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書籍詳細

高齢者診療のための臨床検査ガイド診断と治療社 | 書籍詳細:高齢者診療のための臨床検査ガイド

東京大学大学院医学系研究科老年病学 准教授

小川 純人(おがわ すみと) 編集

医療法人社団鉄祐会 理事長

武藤 真祐(むとう しんすけ) 編集

自治医科大学臨床検査医学 教授

山田 俊幸(やまだ としゆき) 編集

初版 B6変型判 並製 378頁 2022年05月20日発行

ISBN9784787825124

定価:4,950円(本体価格4,500円+税) 電子書籍はこちら
  

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老年医学×在宅医療×臨床検査のスペシャリスト3名がタッグを組んだ,高齢者診療に特化した検査値ガイドの決定版!「高齢者診療で遭遇しやすい症候・疾患からの検査アプローチ」「各臨床検査値の見方と次のアプローチ」の二部構成で,高齢者の特性や特有の疾患の理解を深めたうえでの検査の選択、検査値からの診察、次の検査の進め方などのエッセンスをコンパクトにまとめました.医師はもちろん,検査技師,看護師,リハ関係職種の方までお役立ていただける,外来,病棟,在宅医療で手放せないバイブルです!

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目次

序 小川純人,武藤真祐,山田俊幸
執筆者一覧

第1章 総 論
001 高齢者によくみられる症候・疾患と必要な検査 武藤真祐,小川純人
002 臨床検査の感度・特異度と基準値の考え方 山田俊幸
003 臨床検査値の生理的変動 山田俊幸
004 加齢による身体機能の変化と臨床検査値 武藤真祐,小川純人
005 臨床検査値に影響を及ぼす基礎疾患と処方されている薬剤 武藤真祐,小川純人

第2章 各論①:症候・疾患と必要な臨床検査
a 循環器系
001 動 悸 島津和久
002 胸 痛 山田容子
003 浮 腫 赤石 誠
004 脱 水 入谷 敦
005 心不全 窪薗琢郎,大石 充
006 高血圧 小島太郎
007 不整脈 杉山裕章
008 虚血性心疾患 箸方健宏,阿古潤哉
009 閉塞性動脈硬化症 宮田哲郎

b 呼吸器系
010 呼吸困難・呼吸不全 千田一嘉
011 咳嗽・喀痰 久次米公誠
012 上気道炎・感冒 金城武士
013 慢性閉塞性肺疾患 石井正紀
014 肺 炎 石井正紀

c 消化器系
015 嚥下障害 海老原孝枝,海老原 覚
016 悪心・嘔吐 中野弘康
017 血 便 青木智則
018 慢性便秘症 中島 淳,三澤 昇
019 下痢・便失禁 吉田 亮,磯本 一
020 胃食道逆流症 須藤紀子
021 消化性潰瘍 小田島慎也
022 大腸癌 野澤宏彰
023 肝硬変 白木 亮
024 肝胆膵の悪性腫瘍 笹平直樹

d 腎・泌尿器系
025 頻 尿 青木裕章
026 血 尿 青木裕章
027 尿失禁 竹屋 泰
028 尿路結石 岡田朋記,安井孝周
029 前立腺肥大症 澤 剛,髙橋 悟
030 慢性腎臓病 平野宏之介,今井直彦

e 血液・造血器・凝固・線溶系
031 貧 血 岡田 定
032 易出血性 正本庸介

f 内分泌・代謝系
033 脂質異常症 宮脇正次
034 甲状腺疾患 中島康代
035 高尿酸血症・痛風 代田 翠
036 糖尿病 田村嘉章

g アレルギー・免疫系
037 リウマチ性疾患久保かなえ

h 運動器系
038 廃用症候群,サルコペニア,フレイル 佐竹昭介
039 骨粗鬆症 小川純人

i 感覚器系
040 めまい 杉本 研

j 皮膚・粘膜系
041 褥 瘡 仲上豪二朗
042 痒 み 種井良二
043 帯状疱疹 浅田秀夫

k 精神・神経系
044 頭 痛 鈴木 昌
045 認知機能障害 井桁之総
046 抑うつ 山口 潔
047 せん妄 山口 潔
048 不眠症 小曽根基裕,天谷美里
049 脳梗塞 大塚快信
050 Parkinson病・パーキンソン症候群 櫻井博文

l その他,全身性疾患
051 栄養不良 関根里恵
052 発 熱 佐田竜一
053 慢性疼痛 髙橋直人

第3章 各論②:各臨床検査値の見方と次の対応
a 末梢血液一般
054 赤血球 佐藤尚武
055 白血球 佐藤尚武
056 血小板 金子 誠
057 赤血球沈降速度(赤沈) 金子 誠

b 凝固線溶系
058 プロトロンビン時間(PT) 橋口照人
059 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 橋口照人
060 フィブリノゲン 橋口照人
061 フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)とDダイマー 橋口照人

c 含窒素化合物,生体色素,腎機能
062 尿素窒素(UN) 山本さやか
063 クレアチニン 山本さやか
064 シスタチンC,低分子蛋白 伊藤喜久
065 尿 酸 山本さやか
066 血清ビリルビン 多田大和

d 血漿蛋白
067 血清総蛋白 山田俊幸
068 アルブミン 大林光念
069 栄養マーカー 大林光念
070 血清蛋白分画,免疫グロブリン,M蛋白関連検査 山田俊幸
071 C反応性蛋白(CRP)と炎症マーカー 山田俊幸
072 フェリチン 生田克哉

e 酵 素
073 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT) 多田大和
074 乳酸脱水素酵素(LD) 米川 修
075 アルカリホスファターゼ(ALP) 米川 修
076 γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γGT) 米川 修
077 クレアチンキナーゼ(CK) 出居真由美
078 アミラーゼ(AMY) 三宅一徳
079 コリンエステラーゼ 三宅一徳
080 心筋傷害マーカー(高感度トロポニンT・I,H-FABP,CK-MB) 小形幸代
081 心筋ストレスマーカー(ANP,BNP,NT-proBNP) 小形幸代

f 糖代謝
082 血糖/経口ブドウ糖負荷試験 川村良一,大澤春彦
083 ヘモグロビンA1c(HbA1c) 川村良一,大澤春彦
084 インスリン,糖尿病関連自己抗体 川村良一,大澤春彦

g 脂質代謝
085 総コレステロール(TC) 三宅紀子
086 LDL-コレステロール(LDL-C) 三宅紀子
087 HDL-コレステロール(HDL-C) 三宅紀子
088 中性脂肪(TG) 三宅紀子

h 電解質
089 ナトリウム(Na),クロール(Cl) 木村秀樹
090 カリウム(K) 木村秀樹
091 カルシウム(Ca) 向井秀幸,岩津好隆
092 無機リン(IP) 向井秀幸,岩津好隆
093 金属(鉄,マグネシウム,亜鉛,銅) 向井秀幸,岩津好隆

i 血液ガス,酸塩基平衡
094 血液ガス〔pH,動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2),動脈血酸素分圧(PaO2),重炭酸イオン(HCO3-)〕 亀田 徹
095 アンモニア 亀田 徹
096 乳 酸 亀田 徹
097 動脈血酸素飽和度 東條尚子

j 免疫・アレルギー
098 関節リウマチの検査〔リウマトイド因子(RF),抗CCP抗体(ACPA),マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(MMP-3)〕 今福裕司
099 抗核抗体 今福裕司
100 補 体 今福裕司
101 輸血検査金子 誠
102 IgE,アレルゲン特異的IgE抗体 江原佳史,木村 聡

k 腫瘍マーカー
103 癌胎児性抗原(CEA) 岩泉守哉
104 α-フェトプロテイン(AFP) 岩泉守哉
105 前立腺特異抗原(PSA) 岩泉守哉
106 糖鎖抗原19-9(CA19-9) 岩泉守哉

l ホルモン
107 甲状腺関連ホルモン(TSH,FT4,FT3) 志村浩己
108 甲状腺関連自己抗体 志村浩己
109 副甲状腺ホルモン(PTH),骨代謝マーカー 三浦雅一
110 副腎ホルモン 青木智之
111 性ホルモン(FSH,LH,女性ホルモン,男性ホルモン) 小芝明美

m 尿・便・分泌液
112 尿潜血・血尿 菊池春人
113 尿蛋白 菊池春人
114 尿糖,ケトン体,ビリルビン,ウロビリノゲン 菊池春人
115 尿路感染症関連検査(試験紙亜硝酸塩,試験紙白血球,尿沈渣白血球・細菌) 菊池春人
116 便潜血(便ヘモグロビン) 三宅一徳

n 穿刺液・髄液 
117 その他の穿刺液検査(髄液,胸腹水) 出居真由美

o 感染症
118 一般細菌培養検査江原佳史, 木村 聡
119 グラム染色による起炎菌推定 上蓑義典
120 病原体・外毒素・抗体の迅速検査 東田修二
121 薬剤感受性試験 上蓑義典
122 抗酸菌関連検査 野内英樹
123 真菌〔グラム染色,墨汁法,培養,迅速検査,(1→3)-β-D-グルカン〕 亀井克彦
124 梅毒検査 大里和久
125 肝炎ウイルス 多田大和
126 ヒト免疫不全ウイルス(HIV) 外島正樹
127 SARS-CoV-2 東田修二

付録:高齢者診療に役立つツール集
002 003 005 006 007 009 010 のスケール監修:亀山祐美,田村嘉章,矢可部満隆,仲上豪二朗
001 高齢者総合機能評価(CGA) 冨田尚希
002 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
003 MoCA-J
004 DASC-21 扇澤史子
005 認知・生活機能質問票(DASC-8)
006 認知能MMSE
007 GLIM基準:低栄養の診断基準
008 主治医意見書 木棚 究
009 ブレーデンスケール
010 DESIGN-RR2020褥瘡経過評価用

略語一覧
索 引

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序文



高齢者では,身体機能,認知機能や生理機能は加齢に伴い次第に低下することが少なくない.また,安静時や負荷時に対する抵抗力や,腎臓などの臓器予備能低下も伴い,こうしたさまざまな機能低下が老年疾患や老年症候群の発症・進展や薬物代謝などと関連していると考えられる.
高齢者医療や在宅医療の現場などで用いられている臨床検査値に関しては,高齢者や超高齢者において,基本的には成人期以降の臨床検査値の基準範囲と大きくは変わらない.その一方で,超高齢社会の進展とともに,複数の慢性疾患や生活習慣病などを有する高齢者診療に携わる機会は増加の一途をたどっており,加齢に伴う変化を念頭におき,起こりうる各臨床検査値の変化など,高齢者の特性を十分理解したうえで診断や治療を進め,安全かつ有効な高齢者医療を提供することは大きな課題といえる.
本書では,①高齢者診療で遭遇しやすい代表的な症候や疾患からの検査アプローチ,②各臨床検査値の見方と次のアプローチ,の二部構成をベースとした.また,「同時に確認すべき他の検査値」「確認すべき基礎疾患・処方薬剤」など,相互に関連づけをたどっていけるよう,参照ページなどにも工夫を凝らし,日常的な高齢者診療の現場で手軽に活用いただけるように努めた.さらに「高齢者診療に役立つツール集」を巻末に掲載した点など,随所で臨床現場での実際的な活用を想定した記載や構成を心がけた.
本書を通じて,高齢者の特性に関する理解が一層進むとともに,臨床検査オーダーの出しすぎを回避することにもつなげられればと思う.かかりつけ医,一般内科医,訪問診療や施設管理に従事する医師,健診・人間ドック医,メディカルスタッフなど,高齢者の診療,看護,介護,ケアに携わる幅広い方々のバイブルとして活用していただけることを期待する.

2022年3月
東京大学大学院医学系研究科老年病学  准教授
小川純人
医療法人社団鉄祐会  理事長
武藤真祐
自治医科大学臨床検査医学  教授
山田俊幸