HOME > 書籍詳細

書籍詳細

糖尿病学 2019診断と治療社 | 書籍詳細:糖尿病学 2019

東京大学大学院医学系研究科特任教授/帝京大学医学部常勤客員教授

門脇 孝(かどわき たかし) 編集

東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科教授

山内敏正(やまうち としまさ) 編集

初版 B5判 1色(口絵カラーあり) 172頁 2019年05月20日発行

ISBN9784787824158

定価:本体9,500円+税
  

立ち読み機能は、ただ今準備中です  


日進月歩の進歩を遂げる糖尿病学のなかでも特にわが国発の研究に重点を置いて重要な課題を取り上げ,専門的に解説したイヤーブック.今年もこの 1 年の基礎的研究,臨床・展開研究の成果が20編の論文に凝集されている.糖尿病研究者のみならず,一般臨床医にとっても必読の書.

ページの先頭へ戻る

目次

 口絵
 序文
 執筆者一覧

基礎研究
 1.劇症1型糖尿病の分子遺伝学―ゲノムワイド関連解析による新規遺伝子の同定
[池上博司,川畑由美子]
■はじめに
■劇症1型糖尿病の疫学
■1型糖尿病の遺伝子
■劇症1型糖尿病のゲノムワイド関連解析
■まとめと今後の展望
 2.緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)研究の最近の進歩
[小林哲郎]
■はじめに
■SPIDDM膵の特徴
■SPIDDMにおける膵島炎
■SPIDDMにおける膵外分泌組織の炎症,MHC classⅠ発現亢進とSPIDDMの病因
 3.日本人集団における28の新規2型糖尿病感受性領域の同定
[鈴木 顕,山内敏正]
■背景
■関連解析の結果
■ミスセンスバリアントの探索
■eQTLバリアントの探索
■LDスコア回帰による解析
■民族横断的分子経路解析
 4.肝臓における小胞体ストレス応答と糖脂質代謝の調節機構
[笹子敬洋,門脇 孝,植木浩二郎]
■はじめに
■摂食時の肝臓における小胞体ストレス応答
■Sdf2l1の発現誘導と機能
■肝臓におけるSdf2l1の生理的役割
■肥満・糖尿病における小胞体ストレス応答
■肥満・糖尿病におけるSdf2l1の発現補充
■ヒトの病態における小胞体ストレス応答 
■おわりに
 5.GIPによる骨量・脂肪量の制御
[山根俊介,稲垣暢也]
■はじめに
■GIPと骨
■GIPと脂肪
 6.単純糖質嗜好性の制御メカニズムの解明物語
[佐々木努]
■はじめに
■研究テーマ「栄養素嗜好性」の着想の経緯
■有能な人材が現る!
■最初の手がかり(Oxt)までの長い道のり
■次の手がかり(FGF21)は時の運
■転写制御のメカニズム解明:地道な努力が多様なアイデアを出し抜く
■論文の形式と投稿先に迷う
■最後のセレンディピティ:査読者とのバトルによる新たな発見
■最後のハードルをクリアした瞬間
■このプロジェクトから得られた教訓
 7.肥満に伴う慢性炎症の惹起メカニズム
[窪田哲也,窪田直人,門脇 孝]
■はじめに
■My-typeマクロファージは3つのsubtypeマクロファージに分類される
■肥満ではM2a-subtypeマクロファージの活性化が障害されている
■肥満モデルマウスの脂肪組織のマクロファージでは選択的にIL-4/Irs2経路が障害されている
■MIrs2KOマウスではIL-4誘導性のM2a-subtypeマクロファージの活性化が減弱し,肝臓と脂肪のインスリン抵抗性を呈する
■MIRKOマウスは,マクロファージにおけるIrs2の発現とM2a-subtypeマクロファージの活性化を増加させ,インスリン感受性を呈する
■M2a-subtypeマクロファージの活性化はIrs2とSTAT6経路の両方が必須である
■肥満に伴う慢性炎症における「インスリン失調」仮説
■おわりに
 8.酸化ストレスによる脂肪組織の増大の制御
[奥野陽亮,下村伊一郎]
■はじめに
■肥満と脂肪組織酸化ストレス
■脂肪細胞特異的酸化ストレス除去モデルと増加モデル
■脂肪組織酸化ストレスと健康的肥満
■健康的肥満の展望
■今後の期待
 9.褐色脂肪組織におけるGABAシグナリングの役割とその制御異常
[清水逸平,池上龍太郎,吉田陽子,南野 徹]
■はじめに
■褐色脂肪の特徴と役割
■肥満に伴い褐色脂肪機能不全が生じるメカニズム
■低酸素が褐色脂肪不全を惹起する分子機序
■褐色脂肪におけるGABA/GABA-B1受容体シグナルの病的意義肥満
■まとめ
10.脂肪組織における急性および慢性寒冷応答を制御するJMJD1Aの役割
[稲垣 毅]
■はじめに
■褐色脂肪とベージュ脂肪
■ヒストンメチル化修飾
■JMJD1Aによる代謝制御
■寒冷の感知機構
■寒冷急性期における褐色脂肪でのJMJD1Aによる熱産生機構
■長期寒冷における白色脂肪のベージュ化を介したJMJD1Aによる熱産生機構
■今後の展望

臨床研究・展開研究
11.2型糖尿病の高血糖管理に関するコンセンサス・レポート2018(ADA/EASD)
[田中大祐,稲垣暢也]
■はじめに
■患者中心の血糖管理を目指すdecision cycle(意思決定サイクル)
■2型糖尿病の薬物療法
■考察:日本人糖尿病患者の診療においてコンセンサス・レポート2018をどう生かすか
12.糖尿病治療に関連した重症低血糖調査委員会報告
[難波光義,松久宗英,岩倉敏夫]
■はじめに
■調査委員会における重症低血糖の基準
■調査結果の概要
■重症低血糖症例の背景と発症要因
■重症低血糖がもたらすリスク
■重症低血糖のハイリスク例と今後の血糖コントロール目標
■低血糖回避に向けた患者とキーパーソンの指導
13.診療録直結型全国糖尿病データベース事業(J-DREAMS)
[植木浩二郎]
■はじめに
■現在の糖尿病臨床研究とその課題
■診療録直結型全国糖尿病データベース事業(J-DREAMS)の概要
■J-DREAMSで何ができるのか
■おわりに
14.日本糖尿病学会食事療法シンポジウム2018
[宇都宮一典]
■はじめに
■標準体重と目標体重の相違
■身体活動量の評価に関する課題
■現体重からどの程度減量するか
■高齢者糖尿病における対処
■栄養素の摂取比率
■食品交換表の今後の在り方
■おわりに
15.JDCP study:糖尿病合併症の実態とその抑制に関する大規模観察研究
[田嶼尚子]
■はじめに―JDCP studyが開始された背景―
■研究の目的と対象
■研究方法と追跡率
■症例報告書の記載内容
■解析方法
■倫理面への配慮
■調査研究の結果
■イベントの発生と死亡率
■まとめと今後の展望
■おわりに
16.DECLARE-TIMI58
[加藤恵理]
■はじめに
■DECLARE-TIMI58試験
■メタ解析
■サブグループ解析
■まとめ
17.SGLT2阻害薬の腎保護作用
[山崎智貴,南学正臣,田中哲洋]
■はじめに
■EMPA-REG OUTCOME試験
■CANVAS ProgramとDECLARE-TIMI58試験
■3つの大規模臨床試験のメタ解析結果
■CREDENCE試験
■SGLT2阻害薬がもたらす腎保護のメカニズム
■まとめ
18.糖尿病研究と研究倫理
[鈴木 亮]
■はじめに:21世紀の研究倫理に関する社会背景の変遷
■人を対象とする医学系研究に関する倫理指針
■個人情報保護法の改正に伴う倫理指針の改正
■臨床研究法
■研究倫理に関する日本糖尿病学会の取り組み
■おわりに
19.肥満症の撲滅を目指す神戸宣言2018
[春日雅人]
■肥満をめぐる問題点
■肥満症という疾患概念の提案
■肥満症に関するエビデンス
■肥満症対策
20.EMPATHY試験
[田中正巳,伊藤 裕]
■はじめに
■わが国において脂質強化療法は有用か?
■糖尿病患者のLDLコレステロール管理目標はいくつが適切か?
■糖尿病網膜症患者は心血管イベントのリスクが極めて高い
■EMPATHY試験について
■おわりに

ページの先頭へ戻る

序文

序 文

 2019 年も従来どおり日本糖尿病学会年次学術集会に合わせて本書「糖尿病学」をお届けできる運
びとなった.毎年この時期に刊行できることは非常に喜ばしいことである.
 さて,この一年も様々なテーマが話題となった.日本人における劇症1 型糖尿病,2 型糖尿病の
感受性遺伝子の同定,褐色脂肪細胞・ベージュ脂肪細胞の新しい活性化メカニズム,2 型糖尿病の
高血糖管理に関するコンセンサス・レポート2018(ADA/EASD),糖尿病学会食事療法シンポジウ
ム2018,神戸宣言2018 など,タイムリーな話題を含め,毎年のことながらそのテーマは多岐にわ
たる.本書ではおもに日本人による研究の成果を取りあげており,今年も20 編の論文をこの一冊
に収載することができた.
 「糖尿病学2019」では,上記の話題に加え,肝臓における小胞体ストレス応答や脂肪組織におけ
る酸化ストレスの新しい制御メカニズム,肥満に伴う慢性炎症の惹起メカニズム,日本糖尿病学会
の「糖尿病治療に関連した重症低血糖調査委員会報告」,日本糖尿病学会のデータベース事業であ
るJDCP やJ‒DREAMS,SGLT2 阻害薬の腎保護作用やDECLARE‒TIMI58 など,「基礎研究」から
「臨床研究・展開研究」まで素晴らしい研究成果であり,いずれも研究者の熱意と英知がこめられ
た論文ばかりである.
 本年より,これまで糖尿病学の編集を担当してきた門脇 孝に加え,東京大学大学院医学系研究
科糖尿病・代謝内科教授に就任した山内敏正の2 人で編集を担当することとなった.
 最後に,できるかぎり新しい情報を発信するために非常に短い期間でご執筆をいただいた著者の
先生方に深謝申し上げる.

令和元年5 月

門脇 孝
山内敏正