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書籍詳細

新版脳梗塞rt−PA静注療法実践ガイド診断と治療社 | 書籍詳細:新版脳梗塞rt−PA静注療法実践ガイド
―新しい治療指針を読み解く―

国立循環器病研究センター副院長

峰松 一夫(みねまつ かずお) 監修

国立循環器病研究センター脳血管内科部長

豊田 一則(とよだ かずのり) 編集

初版 A5判 並製 160頁 2013年08月20日発行

ISBN9784787820358

定価:本体3,200円+税
  

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rt-PA静注療法が2005年10月に急性期脳梗塞に対する治療として国内で初めて認可され,救命率および後遺症残存の改善が図られてきた.多くの市販後調査報告や,研究により新たな知見が蓄積され,2012年8月に発症後3時間から4.5時間へ治療可能時間が延長され,さらなる治療効果の向上が期待されている.本書はこうした治療の進歩に伴い改訂された「適正治療指針」を読み解き,具体的に理解して実践的で,かつ最先端の情報を提供する.

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目次

1. rt-PA静注療法とはどんな治療か  /森 悦朗
2. 「適正治療指針 第二版」の要点  /棚橋紀夫
3. 治療開始可能時間と治療効果   /星野晴彦
4. 画像診断から考える治療適応   /平野照之
5. チェックリストから考える治療適応  /青木淳哉,木村和美
6. 患者受け入れから投与開始までの実際  /井口保之
7. 治療の場としてのSCU,治療後の管理   /脊山英徳,塩川芳昭
8. rt-PA静注療法患者の看護   /菱田千珠
9. 血管内治療との連携   /坂井信幸,今村博敏
10. 症例から考える治療適応と管理法-この15例に学ぶ  /古賀政利
11. 今後の展望   /豊田一則

索 引

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序文

推薦のことば
 rt-PA(アルテプラーゼ)の点滴静注が,発症3時間以内の超急性期脳梗塞に有効であると明らかになったのが1995年(米国では翌年臨床応用が認可),わが国ではそれに遅れること10年,2005年に漸く認可されたことはご存じの通りである.
 その後の臨床試験によって,この治療可能時間が4.5時間まで延長されたことに伴い,日本脳卒中学会でも2012年10月には「rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針 第二版」が作成された.
 しかし,治療指針はあくまでrt-PA静注療法のエッセンスであり,細かな注意点などには言及されていない.それらの欠点を補うために,この度,国立循環器病研究センターの峰松一夫副院長の監修,豊田一則部長の編集による「新版 脳梗塞rt-PA静注療法実践ガイド―新しい治療指針を読み解く―」が発刊された.初版の監修を務めたものとして,新版のユニークな点に触れながら推薦の言葉としたい.
 初版ではrt-PA静注療法がわが国で認可されて間もない時期であったため,基本的な問題,すなわち,承認までの経緯,わが国での治験,適正使用講習会,SCUを含む治療体制の構築などが詳しく述べられ,その内容も初めての治療指針に則ってやや消極的な部分も少なくなかった.執筆者の多くはせいぜいわが国での治験に関わっただけで,臨床経験はまだ余り多くなかったのである.
 しかし新版の執筆陣は,わが国独自の用量(0.6mg/kg)での経験が豊富な方々で,その後にわかってきた新しい知見についての解説も多く加えられ,かなり積極的な内容となっている.すなわち,わが国で用いられることの多いMRI所見からの判断や,閉塞部位を同定するためのMRAの役割と意義,大動脈解離の診断に有効な頸部超音波検査,そしてデバイスを用いた血管内治療との連携など,臨床的な応用問題として極めて有用な解説が多く記載されている.
 書籍のサイズもA5判で携帯にも便利である.脳卒中急性期治療に携わる研修医や専門修練医,それに脳卒中・神経内科・脳神経外科各専門医の座右の書として是非ともお勧めしたい書籍である.
 2013年7月
国立循環器病研究センター名誉総長
公益社団法人日本脳卒中協会理事長 山口 武典


監修の序
 これを知るを知ると為し,知らざるを知らずと為せ.是れ知るなり.(孔子「論語」)

 2007年10月に刊行された「脳梗塞rt-PA静注療法実践ガイド」で,私は最終章「11.今後の展開」を執筆し,「市販後調査」,「市販後臨床試験」,「治療可能時間の延長」などに触れた.当時進行中であった市販後使用成績調査,市販後臨床試験(J-ACT II)も無事終了し,国内の低用量(0.6mg/kg)療法の効果,安全性が海外の高用量(0.9mg/kg)療法のそれらと遜色ないことが明らかとなった.「治療可能時間の延長」に関しては,2008年のECASS IIIで発症後4.5時間目までの本療法の有効性が証明され,2012年8月の国内での時間延長承認に繋がった.さらに,第一世代脳血栓摘除デバイスのMerci,Penumbraが国内承認され,本療法禁忌例や無効例を対象に,発症後8時間目までが適応となっている.現在は,再開通力がより高いことが期待される第二世代デバイス(ステントリーバ-)の国内治験が始まっている.一方で,新規rt-PA製剤,超音波血栓溶解装置,脳保護薬との併用,局所線溶療法などは,足踏み,あるいは一部頓挫した感があるが,研究,試験は続いている.
 2012年の治療可能時間延長の国内承認を受け,日本脳卒中学会はrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針を7年ぶりに改定した(第二版).これも,最終章「11.今後の展開」で予言したことである.適正治療指針第二版の公表に伴い,「臨床現場における本療法の正しい理解と実践」を目標とした本書も大改定が必要となった.私は監修に回り,項立てや執筆者も大幅に変更した.前回私が担当した最終章は,編集者の豊田一則部長が執筆した.ぜひ,ご一読願いたい.
 本療法に関して,大きな進歩,変化が生じ,本書の次の大改定が必要となるのは何時頃のことであろうか?もしかすると,タイトルは「rt-PA静注療法」から「再開通療法」に変わるかもしれない.我々は大いに前進した.しかし,この歩みを決して止めてはならない.

 2013年7月
国立循環器病研究センター副院長 峰松 一夫


編集に携わって
 2012年秋の適正治療指針第二版公表から時機を逸さずに,本書を刊行できたことに,安堵しています.指針改訂に続けてご執筆くださった方々,指針作成を陰で支え今回は執筆者となられた方々に,深謝申し上げます.また私自身も,指針改定時に森悦朗先輩から「予報的な事柄を書くな」と戒められた呪縛を逃れ,最終章で予報的なことばかりを書き並べた快感に浸っています.
 私事を申せば,2005年版指針のレジスタントを気取っていました.2005年版に守られて診療を進める立場を自覚しながらも,そのアルマジロのような殻の硬さを呪いました.今より6~7歳分浅慮だった私は,「指針は目安に過ぎない」と壇上で論じて座長の山口武典先生に睨まれ,別の場では聴講席から「この指針には6つの問題点がある」と捲し立てて,途中でまた山口座長に発言を遮られました.そんな私が改訂作業の本丸に加えていただき,粉薬を量り取る匙加減で改訂に悩んだことに因果を感じました.改訂版が日本脳卒中学会のHPと学会機関誌に掲載され,その英訳版も刊行され,本書も無事に上梓されて,一年越しの作業に結着をつけました.しかしrt-PA静注療法は日々進化し,またすぐに本書も改訂されるでしょう.それまでの数年間を,読者の皆様が気安く読める手引書として活用していただければ,嬉しく思います.
 指針も本書も,改訂委員・執筆者の先生方をはじめ,出典となる知見を見出された方,日々の診療を支えた方々のご尽力が,実を結んだものです.しかしながら,敢えて謝する相手を一人選べば,2005年版指針の初稿を書かれた高田達郎先生(現,聖マリアンナ医科大学東横病院)でしょう.章立てこそ大きく変えたものの,新旧の指針を読み比べれば,改訂版の文章の半分以上は2005年版を並べ替えたものに過ぎないことが,容易に分かることと思います.

 2013年7月
国立循環器病研究センター脳血管内科部長 豊田 一則