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書籍詳細

簡単・おいしい・アレンジしやすい
治療のための継続できるケトン食レシピ診断と治療社 | 書籍詳細:治療のための継続できるケトン食レシピ

大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 監修

大阪府立病院機構 大阪母子医療センター消化器・内分泌科

位田 忍(いだ しのぶ) 編集

大阪府立病院機構 大阪母子医療センター小児神経科

柳原 恵子(やなぎはら けいこ) 編集

大阪府立病院機構 大阪母子医療センター栄養管理室

西本 裕紀子(にしもと ゆきこ) 編集

初版 B5判 並製 170頁 2019年01月31日発行

ISBN9784787823663

定価:本体3,400円+税
  

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大阪母子医療センターで開発された「SEC法」を用いたケトン食のレシピ集。難治性てんかんやGLUT-1欠損症などの患者・患者家族が、諦めずにケトン食を続けていけることに重点をおき、簡単かつ、普通の調理法にひと手間加えるだけで作れる全138品のレシピを紹介している。医師による疾患などの解説や、栄養士によるケトン食実践に役立つ情報も満載。ケトン食を実施している患者だけでなく、小児栄養に携わる医療者にとっても必携の1冊。

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目次

巻頭言   倉智博久 
序文   鈴木保宏 
執筆者一覧  
レシピの見方  

第1部 ケトン食の基礎知識
Chapter1 ケトン食とは
A ケトン食と通常の食事の違い   西本裕紀子、柳原恵子 
B ケトン食を継続するコツ   西本裕紀子 
C SEC法ケトン食とは   西本裕紀子 
Chapter2 ケトン体をつくる三大栄養素
A ケトン体産生の仕組み   西本裕紀子 
B 脂肪酸の種類   加嶋倫子 
C バランスよく脂質を摂取するコツ   加嶋倫子 
D 炭水化物と糖質について
(制限が必要なものと不要なもの)   麻原明美 
E 砂糖などのかわりに使える! 0kcalの甘味料   麻原明美 
F ケトン体産生量の算出法
(ケトン比・ケトン指数・ケトン値)   西本裕紀子 
Chapter3 発育にあわせたケトン食
A 乳汁としてのケトンフォーミュラ(明治817-B)   位田 忍 
B 病院におけるケトン食の導入   中井理恵 
C ケトン体のチェック法   木水友一 
Chapter4 ケトン食に適応のある疾患
A グルコーストランスポーター1(GLUT-1)欠損症   柳原恵子 
B ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDHC)欠損症   池田 妙 
C 難治性てんかん   最上友紀子 
D そのほかの疾患とケトン食   中島 健 
Chapter5 ケトン食をいつまで継続するか   大星大観 

第2部 継続できるケトン食レシピ
  西本裕紀子、麻原明美、加嶋倫子、伊藤真緒
成長段階別の食事がわかるケトン食レシピ
離乳期にとりたい! 1日のケトン食の食材とミルクの目安量  
離乳前期  1日分の献立
離乳中期  1日分の献立
離乳後期/完了期  1日分の献立
幼児期にとりたい! 1日のケトン食の食材の目安量
幼児前期  1日分の献立
幼児後期  1日分の献立
学童期にとりたい! 1日のケトン食の食材の目安量
学童前期  1日分の献立
学童後期  1日分の献立
成人期にとりたい! 1日のケトン食の食材の目安量
成人期  1日分の献立
カテゴリー別ケトン食レシピあれこれ
主食 ケトンフォーミュラあり
主食 ケトンフォーミュラなし
主菜
汁物
副菜
おやつ
ケトン値を下げないレシピ
ケトン食のバリエーションを広げるディップ・ソース・あわせ調味料
ディップ・ソース
脂質も糖質も少ないあわせ調味料
特別な日のためのケーキのレシピ

第3部 ケトン食中のモニター
Chapter1 ケトン食実施中のモニター
A 栄養と成長・発達   位田 忍 
B ケトン食実施中の栄養的問題点   惠谷ゆり 
C シックデイの対応・非常時の対策   最上友紀子 

付 録
付録①学校への説明(給食の対応依頼文書例)
付録②ケトン値一覧表

Column
1 特殊ミルクの制度とケトン食を実施する上での利用法   柳原恵子 
2 これは使える!とろみ剤サイリウムハスク   伊藤真緒 
3 これは使える!低糖質食材   加嶋倫子 
4 市販のパスタソースで手軽に即席ケトン食   西本裕紀子 
5 これは使える!そのままおやつに食べられる食品   加嶋倫子 
6 外食の工夫   伊藤真緒 
7 Scammonの発育曲線   平野慎也 

索引
編集後記

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序文

巻頭言

 このたび、大阪母子医療センターから「治療のための継続できるケトン食レシピ」を上梓することとなりました。本書の執筆にあたっては、この分野の当センターでの専門家である小児神経科、消化器・内分泌科と栄養管理室が総力を挙げて取り組みました。
 てんかんに対するケトン食療法の変遷には興味深いものがあります。ヒポクラテスの記述にもあるように、古くからてんかんの治療における断食療法の有用性が知られてきましたが、なぜ絶食が有用なのかは不明のままでした。20世紀に入り絶食によってケトーシスがおこることが治療効果をもたらしていることが確認され、1920年頃に米国でWilderというメイヨークリニックの医師が、脂肪が多く、炭水化物の少ない食事を摂取すれば絶食するのと同じくケトン血症となることを考案し、実際に高脂肪・低炭水化物食でてんかん患者の発作軽減がおこることを実証しました。これがケトン食療法の始まりです。しかし1938年に新しい抗てんかん薬であるフェニトインが開発されると食事療法は一旦廃れます。1994年になって、フェニトイン後も続々と開発された抗てんかん薬でも効果の挙がらなかった難治性の患者が、ケトン食療法で劇的に症状が改善した例が報道され、再びケトン食による治療が注目されました。さらに、グルコーストランスポーター(GLUT)1欠損症が1991年に初めて報告されたことも、この治療法が普及する一助となり、基礎研究を含む様々な研究が行われることにもつながりました。2008年には国際抗てんかん連盟の公式雑誌にケトン食の特集号が組まれています。
 ケトン食の有用性が最も理解できるのはGLUT-1欠損症です。この病気では、通常、脳が唯一のエネルギー源とするグルコースが取り込まれなくなるので、その代わりとして脳に移行できるケトンを体内で増やし、それを脳のエネルギー源とするという理屈ですから、大変わかりやすい話です。難治性のてんかんにおける、ケトン食の有用性についてはさまざまな機序が提唱されてはいますが、GLUT-1欠損症ほど明確な理屈はありません。ケトン食とは、体内でケトン体が多くできるように考えられた食事ですが、糖尿病患者ではコントロールが不良な場合にケトアシドーシスがおこり重篤な事態がおこることもあります。したがって、この治療法の副作用にも十分注意する必要があり、専門医の処方のもとで行われる必要があることには留意していただきたいと思います。
 十分な注意をしながら施行されれば非常に有用なケトン食療法ですが、大きな問題点は何といっても毎日高脂肪・低炭水化物という、とくに日本人にはなじみにくい食事を継続的に食べなければならないことです。子どもの場合は発育・発達に必要なたんぱく質は確保しなければなりません。また、おいしくなければ子どもは長期にわたって食べてくれません。和食で実行することが困難なことも、とくに日本でケトン食が普及しない一因と考えられます。そこで、本書では、調理しやすいこと、難しい計算をしなくとも実践しやすいレシピであること、そしておいしいことなどを重視し、継続できる実際的な献立を提案しました。さらに、17項目の「コラム」を設け、ケトン食を継続するコツなどについても取り上げました。
 本書が、食育を指導される栄養士さんにはもちろん、てんかんの子どもさんをお持ちのご両親に読まれ、子どもの心身の健やかな成長に役立つことを願っています。

大阪府立病院機構 大阪母子医療センター
総長 倉智博久


序文

 てんかんの治療の中核は抗てんかん薬です。わが国では10年ほど前から次々に新規抗てんかん薬が市販されてきました。しかし、この新規抗てんかん薬の時代においても、てんかん患者さんの一部が発作に苦しんでおられる状態は続いています。近年、抗てんかん薬以外の治療法としていろいろな脳外科手術が試みられてきています。しかし、すべての患者さんがてんかん外科治療の対象になるわけではありません。
 ケトン食療法は古くから試みられてきたてんかん治療方法のひとつです。近年、ケトンフォーミュラという特殊ミルクの登場でこの治療法が見直されつつあります。多くの抗てんかん薬が無効で、ケトン食療法ではじめて発作が抑制された患者さんの報告はあります。しかし、ケトン食療法は決して魔法の治療法ではないことは知っておいてください。一般にこの治療で発作の回数が半分に減る患者さんは全体の約4割のみと言われています。また、ケトン食療法が禁忌である疾患もあります。治療中に副作用、合併症の起こる危険性もあります。したがって、ケトン食療法の導入は主治医と十分に相談して決めてください。
 ケトン食療法は治療であると同時に毎日の食事でもあります。“食”は文化で、特に日本は食文化が豊かであることが知られています。治療食が必要な患者さんにおいても、“食”は豊かで、さらに心と体の大切な栄養源として継続しなければなりません。これまでのケトン食は、ケトン比や糖質量を計算しながら、家族の食事とは別に献立を立てるという方法で行われてきました。そのために、患者さんやご家族の負担が大きくなり継続が難しくなるケースも少なくありませんでした。大阪母子医療センターでは、ケトン食療法を必要とする患者さんが、煩雑な計算をせず、できるだけ家族と一緒に食事を楽しむことができるように、独自の手法で栄養士が様々な工夫をしてきました。
 本書には、乳幼児期から成人期まで、適切な栄養を摂りながらケトン体を効率よく産生できる食品の組み合わせ例を紹介しています。学童期の給食も上手にアレンジすればケトン食になります。近年のダイエットブームから低糖質食材が数多く発売されるようになりました。これらの食材も取り入れて、ケトン食に役立つ食材についても解説し、家族と一緒に美味しく楽しめるレシピをたくさん掲載しました。当センターの医師・栄養士が、ケトン食療法が必要な患者さんに是非知っておいていただきたい医学的情報をコラムの形で読みやすく執筆しました。本書にはケトンフォーミュラを使用しなくても調理が可能なレシピを多く掲載しています。本書がケトン食療法を試みられる皆様に少しでもお役に立つことを願っております。
 
大阪府立病院機構 大阪母子医療センター
小児神経科主任部長 鈴木保宏