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新しいめまいの診断と治療 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:新しいめまいの診断と治療 改訂第2版
一過性めまいからメニエール病まで

いとう耳鼻咽喉科 院長

伊藤 文英(いとう ふみひで) 著

改訂第2版 A5判 並製 128頁 2017年12月30日発行

ISBN9784787823335

定価:本体3,500円+税
  

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耳鼻咽喉科医として長年めまい診療に従事する著者が,全身性循環不全によりめまいは発現することを57の症例から検証.内耳の循環は脳循環そのものでもあるという解剖生理(人体の構造と機能)に立脚し,診断不明とされる一過性のめまいと治療困難とされるメニエール病を治癒させることに貢献するべく,めまい診療に苦慮する全医師に向けて執筆した改訂書籍.

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目次

はじめに

chapterⅠ
めまいの診断と治療
 A.末梢前庭障害・中枢前庭障害
  1 前庭系の構造
  2 平衡感覚に異常が起こるメカニズム
  3 疾患に伴うめまい
 B.椎骨脳底動脈系の循環不全
  1 めまいの診断と治療の現状
  2 椎骨脳底動脈系の循環不全に起因するめまいの頻度
  3 「めまいのみ」の症状を引き起こす病態

chapterⅡ
全身性循環不全に起因するめまい
 A.低音障害型難聴
 B.椎骨脳底動脈系の循環不全によるめまい
 C.一過性,反復性めまい
  1 全身血圧が低下している症例
  2 降圧薬の投与を受けている症例
  3 診断的治療からの一過性,反復性めまい
 D.内耳の循環不全による内リンパ水腫
  1 内耳とリンパ
  2 内分泌,体液浸透圧とリンパ
 E.メニエール病
  1 発症初期のメニエール病症例
  2 発作性回転性めまいを繰り返していたメニエール病症例
  3 診断的治療からのメニエール病

chapterⅢ
椎骨脳底動脈系の循環不全によると考えられた頭位性めまい症例
 A.頭位性めまい症例に対する治療的診断
 B.頭位性めまいの病態と臨床的特徴
  1 良性発作性頭位めまい症か椎骨脳底動脈系の循環不全か
  2 薬物治療とオージオグラムの変化についての考察
  3 頭位性めまいの診断と治療

chapterⅣ
めまい症例の検討
 A.日常診療におけるめまい症例に対する治療的診断
 B. 一過性反復性めまい,良性発作性頭位めまい症,メニエール病の臨床的特徴
  1 椎骨脳底動脈系の循環不全によるめまいと他疾患との鑑別の必要性
  2 めまいを引き起こす疾患の特徴
  3 めまいのみの症例の診断と治療
 C.眼振検査
  1 自発眼振
  2 誘発眼振
  3 迷路刺激眼振検査

chapterⅤ
耳鳴・難聴,頭痛・頭重感,咽喉頭異常感(異物感)
 ―椎骨脳底動脈系に潜在する循環不全―
 A.椎骨脳底動脈系に潜在する循環不全が引き起こす症状
  1 耳鳴
  2 難聴
  3 頭痛・頭重感
  4 咽喉頭異常感(異物感)
 B.治療的診断からの考察

おわりに
索引
著者略歴

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序文

 「この学問の面白さを味わおうとするためには,どうしても解剖や生理ないし一般症候について地道に理解を深めるよう努力することが必要である.」

 これは切替一郎著,新耳鼻咽喉科学(南山堂,1967年)初版の序からの引用である.
 脳底動脈あるいは前下小脳動脈から分枝した迷路動脈は,内耳道内で,固有蝸牛動脈および前庭蝸牛動脈,前前庭動脈に分枝し,蝸牛,前庭に分布している.内耳の循環は脳循環そのものでもある.
 脳の血流は,ほかの臓器と同様,灌流圧と抵抗によって規定される.全身血圧が脳血流に与える影響を制御する第一の機構は,脳へ血流を送る血管に存在する動脈系圧受容器による圧受容器反射である.そして,第二の機構が,生理的血圧の範囲(下限は平均動脈圧50~60 mmHg,上限は150~160 mmHg)で脳血流を一定に保つ機構,自己調節である.
 体動時の血圧低下は,圧受容器反射で一過性に補償されるが,脱水等の循環血液量の減少があると,血圧低下は自己調節の下限以下になり,一過性のめまいが引き起こされると考えられる.
 極端な減塩食や多量の発汗がある時に水分のみを補給すると,低張性脱水を引き起こすことになる.低張性脱水が起こると,脱水状態であるにもかかわらず,体液浸透圧が低下しているため,飲水行動やバゾプレッシンの分泌が促進されにくく,重症化しやすいとされている.遷延する低張性脱水で,内耳外リンパは低張性になり,低張性の外リンパが内リンパ水腫を引き起こすと考えられる.
 本書は,「全身性循環不全によりめまいは発現する」という仮説が臨床の場で実証されたと実感できたことから,執筆されたものである.めまいの診療に苦慮されている臨床医家の先生がたが,本書から得られるであろう知識や考え方を応用され,「診断不明」とされる一過性のめまいと治療困難とされるメニエール病を治癒させることに,本書が少しでも貢献できるとすれば,望外の喜びである.

平成29年12月

伊藤文英