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Prof.山本の
マイクロアレイ染色体検査入門診断と治療社 | 書籍詳細:マイクロアレイ染色体検査入門

東京女子医科大学ゲノム診療科 教授

山本 俊至(やまもと としゆき) 著

初版 B5判 並製 136頁 2021年11月26日発行

ISBN9784787824769

定価:4,400円(本体価格4,000円+税)
  

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2021年10月より保険収載されたマイクロアレイ染色体検査.マイクロアレイ染色体検査の適用は?どのようなときに行うべきか?患者さんへの説明はどうしたらよいか?結果をどう解釈したらよいか?など,さまざまな疑問や注意すべきピットフォールについて,著者がわかりやく解説した入門書.イラストも多数掲載.

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目次

巻頭資料
序 文
マイクロアレイ染色体検査の保険適用にかかる内容

第1章 総論 マイクロアレイ染色体検査の基本
A マイクロアレイ染色体検査とは?
❶Gバンド分染法との違い
❷マイクロアレイ染色体検査のうちCGH法の基礎
❸SNP法とCGH法の違い
❹検査結果の見方:染色体異常という場合とCNVという場合で何が違いますか?
❺染色体微細欠失を診断するFISH法との違い
❻M-FISH(SKY)法について
❼高精度分染法について

B マイクロアレイ染色体検査の適用は?
❶患者さんへのマイクロアレイ染色体検査の適用
❷マイクロアレイ染色体検査が適用とならない場合
❸劣性遺伝性疾患の場合
❹マイクロアレイ染色体検査では検出できない疾患

C マイクロアレイ染色体検査特有の注意点
❶CNVの臨床意義
❷二次的所見について
❸モザイク
❹マイクロアレイ染色体検査の限界

D マイクロアレイ染色体検査を実施するにあたりどのように説明したらよいか?
❶患者さんへの説明の前に
❷患者さんや家族への説明時に心がけること
❸説明の要点
 資料 マイクロアレイ染色体検査の事前説明

第2章 各論I どのような所見がみつかる?
A 染色体微細欠失/重複
❶古典的染色体微細欠失症候群
❷古典的染色体微細欠失症候群領域の重複
❸Prader-Willi症候群/Angelman症候群
❹15q重複
❺LCRによる新規染色体微細欠失/重複症候群
❻LCRによらない新規染色体微細欠失/重複症候群
❼染色体微細重複

B サブテロメア異常
❶サブテロメア欠失症候群
❷不均衡転座
❸染色体均衡転座保因者診断
❹de novo均衡転座
❺INV-DUP-DEL
❻22番に関連した派生染色体
❼12pテトラソミー

C 複雑な構造異常
❶2か所以上のCNV
❷3重複

第3章 各論II マイクロアレイ染色体検査の結果が帰ってきたら
A CNV所見の解釈
❶確認すべき情報
❷データベース検索
❸診断は間違いないか?
❹文献検索
❺典型的なbenign CNV

B LOH所見の解釈
❶欠失と一致するLOH
❷欠失と一致しないLOH
❸広範囲のLOH

C 両親解析が必要な場合
❶中間部欠失/重複をみつけたら
❷サブテロメア欠失も均衡転座由来の可能性を考える
❸サブテロメア重複
❹不均衡転座をみつけたら
❺X染色体における欠失/重複
❻X染色体がかかわる転座
❼親世代のモザイク保因者の可能性
❽LOHは両親解析を行うとハプロタイプから由来も同定可能

D さらに踏み込んで
❶劣性遺伝性疾患の可能性は?
❷何も所見がなかったら?
❸DECIPHER登録
❹複雑な構造異常
❺Gバンド分染法との結果の齟齬

おわりに
索 引

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序文

序 文

顕微鏡による染色体の分析方法が確立し,ヒトの染色体が46本からなることが明らかになったのは,今から60年以上前のことです.それからすぐにDown症候群の原因が21番染色体のトリソミーによることが明らかになりました.以来,様々な染色体異常がヒトの疾患にかかわっていることが明らかになってきましたし,染色体異常とその症状との関連から,染色体上での遺伝子の位置が推定されるようになり,遺伝学の大きな進歩がありました.そして2003年,ヒトの染色体を構成しているDNAの配列がヒトゲノムプロジェクトによって解読されました.ヒトゲノム配列が明らかになり,ヒトゲノムプロジェクトが終了しましたが,本当のヒトゲノムの時代はそこから始まることになります.
現在,ヒトの網羅的ゲノム解析の手段として用いられている次世代シーケンス技術は,断片化したヒトゲノムDNAの配列をランダムに解読し,ヒトの標準配列を参照して比較することによって行われています.つまり,ヒトの標準配列が定まっていないと解析できないのです.マイクロアレイ染色体検査もしかりです.マイクロアレイ染色体検査に用いられるプローブは,ヒトDNAの断片的な配列からなります.したがって,そもそもヒトの標準配列の情報がなければ全染色体を万遍なく調べるマイクロアレイを作成することはできなかったのです.2010年には,先天性疾患の診断において,G分染法に代わり,マイクロアレイ染色体検査をファーストチョイスとすることが欧米で提唱され,今や世界中でマイクロアレイ染色体検査が染色体検査の標準となっています.日本においては,国民皆保険という独自ルールのためなかなか一般診療に用いられてきませんでしたが,欧米から遅れること10年,ようやく保険収載されることとなりました.
保険収載を機に,マイクロアレイ染色体検査をさっそくやってみたいと思う先生方がたくさんいらっしゃることと思います.しかし,これまでに経験のない先生方にとっては,どのような場合に行うべきか,結果はどう解釈したらよいか,戸惑うことばかりかと思います.そのような先生方に,ベッドサイドでのマニュアル本をご提供致したく,ここに著した次第です.可能な限り簡単かつわかりやすく解説することを目指しました.どのような検査法や治療法にも,注意すべき点,やってはいけない点などがあります.そのようなピットフォールを,要点を押さえて解説することを目指しました.
本書は総論と各論に分かれています.総論部分ではどのような患者さんでマイクロアレイ染色体検査が適用になるのか?どのように説明したらよいか,などについて概説しました.不明なことがあれば必要な部分を参照ください.各論部分では,実際に戻ってきた結果をどのように解釈したらよいかを項目にわけて説明しています.実際に戻ってきた結果を患者さんご家族に説明する場合に参照いただけたらと思います.説明用資料もまとめてみましたので,ベッドサイドでご使用くださいますとありがたいです.
マイクロアレイ染色体検査についてさらに詳しいことがお知りになりたい先生方には,先行して販売されている拙著『臨床遺伝に関わる人のためのマイクロアレイ染色体検査』(診断と治療社)をぜひご参照ください.

2021年9月

山本俊至
東京女子医科大学ゲノム診療科教授