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書籍詳細

糖尿病学2020診断と治療社 | 書籍詳細:糖尿病学2020

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院院長

門脇 孝(かどわき たかし) 編集

東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科教授

山内 敏正(やまうち としまさ) 編集

初版 B5判 並製 156頁 2020年07月14日発行

ISBN9784787824639

定価:本体9,500円+税
  

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日進月歩の進歩を遂げる糖尿病学のなかでも特にわが国発の研究に重点を置いて重要な課題を取り上げ,専門的に解説したイヤーブック.今年もこの 1 年の基礎的研究,臨床・展開研究の成果が19編の論文に凝集されている.糖尿病研究者のみならず,一般臨床医にとっても必読の書.

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目次

口絵
序文
執筆者一覧

基礎研究
 1.迷走神経シグナルによる膵β細胞・肝細胞増殖機構
 [井泉知仁,今井淳太,山本淳平,片桐秀樹]
  ■はじめに
  ■肝臓―膵β細胞間神経ネットワークの発見
  ■迷走神経シグナルは膵β細胞FoxM1経路を活性化させ増殖を誘導する
  ■複数の迷走神経由来因子の組み合わせにより,FoxM1依存性に膵β細胞増殖が誘導される
  ■肝臓切除後の再生にも迷走神経シグナルが関与している
  ■迷走神経―マクロファージ―肝細胞連関による肝臓再生機構
  ■おわりに
 2.膵β細胞イメージングによる膵β細胞量の非侵襲的定量法
 [浜松圭太,藤本裕之,藤田直尚,村上隆亮,稲垣暢也]
  ■はじめに
  ■耐糖能異常と膵β細胞量の関係
  ■放射性プローブの標的分子の探索
  ■GLP—1受容体を標的とした放射性プローブの開発
  ■放射性プローブの膵分布率と膵β細胞量
  ■マウスSPECT撮像による膵β細胞量の非侵襲的定量
  ■膵β細胞イメージングの臨床応用に向けて
 3.褐色脂肪細胞における分岐鎖アミノ酸代謝
 [米代武司,梶村真吾]
  ■はじめに
  ■褐色脂肪組織による血中BCAAクリアランス
  ■褐色脂肪組織におけるBCAA代謝は熱産生とエネルギー代謝を支持する
  ■ミトコンドリアBCAAトランスポーターSLC25A44の同定と機能解析
  ■ミトコンドリアBCAAトランスポーターSLC25A44の生理的意義
  ■おわりに
 4.膵臓内分泌細胞の発生と分化における1細胞レベルにおける理解
 [坂野大介,粂 昭苑]
  ■β細胞の不均一性
  ■膵島内細胞を分類するためのバイオマーカー
  ■膵島内細胞の可塑性とβ細胞の増殖
  ■モノアミンによるシグナル伝達とβ細胞の不均一性
  ■内分泌細胞成熟化の理解
  ■多能性幹細胞を用いた分化誘導研究における不均一性
  ■おわりに
 5.細胞老化と抗老化治療
 [仲尾政晃,清水逸平,南野 徹]
  ■はじめに
  ■血管の加齢性変化
  ■細胞老化の分子機序
  ■細胞老化と臓器リモデリング
  ■老化にかかわるシグナル因子
  ■老化細胞除去による治療戦略
  ■おわりに
 6.膵島内分泌細胞間の分化転換現象とそれを応用した糖尿病治療の可能性
 [古山賢一郎,Pedro L. Herrera]
  ■はじめに
  ■なぜ膵島内での分化転換か?
  ■マウス膵島の分化転換現象とそのメカニズム
  ■これまでのヒト膵島の分化転換研究
  ■脳死ドナー膵島を使って細胞可塑性を解析する
  ■ヒト膵β細胞機能と膵島構築
  ■ヒトα細胞はPDX1,MAFAにより機能的インスリン分泌細胞に分化転換する
  ■分化転換細胞のプロファイリング
  ■分化転換したインスリン産生細胞は低免疫原性を示す
  ■PM因子は膵島内の分化転換のマスター因子である
  ■今後の展望
  ■おわりに
 7.組織切片上の代謝物を可視化する技術:質量顕微鏡法
 [可野邦行,青木淳賢]
  ■はじめに
  ■リン脂質とそのイメージング
  ■MALDI−MSIによるリン脂質のイメージング
  ■リン脂質MALDI−MSIの課題と今後
  ■おわりに
 8.サーチュイン活性化による組織幹細胞若返りとその健康長寿への応用の可能性
 [五十嵐正樹]
  ■はじめに
  ■NAD+代謝とサーチュイン
  ■NAD+中間代謝産物の幹細胞機能回復への応用
  ■NAD+中間代謝産物を用いた老化関連疾患予防のためのヒト臨床試験
  ■おわりに
 9.甘味とその美味しさを選択的に伝える神経細胞の発見
 [中島健一朗]
  ■はじめに
  ■舌における味覚伝達機構
  ■マウス脳内における味覚伝達神経の探索
  ■SatB2神経除去マウスの味覚嗜好性
  ■SatB2神経とその周囲の神経の応答特性
  ■SatB2神経の応答特性
  ■SatB2神経の活性化のマウスの行動への影響
  ■視床味覚野に投射するSatB2神経がリック数の増加を引き起こす
  ■SatB2神経は甘味に加え,その美味しさを伝達する
  ■まとめ

臨床研究・展開研究 
 10.2型糖尿病・肥満症の遺伝素因解明とpolygenic risk scoreによる予測
 [鈴木 顕]
  ■日本人集団における近年の2型糖尿病遺伝学研究
  ■欧米人集団における近年の2型糖尿病遺伝学研究
  ■近年の肥満症の遺伝学研究
  ■Polygenic Risk Score (PRS)
 11.糖尿病におけるアドボカシー(advocacy):社会的スティグマへの対抗
 [橋本英樹]
  ■はじめに
  ■アドボカシーの定義と歴史・現状
  ■アドボカシーの実践方法
  ■糖尿病患者に対するスティグマの問題
  ■社会的スティグマ撲滅に向けたアドボカシーについて
  ■まとめ
 12.SGLT2阻害薬のDKDや心不全に対する大規模臨床試験の結果と活かし方
 [川端千晶,平川陽亮,南学正臣]
  ■SGLT2阻害薬のDKDと心不全に対する大規模試験の結果
  ■SGLT2阻害薬のDKDや心不全に対する大規模臨床試験の活かし方
  ■まとめ
 13.糖尿病診療ガイドライン2019:食事療法改訂の背景と要点
 [宇都宮一典]
  ■はじめに
  ■標準体重と目標体重の相違
  ■身体活動量の評価に関する課題
  ■現体重からどの程度減量するか
  ■高齢者糖尿病における対処
  ■新しいエネルギー摂取量設定基準
  ■エネルギー産生栄養素の摂取比率
  ■食事パターン(eating pattern)とシフトワーカー
  ■おわりに
 14.2型糖尿病に対する早期強化療法の効果
 [笹子敬洋,門脇 孝,植木浩二郎]
  ■はじめに
  ■2型糖尿病に対するこれまでの臨床試験
  ■ADDITION—Europeの結果
  ■ADDITION—Europeに関する考察
  ■わが国における臨床試験
  ■おわりに
 15.大規模レセプトデータによる糖尿病診療の質の評価
 [杉山雄大]
  ■はじめに
  ■診療の質の評価
  ■研究方法
  ■結 果
  ■考 察
  ■まとめ―医療政策への貢献に向けて
 16.サルコペニア診断基準update
 [小川純人]
  ■はじめに
  ■サルコペニアの概念とこれまでの診断基準(EWGSOP,AWGS2014)
  ■サルコペニア診断基準の改訂(EWGSOP2,AWGS2019)
  ■糖尿病とサルコペニアとの関連
  ■おわりに
 17.PHRを活用した糖尿病療養指導
 [中島直樹]
  ■PHR(personal health record)とは?
  ■PHRの現状
  ■PHRの利点と課題
  ■PHRに関する日本の政策,制度,標準化活動など
  ■糖尿病における患者主体医療(patient engagement)のなかでのPHR
  ■PHRを活用した糖尿病療養指導の具体例
  ■おわりに
 18.J—ORBIT:診療録直結型肥満症データベース
 [廣田勇士,美代賢吾,小川 渉]
  ■はじめに
  ■肥満症の定義と現況
  ■SS—MIX2と診療録直結型データベース
  ■診療録直結型肥満症データベース(J—ORBIT)の開発
  ■電子診療録直結型データベースの連携によるメリット
  ■疾患別診療テンプレート使用の波及効果
  ■おわりに
 19.高度肥満症に対する外科治療の効果:糖尿病の寛解
 [愛甲 丞,瀬戸泰之]
  ■はじめに
  ■肥満症に対する外科治療の種類と現況
  ■肥満手術の糖尿病治療効果
  ■糖尿病寛解予測スコア
  ■肥満手術の糖尿病改善機序
  ■手術の適応
  ■おわりに

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序文

序 文

 2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け,日本糖尿病学会年次学術集会は延期となったが,従来通り「糖尿病学」をお届けできる運びとなった.

 さて,この一年も様々なテーマが話題となった.迷走神経シグナルによる膵β細胞・肝細胞の増殖機構に関する研究,膵臓イメージングによるインスリン分泌の可視化,甘味とその美味しさを選択的に伝える神経細胞の発見,など,新しい話題を含め,毎年のことながらそのテーマは多岐にわたる.本書ではおもに日本人による研究の成果を取りあげており,今年は19編の論文をこの一冊に収載することができた.

 「糖尿病学2020」では,上記の話題に加えて,2型糖尿病・肥満症の遺伝素因解明とpolygenic risk scoreによる予測,SGLT2阻害薬のDKDや心不全に対する大規模臨床試験の結果,等々非常に興味深いテーマも取り上げている.また,『糖尿病診療ガイドライン2019』における食事療法改訂の背景とその要点についても収載した.そのほか「基礎研究」から「臨床研究・展開研究」まで素晴らしい価値ある成果であり,いずれも研究者の熱意と英知がこめられた論文ばかりである.

 最後に,新型コロナウィルス感染拡大の困難な期間にもかかわらず,できるかぎり新しい情報を発信するため非常に短い期間でご執筆をいただいた著者の先生方に深謝申し上げる.

令和 2年 6月
門脇 孝
山内敏正