HOME > 書籍詳細

書籍詳細

論文を正しく読み書くためのやさしい統計学 改訂第3版診断と治療社 | 書籍詳細:論文を正しく読み書くためのやさしい統計学 改訂第3版

自治医科大学公衆衛生学教室 教授

中村 好一(なかむら よしかず) 編集

改訂第3版 B5判 並製 200頁 2019年04月05日発行

ISBN9784787823649

定価:本体3,900円+税
  

立ち読み機能は、ただ今準備中です  


2006年発刊の初版からの「論文の読み書きができるようになる」,というコンセプトは踏襲しつつ,本改訂版では,新たにマルチレベル分析の項目を設け,難解な統計用語を参照できるよう「用語解説」を収録,紙面も大幅にリニューアルしました.実際の論文や仮想データを例に,論文での使われ方と解析方法をていねいに解説.理解の助けとなるポイントや注意点もコラムに盛り込み,さらに「やさしく」なりました!

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

改訂第3版の序
改訂第2版の序
初版の序-本書の使い方-
執筆者一覧
統計手法のフローチャート

第1章 統計学とは?…… 村上義孝
1 人間集団を対象とした研究と統計学の役割
2 偶然誤差と系統誤差
3 母集団と標本
4 記述統計と推測統計
5 データの種類と統計手法の使い分け
6 研究成果の一般化

第2章 基本的な統計量……尾島俊之
1 基本的な統計量の基本
2 医学研究での基本的な統計量
3 基本的な統計量の読み方
4 基本的な統計量の求め方

第3章 検定と推定・95%信頼区間……横道洋司
1 検定の基本
2 推定の基本
3 標準誤差
4 医学研究での検定・推定結果の読み方
5 95%信頼区間とは
6 95%信頼区間の求め方

第4章 平均の検定……渡邉 至
1 平均の検定の基本
2 医学研究での平均の検定
3 平均の検定の読み方
4 平均の検定の求め方

第5章 割合の検定……西 信雄
1 割合の検定の基本
2 医学研究での割合の検定
3 割合の検定の読み方
4 割合の検定の求め方

第6章 相関係数……櫻井 勝・三浦克之
1 相関係数の基本
2 医学研究での相関係数
3 相関係数の読み方
4 相関係数の求め方
5 相関係数の落とし穴

第7章 線形回帰……黒沢洋一
1 線形回帰の基本
2 線形回帰の実際
3 医学研究での線形回帰
4 線形回帰の読み方
5 線形回帰の求め方(重回帰)

第8章 共分散分析……佐伯圭吾
1 共分散分析の基本
2 医学研究での共分散分析
3 共分散分析の読み方
4 共分散分析の求め方

第9章 オッズ比……阿江竜介・中村好一
1 オッズ比の基本
2 医学研究でのオッズ比
3 オッズ比の読み方
4 オッズ比の求め方

第10章 ロジスティック回帰分析……村上義孝・杉山裕美
1 ロジスティック回帰分析の基本
2 医学研究でのロジスティック回帰分析
3 ロジスティック回帰分析の読み方
4 ロジスティック回帰分析の求め方

第11章 Coxの比例ハザードモデル……佐伯圭吾
1 Coxの比例ハザードモデルの基本
2 医学研究でのCoxの比例ハザードモデル
3 Coxの比例ハザードモデルの読み方
4 ハザード比の求め方

第12章 マルチレベル分析……松原優里
1 マルチレベル分析の基本
2 マルチレベル分析の読み方
3 マルチレベル分析の求め方

第13章 その他の多変量解析……横道洋司
1 Poisson回帰分析
2 McNemarのオッズ比
3 条件付きロジスティック回帰分析
4 頻度マッチング(frequency matching)
5 プロペンシティスコアによるマッチング

第14章 生存分析(Kaplan-Meier法)……尾島俊之
1 生存分析の基本
2 医学研究でのKaplan-Meier法
3 生存分析の読み方
4 Kaplan-Meier法の計算方法

第15章 標準化……西 信雄
1 標準化の基本
2 医学研究での標準化
3 標準化の読み方
4 標準化の求め方

第16章 Wilcoxonの符号付順位和検定……櫻井 勝・三浦克之
1 Wilcoxonの符号付順位和検定の基本
2 医学研究でのWilcoxonの符号付順位和検定(読み方)
3 Wilcoxonの符号付順位和検定の求め方

第17章 Mann-WhitneyのU検定……天野宏紀・黒沢洋一
1 Mann-WhitneyのU検定の基本
2 医学研究でのMann-WhitneyのU検定
3 Mann-WhitneyのU検定の読み方
4 Mann-WhitneyのU検定の求め方

第18章 Spearmanの順位相関係数……渡邉 至
1 Spearmanの順位相関係数の基本
2 医学研究でのSpearmanの順位相関係数
3 Spearmanの順位相関係数の読み方
4 Spearmanの順位相関係数の求め方

第19章 感度・特異度・ROC曲線……渡邉 至
1 感度・特異度・ROC曲線の基本
2 医学研究での感度・特異度・ROC曲線
3 感度・特異度・ROC曲線の読み方
4 感度・特異度・ROC曲線の求め方

第20章 一致性の観察……上原里程
1 どのようなときに一致性の観察が必要か
2 カッパ統計量
3 Cronbachのアルファ係数

付録1 統計解析に用いられるおもなExcel関数……中村好一
付録2 統計解析に用いられるおもなSASプロシジャ……渡邉 至
付録3 用語解説……中村好一

索 引

■Column
統計と統計学……中村好一
カテゴリー化と数量化……中村好一
幾何標準偏差?!……中村好一
論文Check!①……横道洋司
論文Check!②……横道洋司
検定の意味……中村好一
作図の重要性……中村好一
平均への回帰(再)……中村好一
独立変数(説明変数)の選び方……中村好一
交絡因子の制御に多変量解析は万能か?……中村好一
基本的な観察の重要性……中村好一
統計相談室より……横道洋司
英語での数学用語……中村好一
因果関係と統計(学)……中村好一
ノンパラメトリック手法……中村好一

ページの先頭へ戻る

序文

■改訂第3版の序

  初版,第2版ともに比較的好評だった本書も,装いを改めて第3版となった.今回の改訂では一部の著者の入れ替えを行い,編者も編集に徹することとなった.新たな著者による新たな風が入る一方で,従来からの本書の立場,すなわち,「まず,医学や保健科学の学会発表や学術論文で使われている統計手法を理解し,可能であれば使えるようになる」という点は一貫している.
  一方で,最近は次のように考えるようにもなってきた(年齢のせいか?).編者の本業は疫学で,なかでも川崎病の疫学とプリオン病(Creutzfeldt-Jakob病など)の疫学を細々と行っている(いずれもどちらかというと,疫学のなかでは「循環器疾患の疫学」や「がんの疫学」と比較するときわめてマイナーな分野である).特定の疾患の疫学を行うときに,その疾患に関するあらゆる知識が必要となるし,さまざまな分野から当該疾患にアプローチする研究者と議論することも多い.その際に,編者は当該疾患の患者を診ることはない(「できない」,のほうが正しい)が,患者に関する議論には参加している.すなわち,臨床はできないが,臨床の議論に耐えるだけの知識はそれなりに備えていると自負している.これと同様に,統計(学)も実際に解析を行うのは専門家にお任せする,しかし,何を行っているのかは充分に理解でき,議論もできる,という姿勢でも,多くの医学・保健科学の研究に従事する者にとっては充分なのかもしれない.本書は少なくとも「理解・議論」が可能な範囲をカバーしていると自負している.最低でも「統計(学)」と聞いただけで「引く」ような状況からは脱出できると期待している.
  以前は記述統計と比較的簡単な(ただし,今でも根幹をなす)分析統計(平均の差,割合の差,相関係数など)で学会発表や論文執筆も耐えることができた.しかし現在では,多変量解析を行わないと許してもらえないような風潮もある.基本的な統計(学)を忘れた多変量解析一辺倒の話は厳しく批判しなければならないが,基本的な統計の先の最後の詰めとしての多変量解析は,それはそれで意味のあることである.しかしながら比較的広く使用されているExcelでは多変量解析の一部である重回帰分析しか行うことができず,これ以上の多変量解析(ロジスティック重回帰分析やCoxの比例ハザードモデルなど)を行うためにはSASやSPSSなど統計専用のアプリケーションが必要である.これらのアプリケーションも以前と比べて比較的簡単に取り扱うことができるようにはなったが,使用するためにはそれなりの知識と相応の財政的負担(要するに,お金がかかるということ)が必要である.そこで,このような部分は「餅は餅屋」として,保健統計学の専門家と協力して実施することもありだろう.
  編集に徹したおかげで,初版や第2版で気になっていた章(筆者)ごとの難易度や表現の不統一は,本版ではずいぶん解消されたと思う.それでも著者の個性(最も出ているのは編者が執筆した「用語解説」か?)は残っており,これも含めて読者には楽しんでいただきたい. 
  文末にはなったが,改訂にあたり,瀬崎杏奈,坂上昭子,土橋幸代の各氏をはじめとする株式会社診断と治療社の関係各位にはひとかたならぬお世話になった.この場をお借りして御礼を申し上げる.

2019年2月
中村好一


■改訂第2版の序

  思えば,本書の初版が上梓された前年の2005年は,初版の執筆や編集に結構時間を費やした.そもそもの本書のポリシーはその前年に株式会社 診断と治療社から提示され,これに「乗った!」とばかりに執筆者を厳選して執筆依頼し,当初のポリシーどおりの書籍ができあがった.このポリシーについては,この文章の後に掲載されている「初版の序─本書の使い方─」を参照していただきたい.
  初版は結構よい本だと自画自賛している.おかげでそれなりに売れた.しかし,編者として気になっていたのは,「章によって濃淡がある」という事実であった.初版発行当時は,分担執筆なので,ある程度はやむを得ない側面もあると考えていたが,熱心な読者からの指摘もあり,読みやすさを考慮すれば,できるだけ早く改善したいと考えていた.しかしながら,出版されてすぐに,というわけにもいかず(あまりにも節操がなく,みっともない),そうこうしているうちに,診断と治療社から「さらに初心者向けのコメディカルスタッフを対象とした本はどうでしょうか.統計学のみでなく,研究の進め方や研究結果の公表も含めて」という魅力的な提案もあり,では,そちらを仕上げてから,次は本書の改訂を,ということで,昨年,本書の姉妹書にあたる『医療系のためのやさしい統計学入門』を出版し,そしてようやく本書の改訂に取り組むことができたのである.長い道のりであった.
  本書は初版を元にして,前述の濃淡をできるだけ減らしたものとした(つもりである).加えて,サイドコラムなどの本文以外の記述を増やし,読者の理解を助けるようにした(つもりである).初版の目論見を踏襲して,(1)まず,論文が読めるようになればよい,(2)加えて,見よう見まねで統計が使えるようになればもっとよい,という根源的な部分は変更していない.引き続き本書が読者の統計学への糸口となれば幸いである.
  最後になるが,改訂にあたり,統一をはかるために大幅な書き直しを行ってくれたり,初版のものよりもよりわかりやすい図を多くの論文の中から探し出してきてくれたりと,よりよいものを作成するために努力を惜しまない執筆者と,本書の作成をサポートしてくれた株式会社 診断と治療社編集部の土橋幸代・松本志保の両氏への感謝の意を表したい.

2010年8月
中村好一


■初版の序 ─本書の使い方─

  本書はタイトルのとおり,論文の読み書きができることを目指した教科書である.前提条件がいくつかあり,(1)医学論文を対象とすること,(2)まず論文中の統計が理解できるようになること,(3)そして統計を正しく使った論文が書けるようになること,この3点を理解したうえで執筆するように分担執筆者にはお願いをした.各章の執筆者はそれぞれの章の課題に最もふさわしい研究者を選定したが,前提条件のもとでも各人の思想が現れており,章によって若干(相当?)体裁などが異なるが,各執筆者が「これがベスト」と信じて書いたものであるため,あえて統一はしなかった.
  「読む」ということについては,「内容を理解する」と言い換えてもよいだろう.医学論文で出てくる主な統計手法や用語について,「何をやっているのか」ということや,「この数値が意味するものは何か」ということが理解できることを目標とした.
  「書く」ことについては,その前の段階として,「統計解析できる」ということがある.コンピュータとソフトウェアの発達により,20年ほど前であれば大型コンピュータでプログラムを書いて処理しなければならないようなことが,今ではパーソナルコンピュータでもいとも簡単に(というと,言い過ぎか?)できるようになった.特に通常よく使われている表計算ソフトのExcelでは,単純な重回帰分析以外の多変量解析(ロジスティック回帰分析など)はちょっと難しくても,医学研究で通常使われるそれ以外の統計解析はちょっと工夫すれば何とかなるような状況である.そこで本書では,まずExcelで問題解決する方法を提示することを第一とした.
  Excelで対応できない統計解析においては,医学研究の分野でよく用いられているSASかSPSSを用いて解析する方法を一部で示した.これら2つのアプリケーションの性能は,優劣つけがたいものがある.ただ,SPSSはExcelのような表計算ソフト的な使用法が可能であり,SAS言語を用いてプログラムを作成しなければならないSASよりも初心者には取っつきやすい面がある.もちろん,両者をマスターする必要はなく,どちらか一方で充分である.また,Excelで提示された方法であっても,SASやSPSSを利用したほうがずっと簡単,ということもあるので,どちらかのアプリケーションを一応使いこなせるようになることをお勧めする.
  統計は,難しいようで,実は簡単で,やっぱり難しい.難しいことを考えなければ,理屈抜きで①使い方を誤らずに,②とにかく見よう見まねで使えるようになれば,何とかなるものである.
  そのために本書では,可能であれば実際に刊行された論文の中から,それが不可能な場合には仮想データを作成してまでも,例を多用した.本書で示された例の中に自分のデータを置き換えていけば,何とか結果が出るので,使い方だけは誤らないようにしてやっていただきたい.
  「私は統計学の難しい話は知らなくてもよい」と考える向きは,これで充分である.例の中には反面教師的に引用したものもあるが,医学の研究を志す人たちに同じ轍を踏んでいただきたくない,という考えに基づくものであり,その著者を非難するつもりはないことをご理解いただきたい.
  逆に統計学は奥が深く,最後は哲学のようになってしまう.本書の各章にはそれぞれの執筆者の哲学が如実に表れているが,これを議論しはじめると本書のページ数ではとても収まりきれるものではない.
  一例を挙げれば,カイ2乗検定(「χ自乗検定」など表記方法にすら,哲学が現れる)を行う際にイエーツの補正を用いるかどうかについて,どちらが正しいという正解はなく,各人が「哲学」を主張しているものである.このような難しい話は別の書籍にまかせたい.

2006年4月
中村好一