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小児臨床栄養学 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:小児臨床栄養学 改訂第2版

日本小児栄養消化器肝臓学会 編集

改訂第2版 B5判 並製 524頁 2018年10月31日発行

ISBN9784787823397

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定価:12,100円(本体価格11,000円+税)
  

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日本小児栄養消化器肝臓学会編として,初版からのアップデートに加え,栄養評価・食事指導の実際や診療報酬制度など,小児のNST活動に役立つ実践的な内容を盛り込みました.「スポーツと栄養」,「小児の在宅栄養管理」など新規項目も充実!小児栄養の教科書として,小児科医,栄養士,看護師ほかメディカルスタッフだけでなく,小児の発育に関わる保健師,教育・保育従事者の方々にもぜひ活用していただきたい1冊です.

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目次

口 絵
はじめに
初版の序(2011年)
執筆者一覧

第1章 成長・発達
Ⓐ 身体発育…位田 忍
Ⓑ 運動機能・精神の発達…玉井 浩
Ⓒ 消化器官の発達…清水俊明
Ⓓ 食べる機能の発達…弘中祥司

第2章 栄養素の基礎知識
Ⓐ 日本人の食事摂取基準(2015年版)総論…吉池信男・岩部万衣子
Ⓑ たんぱく質…井ノ口美香子
Ⓒ 脂 質…清水俊明
Ⓓ 糖質・炭水化物・食物繊維…位田 忍
Ⓔ 水・Na・K…髙屋淳二
Ⓕ Ca,P,Mgおよび微量元素…児玉浩子
Ⓖ ビタミン…瀧谷公隆
Ⓗ 腸内細菌とプロバイオティクス…下村里奈・永田 智
Ⓘ 保健機能食品とサプリメント…梅垣敬三

第3章 発育段階別・年齢別・階層別の栄養の基礎知識
Ⓐ 胎児期…東海林宏道
Ⓑ 授乳期における母親の栄養…上田玲子
Ⓒ 乳児期…堤 ちはる
Ⓓ 幼児期…堤 ちはる
Ⓔ 学童期・思春期…井ノ口美香子

第4章 栄養評価法
Ⓐ 身体計測・身体所見…高谷竜三・にえ川智美
Ⓑ 血液・尿生化学検査…土橋一重

第5章 症候と鑑別診断
Ⓐ 下 痢…虫明聡太郎
Ⓑ 嘔 吐…田中 彩・下野隆一
Ⓒ 腹 痛…井上幹大
Ⓓ 吐血と下血…清水泰岳
Ⓔ 腹部膨満…秋山卓士
Ⓕ 乳幼児期体重増加不良…庄司保子
Ⓖ やせ(学童期・思春期)…井ノ口美香子
Ⓗ 肥 満…内田則彦
Ⓘ 低身長…位田 忍
Ⓙ 嚥下困難…工藤孝広
Ⓚ 眼の異常…近藤宏樹
Ⓛ 皮膚・毛髪・爪の異常…近藤宏樹
Ⓜ 浮腫・低蛋白…宮崎敬士
Ⓝ 呼吸・循環(多呼吸,頻脈,心不全を踏まえて)…阿部百合子
Ⓞ 筋力低下・筋痛…市本景子・村山 圭
Ⓟ 意識障害…倉信奈緒美・村山 圭
Ⓠ 異食症…徳原大介

第6章 疾患別の栄養療法
Ⓐ 口腔内疾患
 ❶ 口唇口蓋裂・舌小帯短縮症…大山牧子
 ❷ 口内炎…中山佳子
 ❸ 唾液腺疾患…名木田 章・村上佳弘
Ⓑ 消化器疾患
 ❶ 胃食道逆流症…深堀 優
 ❷ 急性胃腸炎…十河 剛
 ❸ 好酸球性消化管疾患…大塚宜一
 ❹ 吸収不良症候群…佐藤真教・工藤孝広
 ❺ 短腸症…松浦俊治・田口智章
 ❻ 難治性下痢症…虫明聡太郎
 ❼ 蛋白漏出性胃腸症…井上敬介・青松友槻
 ❽ Crohn病…竹内一朗・新井勝大
 ❾ 潰瘍性大腸炎…虻川大樹・四竈美帆
 ❿ 過敏性腸症候群…岩間 達
 ⓫ 肝炎・肝硬変…別所一彦
 ⓬ 急性膵炎・慢性膵炎…鈴木光幸
 ⓭ 慢性機能性便秘症…奥田真珠美
 ⓮ 周期性嘔吐症候群…名木田 章・BU K Li
Ⓒ 消化管異常…内田恵一
Ⓓ 肝移植…岡島英明
Ⓔ 小腸移植…松浦俊治・田口智章
Ⓕ 代謝・内分泌疾患・染色体異常
 ❶ 先天代謝異常症
  1 アミノ酸・有機酸・脂肪酸代謝異常症…高柳正樹
  2 糖質代謝異常症…岡野善行
  3 金属代謝異常症…清水教一
 ❷ 1型糖尿病…浦上達彦
 ❸ 2型糖尿病…高谷竜三・にえ川智美
 ❹ 肥満症・メタボリックシンドローム…原 光彦
 ❺ 脂質異常症…土橋一重
 ❻ くる病…川井正信
 ❼ 染色体異常症…位田 忍
Ⓖ 食物アレルギー…今井孝成・長谷川実穂
Ⓗ 循環器疾患(先天性心疾患)…小垣滋豊
Ⓘ 腎疾患…濱崎祐子
Ⓙ 血液疾患・悪性腫瘍…橘 真紀子・三善陽子
Ⓚ てんかん…倉橋宏和・奥村彰久
Ⓛ 重症心身障がい児…羽鳥麗子・櫻井隆司
Ⓜ 異常妊娠が胎児・新生児に及ぼす影響…松家まどか・伊東宏晃
Ⓝ 低出生体重児…大川夏紀・東海林宏道

第7章 食行動異常への対応
Ⓐ 小 食…西本裕紀子
Ⓑ 過食・拒食…庄司保子
Ⓒ 偏食・ばかり食い・むら食い・遊び食い…瀧谷公隆
Ⓓ 不規則な食生活リズム…川井正信
Ⓔ 孤 食…室田洋子
Ⓕ 清涼飲料水ケトーシス…にえ川智美・高谷竜三
Ⓖ イオン飲料とビタミンB1欠乏…奥村彰久

第8章 スポーツと栄養
Ⓐ 小児科医としての指導…原 光彦
Ⓑ 管理栄養士・栄養士としての指導…鈴木志保子

第9章 静脈・経腸栄養
Ⓐ 静脈栄養
 ❶ 末梢静脈栄養…角田文彦・虻川大樹
 ❷ 中心静脈栄養…内田恵一
Ⓑ 経腸栄養…惠谷ゆり
Ⓒ PEG/胃瘻と経腸栄養…曹 英樹

第10章 栄養食事指導
Ⓐ 小児の栄養食事指導…西本裕紀子
Ⓑ 小児の食事・栄養相談の診療報酬制度…藤谷朝実

第11章 小児のNST
Ⓐ 小児のNST活動とチェアマンの役割…惠谷ゆり
Ⓑ 小児のNSTにおける管理栄養士の役割…鳥井隆志
Ⓒ 小児のNSTにおける看護師の役割…家藤由乃・岡本綾子
Ⓓ 小児のNSTにおける薬剤師の役割…愛甲佳未

第12章 小児の在宅栄養管理
Ⓐ 小児の在宅栄養管理のHPNとHEN…位田 忍
Ⓑ 小児がんの栄養管理…小林正夫・長尾晶子
Ⓒ 在宅栄養管理における管理栄養士の役割…前田佳予子・豊田綾子

第13章 食教育
Ⓐ 食育基本法…田中弘之
Ⓑ 小児期の食教育における包括的アプローチ…吉池信男・岩部万衣子
Ⓒ 小児科医の役割…内田則彦
Ⓓ 保育所・幼稚園・認定こども園での取り組み…太田百合子
Ⓔ 学校での取り組み…田中延子

資 料
Ⓐ 身長・体重・頭囲・標準成長曲線…井ノ口美香子
Ⓑ 検査値一覧…武田英二
Ⓒ おもな栄養輸液製剤と経腸栄養剤…鍵本聖一
Ⓓ 日本人の食事摂取基準(2015年版)データ…井ノ口美香子
Ⓔ 平成27年度乳幼児栄養調査結果の概要…堤 ちはる
Ⓕ 保健機能食品の概要とアドバイザリースタッフ…佐藤陽子
Ⓖ おもな胃瘻ボタン型バルーンカテーテルの外径サイズ・有効長・内径・バルーン容量…秋山卓士

■Column
・食品に含まれる有害物質と妊産婦・小児…畝山智香子
・災害時における小児の栄養…瀧谷公隆
・乳児期におけるはちみつ摂取の禁忌(乳児ボツリヌス症)…奥村彰久
・ケトン食…柳原恵子
・メディアによる子どもの栄養情報…髙橋久仁子
・小児専門管理栄養士の誕生を目指して…塚田定信
・小児の褥瘡…曹 英樹
・学校給食実施基準とその策定…原 光彦
・食事バランスガイド…西本裕紀子

索 引
略語一覧

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序文

■はじめに

 2011年に児玉先生・清水先生との共同編集にて,本書「小児臨床栄養学」を刊行しましたが,これまで日本においては小児栄養に関する教科書はほとんど見られず,さまざまな方面から高い評価をいただいていました.その後の進歩もあり改訂が望まれていましたので,日本小児栄養消化器肝臓学会が中心となって,関連する領域の専門家にも執筆をお願いし,医師,看護師,管理栄養士などの医療関係者だけでなく保健師,栄養指導を行っている教師や保育士など小児栄養に関心のある方々の教科書としても役立つものとして,今回の改訂第2版を刊行いたしました.
 成人の生活習慣病検診の基準を達成するためには,小児期からの肥満防止対策が重要となっています.肥満対策にとどまらず,「やせ」についても十分な対策が求められていて,今後も肥満とやせの両極の対策が求められています.また,小児NSTについても,多くの病院で栄養管理実施加算を算定する際の参考に初版が利用されてきました.今回は,さらに実践的な内容を盛り込んでいます.また,スポーツと栄養に関する理論と実践についても,正しく普及させる必要があることから今回取り上げることになりました.
 今回の改訂版では,項目数が増え,幅広く専門的な内容になり,前回よりも多くの紙面をかけることになりましたが,栄養に関する基礎,生理学,関連領域の学会からも執筆をいただき,小児栄養に関するバイブル的教科書を目指した本書が皆様のお役に立てることを望んでいます.

2018年10月

日本小児栄養消化器肝臓学会運営委員長
玉井 浩


■初版の序(2011年)

 近年,nutrition support team(NST)や食育の重要性が指摘されています.NSTは入院患者の入院期間を短縮し,患者のQOLを改善させるだけでなく医療経済上もメリットがあることが実証されています.2006年に診療報酬で「栄養管理実施加算」が新設されたことは,栄養管理が医療において重要な地位を占めたことを示しており,非常に画期的なことでした.また,質の高い医療を提供するためにチーム医療が重要であることも認識されるようになりました.最近は外来NSTも普及しつつあります.食育に関しても,食育を実践している学校では,朝食欠食率の減少,給食残飯の減少などが実証されています.これはまさに栄養が様々な疾患の予後に重要であることや,食が小児の成長・発達の土台になることが認識されていることを示しています.今まさに国をあげて,このような栄養状態改善の取り組みがなされています.小児の栄養に関する書籍・雑誌はいくつか発行されていますが,比較的簡単なものが多いように思います.しかし近年の栄養学の発展と実践の重要性から考えて,実践を念頭に置いた“基礎から近年の栄養学の発展まで”をしっかり網羅した書籍が待たれていました.
 本書は,小児の栄養の基礎から様々な疾患での栄養療法のあり方に至るまでを解説しています.非常に多くの各分野のエキスパートに,それぞれの専門的な立場からご執筆をお願いしました.日常の多忙な診療や栄養指導のなかで,本書に貢献してくださった先生方に心より感謝を申し上げます.一見,栄養と関係がないように思われる疾患においても,それぞれの疾患での栄養の重要性と栄養療法のあり方について記載されている,非常にユニークな書籍です.小児の栄養学および臨床・保健活動での実践のバイブルになると思われます.
 小児の良好な成長・発達に適切な栄養は必要不可欠であり,栄養療法が治療の主体となる疾患も多くあります.肥満・メタボリックシンドローム,痩せ,偏食,孤食は「飽食の時代の栄養不良(過食も広義の栄養不良に入る)」と考えられ,今後ますます重要な課題になると思われます.このような問題に積極的に取り組むことが,小児を健全に育てるのに不可欠です.また,本書により様々な慢性疾患でも栄養状態に留意し,栄養状態を改善することが疾患の予後や患児のQOLに大きく関与することが理解でき,医食同源を再確認することができます.
 しかしながら,食・栄養に対する実践は小児科医だけでは困難です.栄養士,看護師,保健師,栄養教諭といった方々と協力して初めて成功します.小児科医のみならず栄養士,看護師,保健師等のコメディカルの先生方にも診療・保健活動・研究などで本書を大いに活用していただき,小児の健やかな発育と健康のために役に立てていただければ幸いです.

2011年1月

児玉浩子
玉井 浩
清水俊明