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脳梗塞血栓回収デバイス実践ガイド診断と治療社 | 書籍詳細:脳梗塞血栓回収デバイス実践ガイド
最新の脳血管再開通療法

神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科部長

坂井 信幸(さかい のぶゆき) 編集

初版 B5判 並製 84頁 2010年11月18日発行

ISBN9784787818195

定価:本体3,500円+税
  

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急性脳動脈閉塞治療の診断,治療薬選択の基本とともに,承認されたばかりの血栓回収デバイスによる最新の血管内治療の実際をわかりやすく解説.

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目次

第1章 rt-PA静脈療法の現状・問題点および今後
/宮下史生,峰松一夫
1.はじめに 
2.経静脈的血栓溶解療法 
 1 血栓溶解療法の理論的根拠 
 2 血栓溶解薬の作用機序 
 3 経静脈的血栓溶解療法の歴史
 (1) NINDS rt-PA Stroke Study 
 (2) ECASS I 
 (3) ECASS II  
 (4) ATLANTIS study  
 (5) J-ACT  
3.わが国におけるrt-PA静注療法適正治療指針 
4.rt-PA静注療法の現状 
 1 海外での市販後調査 
 (1) SITS-MOST  
 2 国内での市販後調査,J-MARS
 3 J-ACTⅡ 
 4 SAMURAI study 
 5 SUMO study 
5.rt-PA静注療法の問題点 
 1 短いTherapeutic time window 
 2 胸部大動脈解離あるいは胸部大動脈瘤 
 3 椎骨脳底動脈系梗塞 
 4 脳動脈解離 
 5 症候性頭蓋内出血および転帰不良の寄与因子 
6.rt-PA静注療法の今後への展望 
 1 rt-PA静注療法の治療時間延長 
 2 画像診断としてのMRIの応用 
 3 新世代血栓溶解薬 
 4 超音波血栓溶解療法 
 5 脳保護薬との併用療法 
 6 rt-PA静注療法と血管内治療の併用 
 7 脳卒中対策基本法への期待 

第2章 脳血管再開通療法に必要な画像診断
/佐々木真理
1.はじめに 
2.画像診断機器の要件 
3.ガイドラインからみた脳血管再開通療法に必要な画像診断 
4.出血の否定 
 1 高血圧性脳出血 
 2 無症候性微小出血 
 3 くも膜下出血 
5.早期虚血変化の判定 
 1 頭部単純CTによる早期虚血変化の判定
 (1) Early CT signs 
 (2) CTA-SI 
 2 MRIによる早期虚血変化の判定 
 (1) 拡散強調画像(DWI) 
 (2) 見かけの拡散係数(ADC) 
 3 早期虚血変化の範囲判定 
 (1) 1/3 MCA rule  
 (2) ASPECTS 
6.血管閉塞の評価 
 1 臨床試験における血管閉塞の評価 
 2 血管閉塞の評価法  
 3 血管閉塞評価による治療適応の決定 
7.虚血性ペナンブラの評価 
 1 虚血性ペナンブラとは 
 2 MRI,CTによる虚血性ペナンブラの評価 
 3 脳血管再開通療法における虚血性ペナンブラ評価 
 4 虚血性ペナンブラ評価のモダリティ,指標,アルゴリズムによる差異 
 5 虚血性ペナンブラ評価の精度検証と標準化の動向 
8.血液脳関門破綻の評価 

第3章 rt-PA静注療法からみた血管内治療の適応
/吉村紳一
1.はじめに 
2.rt-PA静注療法の適応 
 1 確認事項,禁忌,慎重投与 
 2 適応時間延長の可能性 
 3 rt-PA静注療法施行法の多様化 
3.rt-PA静注療法の治療効果 
 1 rt-PA静注療法と再開通 
 2 rt-PA静注療法と予後 
 3 血栓溶解療法と再開通率 
 4 rt-PA静注療法の救済療法 
4.臨床研究における血管内治療の適応 
 1 IMS study 
 (1) IMS I 
 (2) IMS II 
 (3) IMS III  
 2 MERCI trial 
 (1) MERCI trial  
 (2) Multi MERCI trial
 3 Penumbra trial
 (1) The Penumbra Pivotal Stroke Trial
 4 SARIS trial 
5.急性期脳主幹動脈の治療の流れ 
6.考 察 
7.結 語 

第4章 これまでの治療法
/坂井信幸,山上 宏
1.局所線溶療法 
 1 PROACT,PROACT Ⅱ 
 2 MELT-Japan 
 3 その他のLIF 
 4 症 例 
2.血管形成術 
 1 PTAによる再開通療法 
 2 症 例 
3.ステント留置術 
 1 ステントによる再開通療法 
 2 症 例 
4.その他の治療 
 1 その他のデバイスによる再開通療法 
 2 症 例 
5.わが国の現状(JR-NET)登録から 


第5章 新しい機器
/坂井信幸,今村博敏
1.新しい流れ 
2.Merci® 
 1 機 器 
 (1) Merci®リトリーバー(Vシリーズ)  
 (2) Merci®マイクロカテーテル  
 (3) Merci®バルーン付ガイディングカテーテル 
 2 使用方法 
 (1) 準 備  
 (2) 手 順  
3.実施基準と医師トレーニング 
4.これまでのエビデンス 
 1 MERCI trial 
 2 MERCI trial 
 3 Multi MERCI trial 
 4 Pooled Analysis 
5.症例 
 1 症例1 
 2 症例2 
 3 Penumbra® 
 4 症例3 
 5 その他のmechanical thrombectomy device 

資料 脳血管再開通療法に関連する指標
/坂井信幸,坂井千秋
1.再開通グレード 
2.治療後の頭蓋内出血 

索 引

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序文

序  文
 頚部血管を含む脳動脈の急性閉塞は,rt-PA(Alteplase)が使えるようになった今でも,多くの症例で良好な生命・機能予後が得られないことは周知のことである.SAMURAI(主任研究者:豊田一則),JR-NET2(主任研究者:坂井信幸)共同研究班のデータによると,脳主幹動脈が閉塞したときの内科治療のmRS 5〜6の合計は,内頚動脈閉塞51.5%,中大脳動脈閉塞37.0%,椎骨脳底動脈閉塞50.0%である.2005年にわが国でも承認されたrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法は,overallでmRS 0〜2を約40%に得られるが,局所線溶療法(LIF)を行えば再開通率が向上することが知られている.
 LIFは,マイクロカテーテルの開発により本格的な幕を開け直ちに開始されたが,PROACTとMELTの結果を基にした「条件を満たす中大脳動脈閉塞」のみでしかその有効性は確認されていない.また,LIFには再灌流後の出血リスクがつきまとい,therapeutic window(time, irreversible damage)に多くの制約がかかってしまう.そこで,線溶薬に頼らない再開通療法として,頭蓋内血管に到達可能なバルーンやステント,血栓を直接回収するワイヤーをベースにした機器,そして血栓を吸引により回収しようとする機器があいついで開発され,その試みも始まった.
 2010年,わが国で初めて血栓を回収する機械的血栓回収術(mechanical thrombectomy)用のMerciリトリーバーが承認された.Merciは,当初の報告で再開通率が単独で54.9%,追加治療併用で68.3%を達成し,再開通を得ると有意に良好な転帰を得ること明らかにされ,その後も検証が続いている.
 本書は,急性脳動脈閉塞治療の診断,治療選択の基本から,血管内治療の実際をコンパクトにまとめたものである.本格的なmechanical thrombectomy時代の幕を開けたわが国における脳動脈の再開通療法に役立つことを願っている.

2010年10月

 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科部長
坂井 信幸