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書籍詳細

日本医師会生涯教育シリーズ

免疫・炎症疾患のすべて診断と治療社 | 書籍詳細:免疫・炎症疾患のすべて

慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科 教授

竹内 勤(たけうち つとむ) 監修

北海道大学大学院医学研究院免疫・代謝内科学教室 教授

渥美達也(あつみ たつや) 編集

埼玉医科大学医学部腎臓内科 教授

岡田 浩一(おかだ ひろかず) 編集

慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科 准教授

金子 祐子(かねこ ゆうこ) 編集

大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫内科学 教授

熊ノ郷 淳(くまのごう あつし) 編集

東京大学大学院医学系研究科血液・腫瘍病態学 教授

黒川 峰夫(くろかわ みねお) 編集

東京大学大学院医学系研究科アレルギー・リウマチ学 教授

藤尾 圭志(ふじお けいし) 編集

初版 B5判 並製 368頁 2020年11月01日発行

ISBN9784787824776

定価:本体5,500円+税
  

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免疫・炎症疾患の診療では,炎症の原因を探り,免疫をうまく制御できれば軽快することが多く,早期の診療,定期的なフォローアップが非常に重要となる.しかしわが国には専門とする医師が少なく,プライマリケア医の果たす役割はきわめて大きい.本書では,実地医家が日常診療で免疫・炎症疾患患者に遭遇した際に必要となる各疾患の基礎知識とその鑑別を中心に記載した.定評ある日本医師会雑誌特別号生涯教育シリーズの書籍化.

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目次

目次

カラー口絵-免疫・炎症のしくみと臓器への影響
 自然免疫   百田匡寿,河合太郎
 獲得免疫   村上正晃
 免疫と臓器障害   星野克明
 炎症と臓器障害   百田匡寿,河合太郎
 関節の身体所見
 関節リウマチ(RA)   針谷正祥
 変形性関節症(OA)   田中 栄
 関節以外の身体所見
 全身性エリテマトーデス(SLE)   渥美達也
 抗リン脂質抗体症候群(APS)   村島温子
 多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)   吉田 健
 全身性強皮症(SSc)   桑名正隆
 シェーグレン症候群(SS)   坪井洋人,安部沙織,住田孝之
 中小型血管炎   佐田憲映
 成人スティル病(ASD)   三村俊英
 ベーチェット病(BD)   桐野洋平
 皮膚科領域   種瀬啓士,天谷雅行
 眼科領域   慶野 博,平形明人
 画像所見
 単純X線写真   神島 保
 超音波   神島 保
 CT   神島 保
 RI   神島 保
 MRI   神島 保

序   中川俊男
監修・編集のことば   竹内 勤
監修・編集・執筆者紹介


I 免疫・炎症疾患オーバービュー
 免疫・炎症疾患の概要   竹内 勤
 免疫・炎症疾患の疫学   藤尾圭志

II 免疫・炎症疾患の基礎知識
 免疫系のしくみ   田中稔之
 免疫系の細胞と組織   星野克明
 サイトカイン,ケモカイン   吉田裕樹
 自然免疫と炎症   百田匡寿,河合太郎
 獲得免疫   村上正晃
 抗体産生   前田和彦
 免疫制御,免疫寛容,免疫記憶   安水良明,大倉永也


III 免疫・炎症疾患における病歴・身体所見
 熱   井田弘明
 関節,腱,腱付着部   金子祐子
 神経,筋肉   五野貴久
 皮膚,粘膜   沖山奈緒子,保田晋助
 その他の注目すべき臓器   岸本暢將


IV 免疫・炎症疾患における検査
 一般検査
 末梢血液検査   藤原 亨,張替秀郎
 生化学検査   水島伊知郎,川野充弘
 尿検査   坂入 徹,廣村桂樹
 血液検査
 自己抗体検査   大村浩一郎
 炎症検査   森信暁雄
 臓器関連バイオマーカー   白井悠一郎
 遺伝子検査   西小森隆太
 画像検査
 単純X線検査   神島 保  
 超音波検査   池田 啓
 CT検査  平田信太郎
 MRI検査   杉本英治
 核医学検査   山下裕之
 穿刺検査   伊藤 聡
 病理検査   越野瑛久,原 章規,和田隆志


V 免疫・炎症疾患で用いられる主な治療法
 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)   川人 豊
 副腎皮質ステロイド   田村直人
 免疫調節薬   土橋浩章,亀田智広,脇谷理沙
 免疫抑制薬   川合眞一
 生物学的製剤を含めた分子標的療法   田中良哉
 その他の治療   槇野茂樹
 手術とリハビリテーション   門野夕峰


VI 免疫・炎症疾患各論
 全身性疾患
 関節リウマチ(RA)   針谷正祥
 全身性エリテマトーデス(SLE)   渥美達也
 抗リン脂質抗体症候群(APS)   村島温子
 多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)   吉田 健
 全身性強皮症(SSc)   桑名正隆
 混合性結合組織病(MCTD)   川口鎮司
 シェーグレン症候群(SS)   坪井洋人,安部沙織,住田孝之
 IgG4関連疾患   髙橋裕樹,鈴木知佐子,神田真聡
 大型血管炎   駒形嘉紀
 中小型血管炎   佐田憲映
 川崎病   伊藤秀一
 サルコイドーシス   杉山幸比古
 ベーチェット病(BD)   桐野洋平
 成人スティル病(ASD)   三村俊英
 若年性特発性関節炎(JIA)   武井修治
 脊椎関節炎(SpA)   小林茂人
 リウマチ性多発筋痛症(PMR)  折口智樹
 結晶誘発性関節炎  山中 寿
 変形性関節症(OA)  田中 栄
 自己炎症性疾患
 家族性地中海熱(FMF)   右田清志,藤田雄也,浅野智之
 その他の稀な自己炎症性疾患   八角高裕,平家俊男
 消化器疾患
 炎症性腸疾患(IBD)   仲瀬裕志
 自己免疫性肝炎(AIH)   大平弘正
 原発性胆汁性胆管炎(PBC)   田中 篤
 自己免疫性膵炎(AIP)   妹尾 浩,塩川雅広
 原発性硬化性胆管炎(PSC)   田妻 進
 呼吸器疾患
 グッドパスチャー症候群   河野 弘,西岡安彦
 肺胞蛋白症(PAP)   田澤立之
 過敏性肺炎(HP)   宮崎泰成
 循環器疾患
 心筋炎   中岡良和
 感染性心内膜炎(IE)   中谷 敏
 神経疾患
 多発性硬化症(MS),視神経脊髄炎(NMO)   山村 隆
 重症筋無力症(MG)   吉川弘明
 ギラン・バレー症候群(GBS)   神田 隆
 慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)   寒川 真,楠  進
 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)   越智博文
 内分泌疾患
 1型糖尿病   三柴裕子,今川彰久
 バセドウ病   山田正信
 橋本病   赤水尚史
 下垂体炎,多腺性自己免疫症候群(APS)   山本雅昭,髙橋 裕
 腎臓疾患
 糸球体疾患   石本卓嗣,丸山彰一
 尿細管間質疾患   岡田浩一
 血液疾患
 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)   宮川義隆
 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)   亀崎豊実
 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)   西村純一
 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP),溶血性尿毒症症候群(HUS)   久保政之,松本雅則
 感覚器疾患
 皮膚科領域   種瀬啓士,天谷雅行
 眼科領域   慶野 博,平形明人
 耳鼻咽喉科領域   久保田圭一,岸部 幹
 病原微生物・新生物に惹起される免疫疾患
 溶連菌   伊藤保彦
 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)   梅北邦彦,岡山昭彦
 ウイルス媒介関節炎   藤井隆夫
 感染性関節炎   藤原一夫
 ダニ媒介関節炎   宮下修行,尾形 誠,福田直樹
 傍腫瘍性神経症候群(PNS)   河内 泉,西澤正豊
 重症感染症における免疫応答修飾   山本真也,四柳 宏
 薬剤に惹起される免疫疾患
 免疫関連有害事象(irAE)   久保輝文,廣橋良彦,鳥越俊彦
 薬剤誘発性ループス   石井智徳
 薬剤関連抗好中球細胞質抗体   石津明洋
 薬剤性過敏症症候群(DIHS)   中島裕史


VII 専門医紹介のタイミングと公的支援制度
 専門医紹介のタイミング   奥 健志
 公的支援制度   森 雅亮

索引

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序文



免疫・炎症疾患は,本来自己を守るために働く免疫システムが異常を来し,正常な細胞や組織を異物と認識して攻撃することによって多様な症状を引き起こす.関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどは全身臓器が影響を受けるのに対し,炎症性腸疾患やバセドウ病などは特定臓器だけが影響を受ける.このように,免疫・炎症疾患には多種多様な疾患があり,発症年齢も若年から高齢までと幅広く,また女性に多く見られるという特徴もある.
免疫・炎症疾患の診療においては,炎症の原因を探り,免疫をうまく制御できれば軽快することが多く,早期の診断と治療,定期的なフォローアップが非常に重要となる.しかし,わが国には専門とする医師が少なく,プライマリケア医の果たす役割はきわめて大きい.
このような背景を踏まえ,本書には,実地医家の先生方が日常診療で免疫・炎症疾患患者に遭遇した際に必要とされるであろう内容が,疾患とその鑑別を中心に記載されている.第一線で活躍される会員の先生方の日々の臨床に役立てていただければ幸いである.
最後に,本特別号の企画から刊行までご尽力いただいた監修の竹内 勤先生,編集の渥美達也先生,岡田浩一先生,金子祐子先生,熊ノ郷 淳先生,黒川峰夫先生,藤尾圭志先生,そしてご執筆いただいた諸先生方に心より御礼申し上げる.

2020年10月
日本医師会会長
中川俊男



監修・編集のことば

原因が明らかな感染症や腫瘍に対して,真の原因は特定されないながらも病態の解明が進められたことで有効な診断や治療手段が次々に明らかになった疾患群がある.全身あるいは単一臓器に炎症を引き起こす「免疫・炎症疾患」である.疾患の病態に免疫・炎症が関与し,その1つの分子に着目することによって疾患概念が確立した疾患や,病態の中心となる分子の機能を完全に制御することによって劇的な治療効果をもたらした疾患など,いずれも免疫や炎症が過剰に応答しそれが継続することで引き起こされる疾患群である.これまでは,より包含範囲の狭い膠原病,臓器特異的あるいは臓器非特異的自己免疫疾患,自己炎症症候群,リウマチ性疾患として長く扱われてきたが,共通の病態関連分子や,共通の治療標的という視点に立ち,自己免疫疾患や自己炎症症候群などを含んだより包括的で広範な疾患群を指す疾患概念として「免疫・炎症疾患」という用語が近年使われるようになってきたのである.
たとえば,自己免疫疾患,全身性リウマチ性疾患の代表である関節リウマチに画期的治療効果をもたらした腫瘍壊死因子α(TNFα)を標的とする生物学的製剤は,自己免疫の関与が明らかとなっていない炎症性腸疾患,乾癬,強直性脊椎炎や,自己炎症性疾患としての側面があるベーチェット病などにも高い効果を示す.このことから,自己免疫,自己炎症という概念を超えた病態鍵分子としてのTNFαの役割がこれらの疾患で明確になり,同時にこれら一連の疾患をTNFαが病態に関与する疾患として理解することができる.同じ炎症性サイトカインであるインターロイキン6(IL-6)においても,IL-6受容体抗体の有効な疾患群は,関節リウマチはTNFα阻害薬と共通であるものの,それ以外は異なり,キャッスルマン病,大型血管炎,成人スティル病,キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法に伴うサイトカイン放出症候群などで,IL-6が病態に関与する疾患群はTNFαのそれとは明らかに異なる.また,CAR-T療法に伴うサイトカイン放出症候群のように原因が明らかであっても有効な治療法がない疾患で,病態理解が進んだことによって治療法の開発に結びついた功績は大きい.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でも,発症の契機は原因が明確なウイルス感染症であっても,重症化病態の中心は非感染性の過剰な炎症であることが指摘されており,まさに免疫・炎症疾患として捉えることができる.これらの具体例からも理解されるように,免疫・炎症疾患は,従来の疾患概念の枠組みを超え,免疫・炎症に関わる分子に着目した疾患の分類や知識の整理につながり,治療薬の選択につながる.
本書では『免疫・炎症疾患のすべて』と題して,免疫・炎症が病態に関わる疾患を網羅し,各々の疾患において診断や治療に直結した理解が進むよう編集に工夫をしていただいた.先生方の日常診療に少しでもお役に立てることを祈念している.

2020年10月
監修・編集者を代表して
竹内 勤