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ジストニアとボツリヌス治療改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:ジストニアとボツリヌス治療改訂第2版

アイオワ大学教授(京都大学名誉教授)

木村 淳(きむら じゅん) 監修

榊原白鳳病院診療顧問

目崎 高広(めざき たかひろ) 著

徳島大学教授

梶 龍兒(かじ りゅうじ) 著

改訂第2版 B5判 並製,2色刷り 286頁 2005年12月10日発行

ISBN9784787814463

定価:本体12,000円+税
  

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ジストニアとボツリヌス治療をこれから学ぼうとする初学者の医師を 対象に,基本的事項と実際的な手技を体系的かつ図解を中心に詳述し た.エビデンスとして,内外の文献を新旧ともども網羅的に渉猟.初 版の2倍以上の情報を満載した本分野の決定書.

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目次

第1章 ボツリヌス毒素−Wonder Drug of this Century−
 ボツリヌス毒素の発見前史/ボツリヌス治療開発史/
 ボツリヌス治療の実用化と発展
 <メモ>
  生物兵器としてのボツリヌス毒素/Scottの初期実験

第2章 ボツリヌス毒素の基礎知識
 ボツリヌス中毒(botulism)/ボツリヌス毒素の構造/
 ボツリヌス毒素の機能/市販されている製剤とその性質/
 M毒素・S毒素の臨床応用/抗毒素抗体
 <メモ>
  C型ボツリヌス毒素/シナプス小胞

第3章 ボツリヌス治療総論
 適応症/禁忌または慎重投与/ボトックスが届くまで/
 治療前に行うべき説明事項/治療当日の注意/治療の実施手順/
 毒素の処分/注射後の注意/効果発現と持続期間/
 効かない患者(non-responder)/有害事象/抗毒素抗体
 <メモ>
  ボツリヌス毒素はどのくらい広がるか/終板領域と運動点/
  フロリダ事件とその教訓

第4章 ジストニア
 ジストニアの定義/ジストニアの分類/ジストニアの頻度/
 ジストニアの危険因子/ジストニアの歴史的考察/
 ジストニアの臨床特徴/ジストニアの表面筋電図における特徴/
 ジストニアの病態生理/代表的なジストニアの臨床特徴/
 二次性ジストニア(secondary dy stonia)/治療
 <メモ> 
  ジストニア重積状態(statusdystonicus,dystonic storm)/
  顎関節症と咬筋ジストニア
 [別表]
  Burke-Fahn-Marsden Scale/
  Unified Dystonia Rating Scale(UDRS)/
  Global Dystonia Rating Scale(GDRS)

第5章 眼瞼痙攣,Meige症候群
 治療法選択の原則/適応/慎重投与・禁忌/評価法/
 治験成績と有効率/治療の基本手技/眼部筋の解剖と機能/
 代表的な病態における治療対象筋/注意すべき解剖/
 治療の限界/有害事象

第6章 片側顔面痙攣
 片側顔面痙攣/ボツリヌス治療/治療法選択の原則/適応/
 慎重投与・禁忌/評価法/治験成績と有効率/治療の基本手技/
 顔面筋の解剖と機能/代表的な病態における治療対象筋/
 注意すべき解剖/治療の限界/有害事象

第7章 痙性斜頸(頸部ジストニア)
 治療法選択の原則/適応/慎重投与・禁忌/評価法/
 治験成績と有効率/治療の基本手技/頸部筋の解剖と機能/
 代表的な偏倚における治療対象筋/注意すべき解剖/
 治療の限界/有害事象
 <メモ>
  頸下がりと「kubisagari」/
  trigger point,tender point,taut bands
 [付録]
  脳性麻痺に伴う痙性斜頸へのボトックス投与ガイドライン/
  初めてのボツリヌス治療in CD in CP
 [別表]
  TWSTRSスケール
 [章末付図]

巻末付表・付図
 ボトックス注100の添付文書/
 ボトックス使用の説明文書(眼瞼痙攣・片側顔面痙攣)/
 ボトックス使用の説明文書(痙性斜頸)/
 ボトックス使用の同意書(眼瞼痙攣・片側顔面痙攣)/
 ボトックス使用の同意書(痙性斜頸)/
 ボトックスの登録票(眼瞼痙攣・片側顔面痙攣)/
 ボトックスの登録票(痙性斜頸)

 ※ボトックスは米国アラガン社の登録商標です

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序文

改訂第2版への緒言

 「ジストニアとボツリヌス治療」の改訂第2版が刊行されることに
なった.初版と比較してみると,ボツリヌス毒素の発見の歴史がより
充実し,しかも,現在ボツリヌス治療の対象となっている眼瞼痙攣,
片側顔面痙攣,痙性斜頸についての記載は詳細を極め,この治療を試
みる医師に対し,十分な知識を提供している.
 京都大学名誉教授木村淳先生によってわが国に紹介されたこの治療
が,徳島大学梶教授,榊原白鳳病院目崎先生のたゆみない御努力によ
って,わが国に定着したのは真に素晴らしいことである.「継続は力
なり」という諺を具現したのが本書といってもいいすぎではない.
 豊富な文献,精選された図などは初版を凌ぐものであり,実際に手
を動かした人だけが書けた本である.
 ボツリヌス療法は本書にも詳述されているように,欧米諸国におい
てはジストニアをはじめ,色々の疾患に利用されているが,わが国に
おいては3種類の疾患にしか適応が認められていない.アメリカのよう
にFDAの許可があれば,あとは医師の裁量によって色々な疾患に試して
よいという慣例がわが国にはないため,自由に使用できない現状であ
る.わが国においても痙性片麻痺患者の痙縮を軽減する目的で治験が
行われてはいるが,多くの制約によって順調な運びとはなっていない.
痙性対麻痺で歩行に難渋している患者を見るにつけ,この療法が効果
をもたらせばよいなと考えるのは筆者のみではあるまい.
 本書の如き良質なモノグラフが多くの人々に読まれ,ボツリヌス毒
素に対する基礎知識が普及してこそ,この治療法のさらなる発展が期
待できよう.
 初版が出てから10年間のこの治療法の進歩は目ざましい.改訂第2版
はその進歩をみごとにとらえた素晴らしい本である.梶・目崎両先生
の御努力に対し,心からの敬意を表して,緒言にかえる.

2005年11月

三井記念病院
萬年 徹


改訂第2版への監修のことば

 本書はジストニアとボツリヌス治療についてこれから学ぼうとする
人を対象としたもので,基本的事項と実際的な手法が体系的に記載さ
れている.土台となったのはこの第2版と同様,梶龍兒先生と目崎高
広先生との共著により,「診断と治療社」より上梓した同名のモノグ
ラフ(1996)である.多くの読者に好意的に受け入れられた初版の特
徴をいかしながらも,構成を一新し,その後10年間にわたる本領域で
の業績を反映して内容も全面的に改められている.
 1988年,私が長年勤務したアイオワ大学から母校の京都大学に転出
した際,一緒にニューオーリンズから帰国した梶先生と相談して,欧
米ですでに脚光を浴びていたボツリヌス治療の開発を一つの目標とし
た.当時日本ではBotoxの前身,Scott博士のOculinumが個人輸入され
ていて,日本製のA型毒素は1987年に完成したばかりだった.この国産
毒素を用いた臨床試験は京都大学では1989年に開始され,梶先生を中
心に大学院生の長峯隆先生(現京都大学高次脳機能総合研究センター
助教授)がこれにあたった.
 目崎先生は1990年大学院入学と同時にボツリヌス治療を担当するこ
ととなり,梶先生の指導のもと1993年から始まったBotoxの臨床治験に
も主要な役割を果たし,その経験をいかして以後この分野をライフワ
ークとしている.本書は,このように初期からボツリヌス治療に携わ
った著者の力作で,情報の鮮度を保つためにかなり迅速にまとめられ
た.読者は本書を通じて,ボツリヌス治療に関する広汎な知識のみな
らず,経験者による微妙な工夫のあり方をも知ることができ,治療現
場において役立つことと信じる. 
 わが国では,眼瞼痙攣(1996),片側顔面痙攣(2000),および痙
性斜頸(2001)の認可を得るまでに予想以上の年月がかかり,紆余曲
折があった.萬年徹先生(三井記念病院院長)はじめ多くの先生方のご
努力で,ボツリヌス治療はようやく大方の理解をいただくようになり,
筋緊張異常症の有力な治療法として認知されるに至っている.この時
期に,読者が本書を有効に利用され,適正なボツリヌス治療により患
者に資することができるのは監修者として喜びにたえない.

平成17年11月吉日

アイオワにて
木村 淳


改訂第2版への序

 本書「ジストニアとボツリヌス治療」は,これからボツリヌス治療
を始めようとする方,あるいは,すでにボツリヌス治療を行っていて
さらに詳しく学びたい方を対象として,現在保険適用になっている疾
患を中心に解説したものである.初版の奥付を見ると,1996年5月発行
になっているから,第2版出版までにほぼ10年が経過したことになる.
筆者が初版の原稿を準備していたのは1995年夏,当時はまだワープロ
ソフトの機能は不十分であったし,手持ちの文献は数百,検索機能は
なきに等しかった.何よりボツリヌス毒素はわが国で未だ認可されて
おらず,乏しい知見を基に書いた「実際には使用できない薬剤の解説
書」が果たして世に受け入れられるのか,いかに注目を集めつつある
治療であったとはいえ,大いに疑問であった.それでもまずまずの評
価をいただけたのは,筆者にとりまことに幸福なことであった.
 この10年間に,わが国でもアラガン株式会社*のA型ボツリヌス毒素
製剤ボトックス注100が認可され,眼瞼痙攣,片側顔面痙攣,痙性斜頸
と,3つの疾患が順次適応症として認められた.使用に際してわが国
では厳しい制限が課せられているが,現在もボツリヌス治療に関する
研究は,海外では日々進歩している.そのため,第2版では大幅な書
き直しが必要であった.事実上の全面改稿である.初版執筆の1995年
以降に出版された,ボツリヌス治療に関する数千本の文献を可能な限
り渉猟し,わが国での適応症に関連した知見は,できるだけ本書に反
映させようと試みた.その結果,引用文献がほぼ総入れ替えになった
ことも,この10年間の進歩がいかに著しかったかを物語ると思う.な
お,初版にあった他の疾患への応用については,近刊「不随意運動の
診断と治療」(診断と治療社)で紹介する予定なので,ご覧いただき
たい.
 文献の引用範囲を明確にするため,本書に記述した知見は原則とし
て2005年5月末までに入手し得た文献に拠った.また,書物としての鮮
度を保つために,筆者が通常の論文執筆で行う文章の推敲を著しく簡
略化し,スピードを最優先させていただいた.そのため,方々に読み
にくい箇所があろうかと思う.予めお詫び申し上げたい.また用語に
ついては,日本神経学会用語集の記載に配慮したが,「眼瞼攣縮」
「片側顔面攣縮」「攣縮性斜頸」については,保険病名として使用で
きないことから,初版と同じく「眼瞼痙攣」「片側顔面痙攣」「痙性
斜頸」とした.「ジストニー」についても,本書の表題を変更する混
乱を避けたい意図もあって,厚生労働省の研究班名にも採用され,よ
り汎用されていると考えられる「ジストニア」のままとした.
 最後に,推薦文をご執筆いただいた三井記念病院院長(元東京大学
教授)萬年徹先生,監修の労をおとりいただいたアイオワ大学教授(
京都大学名誉教授) 木村淳先生,ならびに原稿を辛抱強くお待ちいた
だいた診断と治療社の関係各位に,厚く御礼申し上げたい.
 本書が適正なボツリヌス治療の実施に役立つことを念願している.

平成17年11月

目崎 高広
梶  龍兒

*ボトックス注100の国内での取り扱いは,平成17年11月1日からグラ
クソ・スミスクライン株式会社に委譲された.