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小児脳波検査テクニカルガイド診断と治療社 | 書籍詳細:小児脳波検査テクニカルガイド

国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科部長

佐々木 征行(ささき まさゆき) 著

初版 A5判 並製 152頁 2011年05月16日発行

ISBN9784787818737

定価:4,180円(本体価格3,800円+税)

とりあえず脳波をとって読めるようになるための最短距離.基礎編と臨床編に分けた充実編集.基礎編では,脳波検査の要点を実例を交えながら整理して,初心者にもすぐに実践できるところまでわかりやすく解説する.臨床編では,正常例と異常例ならびにアーチファクト例を学習した後,典型的症例にたっぷり触れ,さらには教訓的症例として,臨床上陥りやすいピットフォールを回避するための実際的知識を伝授する.

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目次

基礎編
1.脳波の基本事項
 A. 脳波とは
 B. 脳波は電位差が連続記録されている 
 C. 振幅と周波数の計り方 
 D. 電極はルールに従って頭皮上に貼られている
 E. 単極導出法と双極導出法
 F. デジタル脳波計
2.脳波のとりかたの基本
 A. 脳波室 
 B. 脳波計の設定
 C. モンタージュ
 D. 皿電極の付け方
 E. 脳波検査のための鎮静方法
 F. 脳波用紙の保存

実践編
3.代表的な脳波
 A. 正常編 
  1. 安静覚醒時
  2. 睡眠脳波
  3. 負荷脳波
  4. 異常と間違えるかもしれない所見
 B. 異常編
  1. 基礎波の異常
  2. 突発性異常波:てんかん性異常波
  3. 全般性と局在性
  4. 基礎波の異常と突発性異常波をあわせ持つ異常
 C. 人工産物
  1. 瞬き
  2. 筋電図
  3. 心電図
  4. 電極はずれ 
  5. 電極リード線の問題
  6. 基線の動揺
4.症例呈示
 A. 典型的症例
  症例1 熱性けいれん
  症例2 覚醒時大発作てんかん
  症例3 小児欠神てんかん
  症例4 若年欠神てんかん
  症例5 中心側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(BECCT)
  症例6 側頭葉てんかん 
  症例7 前頭葉てんかん 
  症例8 後頭部に突発波(棘徐波)をもつ小児てんかん 
  症例9 若年ミオクロニーてんかん
  症例10 West 症候群,脳性麻痺
  症例11 大田原症候群
  症例12 Lennox-Gastaut 症候群
  症例13 急性脳炎・急性脳症 
  症例14 亜急性硬化性全脳炎 
  症例15 自閉症 
 B. 教訓的症例 
  演習症例1
  演習症例2
  演習症例3
  演習症例4
  演習症例5
推薦図書
索 引

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序文

はじめに
脳波検査を行うと多くの有用な情報が得られます。特にてんかんの診断・治療に最も有用です。ですから,小児科・精神科・脳外科・神経内科などの診療では欠かせない検査になっています。もちろん,てんかんを専門としない一般臨床医にとってもたいへん役立つものです。しかし基礎的知識がないと脳波をいきなり読むのは難しいと思います。
本書の前身である「小児脳波マスターガイド」を2006 年に出版させていただきました。その時点では,小児脳波に関して手軽に読める本はほとんどありませんでした。「誰でもわかる小児脳波の読み方」をまとめる必要があると考えました。多くの皆様からご好評をいただき,深謝申し上げます。
その後,新たに小児脳波の入門書がいくつか出版されました。このような時に「テクニカルガイド」シリーズとして,5 年ぶりに改めて小児脳波をまとめさせていただく機会をいただきました。
本書でもマスターシリーズと同様,脳波に関する神経生理学的な基本原理はできるだけ省きました。本書の目的は,脳波を読んだことはないしほとんど見たこともないという一般臨床医,研修医,検査技師,医学生などの方々が小児脳波の読み方を理解し,実際に所見を記載できるようになることです。そのためには面倒な理屈は省いて,実際の脳波を数多く見ていただくことにしました。
まず基礎編で基礎的事項を解説します。脳波を読むため最低限の術語を覚えていただきます。続いて,脳波検査の実施方法を簡単に説明します。実践編に入ってからは,正常所見,異常所見を呈示します。合わせて人工産物にも慣れていただきます。自分で脳波を読んでみると,正常所見か異常所見かで迷うことがしばしばあるものです。そのような境界所見もいくつか入れました。その後に,異常脳波を呈した典型的な症例を許される範囲で呈示しました。臨床的に重要な症例を収載し,陥りやすいピットフォールについても触れるようにしました。
すべての疾患を本書で網羅することはできませんが,これ1 冊あればこれまで脳波を読むという経験のなかった方でも,独りできちんと脳波所見を読みとれるレベルになると思います。ただし,新生児については筆者の経験が多くないので触れておりません。本書をお読みになって,今日からの臨床にお役立ていただければ幸いです。
2011 年3 月
著者