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高齢者の皮膚トラブルFAQ診断と治療社 | 書籍詳細:高齢者の皮膚トラブルFAQ

京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授

宮地 良樹(みやち よしき) 編集

神戸市立医療センター中央病院院長・京都大学名誉教授

北 徹(きた とおる) 編集

初版 A5判 並製ソフトカバー 全ページカラー印刷 308頁 2011年01月26日発行

ISBN9784787817761

定価:6,380円(本体価格5,800円+税)
  

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成人に対するとは異なった診療コンセプトおよびアプローチを必要とする高齢者皮膚疾患に対する診療ノウハウをQ&A形式で当該分野の専門医が詳述,さらに老年内科医の立場から当意即妙の補足を随所に加え,臨床に直結する≪役立つ本≫を全ページカラー印刷で実現した.すでに大好評を得ている『小児の皮膚トラブルFAQ』(2008年12月刊行)の姉妹篇.

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目次

序  文 /宮地良樹/北  徹
執筆者一覧 

第1章 総  論
 1 高齢者の皮膚はどう違う? /高橋健造
 2 高齢者の皮膚はなぜ乾燥しやすいのか? /菊地克子
 3 高齢者の皮膚はなぜたるむのか? /堀口裕治
 4 光老化(しみ,皺)はなぜ起こる? /川田 暁
 5 高齢者はなぜ痒がるのか? /江畑俊哉
 6 高齢者にはなぜ紫斑が多いのか? /川名誠司
 7 高齢者はアレルギーを起こしにくいか? /椛島健治
 8 高齢者の白髪・脱毛の理由は? /中村元信
 9 高齢者の爪はなぜ脆い? /中村元信
 10 薬物による毛包・爪障害の注意点は? /中村元信
 11 高齢者はなぜ汗が少ない? /嵯峨賢次
 12 高齢者の外用薬使用上の注意点は? /大谷道輝
   Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――ステロイド外用薬の使い方 /荒井秀典
 13 高齢者の内服薬使用上の注意点は? /大谷道輝
 14 高齢者の皮膚外科で気をつけるべきことは? /田村敦志
 15 高齢者の栄養障害による皮膚障害の注意点は? /中野 創
   Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――どんな栄養障害が多いのか /荒井秀典

第2章 スキンケアと生活指導
 1 高齢者の清潔のスキンケアのポイントは? /宮地良樹
 2 高齢者の乾燥のスキンケアのポイントは? /菊地克子
 3 高齢者の紫外線防御のポイントは? /川田 暁
 4 失禁・褥瘡のスキンケアのポイントは? /永井弥生
 5 皮膚にやさしい高齢者の入浴とは? /松村由美
   Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――血圧などからみた入浴法 /荒井秀典
 6 皮膚にやさしい高齢者の生活住環境とは? /上出良一
   Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――生活習慣病にいい住環境とは /荒井秀典

第3章 皮膚疾患――A 炎症性皮膚疾患
 1 高齢者にみられやすい接触皮膚炎とは? /足立厚子
 2 高齢者にもアトピー性皮膚炎はあるの? /椛島健治
 3 局所の接触皮膚炎や貨幣状湿疹から自家感作性皮膚炎への進展を防ぐには? /足立厚子
 4 高齢者のうっ滞性皮膚炎の注意点は? /松村由美
   Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――下腿の灌流障害/荒井秀典
 5 高齢者のおむつ皮膚炎・殿部肉芽腫をみたら? /松村由美
 6 高齢者の乾皮症・皮脂欠乏性皮膚炎をみたら? /宮地良樹
 7 高齢者の丘疹紅皮症をみたら? /古川福実
 8 高齢者の慢性痒疹をみたら? /梅本尚可/出光俊郎
 9 高齢者の皮膚瘙痒症みたら? /江畑俊哉
   Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――高齢者の痒みの実態 /荒井秀典
 10 高齢者の肛囲瘙痒症みたら? /江畑俊哉
 11 高齢者の環状紅斑をみたら? /早川和人
 12 高齢者の結節性紅斑をみたら? /森田和政
 13 高齢者のリベド(網状皮斑)をみたら? /川名誠司
 14 高齢者の紅皮症をみたら? /森田和政
 15 高齢者に多い薬疹は? /相原道子
   Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――高齢者の頓用薬/荒井秀典
 16 高齢者の重症薬疹は? /相原道子
 17 高齢者の紫斑の診かたは? /堀口裕治
 18 閉塞性動脈硬化症の皮膚症状は? /立花隆夫
   Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――閉塞性動脈硬化症の診かた /荒井秀典
 19 高齢者の足趾壊疽をみたら? /十一英子
 20 高齢者のコレステリン塞栓はハイリスク? /松村由美
 21 高齢者の下腿潰瘍をみたら? /松村由美
 22 高齢者の熱傷をみたら? /田村敦志
 23 高齢者の褥瘡をみたら? /永井弥生
 24 高齢者の光線過敏症をみたら? /森脇真一
 25 高齢者に水疱を見つけたら? /鬼頭昭彦
 26 高齢者に膿疱を見つけたら? /鬼頭昭彦
 27 高齢者に後天性魚鱗癬を見つけたら? /高橋健造
 28 高齢者の乾癬をみたら? /赤坂江美子/小澤 明
 29 高齢者に黒色表皮腫を見つけたら? /早川和人
 30 高齢者の鶏眼・胼胝をみたら? /中川浩一

第3章 皮膚疾患――B 腫瘍性皮膚疾患
 1 眼瞼黄色腫をみたら? /池田光徳
  Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――脂質異常症/荒井秀典
 2 顔面の黒い皮膚腫瘍をみたら? /谷岡未樹
  Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――悪性腫瘍の鑑別/水野雅博
 3 足底の黒色色素斑をみたら? /谷岡未樹
 4 前額に皮膚色小結節の多発(老人性脂腺増殖症)をみたら? /竹中秀也
 5 体中に赤い小結節(老人性血管腫)をみたら? /竹中秀也
 6 パンツに出血点(外陰部被角血管腫)をみたら? /竹中秀也
 7 頸部のスキンタッグをみたら? /中川浩一
 8 顔面の癌前駆症(日光角化症)をみたら? /田村敦志
 9 一般医が見逃すPaget病をみたら? /田村敦志
 10 頭部の出血性腫瘍(血管肉腫)は要注意? /松村由美

第3章 皮膚疾患――C 感染性皮膚疾患
 1 高齢者の帯状疱疹で留意すべきことは? /渡辺大輔
 2 高齢者の水虫で留意すべきことは? /田邉 洋
 3 高齢者の性感染症で留意すべきことは? /渡辺晋一
  Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――変容する高齢者の性行動 /荒井秀典
 4 高齢者の疥癬の特徴は? /和田康夫

第3章 皮膚疾患――D その他の皮膚疾患
 1 心配な顔のしみで留意すべきことは? /上出良一
 2 仙骨部のさざ波状の色素沈着(仙骨部アミロイドーシス)で留意すべきことは? /寺木祐一
 3 サルコイドーシスで留意すべきことは? /岡本祐之
 4 陥入爪をみたら? /是枝 哲
 5 下肢静脈瘤をみたら? /是枝 哲
 6 糖尿病にみられる皮膚疾患で留意すべきことは? /末木博彦
  Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――高齢者の糖尿病/荒井秀典
 7 肝障害でよくみる皮膚症状で留意すべきことは? /落合豊子
  Suggestion 老年内科医の「ここが知りたい」――高齢者の肝障害/水野雅博

第4章 Mini Lecture――知っておくべき高齢者皮膚病
 1 扁平苔癬 /塩原哲夫
 2 血栓性静脈炎 /立花隆夫
 3 リンパ浮腫 /田村敦志
 4 類乾癬・菌状息肉症 /戸倉新樹
 5 老人性白斑,老人性色素斑 /谷岡未樹
 6 日光弾性線維症 /宇谷厚志
 7 弾力線維性仮性黄色腫 /宇谷厚志
 8 硬化性萎縮性苔癬 /渡辺大輔
 9 脂漏性角化症 /中川浩一
 10 男性型脱毛症 /乾 重樹
 11 Merkel細胞癌 /成澤 寛
 12 Leser‐Trélat徴候 /落合豊子
 13 Werner症候群 /安部正敏/石川 治

索  引
 和文索引
 欧文索引
Contents

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序文

序  文

 皮膚科の外来患者も入院患者も高齢者がかなりの比率を占めるようになってきた.冬の皮膚科外来は“痒がる高齢者”が多く受診し,皮膚悪性腫瘍で入院する患者も高齢者が圧倒的に多い.100歳の患者の皮膚腫瘍切除術も施行したことがあるので,皮膚科回診で85歳と聞くと“若い”とさえ思うようになった昨今である.それほどに高齢社会が進行し,皮膚病変は高齢者が最も遭遇するありふれた疾病となった.
 高齢者の皮膚は単に加齢した成人皮膚とは生理学的にも病理学的にも異なるので,“高齢者皮膚科学”ともいうべきジャンルが成立すべきであろうとかねがね考えていたが,高齢者皮膚病変に特化した適切なテキストがあまりなかったこともあって成人皮膚科学テキストを敷衍して臨床的に対処するしか方法がなかった.そこで今回,高齢者皮膚疾患をターゲットに老年内科医と共同で編纂したのが本書である.実用的で即戦力となることを目指して,高齢者皮膚の生理学的な特徴から始まり,臨床現場で遭遇する多彩な高齢者皮膚疾患をめぐる素朴な疑問に専門医が答えるFAQ形式とした.
 高齢者皮膚疾患は皮膚科医のみでなく一般内科医も日常の何気ない患者との対話のなかで多くの疑問に直面しているはずである.患者の小さな愁訴のなかから背景となる内科疾患の思いがけないピットフォールを発見することもあろうし,また患者が気にもとめていない発疹が悪性腫瘍のこともあろう.患者の一次情報は何も血液検査や画像検査のみで得られるものではなく,肉眼で視認でき,しかも触れることができる発疹から内科疾患の診断と治療に有用な情報が得られることが少なくない.あるいは自分が処方している薬物が原因で惹起されている発疹や痒みさえあることも忘れてはならない.
 本書は2008年に同じ診断と治療社から上梓した『小児の皮膚トラブルFAQ』のいわば姉妹版である.皮膚疾患を単に臓器としてだけではなく,発達・成熟や加齢という切り口で見直すことで新しい観点からの皮膚科診療が展開できるものと思われる.幸い,『小児の皮膚トラブルFAQ』も江湖に好評を得たので,いわば対極にある高齢者皮膚に焦点を絞って『高齢者の皮膚トラブルFAQ』としてまとめたわけである.毎日の診療で不断に高齢者の皮膚トラブルに直面する一般内科医や皮膚科医のクイックリファレンスとして机上の一冊に加えていただければ編者らとしてこれに勝る喜びはない.
2010年錦秋の京都にて



京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授 宮地良樹
神戸市立医療センター中央市民病院院長/京都大学名誉教授 北  徹