82 ワルファリンの導入時のコツを教えてください.
 Q83 ワルファリン維持期の調整のコツを教えてください.
 Q84 ワルファリン調整の指標は,PT-INR値以外ではだめですか?
 Q85 TTRって何ですか?
 Q86 ワルファリンとの併用に注意すべき薬剤は何がありますか?
 Q87 ワルファリンと抗血小板薬を併用中の場合,内視鏡時の対応はどのようにすべきですか?
 Q88 ワルファリン内服中に手術を行う場合はどのようにするべきですか?
 Q89 ワルファリンと抗血小板薬を併用中の場合,出血性合併症の危険性はどの程度高くなりますか?
 Q90 ワルファリン内服中の脳出血を回避するためには,どのような注意が必要ですか?

Chapter ⅩⅦ  直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOACs)
 Q91 直接経口抗凝固薬の特徴について教えてください.
 Q92 心房細動に対する直接経口抗凝固薬の臨床試験の結果について教えてください.
 Q93 直接経口抗凝固薬の使い分けのポイントは何ですか?
 Q94 直接経口抗凝固薬投与時の腎機能評価は,Ccrですか?eGFRですか?
 Q95 ワルファリンから直接経口抗凝固薬に,直接経口抗凝固薬からワルファリンに変更する際の注意点を
    教えてください.
 Q96 直接経口抗凝固薬内服中に抜歯や手術を行う場合はどのようにすべきですか?
 Q97 直接経口抗凝固薬のモニタリングは可能ですか?
 Q98 直接経口抗凝固薬内服中のrt-PA投与は可能ですか?
 Q99 直接経口抗凝固薬の出血リスクは,ワルファリンと比べてどうですか?
Q100 非弁膜症性心房細動以外の病態に対する直接経口抗凝固薬の適応はないのですか?

付録
 ●主な臨床研究
 ●主な略語
 ●主な抗血栓薬

索引

Column
 MRIで脳梗塞や狭窄がみつかったときの抗血栓療法の考え方
 無症候性頚動脈狭窄に対するステント留置術,内膜剥離術
 冠動脈バイパス手術(CABG)後の症例
 CHADS2スコア
 VKORC1遺伝子多型のワルファリン感受性への影響
 腎障害の評価方法
 直接経口抗凝固薬内服中の抗潰瘍薬の必要性

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序文

改訂第2版 監修の序

 高齢化を迎えたわが国において,脳卒中,虚血性心疾患,末梢動脈疾患,心房細動,静脈血栓症など,抗血栓薬による予防・治療を必要とする疾患は増加の一途を辿っています.さらに,近年の薬剤開発の進歩や抗血栓治療を要する非薬物治療の進歩などにより,患者の病態に応じた抗血栓療法は,多様化し多岐にわたるものとなっています.適切な抗血栓治療を行う必要性が一層増す一方,そのために必要な知識も増え,日々変わっていきます.
 こうした背景のもと,本書の第1版は,さまざまな診療の場での抗血小板治療や抗凝固治療に関する疑問に回答し,実際に診療に役に立つことを目的として出版されました.多くの読者の皆さまに手に取り,目を通していただいたことに感謝申し上げます.また,当初の目的もある程度果たせたものと考えております.
 しかし,第1版出版からの約4年間に,新たなエビデンスとなる臨床研究の成果が発表され,使用できる薬剤も増えました.4年前に既に臨床で使われていた薬剤にも新たな適応が追加されているものがあります.このように,抗血栓治療は多くの診療領域に関わる治療であるとともに,現在も日進月歩を続けているホットな領域です.進歩が著しい医療の領域においては,ほんの数年前の常識が非常識となり,新たな常識が生まれる可能性があることに常に留意しておく必要があります.実際,本書第1版に記載された情報にも少し古くなってしまったところも散見されるようになりました.このたびの改訂は,本書の初版を世に送り出した者として,抗血栓治療に関する本書の中身をUPDATEし,今必要な正しい情報を読者の皆さまにお伝えする責務があるとの思いから行いました.
 当院の循環器グループと脳卒中グループは,現在も4年前と変わらず外科系診療科も含めて定期的な合同カンファランスを続けており,密な連携のもとに包括的な全身血管病の診療を行うよう努めています.ATIS(AtheroThrombosis:アテローム血栓症)という概念に象徴されるように,動脈硬化性疾患に血栓形成はつきものであり,これらによるイベントは冠動脈,脳や頸部の動脈,下肢動脈など,どの血管でも生じ得ます.臓器別の領域に拘りすぎずに動脈硬化性疾患を一つの全身血管病として診ることが大切です.さらには,静脈血栓症の多くは,循環器内科医や脳卒中専門医以外の医師が診ている患者さんに発症するため,本来抗血栓治療は心血管・脳血管病の非専門医にも身近なはずのものです.多くの医師およびその他の医療者に,専門領域に留まらない一般的知識や他領域も含む幅広い知識がしばしば求められます.
 この改訂第2版が,皆さまの目の前にあるさまざまな臨床現場での抗血栓療法に関する疑問に対して,少しでも参考になる答えやヒントをお示しできるよう願っております.

 2017年11月
古川 裕,幸原伸夫


改訂第2版 編集の序

 抗血栓薬は,非常に多くの患者さんが内服されており,循環器疾患や脳血管疾患の診療に従事する医師のみならず,多くの医師がその処方に関わっていることと思います.
 外科系の医師にとっては,抗血栓薬内服中の患者さんが手術を必要とする場合に,投薬中断による血栓症リスクがわからず,投薬の中止や再開をどのようにすべきか,悩むことが多いでしょう.脳神経外科や神経内科の医師は,脳梗塞急性期の患者さんにどの薬剤をどの程度投与し,いつから開始するのか,いつやめたらいいのか,明確な答えを望んでいます.循環器内科の若手医師は,急性心不全管理での抗凝固薬の使用や,心房細動合併患者へのPCI後の抗血小板薬2剤と抗凝固薬併用の方法などに悩んでいます.開業医や一般内科の医師にとっては,MRIで脳梗塞や動脈狭窄を指摘されたとき,抗血栓薬を開始すべきかどうか,困ったこともあるでしょう.高齢者の心房細動で抗凝固薬をどうするのか,誰もが直面する問題です.このような悩みや疑問に答えるべく,よくうける質問に焦点をあて,回答集を作成しました.現在明確な答えがない疑問に対しては,現状の解説や今後の展望などを記しました.
 近年のトピックは,直接経口抗凝固薬,新たな抗血小板薬,抗凝固中和薬の登場です. 2013年の初版の発刊以降,4番目の直接経口抗凝固薬が登場し,冠動脈領域では2種類の抗血小板薬が登場しました.直接経口抗凝固薬のうちダビガトランの中和薬が登場し,ワルファリンの抗凝固作用の中和を目的としたプロトロンビン複合体製剤が薬事承認を得ました.

 本書は,以下のような読者を想定して執筆しました.
・これから抗血栓薬を処方する研修医
・循環器疾患診療に関わる後期研修医(専攻医・専門修練医)
・脳卒中診療に従事する神経内科医や脳神経外科医
・開業医や一般内科医
・抗血栓薬の中止・再開方法に疑問のある外科系医師

 そして,以下の点に留意しながら執筆しました.
・網羅的な解説ではなく,日々の疑問を設定し,テーマを絞って臨床に結びつくよう具体的な回答を作成しました.
・どこからでも読めるよう,重要な内容は複数項でくりかえし記載しました.
・エビデンスとなる研究がある場合は,それをどのように解釈して,どのような患者対象にあてはめるのか明確に
 しました.
・実際にはエビデンスとなる研究がない場合が多く,その場合も参考となる研究があれば,それをどのように実臨床に
 応用するのか明確にしました.

 本書が読者の皆さんの日々の臨床場面での迷いや疑問を一つでも多く解決し,何よりも一人でも多くの患者さんに貢献できることを願っています.

 2017年11月
藤堂謙一,金 基泰