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書籍詳細

マクギーのフィジカル診断学 原著第4版診断と治療社 | 書籍詳細:マクギーのフィジカル診断学 原著第4版

群星沖縄臨床研修センター センター長

徳田 安春(とくだ やすはる) 総監訳

獨協医科大学 総合診療医学講座 主任教授

志水 太郎(しみず たろう) 監訳

徳洲会奄美ブロック 総合診療研修センター センター長

平島 修(ひらしま おさむ) 監訳

島根大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター 助教

和足 孝之(わたり たかし) 監訳

原著第4版 B5版 並製 580頁 2019年05月20日発行

ISBN9784787823489

定価:本体6,800円+税
  

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多くの症候・疾患における,有益な問診と診察の感度・特異度・尤度比をまとめて示した唯一の書籍「マクギー」を,最新の研究をもとに全面改訂.新たな翻訳体制でさらに理解しやすく, デザイン刷新によりさらに読みやすくなった最新版.PC・スマートフォンなどの端末で使える電子書籍付き.検査後確率を素早く計算できるEBM Calculatorも利用可能.(「マクギーの身体診断学」を改題)

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目次

Part 1 はじめに Introduction
Chapter 1 エビデンスに基づく身体診察とは何か? What Is Evidence-Based Physical Diagnosis?

Part 2 エビデンスを理解する Understanding the Evidence
Chapter 2 身体所見の診断精度 Diagnostic Accuracy of Physical Findings
Chapter 3 本書の表の利用法 Using the Tables in This Book
Chapter 4 EBM Calculatorの利用法(Expert Consult) Using the Evidence-Based Medicine Calculator (Expert Consult)
Chapter 5 身体所見の信頼性 Reliability of Physical Findings

Part 3 患者の外観 General Appearance of the Patient
Chapter 6 精神状態の診察 Mental Status Examination
Chapter 7 姿勢と歩行 Stance and Gait
Chapter 8 黄 疸 Jaundice
Chapter 9 チアノーゼ Cyanosis
Chapter 10 貧 血 Anemia
Chapter 11 循環血液量減少 Hypovolemia
Chapter 12 蛋白-エネルギーの栄養障害と体重減少 Protein-Energy Malnutrition and Weight Loss
Chapter 13 肥 満 Obesity
Chapter 14 Cushing症候群 Cushing Syndrome

Part 4 バイタルサイン Vital Signs
Chapter 15 脈拍数と波形 Pulse Rate and Contour
Chapter 16 脈拍の調律異常 Abnormalities of Pulse Rhythm
Chapter 17 血 圧 Blood Pressure
Chapter 18 体 温 Temperature
Chapter 19 呼吸数と呼吸様式の異常 Respiratory Rate and Abnormal Breathing Patterns
Chapter 20 パルスオキシメトリー Pulse Oximetry

Part 5 頭頸部 Head and Neck
Chapter 21 瞳 孔 The Pupils
Chapter 22 糖尿病網膜症 Diabetic Retinopathy
Chapter 23 充血眼 The Red Eye
Chapter 24 聴 力 Hearing
Chapter 25 甲状腺とその疾患 Thyroid and Its Disorders
Chapter 26 髄 膜 Meninges
Chapter 27 末梢性リンパ節腫脹 Peripheral Lymphadenopathy

Part 6 肺 The Lungs
Chapter 28 胸部の視診 Inspection of the Chest
Chapter 29 胸部の触診と打診 Palpation and Percussion of the Chest
Chapter 30 肺の聴診 Auscultation of the Lungs
Chapter 31 補助的試験 Ancillary Tests

Part 7 おもな肺疾患 Selected Pulmonary Disorders
Chapter 32 肺 炎 Pneumonia
Chapter 33 慢性閉塞性肺疾患 Chronic Obstructive Lung Disease
Chapter 34 肺塞栓症 Pulmonary Embolism
Chapter 35 胸水貯留 Pleural Effusion

Part 8 心 臓 The Heart
Chapter 36 頸静脈の視診 Inspection of the Neck Veins
Chapter 37 心臓の打診 Percussion of the Heart
Chapter 38 心臓の触診 Palpation of the Heart
Chapter 39 心臓の聴診:一般原則 Auscultation of the Heart: General Principles
Chapter 40 Ⅰ音とⅡ音 The First and Second Heart Sounds
Chapter 41 Ⅲ音とⅣ音 The Third and Fourth Heart Sounds
Chapter 42 様々な心音 Miscellaneous Heart Sounds
Chapter 43 心雑音:一般原則 Heart Murmurs: General Principles

Part 9 おもな心疾患 Selected Cardiac Disorders
Chapter 44 大動脈弁狭窄症 Aortic Stenosis
Chapter 45 大動脈弁逆流症 Aortic Regurgitation
Chapter 46 種々の心雑音 Miscellaneous Heart Murmurs
Chapter 47 心外膜疾患 Disorders of the Pericardium
Chapter 48 うっ血性心不全 Congestive Heart Failure
Chapter 49 冠動脈疾患 Coronary Artery Disease

Part 10 腹 部 Abdomen
Chapter 50 腹部の視診 Inspection of the Abdomen
Chapter 51 腹部の触診と打診 Palpation and Percussion of the Abdomen
Chapter 52 腹痛と圧痛 Abdominal Pain and Tenderness
Chapter 53 腹部の聴診 Auscultation of the Abdomen

Part 11 四 肢 Extremities
Chapter 54 末梢血管疾患 Peripheral Vascular Disease
Chapter 55 糖尿病足病変 The Diabetic Foot
Chapter 56 浮腫と深部静脈血栓症 Edema and Deep Vein Thrombosis
Chapter 57 筋骨格系の診察 Examination of the Musculoskeletal System

Part 12 神経学的診察 Neurologic Examination
Chapter 58 視野の診察 Visual Field Testing
Chapter 59 眼筋の神経(Ⅲ,Ⅳ,Ⅵ):複視へのアプローチ Nerves of the Eye Muscles (Ⅲ, Ⅳ, and Ⅵ): Approach to Diplopia
Chapter 60 その他の脳神経 Miscellaneous Cranial Nerves
Chapter 61 運動系の診察:筋力低下へのアプローチ Examination of the Motor System: Approach to Weakness
Chapter 62 感覚系の診察 Examination of the Sensory System
Chapter 63 反射の診察 Examination of the Reflexes
Chapter 64 神経根,神経叢および末梢神経の疾患 Disorders of the Nerve Roots, Plexuses, and Peripheral Nerves
Chapter 65 協調運動と小脳機能検査 Coordination and Cerebellar Testing

Part 13 おもな神経疾患 Selected Neurologic Disorders
Chapter 66 振戦とParkinson病 Tremor and Parkinson Disease
Chapter 67 出血性脳卒中と虚血性脳卒中 Hemorrhagic Versus Ischemic Stroke
Chapter 68 急性めまいと平衡機能障害 Acute Vertigo and Imbalance
Chapter 69 非器質性神経疾患の診察 Examination of Nonorganic Neurologic Disorders

Part 14 ICUの診察 Examination in the Intensive Care Unit
Chapter 70 ICUの患者を診察する Examination of Patients in the Intensive Care Unit

付録:APPENDIX 尤度比(LR)とその95%信頼区間,検査前確率 Likelihood Ratios, Confidence Intervals, and Pre-Test Probability

索 引

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序文

総監訳者序文

  診断推論は,有益な情報を集めて謎を解く,いわばパズルのようなものと言ってもいいだろう.問診と診察では,ノイズをあえて切り捨てて,有益な情報のみを積極的に集めていく.ほとんどのパズルが,問診と診察で解くことが可能になるであろう.有益な情報とは確率を大きく変化させることのできる,ストロングな尤度比を持つ症状と所見だ.問診も診察も,自ら積極的に取りに行かなければ得ることができない.
  診断推論では,代表的な症候や重要な疾患における有益な情報である問診と診察を使いこなせることがとても重要である.これを実践するための代表的な教科書がこのマクギーである.これだけの症候や疾患における有益な問診と診察の感度や特異度,そして尤度比をまとめて示した書籍は他にない.すなわち,世界唯一である.
  このたび,マクギーが改訂されたタイミングで日本語版を出版するにあたり,若手の病院総合診療医を中心に翻訳チームを編成しその作業をしていただいた.過酷な翻訳作業を担当して下さった翻訳者と監訳者の先生方に心から御礼を申し上げる.また,今回のマクギー日本語版作成の企画立案と編集作業を行ってくださった,編集部の金丸秀昭さんをはじめとした診断と治療社の皆様に感謝する次第である.日常診療におけるパズルを問診と診察で解き明かしていくことのできる医療者を目指す人に必須の本であるマクギー.この本の最新日本語版をお届けできることは総監訳にとって望外の幸福である.

徳田安春
2019 年3 月吉日


第4 版への序文

  本書の第3 版が出版されてから,フィジカル診断に関する多くの新しい研究が発表されてきた.それに伴い,ベッドサイドにおける所見の有用性や,その所見からどのように疾患を見出し,臨床問題を解決し,患者の臨床経過を予測するかということについて,本書はより洗練された内容となったといえる.“ Evidence-Based Physical Diagnosis 第4 版”では,第3 版のすべての章をこれらの新知見を基にアップデートし,およそ200 の新しい研究内容を本書のEvidence- Based Medicine (EBM) Boxesに追加した.また, 第4 版では過去の版では扱われていなかったいくつかの所見や臨床問題についても扱っている.たとえば,Cheyne-Stokes呼吸,鎖骨下動脈狭窄,不明熱, 門脈肺高血圧症,脳卒中の局在についてである.さらに,すべての章において最重要点をまとめた本章で学ぶポイントのリストを章の冒頭に示したので,各指導医は自身のベッドサイドの教育計画を練るのに利用することができるだろう.最後に,新しい章としてElsevierのオンライン計算機(Elsevier online EBM calculator)の使い方に関する章がある.Elsevierのオンライン計算機では,各章に載っているLRを用いて検査後確率を手早く計算することができる.
  研究者のなかには,彼らの研究成果のなかから未発表の追加データをご提供くださった方もいらした.Liang-Tsai Hsiao医師(不明熱),Farrukh Jafri医師(髄膜炎),Mark Drazner医師(心不全),Larry Jacobs医師(門脈肺高血圧症)である.私の疑問に対し,快く応じてくださった皆様に深く感謝している.
  今回の改訂版の目的は,伝統的な身体診察の正確性に関するデータと,100 年前と変わらず今日でも非常に重要な臨床技術に関するまとめを臨床医の先生方に提供することである.本書の情報を利用することで,医師は患者を診察し,ベッドサイドの所見から最大限の情報を引き出し,それを新しい検査技術と組み合わせることによって,最も洗練された診断推論と最良のケアを患者に提供することができるだろう.

Steven McGee, MD
2016 年2 月


初版への序文

  本書が目指すのは,現在用いられている成人患者での数多くの身体所見に関し,その起源,病態生理,診断的正確性を明らかにすることである.われわれにはフィジカル診断に関する豊富な伝統がある.私のねらいは,本書がこの約2 世紀にもわたる伝統と,画像検査や臨床検査などの科学的検査に頼りがちな現代の診断学の実情とを調和させることである.フィジカル診断と科学的検査法との間にある不調和が今日ほどに強まったことはなかった.私は20 年間にわたりフィジカル診断学を教えてきたが,臨床実習に出る前の医学生がフィジカル診断に関する書籍を購入し,身体所見の伝統を身につけようと勉強するも,いざ臨床実習の年次になり現代的な診断がしばしばベッドサイドから離れたところで行われているのを目にするようになると,彼らがフィジカル診断の知識を顧みなくなったり捨て去ってしまったりする, ということをよく目にしてきた.学生の指導医たちがみな胸部X線写真の微細な所見にばかり注目しているようであれば,肺炎の患者を担当する学生がクラックルや呼吸音の減少について真剣に議論しないからといって,それを責めることはできない.フィジカル診断軽視の風潮はレジデントの教育プログラムにも広がっており,プログラムの多くは放射線画像回診,病理回診,微生物回診,臨床検査に重きをおいた臨床カンファレンスを公式なプログラムとして組み入れている一方で,フィジカル診断の回診を公式プログラムとしているものはほとんどない.
  伝統的なフィジカル診断と現代的な診断基準を調和させることは,フィジカル診断の歴史においてずっと続けられてきた営みである.1830 年代に,打診による局所診断の発明者であるPierre Adolphe Piorry教授は,打診には9 種類の異なる音があり,それらによって肝臓,心臓,肺,胃,さらに個々の心房・心室や肺の空洞の輪郭を判別することができると教えた.Piorryの方法は1 世紀以上にわたっておおいに流行し,一時は200 ページにもわたるマニュアルともなったが1,1900 年代初頭に導入された画像診断によって,今では彼の方法論は肝辺縁の打診法にその名残があるのみである.1819 年にはLaennecが著書『A Treatise on the Diseases of the Chest(胸部疾患に関する論文)』2 のなかで,肺聴診により“起こりうるどのような”肺炎も検出することができると述べている.しかし他の慎重なフィジカル診断医たちが聴診器の診断的限界を指摘したことで,この熱意は20 年も経たないうちに冷めてしまった3.さらに,収縮後期雑音はしばしば僧帽弁逆流で認められ,しかも時に非常に重症であるということをBarlowらが1963 年に示すまで,20 世紀の大部分の間にわたって熟練の臨床医たちは収縮後期雑音をすべて良性のものだと信じていた4 .
  フィジカル診断に関する対極的な2 つの意見が同時に存在している.一方は,すべての伝統的な身体所見は今日でも正確性を有しているとし,Kronig峡部や脾臓の打診徴候について学生に口頭試問するような臨床家たちで,こちらは少数派である.もう一方の多数派は,フィジカル診断が現代の臨床医に寄与することはほとんどなく,伝統的身体所見は興味深いものではあるが,現在のより技術的な診断ツールには正確性において太刀打ちできないと考える臨床家たちである.どちらの立場も,もちろん正しくはない.本書が目指すのは,最良のエビデンスを吟味し,身体所見と現代の診断基準と比較することで,臨床医により適切な中立的な見方を提供し,フィジカル診断は信頼に足る診断ツールであり,すべてではないにせよ,多くの臨床的問題の解決に役立つものだということを伝えることである.
  EBMを“クッキングブック医学”とみなす人もいるが,これは間違っている.なぜなら,臨床試験は患者とわれわれとの間での無数の微妙な相互作用まで扱うことは(少なくとも現状では)できず,身体所見(そして他のいかなる検査も)の診断的性能は,われわれの疾患の検査前確率に対する見解にある程度左右され,それはつまりわれわれ個人の問診技術と臨床経験に依存しているということなのである*.
  一方で,本書は利用可能な最良のエビデンスに基づき,身体所見が正確なものかどうかを簡潔にまとめたものである.本書に記載されたエビデンスを理解すれば,臨床医は自身の経験に加えて本書に載っている研究にまとめられた何千人もの患者も経験したことになり,それによって得られた自信と賢智をもって自身の患者にアプローチできるようになる.
  現代の診断基準と比較すると,時代遅れで破棄したほうがよいと思われる身体所見が明らかになることもある(たとえば,横隔膜可動域の局所打診法など).また一方で,正確性が非常に高いのに利用されていない身体所見もある(たとえば,大動脈弁逆流における胸骨左縁下部の拡張早期雑音,貧血における結膜辺縁の蒼白,肝外胆管閉塞における胆嚢触知など).さらに別の身体所見では,100 年前の身体診察の多くがそうであったように,身体所見そのものが診断基準となっているものもある(たとえば,僧帽弁逸脱症における収縮期雑音とクリック音,脳卒中における片麻痺,増殖性糖尿病網膜症における血管新生など).身体所見と科学的検査の間に依然として軋轢があり,診断基準を不明確にしているものもある(たとえば,心タンポナーデや手根管症候群の診断).そしてさらには,身体所見と伝統的な診断基準とを比較した臨床研究が存在せず,比較自体が不可能なものもある.私は,本書の内容があらゆるレベルの臨床医(学生,開業医,経験ある臨床医など)に受け入れられ,患者をより自信をもって正確に診察し,フィジカル診断が適切な,かつ時に中心的な診断での役割を取り戻すことを願っている.エビデンスに基づくフィジカル診断に精通すれば,医師は重要な臨床的疑問の多くを患者のベッドサイドで解決できるようになるだろう.

Steven McGee, MD
2000年7月

文献
1 . Weil A. Handbuch und Atlas der Topographischen Perkussion. Leipzig:F. C. W. Vogel;1880 .
2 . Laennec RTH. A Treatise on the Diseases of the Chest(Facsimile Edition by Classics of Medicine Library). London:T. & G. Underwood;1821 .
3 . Addison T. The difficulties and fallacies attending physical diagnosis of diseases of the chest. In: Wilks S, Daldy TM, eds. A Collection of the Published Writings of the Late Thomas Addison(Facsimile Edition by Classics of Medicine Library). London:The New Sydenham Society;1846:242 .
4 . Barlow JB, Pocock WA, Marchand P, Denny M. The significance of late systolic murmurs. Am Heart J. 1963;66(4):443 ? 452 .

*: これらに関してはChapter 2と5で詳しく記載している.